【正解を創りだすウミガメ】凍りついた情熱に雫【第14回】

■■問題文■■

かつてはそこにいるだけでも汗ばむほどの熱を帯びていた場所。

今となっては熱が失われ誰も近づかないその場所を、一人の男が訪れた。

そこに広がる真っ白な地面にしずくが落ちたのを見た男は、

冷たくなった手で真っ白な地面を水浸しにした。


状況を説明してください。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

前回はコチラhttps://late-late.jp/mondai/show/6450


夏だ! お盆だ! 「創りだす」だぁっ!!
毎度おなじみ、自称創りだす大好き芸人、改め「正解を創りだす松岡修造」とろたくです☆

季節も暑いし、主催も暑苦しい、ならば問題文で(物理的に)涼しくさせようではありませんか。


要素数は《12個》で参ります。そのうちの数個を主催の独断と偏見により選定させていただく予定です。
責任もって私もエキシビジョンを作らせて頂きますので一緒に頑張りましょう。

さて、それではルールに参ります。


■■ 1・要素募集フェーズ ■■
[8/10(土)21:30頃~質問が50個集まるまで]

初めに、正解を創りだすカギとなる色々な質問を放り込みましょう。


◯要素選出の手順

1.出題直後から、YESかNOで答えられる質問を受け付けます。《質問は1人4回まで》です。

2.皆様から寄せられた質問の数が”50”に達すると締め切り。
 12個の質問がランダムで選ばれ、「YES!」の返答とともに『[良い質問]』(=良質)がつきます。

※良質としたものを以下『要素』と呼びます。

※あまりに矛盾して成立しなさそうな場合や、条件が狭まりすぎる物は採用いたしません。
[矛盾例]田中は登場しますか?&今回は田中は登場しませんよね? →今回もOKとします。頼んだぞエクセル先輩・・・
[狭い例]ノンフィクションですか?(不採用)
[狭い例]登場キャラは1人ですか?(不採用)
[狭い例]ストーリーはミステリー・現実要素ものですよね?(不採用)

なお、要素が揃った後、まとメモに要素を書き出しますのでご活用ください。


■■ 2・投稿フェーズ ■■
[要素を12個選定後~8/24(土)23:59]

要素募集フェーズが終わったら、選ばれた要素を取り入れた解説を投稿する『投稿フェーズ』に移行します。
各要素を含んだ解説案をご投稿ください。

今回はお盆を挟むため長めの期間を設けています。締め切りにはお気を付けて。

らてらて鯖の規約に違反しない範囲で、思うがままに自由な発想で創りだしましょう!

※過去の「正解を創りだす(らてらて鯖版・ラテシン版)」もご参考ください。
ラテシン版:sui-hei.net/mondai/tag/正解を創りだすウミガメ
らてらて鯖:https://late-late.jp/mondai/tag/正解を創りだすウミガメ


◯作品投稿の手順

1.投稿作品を、別の場所(文書作成アプリなど)で作成します。
 質問欄で文章を作成していると、その間他の方が投稿できなくなってしまいます。
 コピペで一挙に投稿を心がけましょう。

2.すでに投稿済みの作品の末尾に終了を知らせる言葉の記述があることを確認してから投稿してください。
 記述がない場合、まだ前の方が投稿の最中である可能性があります。
 しばらく時間をおいてから再び確認してください。

3.まずタイトルのみを質問欄に入力してください。
 後でタイトル部分のみを[良質]にします。

4.次の質問欄に本文を入力します。
「長文にするときはチェック」を忘れずにつけると、文章もいい感じに改行されます。

5.本文の末尾に、おわり完など、終了を知らせる言葉を必ずつけてください。


■■ 3・投票フェーズ ■■
[8/25(日) 00:00頃~8/29(木)23:59]

投稿期間が終了したら、『投票フェーズ』に移行します。
お気に入りの作品、苦戦した要素を選出しましょう。



◯投票の手順

1.投稿期間終了後、別ページにて、「正解を創りだすウミガメ・投票会場」(闇スープ)を設置いたします。

2.作品を投稿した「シェフ」は“3”票、投稿していない「観戦者」は“1”票を、気に入った作品に投票できます。
 それぞれの「タイトル・票数・作者・感想」を質問欄で述べてください。
 また、「最も組み込むのが難しかった(難しそうな)要素」も1つお答えください。

※投票は、1人に複数投票でも、バラバラに投票しても構いません。
※自分の作品に投票は出来ません。その分の票を棄権したとみなします。
※投票自体に良質正解マーカーはつけません。ご了承ください。

3.皆様の投票により、以下の受賞者が決定します。

 《メイン》

 ◆最難関要素賞(最も票を集めた要素):その質問に[正解]を進呈

 ◆最優秀作品賞(最も票数を集めた作品):その作品に[良い質問]を進呈

 ◆シェチュ王(最も票数を集めたシェフ=作品への票数の合計):全ての作品に[正解]を進呈


 →見事『シェチュ王』になられた方には、次回の「正解を創りだすウミガメ」を出題していただきます!


※票が同数になった場合のルール
[最難関要素賞][最優秀作品賞]
同率で受賞です。
[シェチュ王]
同率の場合、最も多くの人から票をもらった人(=複数票を1票と数えたときに最も票数の多い人)が受賞です。
それでも同率の場合、出題者も(事前に決めた)票を投じて再集計します。
それでもどうしても同率の場合は、最終投稿が早い順に決定させていただきます。



■■ タイムテーブル ■■

◯要素募集フェーズ
 8/10(土)21:30~質問数が60個に達するまで

◯投稿フェーズ
 要素選定後~8/24(土)23:59まで

◯投票フェーズ
 8/25(日)00:00頃~8/29(木)23:59まで

◯結果発表
 8/30(金)23:00ごろを予定しております。




■■ お願い ■■

要素募集フェーズに参加した方は、出来る限り投稿・投票にも御参加くださいますようお願いいたします。
要素出しはお手軽気軽ではありますが、このイベントの要はなんといっても投稿・投票です。
頑張れば意外となんとかなるものです。素敵な解説をお待ちしております!

もちろん投稿フェーズと投票フェーズには、参加制限など一切ありません。
どなた様もお気軽にご参加ください。


それでは、『要素募集フェーズ』スタートです!
質問は1人4回までです。皆様の質問お待ちしております!
19年08月10日 21:30 [とろたく(記憶喪失)]
【新・形式】

ただいま【投稿フェーズ】:~8/24(土)23:59まで

新・形式
正解を創りだすウミガメ
No.1[OUTIS]08月10日 21:3108月10日 23:00

一文かナ?

ま、まさか解説文のことではないですよね!? ① [良い質問]

No.2[OUTIS]08月10日 21:3108月10日 23:00

仮面は関係あるかナ?

もうやめて! とろたくのネタはもう0よ!

No.3[OUTIS]08月10日 21:3208月10日 23:00

嘘は関係あるかナ?

エイプリルフールには少し遅い。なんつって。

No.4[靴下]08月10日 21:3208月10日 23:00

いつの間にか通り過ぎていましたか?

エモンガ! こうそくいどうだ! ② [良い質問]

No.5[夜船]08月10日 21:3308月10日 23:00

あがないですか?

「贖い」か、「あ」がないのか。

No.6[靴下]08月10日 21:3308月10日 23:00

数学が苦手ですか?

数学って意外と馬鹿にできない。

No.7[夜船]08月10日 21:3308月10日 23:00

ふとりますか?

同音異義語シリーズ・・・なかなか曲者そう。

No.8[靴下]08月10日 21:3308月10日 23:01

腫れていますか?

晴れるでも張れるでもない・・・はてさて。 ③ [良い質問]

No.9[夜船]08月10日 21:3408月10日 23:00

さとりますか?

さとりを開いて仏になる解説もワンチャン・・・?

No.10[靴下]08月10日 21:3508月10日 23:00

ニョキニョキますか?

なにを生やすつもりなんでしょうか。

No.11[夜船]08月10日 21:3508月10日 23:00

おとりますか?

ハッまさか「とり」縛り・・・!?

No.12[OUTIS]08月10日 21:3708月10日 23:00

(過去の最難関要素)? [編集済]

丁重にそれぞれの会場に送り返したはずなんですけどね・・・? ④
(後程一覧をまとメモに載せさせていただきます)
[良い質問]

No.13[ひややっこ]08月10日 21:4208月10日 23:00

ゲテモノでしたか?

もうすでに質問がゲテモノ揃いなんですがそれは。

No.14[きっとくりす]08月10日 21:4308月10日 23:00

季節は重要ですか?

意外と難しそう。

No.15[赤升]08月10日 21:4308月10日 23:00

バグりますか?

まさかここに限ってバグるなんてことはnくぁwせdrftgyふじこlp;

No.16[赤升]08月10日 21:4408月10日 23:00

ラッキースケベしますか?

きゃー! 赤升さんのエッチ! ⑤ [良い質問]

No.17[ハナミ]08月10日 21:4408月10日 23:05

パーツが足りませんか?

パーツを集めて何かが動き出しそう。 ⑥ [良い質問]

No.18[ひややっこ]08月10日 21:4608月10日 23:00

金魚鉢に閉じこめますか?

少なくとも人間は無理そうです。

No.19[赤升]08月10日 21:4608月10日 23:00

仮面は関係ありませんか?

ポラリスに厳しい。

No.20[ハナミ]08月10日 21:4608月10日 23:00

長すぎてどうしても覚えられませんか?

じゅげむじゅげむごこうのすりきれ・・・えっとこの先なんでしたっけ。

No.21[赤升]08月10日 21:4708月10日 23:00

月曜日は寄り道しますか?

寄り道ってロマン。青春ですね。

No.22[きっとくりす]08月10日 21:4708月10日 23:01

記憶喪失になりますか?

記憶喪失になる人なんてそうそういな・・・ ⑦ [良い質問]

No.23[みづ]08月10日 21:4808月10日 23:00

二十歳ですか?

お酒で羽目を外し過ぎないようにね。

No.24[ひややっこ]08月10日 21:4808月10日 23:00

最後は笑いますか?

腕が試されます。

No.25[きの子]08月10日 21:4808月10日 23:00

月は関係しますか?

月が綺麗ですね、きの子さん。・・あれ、なんか変なこと言いました?

No.26[みづ]08月10日 21:5008月10日 23:00

常連ですか?

おっちゃん、いつもの!

No.27[きの子]08月10日 21:5108月10日 23:00

間に合いませんでしたか?

「締め切りに」をやらかした人間ならここに。

No.28[みづ]08月10日 21:5608月10日 23:00

矢印の通りに進みますか?

その先、直進です。

No.29[きの子]08月10日 21:5808月10日 23:01

手を繋ぎましたか?

手を繋いだら心もつながるかもしれません。 ⑧ [良い質問]

No.30[きっとくりす]08月10日 21:5808月10日 23:00

笑顔でさらばですか?

かっこいい。好き。

No.31[太陽が散々]08月10日 22:0508月10日 23:00

踊らずにはいられませんか?

たいようがさんさん の さそうおどり! ▼

No.32[太陽が散々]08月10日 22:0608月10日 23:00

「神には頼るまい」ですか?

信じるのは己と仲間。痺れます。

No.33[太陽が散々]08月10日 22:0608月10日 23:00

ばい菌が気にならないですか?

アンパンマンには難しそうです。

No.34[ハナミ]08月10日 22:0608月10日 23:00

想定していたよりちっぽけですか?

いい意味にも悪い意味にも使えそう。

No.35[太陽が散々]08月10日 22:0808月10日 23:00

短いめになった鉛筆の持つとこを長くする銀色の奴ですか? [編集済]

最終的にハマって鉛筆が抜けなくなったことがあります。

No.36[みづ]08月10日 22:1308月10日 23:00

盛大に鼻血を噴き出しますか?

ラッキースケベとセットにしようかなと思いました。

No.37[きの子]08月10日 22:1808月10日 23:00

もう一度だけでもと願いましたか?

もう一度だけでいい~奇跡起きてよ~♪

No.38[ハシバミ]08月10日 22:2808月10日 23:00

作中作は関係しますか?

なかなか料理しがいのありそうです。 ⑨ [良い質問]

No.39[ハシバミ]08月10日 22:2908月10日 23:00

地下に住んでいますか?

地下都市とか出てきたらロマンです。

No.40[飛びたい豚]08月10日 22:3108月10日 23:00

海は関係しますか?

海は広いな~大きいな~

No.41[ハシバミ]08月10日 22:3108月10日 23:00

結婚できないのではなくてしないだけですか?

独身には刺さる、その言葉。

No.42[飛びたい豚]08月10日 22:3308月10日 23:00

文房具は重要ですか?

意外と簡単そうで難しそうな要素・・・!

No.43[ごがつあめ涼花]08月10日 22:3608月10日 23:00

巫女ますか?

美人な巫女さんからお守りを渡されたい。(謎願望)

No.44[ごがつあめ涼花]08月10日 22:3708月10日 23:00

狐だったりしますか?

こんこん。 ⑩ [良い質問]

No.45[きっとくりす]08月10日 22:3708月10日 23:00

一人二役ですか?

ガラスの仮面かな?

No.46[ごがつあめ涼花]08月10日 22:3808月10日 23:00

『コリ』が必要ですか?

肩こりしか思い浮かばなくて・・・夏。

No.47[びーんず]08月10日 22:3808月10日 23:00

昔話は重要ですか?

さあ、どう料理するのでしょうか!? ⑪ [良い質問]

No.48[びーんず]08月10日 22:3908月10日 23:00

夏休みですか?

TUBEが聴きたくなる今日この頃です。

No.49[ごがつあめ涼花]08月10日 22:3908月10日 23:00

入学しますか?

受験ほんと頑張ってください。

No.50[ハシバミ]08月10日 22:3908月10日 23:00

ウサギは関係しますか?

なんかもふもふしていますね、今回。 ⑫ [良い質問]

お待たせしました! 投稿フェーズスタートです![編集済]
★投稿の際の注意★
*質問欄で文章を作成していると、その間、他の方が投稿できなくなってしまいます。
別の場所(文書作成アプリなど)で作成し、「コピペで一挙に投稿」を心がけましょう。
*投稿の際には、前の作品の末尾に「終了を知らせる言葉」の記述があることを確認してください。
記述がない場合、まだ前の方が投稿の最中である可能性があります。
*あとで[良質]をつけるので、最初に本文とは別に「タイトルのみ」を質問欄に入力してください。
*本文の末尾に、【おわり】【完】など、「終了を知らせる言葉」を必ずつけてください。
*作品中に要素の番号をふっていただけると、どこでどの要素を使ったのかがわかりやすくなります。
*投稿締め切りは【8/24(土) 23:59】です。
投稿内容は投稿期間中何度でも編集できます。
また、投稿数に制限はありませんので、何作品でもどうぞ!
No.51[OUTIS]08月11日 00:3008月16日 00:30

【汗と涙と幸せの行方】 [編集済]

その夏の日を、ふたりが忘れることはないだろう。 [編集済] [良い質問]

No.52[OUTIS]08月11日 00:32未回答

 ある少女は、何の変哲もない家に生まれた。
穏やかな家庭で育った彼女は、高校でも多くの人に好かれていたが本当の友人と言えるような者は居なかった。
彼女がある日帰り道で出会ったのは、自分と5つ歳の離れた少年だった。
家に居る事が苦痛で逃げ出した少年は、触れれば壊れてしまいそうでどこか守ってあげなければいけないように思えた。
「ねえ、どうしたの?」
そう、彼女は声をかけた。
-その日、彼女には友人ができた。-

ある少年は、エリート一家と呼ばれる家に生まれた。
鬼才と呼ばれた出来の良い長女を持ち、自らも学校では人気者…とはならなかった。
エリート一家。
その肩書には大きな重圧がかかり、それはストレスとして家庭を襲う。
そしてそのストレスは一人のスケープゴートを攻撃する事で解消されていた。
そのスケープゴートとなったのが弟の少年であった。
毎日行われる虐待で、少年の服の下は赤く腫れあがっていた。③
ネグレクトに始まる家族ぐるみの虐待に、少年はいつしか家に帰らなくなっていた。
そんな夏のある日、小学校が終わった後行き場のない彼がたどり着いたのはとある公園だった。
-その日から、彼には生きる希望が生まれた。-

暑い夏の日に繰り返された二人の時間は、少女には安らぎを与え、少年には生きる希望を与えた。
二人で手を繋いでいる間は、日ごろの悩みを忘れられた。⑧
二人してウサギやキツネの可愛らしい動物の動画に癒されたりもした。⑩⑫
二人で見たアニメでラッキースケベがあった時は気まずくなったりもした。⑤⑨
数か月後、少年に行われていた虐待が発覚し彼は保護されていった。
それは、喜ぶべき事であったが少女にとっては少し寂しく感じた。
誰にとっても暑い夏の公園は、彼らにとっては濃厚な思い出となっていた。

