およそ半年前の 静かに雨が降る日の晩、トモコは入浴の際、意識を失う程の事故に見舞われてしまった。
トモコの命に別状はなかったが、それ以来トモコが外出したり運動したりする機会は減少し、家で静かに過ごすことが多くなっていた。
そんなある日。
トモコは、孫のユウタに尋ねた。
「ユウ君、何を踊っているの」
「これが踊らずにはいられるかい。来月USJに行くことが決まったのさ。一昨年ユニバーサル・スペード・ジャポンに皆で行った日から、次にまた行く日が来るのを僕はずっと待ち焦がれていたんだ。それがいよいよ叶うのがうれしくて、僕は踊っているのさ」
「ユニバーサン…? 何?」
「ユニバーサル・スペード・ジャポンだよ。高所から急速落下するスリリングなマシンに、水しぶきの上がる大迫力のアトラクション、さらには大きな恐竜や小さなカメムシがいる国内最大のテーマパーク、おばあちゃんの時代の言葉で言えば遊園地さ。おばあちゃんも一緒に行こうよ」
すると、トモコの長女サオリが口をはさんだ。
「こらユウタ。おとなしくしなさい。それに、おばあちゃんは遊園地なんかには行かないから、お留守番なのよ」
確かに、トモコがこれまで遊園地に行ったのは、サオリが小さい頃に連れて行った2回ほどのみで、
トモコが今より活動的だった時代でも、遊園地を訪れる機会というのはなかった。
だが。
「待ちなさい」
トモコの脳裏に、およそ半年前の入浴の際に見舞われた あの事故の記憶がよぎる中で。
「私も行くわ。その遊園地」
なぜトモコはこう発したのか。
トモコの命に別状はなかったが、それ以来トモコが外出したり運動したりする機会は減少し、家で静かに過ごすことが多くなっていた。
そんなある日。
トモコは、孫のユウタに尋ねた。
「ユウ君、何を踊っているの」
「これが踊らずにはいられるかい。来月USJに行くことが決まったのさ。一昨年ユニバーサル・スペード・ジャポンに皆で行った日から、次にまた行く日が来るのを僕はずっと待ち焦がれていたんだ。それがいよいよ叶うのがうれしくて、僕は踊っているのさ」
「ユニバーサン…? 何?」
「ユニバーサル・スペード・ジャポンだよ。高所から急速落下するスリリングなマシンに、水しぶきの上がる大迫力のアトラクション、さらには大きな恐竜や小さなカメムシがいる国内最大のテーマパーク、おばあちゃんの時代の言葉で言えば遊園地さ。おばあちゃんも一緒に行こうよ」
すると、トモコの長女サオリが口をはさんだ。
「こらユウタ。おとなしくしなさい。それに、おばあちゃんは遊園地なんかには行かないから、お留守番なのよ」
確かに、トモコがこれまで遊園地に行ったのは、サオリが小さい頃に連れて行った2回ほどのみで、
トモコが今より活動的だった時代でも、遊園地を訪れる機会というのはなかった。
だが。
「待ちなさい」
トモコの脳裏に、およそ半年前の入浴の際に見舞われた あの事故の記憶がよぎる中で。
「私も行くわ。その遊園地」
なぜトモコはこう発したのか。
23年01月30日 23:40
[油獣]
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