「密室あるところに死体アリ」のGoodトリック・物語・納得で良かったら1票分。全体評価で特に良かったら3票分Goodができます。
やぁ、私は探偵だ。
ある豪邸で密室殺人事件が発生した。思いのほか単純な事件だったがね。私の推理により事件は解決され、犯人は捕まったのだが、ひとつ分からないことがある。
密室殺人の目的は被害者が自殺したように見せかけるというのが大半だろう。
ところが被害者の死体は明らかに他殺だった。
自殺に見える死体であれば密室にする理由もわかるのだが…。
なぜ犯人は密室状態にしたのだろうか?
自殺には見せかけようとしていなかったのであれば、その理由、動機を教えて欲しい。
解説を見る
「本当にあの部屋は密室だったんですか」
僕は探偵に尋ねた。上機嫌の探偵はとんでもなく高い和牛のステーキを口に運びながら行儀悪くスマホを眺めていた。今日の事件の依頼人である豪邸の持ち主によって支払われた多額の依頼料は探偵の財布をずいぶんと分厚くした。
「そうだと説明してやったろ。犯人も捕まった。」
今回の事件は探偵が推理を披露するほど難しい事件でもなかったように思う。それでも探偵に依頼が来たのは、殺害現場を取り巻く密室という異質な状況が事件をややこしいものに見せかけていたからだ。密室さえなければ警察がちょっと調べればすぐにわかるような簡単な事件だ。犯人には現場を密室に見せかけるメリットなどまるでなかったのだ。
しかし僕は現場を密室に見せかけるメリットを持ち合わせていた人物に心当たりがある。
探偵だ。
現場は豪邸で、豪邸の持ち主である資産家はもめごとをいたく嫌っていた。そこで密室殺人事件とか言う複雑な事件が起きたらどうなるか。依頼人は金に物を言わせて解決させようとするだろう。
事件が発生したとき事件現場の施錠を確認し、扉を壊すことを提案したのはほかでもない探偵だった。事件現場は密室でもなんでもなかったのだ。
「じゃあ、教えて下さい。現場はなぜ密室状態だったんですか。犯人が自殺に見せかけようとしていなかったのであれば、その理由と動機を」
僕は探偵の自白を期待し、彼の表情を伺った。おそらくは青い顔をしているはずだと。…しかし探偵は笑っていた。
「被害者が加害者を守るため自ら密室を作ったが、その他の証拠を偽装するのが間に合わず死んだんだよ。もしくは犯人と親しい人物が、彼の殺人を誤魔化すために密室をつくった。しかし遺体がどう見ても他殺だったのでそのカムフラージュは無駄に終わり、奇妙な密室殺人現場が出来上がったのだった。こんなとこだろ」
「う、嘘ですよそんなものは。詭弁です。証拠は。」
「さあ?もう今頃被害者も灰だしな。…お前もいい肉が食えていい気分だろ。事件は解決。お前はいいものが食べられて幸せ。何か問題があるか?私のおごりだぞ。」
「…さっきからスマホで何を見ているんですか?」
僕は煮え切らない思いをワインで飲み下して尋ねた。
「らてらてのウミガメのスープだ。いや、便利だなあ、ネットは。いい推理だ。助かったよ諸君。賢い君たちのおかげで私が逃げおおせる。」
―おし☆まい―
探偵が密室をねつ造した。その動機は豪邸の持ち主からの依頼料。そして探偵が出題者となったのは体のいい密室の言い訳を他人(ウミガメの回答者)に考えさせるためでした。
(信頼できない語り手のトリック・犯人の意図しない共犯者のトリックでした)
解説文の作成にあたり、No.60(クラブさん)、No.170(手弁当さん)の質問を引用しました!ありがとうございます!
トリック:1票