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男は毎日、汗を流しながら階段を上っている。
男の表情は非常に辛そうだった。
ある日、その階段の横にエレベーターが設置された。
それを見た男は自殺した。
なぜ?
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あの日、私は取り返しのつかない過ちを犯してしまったのです。
私は通勤するために、毎朝地下鉄を利用しています。
あの日私は、日々の激務に疲れ果てていたのか、はたまた今日も嫌な上司の顔を見なければならないことに辟易したのか、フラフラと俯いたままホームを歩いていました。
そして、私の前を歩いていた名も知らぬ女性にぶつかり、線路に突き落としてしまったのです。
線路に落ちた女性は、丁度そこにやってきた快速電車に撥ねられ、即死しました。女性の遺体は強い衝撃で吹き飛ばされ、ホームの真ん中に戻ってきました。女性の手足はもげておりました。
私は怖くなり、その場から逃げてしまいました。誰も目撃者がいなかったため、私が突き落とした事実が明るみに出ることはありませんでした。
しかしそれからというもの・・・毎日あの駅のホームに降りるたび、その女性の幽霊が鬼の形相で這いながら追ってくるのが見えるようになってしまったのです。どうやらその幽霊は私だけにしか見えていないようでした。
生活が苦しく、仕事を辞めることも降りる駅を変えることもできなかった私は、毎朝電車から降りると、一目散に階段を駆け上がって逃げていました。あの霊には手足が無いので、階段を上ることができず、地上まで私を追ってくることはできなかったのです。
しかし・・・あの駅の階段横に、エレベーターが設置されることを目の当たりにしました。
これからは他の乗客に紛れて、あの幽霊は地上まで這いながら追ってくるでしょう。
私は恐怖に慄きました。
吐き気が止まらず、冷汗は滝のように流れます。
気がつけば、私はあの女性にひたすら許しを乞う懺悔を叫びながら・・・
快速電車が迫りくる線路に、逃げるように飛び込んでいました。
-完-
簡易解答
男は毎朝、地下鉄のホームで四肢が無い幽霊に追われていた。今までは階段さえ上ればもう追って来なかったが、エレベーターができたことで地上まで追われることを悟り、恐怖のあまり自殺した。
物語:1票