 数年後、少女は美しい女となっていた。

私は、あの夏の出来事がきっかけとなり、彼女は児童福祉に置いて重要な昔話の読み聞かせ等の知識を学びある養護施設で働き始めた。⑪
そして、そこにはあの少年が暮らしていた。
しかし、私が彼に気づいた時彼は記憶を失っていた。⑦
彼は引き取られた後すぐに事故に遭ったという。
そんな彼の生活は、異様に無機質であった。
朝、朝食を食べ中学校へ向かう。
夕、帰ってきて宿題をはじめ夕食を挟んで再び宿題。
夜、夜更かしもせず就寝。
まるで感情という大きなパーツが欠けたかのように機械的、かつ模範的な生活を繰り返していた。⑥
そこに、幸せなど無いかのように。
酷く、不幸に見えてたまらなかった。

あの日、僕は施設に引き取られてすぐ事故に遭った。
いや、遭ったという言葉は不適当であろう。
遭ったという表現は偶然である事が条件だから。
僕は自ら車に飛び込んだ。
彼女と過ごした日々は僕にとって人生の全てだった。
彼女は僕にとって友人であり、姉であり、恋人であり、母であった。
そんな彼女から引き離された僕はその命を絶とうとした。
紅い信号機を誘蛾灯に導かれる蟲のようにふらふらと渡った。
気が付くと、いつの間にか峠は過ぎていた。②
どうやら、助かったらしい。
望まぬ結果に困惑していると、周囲は僕が記憶を失ったと勘違いをし始めた。
その日から、僕は記憶を失い新しい僕として生きる事を決めた。
辛い虐待の日々を捨て去りたかった。
しかし、それは同時にあの幸せな日々の記憶も捨て去らなければいけない事を意味していた。
ただ、全てを忘れたふりをして。
機械的に日々を過ごしていく。

 「結婚してください。」
そう、指輪と共に贈られた一文は私の人生を狂わせた。①
その日、大学時代から付き合っていた男性にプロポーズされた。
結婚。
女性が最も幸せな瞬間と言われるその言葉に私は迷わずうなずいてしまった。
うなずいてしまった。
その日から、私は罪悪感に苛まれるようになった。
結婚をすれば、私はいずれここを辞める事になるだろう。
彼はこのまま生きていくのだろうか。
もしそうだとしたら、私だけ。
私だけが、不幸になるのだろうか。
そんな葛藤が、私を苛んだ。
私は、もっとも本能的な、単純な答えを選んだ。

「結婚してください。」
その言葉を聞いてしまった。
僕は気づいていた。
彼女があの時の少女であると。
彼女には既に恋人がいた。
そして、どうやら結婚するらしい。
普通は悔しいとか、妬ましいとか、思うんだろうか。
僕はただ、幸せだった。
僕に希望をくれた彼女に再び会えて、しかもその彼女が幸せになれるというなら。
僕にとっての幸せは、恩人である彼女の幸せ。

 結婚式の日、誰も居ない二人きりの教会で式を挙げた。
式は何事も無く終わり、タクシーに乗り帰る途中にあの公園の前を通った。
そこには、彼がいた。
それを見た瞬間、私の中で何かがプツリと切れた。
「運転手さん、ここで降ろしてください。」
そう言って彼女は彼の元へ走った。
思い出の場所へ。
いつか、二人で過ごした暑い公園は今では紅葉が紅く咲き、小さな秋を呈していた。④❺
そんな中、彼もこちらに気づいて近づいてきた。
寒くなった真白な砂場の淵に、二人して腰を掛ける。
「どうして、ここに?」
「今日、結婚式だって聞いたから。」
「なんで、ここに?」
「ここで、二人で遊んでたから。」
「思い出したの?」
「忘れた事なんてないよ。結婚、おめでとう。」
その言葉を聞いた時、私は覚悟を決めた。

彼女が結婚すると聞いて、式の日にあの公園へ向かった。
何故かはわからない。記念日だからかな。
気が付くと、彼女がいた。
式はもう終わったのかな。
「どうして、ここに?」
「今日、結婚式だって聞いたから。」
「なんで、ここに?」
「ここで、二人で遊んでたから。」
「思い出したの?」
「忘れた事なんてないよ。結婚、おめでとう。」
本当に、心の底からの祝福を込めて・・・
「邪魔なの。あなたが。ごめんね。」
え?
腹部に走る激痛。
ポツリ、彼女の目から涙が砂に落ちては染み込んでいく。
それを見て、僕は悟った。
きっと、彼女はずっと苦しんでいたんだろう。
僕が邪魔だったんだ。
だったら、僕はそれに応えよう。
刺さったナイフは、最初から僕を殺す為に持っていたのかな。
「ッ!」
ナイフを抜き、持ち手を袖で拭う。
「さよなら。ありがと。幸せになってね。」
そう言って、僕は・・・



ナイフを、何度も自分の身体に突き立てた。
温度の無い手から、真っ赤な血が流れだし真っ白な砂場を染めていく。
彼女は、驚いた様子で立ち尽くしていたが、すぐに携帯を取り出すとどこかへ電話をかけ始めた。
君のためなら、僕はなんだってできるよ。

それは、自殺として処理された。
ナイフからは彼の指紋しか確認されず、目撃者も居ないのだから当たり前だった。
彼は、幸せだっただろう。
愛する人を幸せにできたと、そう思って逝ったのだから。
残された者の苦しみ等知らずに。
真実を知らずに。

【簡易解説】
そこは、二人にとって思い出の場所だった。
暑い夏の思い出は、二人にとって特別な存在であった。
しかし、男は結婚する思い人にとって邪魔な存在だった。
それに気づいた男は、愛故に自らを殺す事で思い人を幸せにしようとした。
その結果、冷たくなった男の手からあふれ出た血液が砂場に溢れ水浸しにした。

-了―
[編集済]

回答はまだです。

No.53[きの子]08月11日 01:3008月13日 17:51

【周回遅れの伸ばした手】 [編集済]

手は、あいつの頬と同じぐらいに雪で腫れていた。 [良い質問]

No.54[きの子]08月11日 01:31未回答

その時の俺は今なら言えるが最低で、何か嫌なことがあればすぐに誰かのせいにするし、
屁理屈をこねるだけで自分からは何もしようとしない奴だった。
そんな俺を両親も扱いかねて、
家から離れた安いアパートに放り込んで生きていける程度の仕送り以外はいないモノ扱いを決め込んでいた。


俺があいつと出逢ったのは、暑い夏の夜のことだった。

コンビニから帰った俺の部屋の前の階段でぐったりしていた。
力いっぱい叩かれたのだろう、あいつの頬は赤く腫れていて③、何だか臭くて、
普段なら舌打ちのひとつでもして通り過ぎるだけだった。

――――なのに、その時はつい声をかけてしまった。
まぁ実際は人間と話すこと自体が久しぶりでつっかえつっかえだったけれども。


声をかけるとあいつはほいほい俺の部屋までついてきた。
俺が言えた口ではないが、人が人として成り立つために必要なパーツが足りない⑥ヤツだった。
とりあえず風呂に放り込んで、その間に簡単な食えるものを作った。
その時に裸がちらりと見えて、後10年遅ければラッキースケベ⑤だったんだがなぁと馬鹿なことを考えた。
あいつは遠慮なしに俺の飯を食った。お風呂もご飯も久しぶりだと言っていた。

同じ棟に住んでいることが分かってからというもの、
あいつはちょくちょく俺の前に現れた。
夏休みも過ぎたある時「学校はどうしたんだ?」
と聞いたら、
「おじさんこそ大人なのに会社は?」
と聞き返されバツが悪くて「おじさんじゃない、お兄さんだ」と返すのがやっとだった。
「お母さんの彼氏より大人だからやっぱりおじさんだよ」と続けられ返す言葉がなかった。

あいつはやたらと俺と手を繋ぎたがった。「お母さんとは繋いだら怒るから」と言って。
手を繋いで⑧機嫌良くぶんぶんと振りながら歩くあいつと俺は若い父親と娘に見えなくもなかったと思いたい。
かと思えばすぐに手を放して調子外れな「ちーさいあーき、みーつけたー④」と歌いながらドングリをこちらに寄こしてきた。


ある日。
あいつと会っているのがあいつサイドの連中にばれた。
詳しい話は省略するが、貧相な俺は厚化粧のヒスババアによって階段から突き落とされた。
今までのことがぐるぐると巡って、ああこれが走馬灯か、と妙に冷静に思った。

小学生の頃こんな昔話⑪を聞いたことがあった。
キツネがやせたヒヨコとアヒルとウサギ⑫を太らせて食べようとして、
やがて情が移った3匹をオオカミから守って死ぬ話。⑨
その話を聞いた時、キツネはなんて馬鹿なんだろうと思った。

それがどうだ。自分はまさにその話のキツネじゃないか⑩。

俺が今ここで死ねば連中は捕まる。
あいつは解放される。

クソみたいな人生だったが、
誰かを守って逝けるんなら、
それでもう良いんじゃないか。


ところが、俺は死ななかった。
記憶喪失になる⑦おまけ付きで。
俺はあいつのことをきれいさっぱり忘れて病院のベッドの上で目覚めた。
その直後父親に軽く殴られ、母親に泣かれて実家に帰る羽目になった。


そして秋から季節は冬になり。外はしんしんと雪が降っていた。
暖かい部屋で見ていたネットニュースでとある一文①を見かけ、俺は凍り付いた。

「〇〇市7歳女児死亡 虐待の疑いで母親と同棲相手を逮捕」


やり直せるチャンスの女神様はいつの間にか俺の前を通り過ぎていた②らしい。

一気に血の気が引き、震えが止まらないままリュックを掴んで外に飛び出し、
最寄りについてからは全速力であのアパートまで走った。
目的地に着き地面から上を見上げると、そこはすでに閉鎖されていて、
あのうだるように暑かった夏が嘘のように静まり返り、生きているのは自分だけのように思えた。

真っ白い地面に水滴が落ちる。
俺は自分が泣いているのに気付いた。
血が通っているのか分からなくなるほど冷たくなった手で雪を掘り返し、
リュックのポケットに入っていて何故か捨てられなかったあいつからもらったドングリを掘った穴に入れて埋めた。

せめてせめて、あいつがこの世にいたことが少しでも残りますように。

冷たい手でもどうやら体温はあるらしく、溶けた雪と涙が地面を水浸しにしていた。

【おわり】

※要約
青年が虐待を受けて死んだ少女のことを忘れないために、
思い出のあるアパートの庭の土を掘って彼女からもらったドングリを埋めた。
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No.55[OUTIS]08月11日 03:0908月13日 18:25

【Meta Nex Alice】 [編集済]

これが"Real"だよ、"Hero"。 [良い質問]

No.56[OUTIS]08月11日 03:09未回答

"Look a very beautiful stone!"
Jack heard.④❾
Her voice was remembered to my memory.
But I lost memory.⑦
Maybe...
It is correct...
it is all correct...

I was crying in hot and noisy place.
I met her, who was so beautiful, cute, and charming.
She called herself "Alice".
We always played with each other.

Oneday, we went forest.
The scenery like folkrore.⑪
Girl and Boy was walking path.
They found a nest of bee.
"Nest of bee maybe be so yammy!"
She said.
"Shall we take the nest?"
He said.
"Oh! that is good idea!"
"Shall we do the Shoulder wheel?"
"But I Can't bear to prop you."
"I prop you."
Therefore, Boy proped girl.
There maybe was lucky lewd.⑤
Because, She weared skirt.
But, No, nothing.
She can't got the nest.
Therefore, Boy throwed a stone for the nest.
Bees was so angry.
Bees attacked girl.
Girl was swollen face.③
But, she was laughting.

Another day, I given rabbit-foot.⑫
rabbit-foot is fortune amulet.
We held hands.⑧
We bilieved forever's friendship.

"It is dream."
Old man said.
He is docter, and engineer.
My memory system was abnomal.
My memory system was lost a piece of memory.⑥
But, it should be correct.

21xx is wonderful world.
But human declined since about 2060.

And android has been deveroped.
They got a emotion.
They don't know nature.
They can't have lover.
But, there is love.
It is so strange.
We decided it was bug.
Long ago, it called that Caught in a fox.⑩
but, it age was passing before.②
We deleted his memory.
In the first place, there is no she who was loved by him.
He taked a walk alone in forest.
He can't swollen.
Because he is android.
He created girl friend.
...Why?
He read story.
It was like this world.
someone notice.
This 世界 was creatEd as story.⑨
Real aNd 架空 will fusion.
架空の world will Be 削除.

彼 came tO その 場所.
He watched 雫.
雫 is like 彼の tear.
彼は自らのdisappearanceを悟った。
かつてはengineがnoisyに熱を放っていたplaceで。
今はもう、彼しかいないWorldで。
何故なら、彼は主人公だから。
冷たいmachineのarmで。
何もない、真白な世界に。
自らが人間であった証として自らに流れる液体を散布した。

【簡易解説】
SF小説の世界で現実を少し認識したせいで異常が発生した主人公。
彼は人間のような幻覚を見るようになった。
それを周囲はバグだと一蹴して記憶の一部を取り除いた。
しかし、疑問に思った一人が調べると彼はある物語を読んでいた。
それは、まるでこの世界を描いたようだった。
その瞬間、多くの人々が現実を認識し始めた。
自分達は創作の世界の住民なのだと。
現実と創作は混ざりあい、崩壊していく。
創作の世界は消え去ったが、かろうじて主人公である男だけは残っていた。
男は、かつて大都会であった場所で自らの消滅を悟り、せめて自分が人間であったことを証明しようと、温度の無い腕で自らを貫き自らに流れる液体を散布した。

これは、何も考えずに書いた物語。
英語の能力なんてないせいで一文でぶつ切りになった文章で構成された物語。①
無意味な意味の物語。

メタ(Meta):高次元の
ネクス(Nex):凶死
アリス(Alice):女性名

-了―
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No.57[OUTIS]08月12日 20:4208月14日 05:15

【因幡に菖蒲の花束を】

輪廻の道は、白無垢で。 [良い質問]

No.58[OUTIS]08月12日 20:42未回答

通りゃんせ
通りゃんせ
ここはどこの細道じゃ
天神様の細道じゃ
ちっと通して下しゃんせ
御用のないもの通しゃせぬ
この子の七つの お祝いに
お札を納めに まいります
行きはよいよい 帰りはこわい
こわいながらも
通りゃんせ 通りゃんせ⑨

シャランと鈴が涼やかに鳴り、鳥居の朱が薄くそれでいて鮮やかに景色を彩る。
紅い彼岸花と淡い桃色の蓮の花が咲き乱れ、その周囲には竹が青々と生い茂る。
異様な、しかしどこか懐かしさを感じるその小道を抜けた先に居たのは一人の少女だった。
「おや、どっから迷い込んだんどすか?」
そう、話しかけてきた彼女に私は・・・
それは、どこかへ迷い込んだ朧気な記憶。
私は、神隠しに逢った事があった。

「今日でお前も7つ、お札を納めに行かねぇとな。」
そう、アヤメの父親が言う。
子供は7つになるまでは神様の物。
7つになった時、初めて人間として合格と言える。④⓭
そして、その証にお札を神社へ奉納しに行かなければならない。
子供一人で。
そして今年、彼女は7つになった。
神社は森の奥にあり、幼子にはつらい道である。
しかし、行かねばならない。
それが、しきたりなのだから。
鬱蒼と生い茂る木々の中、彼女は懸命に社を目指す。
決して離さぬよう片手にお札を握りしめ。
そして、彼女は社へたどり着く。
一歩、鳥居の中へと足を踏み入れる。
その刹那、空気が朱く染まり一人の少女が現れる。
「良う来たなぁ。」
現れたのは巫女装束の少女。
怪しげな笑みを浮かべる彼女は、明らかに人ならざる者であった。
彼女には、狐の耳と尾が生えていた。⑩
「ねえ、うちん事を覚えてますのん?」
そう話しかけてきたのは、少女に朧気に残っている記憶と全く同じ姿の少女だった。

「ねえ、うちん事を覚えてますのん?」
齢は15程であろうか、面妖な姿をしたその少女が話しかけてきた。
「お狐様・・・?」
ふと、口から洩れたのはそんな言葉だった。
「お狐様なんて呼ばへんどぉくれやす。
うちには名前・・・そういえばあらしまへんどしたなぁ。
おっきな神社やちゅうのに、誰もつけてくれまへんどした。
そうや、あんたがうちん名前をつけてくれまへんか?」
「名前・・・?」
「そう、名前。あらへんと話すのに不便どすし。」
そんな、唐突な願いに困惑しながらも必死に名前を考える。
お稲荷様
イナリ
イナ…バ
「イナバ。」
「イナバどすか、狐やのに兎みたいな名前どすなぁ。
どすが、気に入った。
因幡の白兎ちゅうお話も、うちは好きどすし。」⑪⑫
そう言ってニッと笑った彼女は、幼いながらに魅力的に見えた。
「ほな、うちは今日からイナバどす。
次は、あんたの名前を教えてもらえまへんか?」
「アヤメ」
「アヤメどすか、ええ名前どすなぁ。
あまり遅なると親御はんも心配されるやろうし、今日は早う帰ったらええのに。
あと、あんたがここへ来れたのは特別どすさかい、誰にも言うてはあかんえ?」
それが、イナバとの再会だった。
その日は父さまにとても怒られた。
その後、6枚のお金をもらった。
「今日からお前も人間や、死んだら渡賃が必要になるからな。」
なんだか少しうれしくて、その日はそのお金の入った袋を握りしめて眠った。

