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カメミを待っていたカメタ。
約束の時間を過ぎても、約束の場所にカメミが来る様子は一向にない。
それでもカメタはカメミのことを待ち続けた。
しかし、ずっと待っていても結局来なかったカメミに対し、カメタは
自分が嫌われたわけではないのだな、と思った。
一体どうしてだろう?
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我輩は犬である。名前はカメタだ。
ご主人のカメミが、我輩を駅の前において言ったのだ。
「必ず戻ってくるから、ここで大人しく待っていて。数時間で戻るから」
だから我輩は待った。大人しく待った。
なにやら駅の方が騒がしくても、前をスズメが通り過ぎても、大人しく待った。
数時間はとうに過ぎ、気づけば1日が経っていた。
それでも私はただ待った。
通行人がなにやら食料のようなものを置いてくる日もあったが、それにも手をつけず、私は待った。
待って、待って、待ってーーー。
気づけば、我輩は河原のようなところにいた。
ここはどこだと混乱した。早く駅の前に戻らねば。カメミを待たねば。
そう思って走り回るうちに、ここがいわゆる、死後の世界と知った。
ここでは、人も動物も、皆一様に河原を渡り、そして向こうへと去っていた。
いつのまにか、我輩の命は尽きてしまったらしい。
我輩はここにきて悲しくなった。
カメミは、我輩の命が尽きるまで会いにはきてくれなかったのだ。
我輩は嫌われていたのだろうか。
煙たがられていたのだろうか。
あの笑顔の裏では、我輩など捨ててしまおうと考えていたのだろうか。
そう考えると、悲しくて、そしてなんだか腹立たしくなってきた。
そして決心した。
ここでカメミを待とう。
ここは死者が集う場所。
人も、犬も、いつかは死ぬ。
だからどれほど離れていようが、逃げようが、最後にはここに行き着くのだ。
カメミもいつかは死ぬだろう。
そしてここにくるだろう。
その時に、文句の一つでも言っても、バチは当たらないだろう。
そして我輩は再び待った。
待って、待って、待って、待ち続けてーーー。
それでもカメミは、来なかった。
気づけば、我輩は何年いるのかすらわからなくなっていた。
渡し守に聞いたところ、外の世界では、我輩がきてからすでに200年が経過しているという。
我輩は驚いた。
200年も経てば、どんな人物でも死んでいるはずだ。
我輩はここにきた人間は、つぶさに観察していた。
カメミを見逃すはずがない。
と、いうことは。
我輩がきた時にはすでに、カメミは死んでこちらに来ていたということだ。
嗚呼、どうやら、待たせていたのは我輩の方らしいーー。
良質:3票
全体評価で良質部門
suya>>
(※ネタバレ注意)ハチ公のオマージュ、面白かったです!(自分はロミジュリのオマージュかと途中までは思っていました🤔w)悠久の時間(と人間の寿命)という時間の概念を超えた概念、また三途の川で待つというアイディア、またカメオの忠犬ぶりに、脱帽です!