私の住むウミガメ村の山には、妖怪が住んでいるという噂があった。
人間をからかうのが好きなその妖怪は、ナゾクチ様と呼ばれている。
暇つぶしに村人に謎を出して、答えられなかった者を大きな口で丸呑みにすることもあるというが、本当のところはわからない。
今日はエイプリルフール。
折角の休日だというのに、私は祖母から叩き起こされた。
「ナゾクチ様に会ってない」だの「嘘をつかない」だの、何が言いたいのか要領を得なかったのだが、しきりに指を動かす祖母を見てピンと来た。
というのも、祖母は嘘をつく時に、親指で人差し指の爪を擦る癖があるのだ。
嘘をつく祖母の話を正しく言い換えると、「ナゾクチ様の呪いで嘘しかつけなくなった。呪いを解く手助けをしてほしい」ということらしい。
エイプリルフールのジョークなのかとも思ったが、祖母のスマホはナゾクチ様に乗っ取られたらしく、画面を切り替えることも、電源を切ることもできなかった。
勝手に表示された入力フォーム(挿絵参照)に、嘘つきだと認める言葉を書き込むまで、他の機能は使えないようだ。
しかし祖母は嘘しかつけない状態なので、嘘つきだと書き込むことができない。
どうすれば呪いを解く事ができるのか、私達は頭を悩ませた。
《 問題 》
カメコの祖母は、嘘しかつけなくなる呪いをかけられた。
呪いを解くには、嘘つきだと認める言葉を十回書く必要がある。
しかし祖母は、自分の意思では嘘つきと認めることができない。
祖母に相談されたカメコは、[ ]を平仮名で十回書くように提案し、見事呪いを解くことに成功した。
カメコが何と書くように言ったのか推理し、上記の空欄を埋めよ。
《 ルール 》
・回答者は、カメコの祖母。
・祖母の呪いはすでに解けている。
祖母は問題の全容を把握しており、嘘の回答をすることもない。
23年04月01日 00:18
[霜ばしら]
【20の扉】
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