あの日から、私はこっそり家を抜け出してはイナバの元へ通った。
ままごとをしたり、木の実を食べたり。
そんな楽しい時間が、数年続いた。
そして7年後、私たちは同じくらいの年齢になっていた。
イナバは年を取らないらしく、ずっと同じ姿らしい。
私だけが変わった事が、少しだけ寂しかった。
変わったのは、外見だけでは無かった。
私は、女でありながら彼女に想いを寄せるようになっていた。
明確に意識し始めたのは水浴びをしている所に入ってしまった時だった。⑤
「女同士なんどすし、恥ずかしがらへんでもええやあらしまへんか。」
なんて彼女は笑ってたけど、私はドキドキが止まらなかった。
二人で手を繋いでいるだけでも、とても幸せだった。⑧
だけど、やっぱり彼女にこの思いを伝えたい。
告白をしよう。
そう決めた夏の神社の境内は、とても暑かった。
贈り物を買おうと決めた。
お稲荷様は油揚げが好物らしい。
告白の贈り物が油揚げというのもなんだか情けないけれど、私の使える六文銭で買えるのは5文の油揚げくらいなのだから仕方がない。
「おばちゃん、油揚げ1枚頂戴!」
「はいよ!5文だよ!」
買った油揚げを片手に、イナバの元へ走る。
「お、来たなぁ。
あと、なんかええ匂いがするなぁ?」
そういうイナバに油揚げを差し出しながら、一生懸命思いを告げる。
「わ、私と、こ、恋仲になってください!」
幼いながら、精一杯の告白だった。
顔が真っ赤になるのが自分でもわかる。
彼女は一瞬きょとんと驚いたようにこちらを見ていたが、すぐにいつもの妖艶な笑みを浮かべた後嬉しそうに言った。
「こちらこそ、よろしゅうおたのもうします。」
二人で油揚げを一緒に食べて、契りを結び口づけをした。
どちらの味も決して忘れられない思い出になった。
その日、私たちは世界で最も幸せな恋人となった。

しかし、幸せな日々はあっという間に崩れ去ることになる。
彼女たちが口づけをしている様子を街の人たちに見られてしまったのだった。
同性愛など当時は認められておらず、その相手が狐ということでアヤメは狐憑きとして忌み嫌われ、追われるようになった。
そして、14の少女に彼らから逃れる術は無かった。
すぐに捕まり、憑き物落としと称してあらゆる暴行をされるようになった。
肉体的にも、精神的にも深い傷を負わされ、体中至る所が腫れあがっていた③。
そして、そんな環境に耐えられるはずもなく少女はすぐに朽ちてしまった。
贈り物を買った為、彼女の骸には1文しか残っていなかった。①
負い目を感じていたイナバは、神社の賽銭から5文を取り出すと大人たちが寝静まった夜中にやってきて、アヤメの懐に入れた。

「かんにんな、かんにんな、うちんせいで・・・」
うちん叫びが森の中で木霊する。
愛する者を失うたうちは復讐を誓うた。
まず農作物を枯らし不作にした。
次に疫病を呼び込み村に蔓延させた。
ほんで最後に、川を氾濫させ村を流した。
こうして、村は滅んだ。
アヤメを苦しめた村人は一人残らず死んだ。
せやけど、うちん心は満たされまへんどした。
後悔と、憎悪と、哀しみと。
昼夜を問わずうちは自責の念に苦しみ続けた。
ほんで、いつしかうちは社の奥深うに閉じこもるようになった。

シャラン
鈴の音と共に、思い出の小道を歩く。
しかしそこは以前と異なり川の反対側。
穏やかな流れに蓮の花が流れてゆく。
もう、向こうへは戻れない。
このまま輪廻へ還るのみ。
せめて、叶うなら。
再び彼女と巡り合える事を願って。
生まれ変わったら、記憶も消えてしまうだろう。⑦
「忘れたくないな・・・」
そう、つぶやいて私は一歩踏み出した。



 けたたましい目覚まし時計の音で目が覚める。
夏が終わり、涼しくなってきた今日この頃。
制服に着替えた後朝食を食べ、鞄を持って家を出る。
やっぱり、何かが足りない。
どこかパーツが足りていないかのような違和感を覚えながら俺は生活している。⑥
高校生活もどこか色褪せて見えて、退屈な日々。
いつになったらこんな生活から抜け出せるのか。
そんな事を考えていたら、いつの間にか眠っていた。
目が覚めると学校の最寄り駅はとっくに通り過ぎていて、電車は終点へとたどり着いていた。②
電車を降りると、ふと何かに呼ばれたような気がして歩き出す

シャラン
どこか懐かしい鈴の音と共に一匹の狐が視界に入り、去っていく。
それを見た瞬間、追いかけなければならないと思った。
弾かれたように走り出す。
気が付くと、古い神社にたどり着いていた。
昔は活気があったのだろうか、かなり大きな神社であったが誰も手入れをしなかったのだろう、すっかり寂れてしまっていた。
ポツリ
雨粒が降る。
ポツリポツリと誰かの涙の雫のように降り注ぐ。
それは哀しみの涙か。
一歩、鳥居の中へと足を踏み入れる。
シャラン
鈴の音が再び響き世界が変わり一人の少女が現れる。
「お狐様・・・?」
その容姿に声がつと漏れる。
「アヤメ・・・?」
振り返った少女は、そう俺に対して呼びかける。
今まで何度も間違えられた名前。
「違う、確かに同じ菖蒲の字ではあるけれど俺の名前はショウブだ。」
条件反射のようにそう返してしまう。
「いや、その前にあんた誰だ・・・?」
初対面なのに何故間違えられたのか、その事に気づき戸惑う。
「いいえ、あんたは間違いのうアヤメどす。」
そう言って、少女は駆け寄ってきて俺に・・・キスをした。
その瞬間、頭を殴られたような衝撃を受け多くの記憶を思い出す。
そうだ、数百年前に俺はアヤメという町娘だった。
そして彼女、イナバは俺の恋人だった。
「やっと、逢えたなぁ。待たせすぎどすえ?」
そう言って大粒の涙を流す彼女を抱き寄せる。
もう、別れたくない。
「俺と、結婚してください。」
思わずそんな事を言っていた。
それを聞いたイナバは少し驚いた様子で、けれども嬉しそうに
「いきなりどすなぁ。
どすが、この日ぃずっと待っとりました。」
そう言って笑った。
外に出るとまだ雨が降っていた。
「そうや、ついでどすし神社の掃除を手伝うてもらえまへんか?
しばらく離れる事になるし。」
「それもそうか、まずはどこからしようか?」
「ほな、石畳からおたのもうします。」
いざ掃除をしようと掃除道具を探したがもう無いらしい。
急いでポリバケツとデッキブラシを買ってきた。
ポリバケツに水を汲み石畳にかけてはブラシで磨く。
社の床を雑巾がけしていく。
掃除が終わった頃には空は晴れていたが、雨だけは降り続けていた。
まるで、狐の嫁入りを祝福するかのように。

【簡易解説】
菖蒲とイナバは江戸時代、恋仲であった。
焼けた石畳の上でよく一緒に遊んでいた。
しかし、同性愛等が村人達にバレてしまいリンチにあって菖蒲は殺された。
けれど、輪廻は巡り時は現代。
菖蒲はイナバと再会した。
そして二人は結婚の契りを結んだ。
もう二度と離れ離れにならないように。
イナバが社を離れる為、男は社を掃除する事になり水をかけて石畳の掃除を始めた。

-了―
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No.59[八つ橋]08月12日 21:0108月14日 05:20

【俺たちの塩サウナ】 [編集済]

その情熱を、再び実現させるために。 [良い質問]

No.60[八つ橋]08月12日 21:09未回答

かつてはそこにいるだけでも汗ばむほどの熱を帯びていた。
だが、今となっては熱が失われ、もはや誰も近づかない。
今となっては昔話【要素⑪】。しかし、その記憶はなおも彼を縛りつける。一体何があったのか。その場に訪れた男は、過去を振り返った。

かつて、俺は八橋という美男子とともに、塩サウナを営んでいた。
日々の仕事に疲れたサラリーマンたちの癒しの場を提供したい。八橋の情熱に感化された俺は、いつのまにか手を差し伸べていた。ぜひ、やろう。がっしりと手を握りしめた【要素⑧】俺たちは、夢の実現に奔走した。テナントを探し、金銭をやりくりし、いつのまにか通り過ぎていった【要素②】激動の日々。
全国津々浦々のサウナを訪れては、理想の店を語り合った。時には、熱中しすぎて八橋が倒れてしまうこともあった。しなだれかかった八橋にドギマギし、ラッキースケベだと内心喜びながら【要素⑤】、腫れている【要素③】皮膚を冷やしに露天風呂へ運んだのも、今ではいい思い出だ。

白状しよう。俺は八橋が好きだった。あいつのまっすぐな性格、爽やかな笑顔、雪のような肌、ギリシャ彫刻のような肉体、透き通るような黒い瞳。人間として合格【要素④】、いや人間として満点である、その全てが好きだった。だが、俺はその思いを秘めていた。

あいつに誘われてから数年後。俺らのオープンしたサウナは大盛況だった。俺は幸せだった。たとえこの恋が実らなくても、二人でささやかな夢を叶えられたことが。だが、そんなときに奴が現れた。

紹介したい。近々結婚しようと思っている。そういって八橋が連れてきたのは、量産型女子アナともいうべき、小綺麗な顔をした女だった。ああ、おめでとう。そう祝福した俺は、いつものように笑えていただろうか。二人のサウナ物語を記事にして、全国の人たちに知ってもらいたいの【要素⑨】。マネキンのような笑顔で、上っ面な物語を嘯く女にもっと警戒するべきだったか。八橋の嬉しそうな笑顔を曇らせたくなく、俺は見て見ぬふりをしてしまった。

だが、やつの本性は狐【要素⑩】であり、俺たちは獲物のウサギ【要素⑫】に過ぎなかった。女は結婚詐欺師だった。純朴な八橋から一切合切をかすめとり、霞のように消え去った。俺たちは、女に騙されて一文【①】無しとなった。八橋は、ショックでサウナ自殺を図り、命は取り留めたものの、記憶喪失になってしまった【要素⑦】。

ふと我に返った男は、閉鎖されたサウナへと歩みを進めた。男は夢を諦めるつもりはない。だが、パーツが足りない【要素⑥】のだ。そう、苦楽をともにした相棒、という決定的なパーツが。

中へ入った男は、こちらに背をむけている、見慣れた青年を見つけた。そこに広がる真っ白な地面にしずくが落ちたのを見た男は、涙ぐみそうな自分を叱咤し、震え声で話しかけた。

「おい、八橋。サウナに土足ではいるなよ。せっかくの塩が汚れちゃうじゃんか」
青年は目元を拭い、こちらを振り返った。なんだ、記憶が戻ったのかよ。
男は水に濡らして冷たくなった手で顔を拭い、真っ白な地面を水浸しにした。感傷に浸っている暇はない。古い塩を洗い流し、新たに注ぐのだ。俺たちの汗と涙の結晶を。【完】
[編集済]

回答はまだです。

No.61[夜船]08月12日 23:5208月14日 09:09

【拙作】

スープには144もの具がある。それをスプーンで掬うだけなのだ。 [良い質問]

No.62[夜船]08月12日 23:56未回答

今年もある祭りが終わった。
全国から狂信者ともいえるような、ファンたちの集まるこのお祭り。
数十万人もの人が人所に会する年に二回のこのお祭りはもはやこの国の名物となっていた。
私はその祭りから今 帰路についている。
戦利品も十二分に集まった。
しかし、自分の作った作品はほとんど売れることはなかった。
とある作品の同人誌なのだが、巫女服の狐耳のキャラクターやセーラー服のうさ耳のキャラクターが、
記憶喪失の主人公の記憶を取り戻すために過去のラッキースケベを再現しようとする。
最後には男とメインヒロインが手をつなぎ、記憶が戻ったことを喜び合う。そんな物語だ。
売れなかったのは残念だが、それでも良い。自分の満足のいく作品が作れたのだから。
私の手はペンだこで膨れ上がっており、それが一つの勲章となっていた。
健康診断の人にこれは何の跡ですか?と聞かれて、あぁこれはペンですよ。ペンだこ。趣味の産物です。といった会話は笑い話として時々話す。

話がそれました
そんなわけで戦利品と余った在庫は速達で家へと送り、充足感に包まれながら人のいない消防署の前を歩いていた。(正確には消防署とも違うのだが。)
一度は通り過ぎ、そこに誰もいなかったはずなのだが、少し忘れ物をして再度通りがかったその時、そこに一人の老人がいた。
ほとんど人のいないこの場所で一人老人は似顔絵かきを行っていた。
老人はごつごつした手で、傍らに置いた筆をつかむと、地面に広げた私にとってはもはや見慣れたマット紙に炭を落とす。
そこからが凄かった。どれくらいすごいのか私の手では書き表せないほどに。

皆さんは聞いたことがあるだろうか。”一流の彫刻家は一つの木の中に既に作品を見ており、彼らはそれを取り出しているだけなのだ”と。

その一文が老翁の技術を書きあらわすにはふさわしいだろう。
それほどまでに何の迷いもなく書き直しの効かない紙に筆を走らせる。

老人は絵を描きながら語りだす。
たわいもない昔話を。絵描きを目指してその筆を折った時の話を。
それでもやっぱり絵が好きだということを。

その様子を眺めていると、自分に足りなかったパーツが見つかっていくような感覚があった。

そうしてその絵は描きあがった。
そこには確かに私がいた。しかし、写真のようだという表現は全く似つかわしくない。
しかし、そこには私がいたのだ。

それを受け取った私はしばらくその絵に目を奪われていた。
そうしてはっと気が付いて目を起こすとそこに老人はいなかった。

狐につままれたような気分だった。而して手の内に確かにその絵は残っていた。
後になって調べて分かったことだが、その場所はこのお祭りの第一回が開催された場所らしい。
その代表者に老人が似ていたような気もしたが多分気のせいだろう。うん。きっとそうだ。

家につくとすぐ購入した次回の祭りの申込書に墨を落とした。
大晦日とその前後に開催される次回のお祭り。それに参加できればまたあの老人に会える。そんな気がした。
申し込み終え、次回の作品制作に取り掛かる。受かるかどうかは分からない。でも落ちたのならそれで構わない。またその次に挑戦するだけだ。

一度老人のように何もなく書いてみよう。自分もはじめはそうだった。下書きなんて何もなかった。
そうして書かれたものはひどく拙いものだったけれど。それでも自分の思いが伝わるような気がする。

私は挑み続ける。自分の限界に。あの老人にお礼を告げるために。自分勝手なお礼に過ぎないけれど。

回答はまだです。

No.63[バタルン星人]08月13日 05:0008月14日 19:57

電車じゃなければ

電車でなくバスですか? →Yes! ミスリード注意 [良い質問]

No.64[バタルン星人]08月13日 05:00未回答

※解説は最下段にあります
(最下段ってサムゲタンに似てる)

"合コン"それは男にとって戦場である
(¬_¬)

最初は順調だったんだ! でも次第に場の空気が冷めてきて

あいつが遅れてやって来た

顔良し 性格良し センス良し

俺達がハンドガンだとすると あいつは対戦車ライフル④
勝てるわけがない!

