バブル崩壊直後の1991年の春のこと。土曜日の昼下がり。
(お金がない。このままじゃアパートも追い出されそうだし……何か楽に稼げるバイトとかないかしら)
などと考えながら公園のベンチに座って新聞を読む女。
『行方不明 捜しています
有力情報の提供者には最大200万円』
女のいる場所からから車で1時間ほど登ったところにある雪山の小さな村で、当時2歳のカメコちゃんが失踪したという事件。失踪から3年経って、家族が懸賞金を出し新聞で情報提供を求めていた。
身長・体重(当時のだから全くあてにならないだろうが)・血液型・失踪時の服装などの情報と一緒に、笑顔でピースをしているカメコちゃんの写真があった。
その写真を見たあと、公園の砂場の方へ目を見やると、砂場で遊んでいる少女とカメコちゃんの顔立ちが似ていることに女は気づいた。そしてさらによく見れば、目元のホクロの位置も同じであった。
(もしかしてこれは凄い幸運なのでは?)
善は急げ。少女を山奥の村の交番まで送り届けようと女は準備を始める。
後でこの子はカメコじゃない、となると困るので、
「君はカメコちゃんかな?」「たぶん、そう。でもなにもおぼえていない」
「どこから来たの?」「わからないけど、ゆきがいっぱいふってたきがする」
とちゃんと質問に答えたのを確認してから、知人から車を借りた女は少女を山奥の村まで連れていった。
少女が交番で保護されたのを見届けたあと、幸せに暮らす少女の姿を想像して「善いことをした」と呟きながら、女は安いアパートに帰っていった。
ところで、お金に困っていたはずの女が懸賞金を受け取らなかったのは一体どうしてだろうか。[編集済]
(お金がない。このままじゃアパートも追い出されそうだし……何か楽に稼げるバイトとかないかしら)
などと考えながら公園のベンチに座って新聞を読む女。
『行方不明 捜しています
有力情報の提供者には最大200万円』
女のいる場所からから車で1時間ほど登ったところにある雪山の小さな村で、当時2歳のカメコちゃんが失踪したという事件。失踪から3年経って、家族が懸賞金を出し新聞で情報提供を求めていた。
身長・体重(当時のだから全くあてにならないだろうが)・血液型・失踪時の服装などの情報と一緒に、笑顔でピースをしているカメコちゃんの写真があった。
その写真を見たあと、公園の砂場の方へ目を見やると、砂場で遊んでいる少女とカメコちゃんの顔立ちが似ていることに女は気づいた。そしてさらによく見れば、目元のホクロの位置も同じであった。
(もしかしてこれは凄い幸運なのでは?)
善は急げ。少女を山奥の村の交番まで送り届けようと女は準備を始める。
後でこの子はカメコじゃない、となると困るので、
「君はカメコちゃんかな?」「たぶん、そう。でもなにもおぼえていない」
「どこから来たの?」「わからないけど、ゆきがいっぱいふってたきがする」
とちゃんと質問に答えたのを確認してから、知人から車を借りた女は少女を山奥の村まで連れていった。
少女が交番で保護されたのを見届けたあと、幸せに暮らす少女の姿を想像して「善いことをした」と呟きながら、女は安いアパートに帰っていった。
ところで、お金に困っていたはずの女が懸賞金を受け取らなかったのは一体どうしてだろうか。[編集済]


ついでにおかわり出題
トリック部門

物語部門


納得感部門

良質部門



