ある男はとある海の見えるレストランを貸切にして、婚約者と共に訪れた。
結婚を目前に控えた二人は、出会った時の思い出話をしたり、お互いのまだ知らない話なども共有した。
男は勘定を済ませて帰宅すると、婚約者を殺した。一体なぜ?[編集済]
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歩けないがゆえに車椅子を使い、喋れないがゆえに筆談で会話をする婚約者。
そんな彼女が気兼ねなくディナーを楽しめるように、男は自らの「王子」という身分を利用して高級レストランを貸切にした。
「ここは僕が君に救われた海が見えるんだよ。あんな目に遭っても、海を嫌うことはできない…」
『陸まで運んだ後、あなたがすぐ目覚めてくれて心から安心したのよ』
「そうだね…もしもあのまま気絶していたら顔を覚えていなくて、再会したときに君だと気付かなかったかもしれないね。そういう意味でもすぐに目覚めることができて良かったよ、あの時はありがとう」
『たしかにそうね。こちらこそ私のことを覚えていてくれて、そして婚約までしてくれてありがとう』
一見すると男が一方的に喋っているだけに見えるだろう。二人だけが分かる世界で会話は弾んでいた。
男はずっと抱いていた疑問を聞いてみることにした。結婚を誓ったのだから、きっと隠さず教えてくれるだろうと思ったのだ。
「僕を助けてくれたあの時、一度姿を消したのはどうして?それに、その足でどうやって僕を助けたんだい?」
そこで婚約者がかつて人魚だったこと、魔女の力で今の姿になったことを知った男はこう考えた。
見た目が人間と同じになったからと言って「その肉」は変わらないのでは?
元々人魚であった「その肉」を喰らえば不老の体を手に入れられるのでは?
「殿下、そちらは何を召し上がっておいでですか?我々が用意した物ではないようですが…」
「これは…ウミガメのスープだよ」
「ウミガメなんてどこで調達なさったので?それは本当にウミガメのスープですか?」
「…君も食べるかい?きっと海のどこかで調達できるはずだ。このウミガメの家族にはまだ手を出していないからね」