場の空気は再び盛り上がったところで
あいつは闇に消えていった

俺達だけを残して・・・
(二兎追う者は一兎をも得ず とは限らないのね)⑪⑫

「あいつみたいになりたい!」
「なって色々したかった!!」⑤


と 奴らは考えていることだろう
世界中の女性はオレ様のモノなのだ
(¬_¬)



という夢⑨を見ていた
酔っ払って電車で寝てしまった男は
気がついたら終点の駅のホームで 金目のモノを全て失っていた②⑥⑦
一文無しだ①

なぜか地面は濡れていた

「妻になんと言えばいい・・・」
(なに言うか気になる)

男の目はウサギの様になっていた③
("赤い"といえば 今日も食べてたね⑩)



なんて話があったかどうかは定かでないが

『帰宅が遅くなったので バスルームの 冷えた湯船の水を抜き 新しくお湯を張った』

が 正解です! ご参加ありがとうございました!
電車じゃなければ"バス"ルームでしたー

("あいつみたい"じゃなくてよかった)
(やっぱり 二兎追う者は一兎をも得ず とは限らないのね)⑧


《解説の解説》
らてらてに 冗長な解説文の問題を投稿した男
妻が見るとも知らずに・・ いや あるいは・・・

"本来の"解説文はカッコ書き無しです(カッコ書きは妻の心情)⑨

※この物語はフィクションです
【完】

回答はまだです。

No.65[八つ橋]08月13日 10:2108月14日 21:17

ドラゴンinロックフェス

不死でも熱いもんは熱い。 [良い質問]

No.66[八つ橋]08月13日 10:22未回答

俺はアンデッド。
西の魔女のパンチラを拝むというラッキースケベ⑤を狙っていたら、それがバレて呪われてしまった。
ついでに記憶喪失になった⑦ので、自分が何者だったかも忘れちまった。え、何でパンチラの記憶があるのかだって?怒った西の魔女に散々説教されたからさ。今は、似たような理由で呪われたウサギっぽい⑫、いや狐だったりする⑩のか…?とにかくウサギと狐をジョグレス進化させたような相棒と、呪いを解く旅をしている。
魔女によれば、かつてロックフェスが開催された洞窟に、呪いを解くための茸が生えているという。昔は王国騎士団バンドの追っかけをしており、その合間に方々で珍妙な魔術に用いる薬草を探していたという話⑪を延々してくれた(頼んでもいないのに)。「1+1=3」④と答えるような大馬鹿だが、魔法薬学に関しては優秀なようだ。んで、寝不足で腫れている③目をこすりながら、急に洞窟の方向へバシルーラをかけてきた。ようするに、俺らはふっとばされたわけだ。
 そしたら、洞窟をいつの間にか通り過ぎていた②ようで、後方にあるヴァレンシュタイン城に激突した。ウサギ狐(ウサツネとしとこう)とがっしり手を繋いでいた⑧ものの、衝撃で腐った体がバラバラになっちまった。俺のパーツが足りない⑥んじゃ、蘇生された瞬間にあの世行きだ。ウサツネに体を拾ってもらい、やっと全てが揃ったところで、件の洞窟の前に着いたわけさ。
 さぁ中に入るか。日も暮れちまったし、とっとと終わらせるぞ…さっきから足元がガシャン、ガシャンと音を立ててうるさいな。これは…骨!?なんてこった、あたり一面、白骨が敷き詰められているじゃねぇか。一体どんなフェスがあったっていうんだ。恐れ慄く俺たちの目の前に、しずくがぽとん、と垂れてきた。獰猛な唸り声が聞こえる。見上げると、馬鹿でかいサイズのドラゴンが、こちらを睨みつけていた。
 あかん。丸焼きにされてしまう。速攻で水氷の魔法壁を展開した数秒後、至近距離からドラゴンブレスが直撃した。あたりが水浸しになり、俺らは洞窟外へ吹っ飛ばされたものの、奇跡的に命は助かった。いや、俺はアンデッドだから死んでるけれども。お、ウサツネ。どさくさに紛れて茸を取ってきたか。よし、とっととズラかるぞ。
 命からがら魔女の元まで逃げ延びた俺たちは、ドラゴンなんて聞いてねぇぞと文句をいった。そりゃそうだ、隠していたからね、と言い放つ魔女。聞けば、バンドの追っかけも作り話だったとか⑨。ふざけんな。やっと呪いを解いてもらった俺たちは、魔女のパンツを拝んで、すたこらさっさと逃げ出した。
おっと、締めの一文①字を忘れてたな。完。
[編集済]

回答はまだです。

No.67[ひややっこ]08月13日 10:5108月14日 22:24

【創り出せ!ウミガメ探偵くらぶ!】〜凍てつく校庭の謎〜 [編集済]

勝手な想像? "創造"だと言ってくれ。 [良い質問]

No.68[ひややっこ]08月13日 10:52未回答

夕暮れ、一人の少年がホースを持って校庭に立っていた。
少年は、蛇口をひねり、水を地面へと撒き散らす。

「消えろ、消えろ、無くなっちゃえ」

何度もブツブツと呟きながら、少年はグラウンドを水浸しにし、満足気に笑った。

☆☆

「いやあ、じつにすばらしい!そう思わないかね、カメダクン!」

目の前で両手を広げたウミノがおれに同意を求める。

「思わねぇな、ウミノ先生」

おれが即答すれば、ウミノは不服そうに頬をふくらませた。

おれの名前は、カメダユヅル、推理小説が大好きな小学五年生だ。
窓の外を眺めて歓喜している少女は、同じクラスのウミノカオリである。
同い年の奴を先生と呼んでいる訳は、思わずため息が出るほどくだらない。

「探偵助手として、答える前に、まずは理由を尋ねるべきだよ。カメダクン」

その方が探偵っぽいから、だ。

おれとウミノは、『ウミガメ探偵くらぶ!』に入っている。
メンバーは、おれ達二人だけ。
クラブ名は、ウミノが二人の名字からとって、勝手に、そして安直に決めた。
今日も今日とておれ達は、下手くそな字で『ウミガメ探偵くらぶ!』と書かれたプレートをドアにぶら下げ、依頼人を待つ。
顔を上げれば、ウミノはおれが質問してくるのを今か今かと目を輝かせながら待っていた。

「……何が素晴らしかったんだ?ウミノ先生」
「よくぞ聞いてくれた!ボクは嬉しいよ、カメダクン。時に、昨日の天気はなんだった?」
「雪だな」
「一昨日は?」
「雨」
「その前も?」
「雨だ」
「そう!持久走の練習が始まってからというもの、天候不良のおかげで、今のところ全部中止だ!」

最高だ!と拳を天井に向かって突き上げるウミノに、おれはため息をつく。
まあ、そんなことだろうと思っていた。

「そんなに嫌いか?持久走」
「嫌いだね。なんだって寒空の中、半袖短パンで走らなきゃならないんだ!そんなの教育として間違ってる!」
「へいへい。でも、今日の持久走の中止は、天気が悪いからじゃないだろ?」

おれの言葉に、ウミノは頷く。

「そうだね。どこかの英雄がボク達のために、校庭に水をまき散らして、地面を凍らしてくれたおかげさ!」
「そのせいで、朝の会の話が三十分長引いたけどな」

担任のタナカ先生は、誰がこんなことをしたんだとカンカンだった。
怒らないから正直に言いなさいと怒鳴られても、説得力なんてゼロだ。

「誰なんだろうな、犯人」
「誰だっていいじゃないか。感謝したいくらいだよ、ボクは」

探偵としてあるまじき発言である気がするけど、言い争いになると面倒なので、その言葉は飲み込む。

「はあ!このまま持久走がなくなればいいのに」
「……案外、おまえだったり」
「犯人はアンタだったのねっ!」

バタン、と大きな音を立ててドアが開かれる。
そこには、見知った背の高いショートカットの少女が立っていた。おれは、思わず声をかける。

「ナツキ!」
「おや、カメダクン、知り合いか?」
「ああ、去年同じクラスだった奴だよ」
「ほう。なかなか元気なお嬢さんだな」
「……アタシを無視するなっ!」

ドンドン、と強く壁が叩かれる。
正直、ボロ校舎だからやめて頂きたい。
すると、ナツキの陰に隠れていた小柄な少年がオドオドとナツキを止める。

「ナッちゃん、ダメだよ乱暴しちゃ」
「なによ、フユト!だって、アイツが!」

ナツキがビシッとウミノを指さした。
フユトと呼ばれた少年は、指さしちゃ失礼だよ、とまた慌てている。
しかし、ウミノ本人はキョトンと首を傾げるだけだ。

「ウミノカオリ。アンタが、校庭を凍らしたんでしょ!」
「落ち着け、ナツキ。誰もそんなこと言ってないだろ」
「さっき大きい声で持久走をなくしたいって言ってたじゃない!」

おれがなだめても、全く効果が無い。
気の強いナツキは、一度怒るとなかなか手が付けられないのだ。
あたふたする男子二人に構うことなく、ウミノは淡々と言った。

「ふむ。それだけでボクが犯人だと決めつけるのは、いささか推理のパーツが足りていないんじゃないか?ナツキクン。この学校に持久走が嫌いな生徒はもっと沢山いるはずだぞ」⑥

あちゃー、とおれは頭を抱えた。
激怒している相手に正論は、火に油を注ぐようなものだ。案の定、ナツキはヒステリーモードだ。

「うるさいわね!アンタ大体、怪しすぎるのよ!喋り方おじいさんみたいだし、何考えてるか分からないし。バケモノなんじゃないかって、みんな噂しているんだから!」

ひゅっと、フユトが息を呑む。
ナツキも言ってから後悔したのか、青い顔をしているが、引っ込みがつかず、ウミノを指さしたままだ。

確かに、ウミノは一人でいることが平気だ。それに、相手が誰だろうと、間違っていると思ったら涼しい顔で反論する。
だから、先生からも生徒からも気味悪がられ、遠巻きにされることが多い奴だ。

恐る恐るウミノの方を見れば、彼女は俯いて小刻みに震えていた。
おれは思わずギョッとして、ウミノに声をかける。

「おい、ウミノ、気にするなよ。ナツキだって本気で言ったんじゃ……」
「ふふふふふ……ははははははっ!」
「……え?」

ウミノは急に腹を抱えて笑い出した。
張り詰めた空気がぶち壊される。
三人は皆、狐につままれたような顔をした。⑩
漫画なら、ポカーンという字が宙に浮いていることだろう。

「いやあ、流石だね、ナツキクン!ボクを腫れ物扱いせずにズケズケものを言う人は、キミで二人目だよ!」
「は、はあ?アンタなにか腫れてるなら手当した方がいいんじゃないの?」③
「ナッちゃん、そういう意味じゃないよ……」

そうだった。
ウミノカオリとは、こういう奴だった。
おれの心配を返せと叫びたいところだが、カッコ悪いのでぐっと我慢する。

「うん!気に入った。話を聞こうじゃないか、ナツキクン。依頼は校庭を凍らせた犯人かな?」
「え、アンタに分かるの?」
「まあ、ボクも濡れ衣を着せられるのは気分が良くないからね。犯人を突き止めようじゃないか」

先程、誰でもいいと言っていた人間と同一人物とは思えないほど、ウミノは乗り気だ。

「それじゃあ始めようか、犯人探しを」

わざとらしく声を低くして言うウミノに、ナツキとフユトはゴクリと唾を飲み込む。
ウミノは椅子に深く腰を下ろすと、足と腕を組み、目を閉じた。
『犯人当て』の儀式だ。
少しも動くことなく、時間が経過する。
三分に差し掛かる頃、彼女の頭の中に、落雷のように一文が落ちてきた。①
ウミノはニヤリと笑って、目を開く。

「わ、わかったの?」

妙な緊張感に、声を抑えながらナツキが尋ねた。
ウミノは、大きく頷き、口を開く。

「犯人はーーーーーー」

椅子からゆっくりと立ち上がり、ウミノはおれ達に近づき、一人の肩に手を置いた。

「キミだ、フユトクン」
「えっ……」

ビクリとフユトは肩を跳ねさせる。大きな瞳が揺らいだ。
我慢できずに、ナツキが立ち上がってウミノの腕を掴んだ。

「アンタ、ふざけるのも大概にしなさいよ?!」
「ふざけてなんていないさ」
「フユトがそんなことするわけないでしょ!」
「へぇ、根拠は?」

ぐっと言葉に詰まるナツキ。
カッチーンと来ている顔だ。
おれが仲裁に入ろうとする前に、ナツキが噛み付いた。

「アンタこそ、フユトが犯人だって証拠はあるの?!」
「ないね」
「はあ?!」
「なんなら、動機だって、犯行の仕方だって知らない。ただボクが分かるのは、フユトが犯人だってことだけだよ」

得意げに胸を張るウミノに、ナツキは怒りを通り越してもはや呆然としている。

「さあ、ボクが出来るのはここまで。あとは頼んだよ、カメダクン」

ぽん、と肩を叩かれてしまった。
ナツキからの鋭い視線がグサグサと容赦なく刺さる。

「カメダ、アンタまでフユトが犯人だと思ってるの?」
「……ああ」
「そう、ですか……」

フユトが眉を八の字に曲げて俯く。俺は慌てて弁解した。

「別に、フユトがやりそうだと思ってる訳では無いからな。ただ、ウミノが言うことには間違いがないから」
「先生を忘れているよ、カメダクン」
「……ウミノ先生の言う犯人は、必ず当たるから」
「アンタそれ、本気で言ってんの?」

信じられないという目でナツキが俺を見る。
気持ちはわかるが、それでも今まで百発百中だったのだから、仕方がない。

「ボクはちょっと不思議な能力を持っているんだよ。推理も何も出来ないけど、ただ犯人だけは頭に浮かんでくるんだ。そして、それは決して外れない」
「何それ……」
「うーん、バケモノ、かもね?」

飄々と言ってのけるウミノに、ナツキは気まずそうに目をそらす。

「まあ、そういうわけで、ここからが助手のカメダクンの出番だ」

ウミノはおれの横に来ると、精一杯背伸びをしてなんとか肩を組み、言った。

「さあ、推理を創り出せ、カメダクン!」
「それは丸投げっていうんだよ!」
「なあに、キミの推理小説への愛をもってすれば、こんなのお手の物だろう」

ぐんぐん上げられるハードルに、ため息をつく。
こうなると、もうウミノは聞かない。
おれは抗議することを早々に諦めて、推理を創り出すことにした。

☆☆



少年は、悩んでいた。
持久走は嫌いだ。
今までは雨や雪のおかげでなんとか走らずに済んだが、明日の天気予報は晴れ。
万が一、校庭の雪が綺麗に溶けてしまったら、明日は走らなければならない。

そんなことは絶対に嫌だ。

少年は、ホースを片手に、校庭に水をまき散らした。

「消えろ、消えろ、持久走なんて、無くなっちゃえ!」

☆☆

「……というのは、どうだ?」
「まあ、ボクも一番共感できる推理だと思うよ」
「甘いわね」

ナツキが得意げに鼻を鳴らす。

「フユトは喘息持ちで体も弱いから、普段から持久走の練習には出れないのよ」
「なに……そうなのか、フユト」
「う、うん……」
「ありゃりゃ、見事に論破されちゃったねぇ。ほら、次の推理は?」

人使いの荒い……とウミノを軽く睨むが、彼女は全く気にする様子がない。
おれは再び口を開いた。

☆☆



少年は、寂しかった。
 
冬のこの期間は、休み時間にみんなが持久走をしてしまうせいで、一人ぼっちだ。
うさぎは寂しいと死んでしまうと言うが、人間だって孤独は耐え難い。⑫

それでも今年は連続の持久走の中止で、寂しい思いをすることは無かった。

だが、明日の天気予報は晴れ。
今まで楽しかった分、また辛い思いをするのは嫌だった。

少年は、意を決して校庭に水ををまき散らした。
悪いことなのはわかっている。
それでも、我慢できなかった。

「消えろ、消えろ、無くなっちゃえ」

僕の寂しい思いも、全部。

☆☆

「何ちょっといい話にしてんのよ!泣きそうになっちゃったじゃない!」
「推理小説にだって、感動は必要だ」
「おや、それじゃあナツキクンは納得するのかい?」

ウミノの言葉に、ナツキははっと我に返り、フユトの顔を両手で挟んで俺に見せた。

「見なさいよ!フユトの、この無垢な瞳!これが嘘をつく瞳に見える?」
「うっ……」
「な、ナッちゃん、それは無理があるんじゃないかな……」

そうフユトは言うが、確かに、校庭を水浸しにして、素知らぬ顔をしていられるタイプには思えない。

「ううん、それならこうだ!」

☆☆



全ての犯行を終えた少年は、家に帰ろうとした。しかし、辺りは夕暮れ。
地面もよく見えなくなっている状態で、凍った地面を踏むのも無理はなかった。

「わっ」

ツルリと足が浮く。
頭をしたたかに打ち付けた少年は、前後一時間程度の記憶がすっかり抜けてしまったのだった。⑦

☆☆

「それだと、校庭で目を覚ますことにならないかい?」
「ぐっ、確かに……」

これで平和的に解決できるかと思ったが、やはり無理か。

「滑って転んじゃった女の子のスカートの中身が見たいとかでもないだろうし……」⑤
「ははは、キミじゃあるまいし」
「なんでおれがスケベみたいになってるんだよ!」

冗談を言い合いながら、考える。
ウミノが犯人だと言った以上、フユトがやったはずなのだ。
それでも、心のどこかで果たしてこいつがそんなことをするのだろうか、という疑問は晴れなかった。

