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今日はカメコとの映画デートの日だ。
今話題になっている洋画で期待が膨らむ。

待ち合わせにしている駅のロータリーは賑わっており、名物の時計塔は待ち合わせの時刻よりほんの少し前の時間を示していた。

もう少しで彼女がここに来るだろうと、カメオは時計塔の下の方に目を向けると、俺は一組の男女がいた。

……カメオはその二人に目が釘付けになってしまった。

多くの人たちがスマホに目を向け、前を向いている人も誰一人として、二人の事を気に留めないだろう。

女は泣いていた。
泣かせたのは男。

しかし、カメオ以外の誰もが彼女が泣いている理由に気づくことはないだろう。

いうなればこれは再演なのだ。
あの日、カメオはカメコに同じことをしてカメコを泣かせた。

カメオのしたことに多くの人は指を立てた。
きっと、男はカメオのしたことを知ってたのだろう。
だから、男はあの日のカメオのまねごとをしたのだろう。


リーン、ゴーン。

時計塔が頂点を刻み、鼓笛隊が行進を行い、踊り子達はくるりと舞う。

辺りが行進曲に包まれる中、ふとカメオの肩をそっと叩か人がいた。

カメオが振り返ると、そこにはカメコが居た。

「お待たせ、早く行きましょう。今日の映画は楽しみだったのだから」

「あぁ。けれど。上演の時間までまだ沢山ある。
昼食がたべたい。」

「いいわよ。私はなんでも良いわ。」
「なんでも良いは、困る。
あー……。
また、スパゲッティーでもいいか?」

カメオたちは駅のロータリーから離れる。
その時、チラリとカメオは時計塔の下の方を見る。
既に二人の姿はロータリーを行き交う人々に埋もれ見えなくなっていた。

カメオはどうして、女が泣いてた理由に気づけたのだろう?
事実は小説よりも奇なりという、この謎を解いて欲しい。
21年07月10日 16:30 [keiWlion]
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