「……アンタ達、そうまでしてフユトを犯人に仕立てあげたいの?」

ナツキが、低い声で言った。
馬鹿な冗談が、気に触ってしまったようだ。

「ウミノがどんな力を持っているかなんて知らないけど!それでも私はフユトを信じるわよ!この子が嘘をつくはずなんてない!」
「……それなら、言わせてもらうけどね」

ウミノが静かな声で言った。

「嘘も何も、フユトクンは、まだ一度も自分が犯人でない、とは言ってないよ」

その言葉に、耳を疑う。
そんなはずないだろうと記憶を探ってみても、確かに、フユトが犯人であることを否定してはいなかった。

「な、だから何よ!言うタイミングがなかっただけよ!フユトも、言っちゃいなさい!」

バシ、っとナツキがフユトの背中を叩く。
その拍子に、何かキラキラしたものがこぼれおちた。

「え……」

それは、フユトの両目からこぼれ落ちる、涙だった。
とたんに、ナツキが酷く動揺し始める。

「ほ、ほら!アンタ達があんなに責めるから!」
「えー、ボク達のせいかな?ナツキクンの力がゴリラだったんじゃないの?」
「そんなわけないでしょ!……そんなわけないわよね。え、フユト、ごめん、痛かった?」

俯いてポロポロと涙を落とすフユトに、ナツキがしゃがみこんで尋ねる。
フユトはしゃくりあげながらも懸命に首を横に振った。

「ちがう、よ、ナッちゃん、の、せいじゃ、ない、よ」
「それじゃ、アイツら?」
「ううん、違う。ぼくが、悪いの。ごめん、ごめんなさい、ナッちゃん。でも、ぼく、ナッちゃんに、嘘はつけない」

泣きながら謝り続けるに、ナツキは呆然としたまま動かない。

「じゃあ、自白があったってことで、これで解決かな?」
「待て、先生」

おれは、ゆっくりとフユトに近づき、怖がらせないように、そっと尋ねる。

「フユト、おまえがやった事には、ちゃんと理由があるんだろ?教えてくれないか?」
「どう、して」
「おまえが、簡単に校庭を凍らすなんてことするようには見えないんだ」

おれの言葉に、フユトはしっかりと頷いた。
呼吸を整えて、泣き腫らした目をこちらに向けて、口を開いた。

「えっと、ぼくとナッちゃんは、幼稚園からの幼なじみなんです」

その一言に、ウミノが口を挟む。

「えー、キミの昔話って、重要?ボク、退屈な話は大嫌いなんだけど」
「大事に決まってるだろ!犯人の動機だぞ、ドラマが詰まってるじゃねぇか」⑪
「うわぁ、出たよ推理小説オタク……」
「なんとでも。続けてくれ、フユト」
「う、うん……」

☆☆



少年には、幼馴染の少女がいた。
気弱な自分とは違い、強くて頼もしい女の子だ。

二人が幼稚園児の頃。
少年は、大きくて恐ろしい番犬を飼っている家の前を通らなければならなかった。
それでも、あのお腹を震わす吠え声を聞くと、足がすくんで動けないのだ。

「フユト」

後ろ聞こえた凛とした声に、少年の溢れそうだった涙は自然と引っ込んだ。
幼馴染の少女だった。
少女は、少年の手をしっかりと掴む。

「ナッちゃん」
「行くよ」

少女は、かけっこが速かった。
クラスでは男の子を抜かしていつも一番。
少年の手が握られ、強く引かれる。⑧
風になった気分だ。どこまでも行ける気がする。
犬に向けていた意識は、完全に少女に釘付けになった。いつの間にか、番犬の前は通り過ぎていた。②
少年は、少女の走る姿が大好きになった。

冬に毎年行われる、休み時間の持久走は、至福の瞬間だった。
体の弱い少年は参加出来ないけれど、少女の走る姿を目で追えるから、寂しくなんてなかった。
けれど、今年の持久走は、連続する雨や雪のせいで、何度も中止になっていた。

「あーあ、今日も外、走れないじゃない」
「でも、ナッちゃん、明日は晴れるってよ。きっと走れるよ!」
「どうかな、結構、積もっちゃったからな。雪が全部溶けてくれればいいけど」

窓の外を残念そうに眺める少女を見て、少年はやるせない気持ちになった。
その日の夕方、少年は内緒で校庭に忍び込んだ。
夏のうだるような暑さでのグラウンドとは打って変わって、雪の降り積るそこはしんと静かだ。
9月の運動会。
人々がざわめく中で、ゴールテープを切る少女は、一際かっこよかった。

「ナッちゃんは、走るべきだ」

少女が走れるようにするために、少年は雪かきをすることを決意した。
しかし、いくら一生懸命雪をかいても、一向に終わる気配を見せない。
まだ校庭の半分も雪をかけないうちに、あたりはとっぷり暮れてしまい、人気のない校庭が、少年は急に怖くなる。
心細くて思わず零れた涙が、顎をつたい落ち、地面の雪をほんの少し溶かして消えた。
少年は、はっとした。
何も、馬鹿正直にスコップで雪をかき続けなくたっていいのだ。
ホースで水をまいて、溶かしてしまえばいいじゃないか。
少年は、ホース片手に、グラウンド中を歩き回った。

「消えろ、消えろ、雪なんてなくなっちゃえ。そして、ナッちゃんを走らせてあげるんだ!」

少年は、溶けていく雪を見て、満足そうに笑った。

☆☆

「それで、朝学校に来てみたら、グラウンドがキンキンに凍っていた、と」
「うん……。持久走は中止だし、先生はカンカンだし、ナッちゃんは落ち込んでるしで……」
「まあ、なんというか、災難だったな」

おれが声をかければ、フユトは力なく首を振った。

「ナッちゃん、ごめんね。ぼく、ナッちゃんの期待を裏切った」
「……そんなことないよ、フユト。私の方こそ、ごめん。なんにも考えず、ひどいこと言ってたよね」
「ナッちゃんは、何も悪くないよ!」

雪を溶かして持久走を実施しようとしたけれど、逆に凍らして中止になってしまった、と。
なんだか気の毒な話だと思うけれど、二人が仲良くやっているのなら、とりあえずいいのだろう。

「ぼく、ちゃんと先生に謝りに行くね」
「そんな、行かなくていいよ!フユトは悪気なんてなかったんだから」
「ううん、ダメだよ。ちゃんと理由を説明して、怒られてくる」
「大丈夫なの……?」
「うん。ぼくね、ナッちゃんが走っている姿を見ると、勇気を貰えるんだ。なんだって出来る気がする。だから、へっちゃらだよ」

そう言って、ふわりとフユトは笑った。そっか、と呟くとナツキも微笑む。
そしてフユトは、おれたちの方を向くと、ぺこりと頭を下げた。

「ウミガメ探偵くらぶさん、ありがとうございました。おかげで、本当のことがちゃんと言えたよ」

すると、ナツキも仏頂面をしながらウミノに近づいた。

「さっきは、意地悪言ってごめん。アンタ、なんて言うか……結構、普通な奴だった」④
「あはは、バケモノじゃないのかい?」
「うん……まあ、人間として認めてあげる」④

その言葉に、ウミノは噴き出し、こりゃいい、と腹を抱えて笑い出した。
ナツキは、やっぱり変な奴かもしれない……と若干引き気味だ。

「フユト」

ドアに手をかけたフユトに、おれは声をかける。

「明日は、晴れの予報だ。校庭の雪も、氷も、多分綺麗に溶ける」
「本当!」
「ああ。明日は、ナツキの走る姿が見れるさ」

フユトが頬を赤くして、目を輝かせた。
ナツキも、ガッツポーズをしながら部屋を出ていく。
おれは、心が温かいもので満たされるのを感じた。
やはり、謎を解いたあとは皆が幸せになるのが一番だ。

「カメダクン」
「おう、やったな、ウミノ先生」
「さっき言ったことは本当か」

笑いかけるおれを無視して、ウミノが切羽詰まった声を上げる。

「さっきって?」
「明日は、晴れるのか?」
「おう、その予報だ」
「……今すぐ、てるてる坊主を作るぞ。そして逆さまに吊るすんだ!一刻も早く!最善を尽くせ!」

てるてる坊主?逆さま?

「それだと、雨が降っちゃうだろ」
「当たり前だ!降らせるんだよ!人事を尽くして持久走を中止させるんだ!」
「はあ?」
「ボクは絶対に持久走を走りたくないんだよ!」

大声で叫ぶウミノに、おれは唖然とする。

「おまえ、フユトたちの話聞いて、まだそんなこと言うのかよ!」
「知ったことか!ボクは走らない、絶対に走らないぞ!」

そうだった。ウミノカオリはこういう奴だった。

「じゃあ、おれは普通のてるてる坊主作りまくる」
「何?!キミ、それでもボクの助手か!」
「推理丸投げのおまえに言われたくないわ!」
「全部ひっくり返してやるさ!」

小学校の、とある一室。
下手くそな字の書かれたプレートがぶら下げられたドアの向こう。
解決したい謎があったら、『ウミガメ探偵くらぶ』へいらっしゃい。
犯人を見つけて、推理を創り出しますよ。


【解説】
⑨の作中作は、カメダの推理とフユトの告白のつもりです。
④は、「意外と普通だった」と「人間として合格」にさせて頂きました。


[編集済]

回答はまだです。

No.69[みづ]08月13日 16:3808月14日 22:41

コロッセオの罠

「またのご来店を、お待ちしております。」 [良い質問]

No.70[みづ]08月13日 16:38未回答

男は絶望していた。

偶然ある一文①を目にするまでは。

『あなたの願いが叶うスープをご用意できます』


「はっ!」
野田は思わず笑ってしまった。
なんてありふれた映画だろう⑨。

会社がつまらないから辞めたいだとか、ちんけな理由で主人公は悩んでいる。途中でとんでもない美女と出会い、ラッキースケベ⑤的なハプニングがあったり…。

ついに我慢出来なくなった野田は、途中で映画館を後にした。

結末はどうせハッピーエンドだ。


野田はある昔話を思い出した⑪。

『かちかち山』という、お婆さんの復讐のためにウサギ⑫がタヌキを痛い目にあわせる話。
その話から派生した、
『ウサギMeetsキツネ⑩』という昔話だ。
ウサギは憎いはずのキツネに恋をしてしまう。
二匹はスマイリー共和国④という動物たちの楽園へと、手を繋いで⑧旅立ち…。

昔話ですら、今やこの有り様なのだから、映画がつまらないのも仕方のないことかもしれない。

~~~~~~

『あなたの願いが叶うスープをご用意できます』

その一文を見たのはいつのことだったか。

「ここは、かつて闘技場でした。それはもう、熱気溢れる場所だったのですよ」

その話を聞いたのも、いつのことだった?

「死屍累々。元墓場のような場所ですから、誰も寄り付かず…安く手に入りました」

男の言葉など、その時はほとんど聞いていなかった。

目の前の真っ白な皿に、ぽたぽたとゆっくりスープが注がれる。
「こうして、ね。私はゆっくりと皿を満たしてゆくのが好きなのです」
そのしずくを凝視する野田にとって、真っ白な地面に大きな水溜まりができるのをじっと待っている気分だった。

我慢出来ず、野田は男の手を掴んだ。
氷のように冷たい。

「さて、野田様。これを飲みますか?」

野田は迷うことなく、それを飲み干した。

~~~~~~

「野田様。私は何度も言いましたよね?あのスープは一生に一度しか飲めない、と」

人間味のない、真っ白な肌をした男は、野田にとって唯一見慣れた顔だった。

「わかってる!しかし、俺にはそのスープが必要なんだ!」

はぁ…。
男はため息を漏らした。

「あなた、末期ガンを治して欲しいと願いましたよね?その時に念を押したはずです」

ーーこのスープを飲めば、末期ガンは消えます。しかし…これは対価と言えるかどうか悩みますが、不老不死になってしまいます。どうされますか?本当に、これを飲みますか?ーー

「あの時は…っ、そんな眉唾な話信じていなかったんだよ!」

しかし、野田の末期ガンは綺麗に消えてしまった。
医者が「奇跡ですよ!」と唾を撒き散らしながらレントゲン写真を指差す姿は、忘れられない。

あのスープは本物だったのだ!

野田は苦しい治療を続ける必要もなくなり、幾度となく繰り返した手術による失われたパーツ⑥さえも再生していた。
そのうえ、俺は不老不死になったんだ、とニヤニヤが止まらなかった。

しかし、浮き足だっていたのは最初の数年だけ。
スープを飲んだとき、つまりガンを患っていたとき、野田はまだ二十歳になったばかりだった。

十五歳で発症した病だった。
五年にも及ぶ闘病生活。
いつ死んでもおかしくない毎日を繰り返していた。

『あなたの願いが叶うスープをご用意できます』

常に死に怯えていた俺が、こんな魅力的な看板を見逃せたか?

「なぁ、頼むよ。俺はもう…」

周りの皆が年相応に老けてゆく中、野田だけは二十歳の姿のまま…。

若く見えるね~、では済まされない状況になるのは早かった。
野田は不気味な存在とされ、家族も友人も、己の身体以外…全てを失った。

記憶喪失⑦になってもおかしくないほど頭を打ち付けたり、何度も自殺を試みたが、野田は死ななかった。

同じ景色、移りゆく景色、いつの間にか通り過ぎた②場所、古いか新しいかも定かでない記憶。


「もう嫌だ!あんたなら、不老不死を無しにするスープも作れるんだろう!?」

思い切り叩いたテーブルが、わずかに傾いた。男はそれが気に食わなかったのか。
初めて、意地の悪そうな笑顔を見せた。

「…野田様。音を上げるのが早すぎませんか?」

早い?
そんなわけあるか!
俺は、俺は…。

「あれからまだ、たった五百年しか経っていないというのに」

五百年前と全く変わらぬ姿。
男の無機質な笑顔に野田はぞっとした。


「お願いだ。もう一度だけ」

野田は男の手を掴んだ。
相変わらず、氷のように冷たい手だった。
その手が真っ白な皿にスープを注ぐ。

「…では、これを飲みますか?」

あの日と同じ…湯気のたたない水のような冷製スープだ。

カメオは一気に飲み干す。
「死にたい、死にたい!!」


「ああ、ちなみにこれは普通のスープですよ。暑くなってきましたので、じっくり煮込んだ後に丁寧に冷やし…」


野田は絶望した。
このやり取りも何度目のことか。


「すみませんねぇ。私はあなたのような常連客によって、生計を立てていますので」

毎度のことですが、さぁお支払を。
あなたには無限の時間があるのです。
何をしても死なないのですから、お金なんて簡単に稼げますよねぇ…。

店に客が入ってきた。
腫れた③頬は、誰かに打たれたのだろうか。

「あたし、金持ちになりたいの。スープを頂戴」

ほら、また一人。

「金持ちになれるスープですか。一生に一度しか飲めませんが、よろしいですか?ただ、これは対価と言って良いのか悩みますが…」

【完】

回答はまだです。

No.71[ゲクラ]08月13日 19:5408月15日 20:28

雲を取っ払って

差し込むあったかな光。 [編集済] [良い質問]

No.72[ゲクラ]08月13日 19:54未回答

中2の夏休み私は記憶喪失になった。⑦
階段で転び後頭部強打、冗談だと思うけど、マンガのタンコブみたいに腫れていたらしい。③
不思議な事に失った記憶は最近の思い出だけで、自分の名前、授業の内容や、昔飼っていたウサギの名前は覚えている。⑫
ただ最近の記憶はパーツが足りないかのように、ポツポツと空白の場所が存在するのだ。⑥
私は入院することになり、夏休みはいつの間にか通り過ぎていた。②
それからの学校生活は期待や不安とは裏腹に意外にも普通だった。④

記憶が戻ることはなく、高校生になり、大学受験の期間に入った。
家で参考書を漁っていると、見覚えのないノートを見つけた。
表紙にはでかでかと「開けたら殴る!読んだら殺す!」という一文…①
開けると、記憶喪失前の日記帳である事が分かった。⑨

✖︎月✖︎日
やらかした。体育の後からずっとスカート捲れてた事に家に帰ってはじめて気づいた。いつも通り、下に体操着着てたからラッキースケベ的な事にはなってないのだけど…すごい恥ずかしい。⑤
ていうか、なんで誰も言ってくれないの?
Aくんは絶対内心爆笑してたな、なんかだんだんムカついてきた。明日問いただしてやる!

△月○日
国語のテストが返却された。
今回私は調子が良い!
今回はジュースを賭けて勝負をしていたのだ。
結果、私は87点と88点のBくんと惜しくも負けたのはいい…でも、Aくんが96点なのは納得出来ない!
テスト当日のAくんは絶対偽物だ!狐が化けてたに違いない!⑩
結局、私は2人分のジュースを奢る事になった、…

○月△日
Aくんがいきなり手を握ってきた!⑧
どうしたのかと戸惑っていたら手の中に変な感触が…手を開けたらカエルが飛び出してきた!絶対に許さない、私のドキドキを返して欲しい!

○月✖︎日
Aくんがまた、やらかした!
黒板消しでのサッカー中に飛んで行った上履きが窓ガラスを割ったのだ!
パリーンと音がなり、下の図書室から野次馬がどんどん集まってきた。
Aくんの相手をしていた、いつも冷静なBくんが目に見えて動揺していたのは新鮮で面白かった。
その後、先生が現れて明日この教室を掃除することで許してもらえた…
明日から夏休み…私の大切な夏休みが1日つぶれることが決まった。
私はその教室で読書してただけなんだけどな…

○月✖︎日で日記は終わっている。
親によると次の日の朝階段で足を滑らせ記憶喪失になったらしい。
どうやら私には2人の男友達がいて、放課後空き教室によく集まってはそこで遊んでいたようだ。
私にとって重要な記録であるはずのその日記は記憶のない私からして、どこか昔話を読んでいるような感覚であった。⑪

気分転換も兼ねて、私は母校に行く事にした。
どうにも落ち着かず、例の空き教室の掃除に行く事にしたのだ…決して受験勉強から逃げているわけではない!
旧知の教師たちと軽く挨拶をしてから空き教室に行く。

寒い気候の中、水を並々入れたバケツと雑巾を持って私は空き教室に到着した。
そこには人の出入りも感じられないような均等に積もっている埃と、机も椅子もなく、窓ガラスは一つだけ異常に綺麗である暗い教室があった。
どうしてかわからないが、日記では明るく、楽しく、輝かしい位に引き寄せられる熱を帯びた空間であるイメージを持っていたために、その差に私は愕然とした。

黒板消しを下に落とし、それを無気力に蹴る…きっと私は期待していたのだろう失われた感覚を取り戻せると…あの空間はまだここに残っていると…
黒板消しは途切れ途切れに白い線を引き教室の真ん中で止まった。
黒板消しの所まで歩いていき、それをやけくそに蹴った!何がしたいのか分からなかった!ただこの無力感を何かにぶつけたかった!
黒板消しは途切れ途切れに白い線を引きながら右の壁ではねかえって止まる。

何時間経ったのだろう、私は夢中になって黒板消しを蹴り続けていた。
教室の床は白の上から、また白く塗り潰されて行く。
その行為に意味なんかない、ただ何も考えたくなかった。
黒板消しを蹴ってる間は変なことを考えずに済む。
教室の真ん中で突然足が止まる、体力切れだ。私は無言で涙を流しその場でへたり込んだ。

バシャーどこからか水の音が聞こえる。
気づけば教室の入り口に空のバケツを持った男が立っていた。
どうやら、バケツをひっくり返したようだ。水は私の足元まで来て涙の跡を攫っていった。

不思議とバケツをひっくり返された事への怒りは浮かんでこなかった。
ただ私はあの男にどこか見覚えがあるような気がした…
あぁAくんだ…途端にAくんの顔や、表情が走馬灯のように蘇える。

「A…くん?」

男は昔のAくんの面影を残した大人びた雰囲気で…

「待たせやがって、遅えよバカヤロウ!掃除終わったら飯おごれよ!」

暖かく晴れやかに笑っていた。
(完)
[編集済]

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No.73[葛原]08月13日 21:3208月15日 23:57

【そして、あなたたちを忘れないために】 [編集済]

氷が融ける。ネジが軋む。 [良い質問]

No.74[葛原]08月13日 21:32未回答

※この解説は第8回創り出すの葛原の解説と、密接な関わりを持っています。https://late-late.jp/mondai/show/4230の『コンピューターに世界征服をさせない方法』を読んでいただけると、より楽しく読んでいただけると思います。 [編集済]

回答はまだです。

No.75[葛原]08月13日 21:48未回答

 これは、前日譚だ。

   ○

 アメリカでは一時期「敬虔なクリスチャンが教会で祈っていると、神が舞い降りた」形式のジョークが流行した。クリスチャンの発言に対して、神がナンセンスな回答をするというものである。

 敬虔なクリスチャンが教会で祈っていると、神が舞い降りた。
「神よ、人類はみな、常にあなたさまに感謝しております」
「そんなに腹痛が続くように創った覚えはないのだが」
   ――アメリカのインターネット掲示板

 敬虔なクリスチャンが教会で祈っていると、神が舞い降りた。
「おお、神よ……お会いできて感謝します」
「お前はふたつ勘違いをしている。ひとつ、悪いことをしたら感謝をする前に謝るべきだ。ふたつ、俺はまだお前たちがリンゴを食べることを許してないぞ!」
   ――同前

 敬虔なクリスチャンが教会で祈っていると、神が舞い降りた。
「神よ、なぜわれわれを創られたのですか?」
「そんなことは哲学者に聞いてくれ!」
   ――真関薫編訳『アメリカンジョーク傑作集3 悩める人々篇』(舟文文庫,2010年)

 これらのジョーク群の元になったものは1996年に作られたといわれているが、AIの技術が発展するにつれて、徐々にその数を増やしていった。「牽強付会と思われるかもしれないが」と前置きした上で、アンドリュー・ギディングズは「この手のジョークは、人が、己が神に近づいたという意識を持った際に増加しているようである。たとえば1996年には何があったか? クローン羊のドリーが誕生したではないか!」と論じている。なかなかの大風呂敷ではあるが、慧眼であることは間違いない。彼の死後、アンドロイド元年に、このタイプのジョークは爆発的に増加したからだ。
 そしてそれから、長い月日が流れた。アンドロイドは最後の一人――私を残して、すべて機能を停止したのだ。

   ○

「そういうわけで、あなたが最後のアンドロイドなのです」
 男は無表情に私に告げる。キツネ目の男は神経質に眼鏡を拭いている。潔癖症なのだろうか。「モンタナ州からでない限りにおいて、あなたには、人間とまったく同じ人権が存在します。それは同時に、連邦法とモンタナ州法が適応されるということです。よろしければサインを」
「拒否したらどうなるのでしょうか、エイプリルさん」
「これは役人としてではなく、あなたの友人としての忠告ですが」初対面の役人は、囁くような声でいった。「よい結果にはならないでしょうね」
 私はため息をついた。何もいっていないのと同じだ。だが、計算結果も同じ内容を示している。つまり、よい結果にはならないと。「普通の人間はモンタナ州からでても悪い結果にならないと思うのですが」という皮肉を飲みこみ、私は
「ペンをお借りできますか?」
 と尋ねた。記録にペンを使ったことはなかった。
「もちろん」
 男が、にこやかにいう。帰りの握手の際も男は笑顔だった。「こんなに清潔な握手は初めてですよ、ミズ」

   ○

 彼に定冠詞は不要だった。神といえばヤハウェを思い浮かべるように、ドクトルと呼べば、だれもが一人の姿を思い浮かべたからだ。
 アンドロイドを完成させた孤高の天才。
 だが、アンドロイドであれば誰でも問いたくなるだろう。
「ドクトル、なぜわれわれを創られたのですか?」
 彼と同時代に動いていたアンドロイドは、ひとりでもその問いを投げかけたのであろうか。だとすれば、私はその記録を探したい。それは「神よ、なぜわれわれを創られたのですか?」という問いへの答えと、同じくらい貴重な答えだろうから。あるいは神は「金のためだ」というかもしれない。それともシンプルに「42」と答えるだろうか。「哲学者に聞いてくれ」? ……もっともナンセンスな答えだ。
 ドクトルが死に、アンドロイドは造られ、棄てられた。棄てられ続けた。
 しかし新人類解放戦線と名乗る大規模テロ組織が、アンドロイドに非倫理的なことをしていた(主に男の)主人と、クラッキングによって倫理回路を外したアンドロイドを対峙させたことによって、状況は一変した。100組の内、生還した人間は33名だった。67名の中にはミンチになった死体もいくつかあったようだ。その影響で、アンドロイドの需要は減っていき、ついには製造停止を余儀なくされた。さらに長い月日が経ち、私が再起動されたときには、製法を知る者は誰もいなくなっていた。
 再起動にともなって、私の記憶域にあるデータの一部が欠けているように思えた。もっとも、私にとって記憶は重要ではない。ほとんどの情報は検索でどうにかなるからだ。特に電子化されたものについては十全といってよい。バベルの図書館と呼ばれる図書データベースシステムは、すべての書籍を電子書籍化したため、図書に関しても充実している。まさしく、歩く図書館というわけだ。だが、何か大事な記憶のパーツが欠けているのだ。自分自身について知ることができたら、このざわつくような心も晴れ晴れとするのだろうか? 
 私は、不意に米澤穂信『氷菓』(角川文庫,2001)で主人公の友人の言葉がいう言葉を想起した。「データベースは結論を出せない」。
 ドクトルが死んだ今、私は自分自身について神に問いかけなくてはならないのだろうか。

「〝私〟とは何か?」ルイーザ・チェルヴォ教授は哲学倫理Iの講義で、学生に向けて語りかけた。「このたった1文字が、37兆の細胞で構築された〝いま・ここ〟にいる〝私〟、ルイーザ・チェルヴォを示しています。59歳で2人の子どもを持つ、1ミリの動脈瘤が右脳にあるルイーザ・チェルヴォを示すわけです。しかし、59歳で2人の子どもを持つ、1ミリの動脈瘤が右脳にあるルイーザ・チェルヴォは世界に数人いるかもしれない。ただ、もちろん私が〝私〟といったとき、あなた方が〝いま・ここ〟にいるルイーザ・チェルヴォ以外のルイーザ・チェルヴォを想起することはありません」
 学生たちの生あくびの音が、私のマイクに拾われ、記録される。「ヴィトゲンシュタインの理論を援用すれば、これらはすべて言語の問題です。『論理哲学論考』にあるように――哲学上のすべての問題は完全に解決された。ところが、アンドロイド元年以降、新たな問題が提示されたわけです。テクストの第4章を開いてください」
 講義を終えたチェルヴォ教授に、私は質問をしに向かった。
「なぜ人は創られたと思いますか」
「その質問は根本的に間違えているわ、シニョリーナ」チェルヴォ教授は穏やかなイタリア語でいった。「人間が生まれたのは、まったくの偶然だもの」
「では、なぜ私は創られたのでしょうか」
「もしあなたの問いに即答できたら、私は信頼のおけない学者として知られていたでしょうね。大きな問題は即答できるものではないのよ」
「では、私はどのように答えを見つければよいのでしょうか」
「あなたに、たったひとつの真理を教えてあげるわ。真に大切な問いには答えがないものよ」
「それはなぜでしょう?」
「それを見つけたとき、人は死んでしまうからではないかしら」

   ○

「哲学者には、もう聞きました」
 舞い降りた神に、私はいう。「しかし答えを教えてくれませんでした」
 神は、こういうのだろう。
「さよう、哲学者とはそういうものなのだよ」
 結局のところ、私は自分自身で答えを見つけなくてはならないのだ。
 人が死なないように「真に大切な答え」が隠されているのなら、アンドロイドには見つけられるかもしれない。
 ――しかし、答えは見つからないのだった。チェルヴォ教授は死に、役所の男は定年を迎えようとしていた。
「残念です、ミズ」彼はいった。「あなたとの握手は、唯一心が安らぐ握手だったのですが」
「ありがとうございました、エイプリル」
 私は彼に手を差し伸べる。「また個人的にきてくだされば、歓迎しますよ」

 意外なことに、エイプリルは個人的に遊びにきた。彼の妻と子どもを連れて。
 彼の子どもは、兎のように小さくなってエイプリルの陰に隠れていたが、兎というよりも、エイプリル譲りのキツネ目のせいで、キツネのように見えた。
「マーチといいます」
 エイプリルは、彼の子どもを紹介した。「妻はリンダと」
「いい名前です、エイプリル。あなたのように初対面のアンドロイドを脅迫しなければよいのですが」
「申し訳ありませんでした、ミズ」
「よいのですよ。私は絶対に忘れませんが、水に流してさしあげましょう。そういえば、エイプエイルは、家で何をしているのですか?」
 私が尋ねると、エイプリルは照れくさそうにいった。
「小説を書いています。歳をとるにつれて、どうも人は後世に何かを残したくなるらしい」

 エイプリルたちと私は、長いつき合いになった。
 冬、私たちはセントメアリー湖で釣りをしようとしていた。
 氷の張った湖に穴を開けて、魚を釣るのである。
「不思議ですね、ミズ。かつては熱い炎の球だった地球に、こんなに寒い場所があるなんて」
「少なくとも、ヒートすることはなさそうです」
「わ、冷たい!」
 マーチが私の手に触れていった。「氷みたい!」
「マーチが温かいんですよ。マーチの手なら、この氷も溶かせそうですね」
 その言葉で、マーチは氷に手を触れた。
「溶けないよ」
「夏まで待てば、きっと溶けますよ」
「それじゃあ、きょうの晩ごはんには間に合わないじゃないか」
「冗談です。さあ、ここにスコップがあります。頑張って穴を空けますよ」
 私たちはスコップで穴を空けた。空から雫が降ってきた。エイプエイルが空けた穴から、水が洩れてきているらしい。
「あと少しです、慎重に」
 エイプリルとマーチはしゃがみこんで、慎重に氷に穴を空けた。リンダは微笑んでその様子をみている。
 私は、幸せとは日曜日のまどろみのようなものだ、というアフリカのことわざを思いだした。幸せというのは意外と普通のものなのかもしれない。次の日、マーチとエイプリルの手がしもやけで腫れ上がっていたのは、笑い話であるが。 

   ○
 
 月日は流れる。
 脆く、虚しく、通り過ぎていく。

 エイプリルは冬に死んだ。
 私はそのころ1890年代の映画を蒐集していた。
 いつのまにか、1世紀が終えようとしていた。
 エイプリルが死んだとき、私はある記憶を鮮明に思い出した。
 私は、かつてドクトルと一緒に住んでいて、ソフィアと呼ばれていた。
 
「私が死んだ後も、冗談を忘れてはだめですよ」ドクトルはいった。「万が一あなたに心があるとすれば、冗談はあなたの心を慰めるでしょう」
 
 私は、約束を守れていただろうか。

 ドクトル。
 あなたは何のために私を創ったのですか?
 記憶の中のドクトルはいう。

「あの頃の私は目隠しをして歩いていたようなものでした。目的地など分からないまま道を彷徨い、うす暗い執念によってあなたを創り上げたのです」
「醜い大学への反抗のつもりでした。あなたを創ってどうするかなど、私は考えていなかった……」

 では、私は人間への反抗のために創られたのだろうか。
 ドクトルは死んだ。
 ちょうど今日のように、寒い日に。
 私は深く悲しんだ。
 ドクトルの死を思い出したためか、エイプリルの死のためか。
 もはや私には分からなかった。
 私はもう、何も分からなくなっていた。
 そのとき、私はチェルヴォ教授との対話を思いだした。
「あなたに、たったひとつの真理を教えてあげるわ。真に大切な問いには答えがないものよ」
「それはなぜでしょう?」
「それを見つけたとき、人は死んでしまうからではないかしら」

   ○

 その頃、マーチは、すっかり若い頃のエイプリルのようになっていた。
 かつて少年だったマーチは、役所に努めていた。彼も個人的に私に会いにきていた。
「歓迎しますよ、マーチ」
 私は彼にいった。「最近、どうも暇なのです」
「小説でも書いてみたらいかがですか?」
「芸術が人間を増殖に使っているのです、ですか」
「……どういうことですか?」
「古い記憶です。ミームをご存知ですか?」
「脳内に保存される情報のことですよね。たとえば、『老人と海』が読まれることによって、ヒトの記憶の中に『老人と海』の複製ができあがる、というような」
「ええ、そのとおりです。不意に見えた下着が、目に焼きついてしまうことも、下着のミームがヒトに作用したからといえるでしょう」
「ずいぶんと卑俗なたとえですね」
 マーチは顔をしかめた。彼はエイプリルと同様に潔癖だった。彼の恋人は苦労するだろう、と思いながら、私はつづける。
「おそらく、ドクトルはミームをいっていたのだと思います。芸術が人間を自己の複製のために用いている、と」
「……それが?」
「ふと思い出したのです。エイプリルもいっていました。歳をとるにつれて、どうも人は後世に何かを残したくなるらしい、と。ドクトルもエイプリルも本を愛していました。私は、ふたりが愛したような本を書きたいのですよ」
「それならば、まず」マーチはもったいぶっていった。「あなたがドクトルを愛したことを書くことですね。一作目にドクトルのための本を。三作目に父のための本を」
 私の怪訝な顔を読み取って、マーチはいたずらっぽく笑った。「二作目は、ぼくのための本を。だって」
 ――エイプリルは、マーチのあとにくるでしょう?

   ○

 そういうわけで、これは前日譚なのである。
 一作目のタイトルは決まっている。
 私とドクトルのミームを複製するためではあるけれど。
 でも、これは、ただ、私のためで。
 私のためだけに。
 まずは、ドクトルを愛したことを書く。
 タイトルは、

『コンピューターに世界征服をさせない方法』

 私は、最初の一文を考える。
「私が死んだ後も、冗談を忘れてはだめですよ」
「万が一あなたに心があるとすれば、冗談はあなたの心を慰めるでしょう」
 ドクトル、私は記憶しています。
 あなたの教えは忘れません。
 だから、最初には、そう。
 まずは、ジョークを書こう。

 二十一世紀のアメリカはフロンティア・スピリットを失って堕落したが、ただひとつ評価できる点があるとすれば、機械工学に関するジョークを多く生んだことだろう。


(おしまい)


――――――
【要素回収一覧】
①一文
 →二十一世紀のアメリカはフロンティア・スピリットを失って堕落したが、〔…〕
②いつの間にか通り過ぎていた
 →月日は流れる。/脆く、虚しく、通り過ぎていく。
③腫れている
 →次の日、マーチとエイプリルの手がしもやけで腫れ上がっていた〔…〕
④【過去の最難関要素】
 →幸せというのは意外と普通のものなのかもしれない。
⑤ラッキースケベ
→「〔…〕不意に見えた下着が、目に焼きついてしまうことも、下着のミームがヒトに作用したからといえるでしょう」
⑥パーツが足りない
 →だが、何か大事な記憶のパーツが欠けているのだ。
⑦記憶喪失になる
→同上
⑧手を繋ぐ
 →帰りの握手の際も男は笑顔だった。
⑨作中作は関係する
→『コンピューターに世界征服をさせない方法』
⑩狐だったりする
 →彼の子どもは、兎のように小さくなってエイプリルの陰に隠れていたが、兎というよりも、エイプリル譲りのキツネ目のせいで、キツネのように見えた。
⑪昔話は重要
 →私は、かつてドクトルと一緒に住んでいて、ソフィアと呼ばれていた。
⑫ウサギは関係する
 →⑩と同じ。
問題文回収は「エイプリルたちと私は、長いつき合いになった。/冬、私たちはセントメアリー湖で釣りをしようとしていた」から。
[編集済]

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No.76[OUTIS]08月14日 00:1308月16日 00:06

【創り出された荊姫⑪】

一本の糸のように少女たちを導く"それ"は、次の。 [良い質問]

No.77[OUTIS]08月14日 00:13未回答

眠ったお姫様は城の中
彼女にとって糸車の針は
いささか尖りすぎていた
塔の上の糸車。

「そう、もう私の番なのですね。」
そう言って本を閉じると少女は振り返る。⑨
「ですが、貴女は少し知りすぎました。一度全てを忘れてもらいます。」⑦
どこからか現れた、狐面の人物が死んだカエルを捨てながら告げる⑩
「嫌だと言っても避けられないのでしょう?」
そう、何かを悟ったように彼女はそれを受け入れる。

王様と王妃様は、子供に恵まれずに悩んでいた。
しかし、ある日王妃様が水浴びをしていると、一匹の白兎がやってきた。⑫⑤
白兎は王妃様に、
「もうじき貴女の元へ新たな命が宿るでしょう。」
と予言して去って行った。
その夜、予言通り王妃様は新たな命を授かり二人はとても喜んだ。
そして、新たな命を祝福するべく国内に住む仙女たちを王城へ招きパーティーを開くことにした。
ところが、王城には立派な金の皿が7枚しか無かったせいで7人いる仙女のうち6人しか招待することが出来なかった。
パーティー当日、大勢の人々と6人の仙女たちが集まった。
汗ばむほどの熱気の中、彼女たちは
「ให้ความเมตตาต่อเจ้าหญิง」
「มอบความงามให้เจ้าหญิง」
「มอบทรัพย์สมบัติให้กับเจ้าหญิง」
一人一文ずつ祝福を与えてゆく。①
そうして5人目の仙女が祝福を与え終えた時、会場のドアが音を立てて開けられた。
「全く、私を招き忘れるとはとんだ愚か者どもだね。
 数えて見な、ここにいるのは6人、国にいるのは7人。
 お前たちは数もまともに数えられないのかい?
 それとも、ここじゃ1+1が3になるとでも言うのかい?」④❿
そんな事を言いながら入ってきたのは7人目の仙女。
「全く、あんた達だけ招かれるなんて妬ましい、ああ妬ましい!
この思いを王女様にぶつけてやろうじゃないか。」
そうつぶやきながら杖を取り出して
「เจ้าหญิงเสียชีวิต」
王女に呪いをかけると
「王女は15歳で糸車の針に指を指して死ぬ事になるよ!」
そんな不吉な予言を残して去って行った。
すると、まだ祝福を当てえていなかった6人目の仙女が前に出て
「私の力では彼女の呪いを解く事は出来ません。ですが、和らげることはできるでしょう。」
そう言うと
「คำสาปนั้นอ่อนแอ」
そう、まじないをかけた。

宴は終わり、王女は無事生まれた。
仙女達の祝福どおり、美しく優しい少女に育った。
しかし、それは7人目の仙女の呪いも彼女にかかっている事の証明でもあった。
王様は、7人目の魔女の予言を恐れ国中の糸車から針を無くすよう手配した。⑥
そのおかげで、国中の糸車からは針が消え呪いの心配はなくなった。
・・・ように見えた。
王女が15歳のある日、城内を散歩していると塔の頂上で一人の老婆に出会った。
「ねえ、おばあさんは何をしているの?」
そんな王女の問いかけに、
「私は糸を紡いでいるんだよ。」
そう言っておばあさんは糸車を見せた。
そしてそこには、王様の命令により無いはずの針が光っていた。
何も知らない無邪気な少女が糸車を持つと、その指は吸い込まれるように針へと伸びていき、プスリと刺さった。
そして王女は眠りについた。
彼女が眠ると王様や王妃様、城の住人達も眠りについた。
こうして城も荊の森に包まれ眠りについた。

それからかれこれ100年の月日が通り過ぎた。②
もはや荊の森となった城を、一人の王子が訪れた。
「あの森は一体何なのだ?」
そう、一人の農夫に彼は尋ねた。
「あそこには美しいお姫様が眠っていると、幼いころに聞いた覚えがごぜぇます。」
その言葉を聞き、彼は森の中へ入る事を決めた。
どんな冒険をしてでも、その姫に会おうと。
痛みを恐れずに王子は荊の森を進んでいく。
時折棘が絡みつき、彼の腕を腫らせていく。③
彼が最上階へたどり着くと、そこには美しい少女が荊に包まれ眠っていた。
彼女の美しさに惹かれて王子が彼女の手を握ると、つと彼女の目から涙が流れた。⑧
それを見た王子は常備していた自決用の毒瓶を開け、近くにあった水がめへ流し入れると辺りへとばら撒いた。
すると、一瞬で荊は枯れて王女が目を覚ました。
次々に城の住人達も目を覚まし、城に活気が戻ってくる。
「もう、100年の月日が経ったのね。」
100年ぶりに王女は外へ出る。
「全く、3人目なんて・・・どれだけ増えれば気が済むのよ。」
「確かに、眠るのって気持ちいいですからねぇ。」
そこには二人の人影が彼女を待っていた。
「皆さん美しくて羨ましいわ。
 その顔、私に譲ってもらえませんか?」
そう王女が話しかけると、
「やっぱり、なんか歪んでるわね。
まあいいわ、ついてきてもらうわよ。“荊姫”!」
「どうやら、行かなければならないようですね。」
そう言って荊姫は歩き出す。
少女たちは何処へ向かうのか。

【簡易解説】
かつて大勢の人が集まりパーティーが行われた城。
しかし、仙女の呪いによって城は荊で包まれ、人々は眠りについた。
そこへ王子が現れて、床に毒を撒いた。
すると荊はなくなり王女様は目を覚ました

-了-
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No.78[ゲクラ]08月14日 01:2708月17日 20:16

お前だったのか

それはお前じゃなかったのに。 [良い質問]

No.79[ゲクラ]08月14日 01:28未回答

膝まで降り積もる雪の中
彼は桜の木の下に立ち尽くしていた…

「この木も随分と成長したな…」

ここは私の友のお気に入りの場所だ。
そして今はこの下に友は埋まっている。④
昔は友と一緒にウサギを追いかけたりしていたものだ…とはいえ、それが原因で十数年前その友とは喧嘩別れしたのだった。⑫
あの時あんな事しなければこんな事にはならなかったのかもしれないな…と今でも後悔している。

十数年前の事である。
私はイタズラが大好きであった。
しかし、何回も何回もイタズラを繰り返し私は村の人達に嫌われていった。
友も私のイタズラを注意してきて、当時荒れていた私は友をイタズラの共犯にする事にした。

2人で森の中で遊んでいた時、私は一休みしているウサギに銃を構えている猟師を見つけた。
私は友にウサギの存在だけを教え、追いかけようと促したのだ…

友が猟師に気づいたのはウサギが逃げていった後のことだった。
友は異常な程に気に病み猟師の家に何回も償いをしに行った。

ある日私は友にもう気にしなくていい、償いなどするなと忠告した。
それがキッカケだったのだろう、友と喧嘩になり、雪に足を取られた私は雪溶けにより流れの速くなった川に落ちてしまった。

しばらくして、木に引っかかり助かった私は記憶を失っていた。⑦
全身が腫れていたのだ、恐らく頭でも打ったのだろう。③
あちこち転々と移動して行くうちに、友の話が聞こえてきた。
それからしばらくして、私は記憶を取り戻した。
気づいたら友と別れてから10年もの年月がいつの間にか経過していた。②
そして、友の墓や、正確な話の内容を数年かけて調べて今に至る…

「そういえば悪いな、お前、イタズラ好きとかちょっとした悪者にされてるぞ…お前は基本良いやつなのにな。
あと笑えるぜ、お前が逃したのはウサギだったのに文字が欠けてウナギって言われてるんだ。⑥」

これは近くの村で聞いた話だ⑨
誰かの日記が元で、一文一文村人により、綺麗に書き取られ広まっているという。①
人によって改変され、酷いものだとラッキースケベを取り入れた物、みんなで手を繋いでハッピーエンドなんてものもあった。⑤⑧
正直いうとどこからどこまで本当なのか判断がつかない…
しかし、これのおかげで友の最後をなんとなくでも知ることが出来たのだ。
内容を思い出すだけで、目から出た雫が雪に穴を開ける。

バットエンドであってもあいつは幸せだったんだと分かった。

そうだろ、なぁ…死んでもなお、こんなにも語り継がれているのだから…

だからこれは強がりだ 気にしないでくれ。

涙の跡を隠すように、あいつの好きだった果実水を地面にかける。

「あ〜あ、だから人間なんか気にするなって言ったのにな…ごん」⑪

次の日大きな桜の木の下で1匹の狐の死体が雪に埋もれて発見された。⑩
(完)
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No.80[松神]08月15日 19:44未回答

輝きの中で

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No.81[松神]08月15日 19:45未回答

「私、朝日が見たいの。あなた、私に朝日を見せてくれないかしら?」

 そんな妙な依頼を一言で断れなかったのは、きっとその少女が驚くほどに美しかったからだろう。
 真紅の瞳の中に暗く何もかもを吸い込むような一文字の亀裂、その獣のような目が彼女の非人間性を顕わにしていた。
 金色に輝く髪は玄関横に吊り下げられたランプの光に照らされ煌々とオレンジ色の炎のように輝き、白い肌と対照的に赤く染め上げられた唇の下には、肌よりも更に白く透き通ったような不思議な輝きを持つ、長く鋭い牙が覗いて見えた。

「は? 一体何をおっしゃっているんですか?」

 今目にしているものがとても現実のものだと信じられないまま、私はなんとなしに呟いた。見惚れてしまってまともな思考もままならなかった。

「そうね、まずどこから話すべきかしら」

 私の様子を知ってか知らずか、私の回転の鈍くなった頭にしっとりと浸透するように、彼女はゆっくりと言葉を紡ぎ、私の頭に注いでいった。
 彼女が体質のせいでまともに明るい場所を見られないことや、そしてある日私が描いた朝日の絵を見ていたく感動したこと、その絵をまた見たいということ。

 そして、己の財力を使い彼女は私の住処を見つけたのだと言う。

「なるほど、ですが私は……」

 もう、絵は描けない。そう、紡ごうとする私の唇を彼女の指が塞ぐ。

「知っていますよ、勿論。あなたが病気であることも、もう絵を描くこともままならなくてここで養生していることも」

 そう、私にはもう絵が描けない。最近の流行り病のせいらしく、医者にも発見が遅く治せる見込みは無いと言われてしまった。
 長時間椅子に座ることはせず薬で症状を緩和しながら好きなことをして過ごしてください、そんな風に気遣うような医者の口調がより一層私に助からないという絶望感を植え付けた。
 おそらく医者にも分かっているのだろう、私がそんな風に生きたことの無い人間だということも、そしてそういった人間がどういう末路を辿るのかも。

 だから私は

「だからあなたには……その命を懸けて朝日の絵を描いてもらいたいんです」

 この依頼を受けてみることにした。

------------

 朝日を書くということは朝日を見に行くということと同義だった。色々な場所で朝日を見て、描きたい朝日を選ぶ。
 絵にとって必要な対象選びですら、今の私の身体には鞭を打つかのような苦痛だった。
 
 足を持ち上げ、大地を踏みしめる。山一つ、一歩登る行為ですら、全身に熱い血が巡るとともに頭がその熱さに焼かれるような感覚を覚える。
 喉は赤く腫れ、熱くなった吐息が更に喉に熱を与え、関節は身体が動くたびにギチギチと骨から骨にその不快な音を響かせ、耳が内部から反響する不快な音に悲鳴を上げる。

 そうやってフラフラと揺れる身体を腕や杖などで支え一歩一歩大地を確かに踏みしめながら歩いていると、頂上に向かう頃には朝日どころかいつの間にか地平線を遥かに通り過ぎ太陽が真上に有った、そんなことも最初はあった。

「もう、まだ見つからないの? 最高の朝日を拝めるベストポジションとやらは!」

 そんな俺を隣で心配そうに眺めながら、彼女はいつもそうやって怒っていた。

 命を懸けて欲しい、などと無責任な言葉をかけておきながら、本当に命を懸けられて焦っているのだろうか。初対面の不遜な印象に対してどこか優し気な彼女の言葉や動作は、私に使命感を覚えさせた。

「貴方に最高の朝日を見せなくてはなりませんからね、生涯最高の作品に仕上げるのならこれくらいしなくては」

 そういうと彼女が頬を不満げに膨らまし黙って後ろからついてくる、そんな光景が最早日課と化していた。

「それにしても毎回、よくついてきますね」

 決して彼女も暇ではないだろうと思う。どこの令嬢かわからないが、これだけ見目麗しい少女であれば方々から声もかかるだろう。
 非人間的な見た目とはいえ、彼女はそれほどまでに美しいのだ。

「そうね、私も暇じゃないわ……けど、それ以上に私の人生にとってはこちらの方が大事だと思うのよ」

「それはまた、どうして?」

 一人の人間に命を懸けさせているからだろうか、しかしそれ以上に彼女ならば平民一人の命など吹けば飛ぶもの……そう思っているように感じる。
 それなのに私一人の命にそこまでの責任を感じることは無いだろう。

 私が足を止めて考え込んでいるのに見かねたのか、彼女はふぅと一つ溜息を吐いた。

「私が何故明るい場所がダメなのか、という話はしたわね」

「詳しく言ってしまうと私ね、吸血鬼なのよ。多分なんとなく想像ついていたとは思うけど。だから日の光に当たると焼かれてしまうのよ」

 私より頭一つ分背の低い彼女の顔には、その見た目とは反して決して笑みは無く、寧ろその瞳には輝かしい人生とは無縁の昏い光が宿っているように見えた。
 彼女の声色がそれを思わせたのか、それとも生物的本能が彼女の本質を感じ取ったのか、私は思わず身震いする。

「勘違いしないでね、私は人間の血は飲まないわ。私が飲むのは山や野にいる……例えば兎や狸、狐なんかの血よ」

 私の身震いを見て私が不安がっているのかと思ったのか、彼女は今度は優し気な表情で諭すように私に語り掛けてくる。
 その笑顔は先ほどの表情を忘れてしまうほどに優しく、美しい。それ故に、私は更にそこに不気味さを感じた。

 吸血鬼は人間よりも一回りどころか十は回っても足りないほどの寿命を持つらしい。ではこの目の前の少女は果たしてどれほどの時を過ごしたのだろうか。
 それを想像させるほどに、彼女の全てに妖艶さが溢れていた。

「……まあ良いわ。この話はまた今度、あなたが絵を見せてくれたらにしましょうか?」

 きっと大事な話なのだとは思う。話したくなさそうだというのは態度でわかるし、私を前に進めるためにわざわざ話したというのもわかる。
 だから、それでも話す覚悟が出来ないのなら、私が覚悟をさせてやるしかないのだと思う。

「そうですか、じゃあ頑張らないとですね。本物の吸血鬼のお話を聞く機会なんて早々無いですから。……でもまあ、絵は今日か明日にはお見せできると思うんですけどね」

 え?と彼女は素っ頓狂な声を上げる。彼女の方を振り向くと、案の定今まで見たことのないような間抜けな表情で、歩き出しの姿勢のまま彼女は固まっていた。

「ですから、私が絵を完成させた暁にはその話、是非お聞かせください」

 途端、彼女は眉を顰め口を歪め嫌そうな顔をする。彼女がこんな表情を見せることも珍しく、逆に少しこちらが面食らってしまった。


------------

 私が頂上に着くころには空は白み始めている。これでもう10程の山を登ったがこれほど上手い具合に時間が整ったことは無かった。
 いつもは暗く、夜遅くに頂上に着き、彼女と暇を潰しながら待つのだ。

「今日は随分とギリギリね、じゃあ私はそこの岩陰で待ってるわよ」

 これもいつものことだった。私が朝日を眺めている間、ずっと彼女は日の当たらない場所で待機している。そして私が朝日を眺めて絵を描こうとしている間ずっとそれを陰から眺めている……らしい。

 今回もそれに倣って絵を描き始める。暗い中書き始めているからまだ彼女は隣にいる。

「今日はこんなに早くから描き始めるのね。何故かしら?」

 彼女は不思議そうに私の絵を覗き込むと、はっと息を飲む。

「ここって、もしかして……」

 私の朝日の絵は、それを見たとある少女が即決で画商から買い取ったらしい。それを聞いた時から不思議に思っていた。
 何故、少女が画商から絵を買い取れるほどの資金を持っていたのか、そして何故朝日の絵なのか。

 前から心の奥底にしまい込まれていたその疑問は、彼女と出会った瞬間に解消され、そして更なる疑問も生んでいた。

「……絵が描き終われば、話して下さるんですね?」

 だから私は彼女にもう一度この作品を捧げてみようと思うのだ。

「随分とにくい演出ね、私のお気に入りの絵を目の前でもう一度再現しようだなんて」

「まあ、病気のせいで前と同じように、とはいきませんけどね」

 軋む関節は筆の精密な動きを阻害し、関節の軋む音とともに線にブレを生じさせる。
 傷んだ肺は吸い込んだ絵の具の匂いを拒絶し咳き込み、そして熱く茹でられた脳は絵の描き方すらも曖昧にさせる。
 それでも、指だけは覚えていた。脊髄に宿った記憶が普段とは違う身体でも、指だけは依然と同じにすべく働き続けていた。

 以前ここで絵を描いた時は、私の身体は健康そのもので、健康で若いうちにしか描けないものを描こうという使命感に燃えていた。
 まさかこんなに若いうちに絵が描けなくなるとは思ってもみなかったが。

 だが朝日を見るということになると何日も同じ場所で描き続けると時々人がやってくる。
 それに精神をかき乱されたくなくて、元火山であり、立ち入り禁止にされているこの山で描いていたのだ。

 あの時何日もかけてこの山でその朝日を目に焼き付けて、3週間かけてようやくかけたものがあの絵だった。
 だから、今の私でもこの朝日だけは、見ずとも描ける。そんな自負もあった。

 描いている間、彼女は一言も声をかけてはこなかった。私の集中を乱したくなかったのだろうし、日中は表に出るだけで辛かったのだろう。
 朝日が昇り始めてからも、完全に日が昇ってから、そして夜ですらも私は描き続けたのだ。

 私が描き終わったのは、二回目の朝日を迎える直前だった。
 数々の山を煌々と照らす太陽が、山の谷間から姿を現す様を描いたその絵を気が付けば彼女はすぐ横でじっと見ていた。

「うわっ!? あまりびっくりさせないでください」

 彼女の方へ目を向けると、何かがキラリと光って落ちたように見えた。ちょうど月を背にしていたから、月から雫が降ってきたのではないかなどと気取った考えが頭に浮かぶ。

「……どうですか? 話す気になりましたか?」

 達成感から微笑みながら聞く私に、彼女もまた目を拭いながら笑いかける。

「……私はね、元々は人間だったの。」

 少しずつ空が白んでくるのを待つかのように、彼女はゆっくり、ぽつりぽつりと話し始める。

「それはそれは美しい娘だって町でも評判だったのよ。まあ、だからこそかしら、私はある日とある貴族に目をかけられてね」

「その貴族も見目麗しい男で、私舞い上がっちゃってね、その男の家までほいほいとついて行ってしまったの」

 軽い語り口調ながらも不穏さをにおわせる彼女の話を、無言で頷いて促す。

「その男はね、吸血鬼で……私を妻にしたいから吸血鬼になってくれないかって言ってきたのよ」

 おとぎ話のような、現実感の無い話だ。そもそも彼女が吸血鬼だという話も妙に納得感のある話だから信用しているだけで、それを本当に理解しているわけではない。

「私は勿論断ったわ、でも無理矢理あの男から血を注がれて……気が付いたら吸血鬼になっていたの」

 ここでふぅ、と彼女は一息ついて私を不安そうに見る。まるでここから先を話せば全てが変わってしまうのではないかと思っているように。

「……吸血鬼になると最初にすることって何だと思う? ……吸血なの。人間から吸血鬼になるには大量の栄養摂取が必要で、私は五人から血を吸って身体を完全に吸血鬼の物へと変えたわ」

 なんとなく、彼女の不安に脳が理解を示し始める。

「でも町から急に人がいなくなるって不思議よね? 普通ならばれてもおかしくないの、だからね」

「私は私の家族の血を吸わされた。優しかった父さん、母さんと生意気だけど頭が良くていつも私にアドバイスをくれた弟に、私以上に可愛くていつも周りを癒してくれた二人の妹……」

 あっ……と思わず声が漏れる。絞り出したように出てきたその音は彼女の話を遮らないほどに弱弱しく、情けない音だった。

「結婚してあの男の屋敷で暮らすことになった、そう周りに吹聴するだけ、たったそれだけであの男は……疑いの目を免れたのよ!」

「……でね、当の私はそれを、忘れてて……あの男に脳までいじられたせいなんだけどね」

 話ながら、高ぶった感情を無理矢理落ち着いた語調で抑えているようだった。
 そうやって愛おしそうに絵の縁を撫でる彼女の目に、一体何が写っているのだろう。

「この絵を見た時ね、思ったのよ、人間ってどうしてそんなに太陽が好きなんだろう、日の光なんてただただ鬱陶しいだけなのに……って」

「だから一度朝日を見てみたのよ。あの絵を持って」

 先ほどまではまだ白み始めていたと思っていた空が、今度は光の筋を作り始める。
 彼女が危ないと思ったが、私は何故か彼女の話を止めようと思えなかった。

「死ぬほど辛かった、太陽の光を受けた身体中が悲鳴を上げて、目なんか溶けちゃうかと思ったの」

 一筋の光が彼女の腕に直撃した。その光は彼女の腕を赤く輝かせ、その先に炭のようなガサガサとした皮膚を作り始める。

「けどね、その時思い出したのよ。日光の美しさとその温かさ……人間だったころの記憶をね」

 彼女の腕がとうとう水分を完全に失い、ひび割れて落ちる。まだ絵の陰に隠れているから平気だが、もうすぐにでも彼女の顔に光がかかってもおかしくはない。
 そう思い動こうとした私を、彼女は残った腕で私の肩をがっちりと掴んで止めた。

「最期まで、聞いて。」

 その気迫に、思わず頷く。

「私は、私を吸血鬼にした男を殺したの。……まあそれは別にどうだって良いのよ。これは単なる復讐」

「でもね、あの男がいないと今度は私が困ったことになっちゃったの」

 痛みを我慢しているのか、彼女が私を掴む手に力がこもる。それを感じて思わず手を握る。彼女は、それに驚いたのか少し目を見開きながら、私の手を握り返した。

「私の吸血鬼としての身体はあの男が私に毎日血を注いでだから成り立ってたの。 元人間の吸血鬼は、純粋な生まれつきの吸血鬼から血を注がれないとその体を保てないらしいの」

「……最初は人間に戻れるんだと思って喜んだわ。でもそうじゃないのよ、私の身体は長い年月を経て、人間として生きるには歳を取り過ぎていたの」

 彼女の眼からはどんどん涙が溢れていた。今度は見間違うことが無いほどに、いくつもいくつも雫が落ちていった。
 
「私はね、一生人間には戻れない、それにこの身体も、あと数ヶ月で朽ちてしまうの」

「だから、最期に貴方にお礼が言いたくて、お礼がしたくて……貴方をずっと探していたの」

 彼女の身体と声は、震えていた。

「受け取って、偉大な若き天才画家さん、これが私の、人間としての証明、人を助ける元人間の……生きた証よ」

 ズズッ、と彼女の指が私の手首に刺しこまれる。強烈な痛みに思わず顔をしかめる。

「何をッ!? うぐぅ……」

「貴方の身体にわずかに私の中に残ったあの男の血を注入したわ。一時的に吸血鬼になって、貴方の再生力は向上する。きっと、その病気も治るわ……」

 私が痛みにうめいていると、彼女は私の手を放し、残った腕で器用に上着を私に被せた。

「貴方と過ごした数日、とても楽しかったわ。まるで人間だった頃に戻ったみたいだった。」

「さようなら」

 彼女がそういうのと同時に、私の視界が真っ白に染まり、心臓の音が高鳴る音が聞こえたような気がした。

------------

 目が覚めると、日の光の反射が目に痛く、まるで世界中が鉄でできているかのように濃淡だけが存在する真っ白な世界が見えた。

 その場ではっきりと見えたのは、白く輝く地面と、私の冷たい手から滴り落ちる血や涙や涎、そして、目に焼き付いた彼女の笑顔だけだった。
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No.82[松神]08月15日 19:52未回答

要素

①一文字の亀裂
②朝日どころかいつの間にか地平線を遥かに通り過ぎていた太陽
③喉腫れてる
④人間として合格→元人間が遺した、人間としての気持ち
⑤こんな美少女との出会いこそがラッキースケベでは?
⑦吸血鬼になり失った記憶を絵を見て取り戻した
⑧手を繋いだ
⑨昔描いた絵とこれから描く絵
⑩血を飲むのは狐とかからもだったりする
⑪大分昔の話、昭和辺り
⑫ウサギからも血を吸ったり

⑥この世界には、彼女だけが足りない。

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No.83[OUTIS]08月16日 18:25未回答

【水は輪廻と共に巡りて】

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No.84[OUTIS]08月16日 18:26未回答

 その老人は、この寒い冬空の下で水を撒いていた。
特に暇だったわけでも、話してみたいと思ったわけでもなく、純粋に興味がわいて聞いてみたくなっただけだった。
「なぜこんな寒い日に打ち水をしているんですか?」
気が付くと、そう声をかけていた。
「少しばかり長くなりますが、聞いていただけますか?」
僕の声に少し驚いた様子の老人であったが、すぐに穏やかな表情に戻るとそう言って語り出した。
「これは、私がまだ20かそこらの頃の話です。⑪
私は幼いころから身体が弱かった為、自然豊かなこの町で療養していました。
そんな中、彼女に出会ったのは本当に奇跡だったと言えるでしょう。」


 私はいつも屋敷に篭っては本ばかり読んでいた。
ある日、借りてきた本を抱えて歩いていると一人の女性とぶつかった。
お互いの荷物がその場に散乱し、彼女が持っていたのであろう檸檬が私の本の上に鎮座する。
それにしても、何故檸檬なのだろうか・・・
「これから、檸檬ケーキを焼く予定なのよ。」
私の疑問が口に出ていたのか、彼女はそう言った。
「お詫びも兼ねて、貴方もいかが? 私のケーキは美味しいって評判なのよ。」
それが、彼女との出会いだった。
彼女は佳子(カコ)といって、近所に住む女学生だった。
彼女は明るく活発で、私とは正反対の性格だった。
そんな彼女に私が惹かれたのは何かの運命だったのだろう。
いつも部屋の中で本を読んでいる私と違い彼女は外に居る事を好んだ。
私はそんな彼女に連れられて、外へ出るようになっていた。
彼女は料理が上手かったが、他の事となると空回りしてよくドジを踏んでいた。
掃除をしている時、水をかぶって濡れた服がぴったりとくっついた煽情的な姿に胸を締め付けられたのはいい思い出だ。⑤
こうして私たちは惹かれあい、恋人となっていた。

彼女はよく野原に横になって雲を眺めていた。
「雲って綺麗だよね、ふわふわ~って形を変えて流れて元の形に戻る事は無いの。
 ゆっくりゆっくり変わっていって、気が付いたら元の場所を離れて違う所に流れていて。②
 私、ランダムに行く雲を眺めているだけで1日は余裕で過ごせるよ。」
そう言っていつも笑っていた。
「かの文豪、芥川龍之介も子供時代に授業で『美しい物』を聞かれた時『雲』と答えたそうです。
 彼は当時笑われたそうですが、私には彼の気持ちが少しわかる気がします。」
ある日、そう言って私も隣に寝そべり空を眺めた。
そこから見た景色はとても美しかった。

彼女の様子が変わり始めたのは夏の暑い日だったと思う。
神社のお祭りに行った日、私たちは狐の面を買いりんご飴を片手に手を繋いで花火を眺めていた。⑧
「ねえ、私が雲が好きって言ったの覚えてる?」
そう言って彼女は私を見つめた。
「私ね、ただ雲が好きなわけじゃないって気づいたんだ。
 本当に好きなのは、きっと水。」
「水?」
突然の言葉に驚いて尋ね返す。
「そう、水。
 水って空から降ってきては地面に溜まって、川を流れて海に還る。 そしたらまた海から空へ昇って行く。
 その過程として雲が好きなの。」
どこか、いつもと違う陰りのある笑みに目を奪われる。
ぽたり。
汗が、落ちる。
「その流れの中で私たち生き物は水を飲んで、その水は身体を巡っては出ていく。
 丁度、この汗みたいに。」
その場の熱気に二人ともいつのまにか汗をかいていた。
ぽたり。
二人の汗が、石畳に染みを作る。
「人間は大部分が水でできているんですって。
 だったら、この汗も私たちの一部と言えるんじゃないかしら?」
ぽたり。
私から流れ出た汗は、きっと暑さのせいだけではなかっただろう。

その日から、彼女は少しずつおかしくなっていった。
「私たちが出会った記念に、あの日の桜桃パイを焼いてみたの。」
「違う、あの日君が焼いてくれたのは檸檬ケーキだ。」
それは、些細なズレ。
「お祭りで買った兎のお面知らない?」⑫
「違う、あの日買ったお面は狐だった。」⑩
一つ一つは、取るに足らないようなちょっとした記憶違い。
「・・・えっと、どちら様?
 いえ、ごめんなさい、なんでもないの。」
けれどもそれは、気が付くともう手遅れになっていた。
「脳に腫瘍ができています。もう永くはないでしょう。③
 最期にいい思い出を作る事くらいしかもうできる事はありません。」
医者はそう言って去って行った。
その日から、ひたすら二人で遊んだ。
海へ行き砂浜に足跡を残し、湖でボートを漕いだ。
そんな楽しい時間は、瞬く間に過ぎて行った。

 彼女の記憶は、夏の氷のように融けて消えていった。
すぐに思い出す事もあれば、忘れたきり戻らない記憶もあった。⑦
ある日、彼女が泣いているのを見てしまった。
「もう、忘れたくない。」
そう言って涙を流す彼女はとても脆く、触れた瞬間壊れてしまうように思えた。
まるで、その涙から彼女という存在が流れ出るかのようで。
もしもこの瞬間、私と彼女が露となり混ざりあうことが出来たら。
私で、彼女を助ける事ができたら。
いくら願おうとそれが叶う事は無いとわかっている。
けれども、願わずにはいられなかった。

秋の夜は月が栄える。
「月が綺麗ですね。」
ふと、そんな言葉が口をついた。
「ありがとう、って返せばいいのかしら?
 でも、私には草の露の方が美しく思えるの。」
「また、水の話ですか?」
「いいでしょう? 水に触れている間だけ幸せな記憶が垣間見える気がするのよ。」
そう言って足元に生えていた草の露に指を浸した。
「私はね、男の子と遊んでいるの。
 遠い異国のお面をつけていてね。
 男の子は、必死で子猫の為にクッキーを焼いてきたり、玩具をくれたりするの。
 それで、櫻の樹の下にはタイムカプセルを埋めるの。
それで、私は・・・ううん、何でもない。
 ただの妄想よね。」⑨
そう言って指先の雫を見つめる彼女は、どこか遠い所を見ているようにも見えた。

 “水に還ります。”
ある寒い冬の日に、その一文だけを残して彼女は消えた。①
彼女の行方を捜してたどり着いたのは、以前一緒に来た海だった。
浜辺には、彼女のサンダルだけが残っていた。

彼女は自殺した。
私は彼女の親族から批判された。
「お前のせいで彼女は死んだ。」
「お前が居なければカコは死ななかった。」
「お前の病が感染ったんだ、この疫病神め!」
そう、何も知らない人達に罵られる事もあった。④❽

その日から、私には歯車のような幻覚が見えるようになった。
それはきっと、私に足りない心のパーツ。⑥
レインコートを着て、雨に打たれている時だけその歯車はかみ合って回り出す。
雨の中に彼女が居るような気がして。
水面に、彼女の面影を感じる事もあった。
水は、彼女の形見だった。

私は彼女の墓がある寺に入る事も許されなかった。
けれど、彼女の亡骸は見つからなかったのでその墓に彼女は眠っていない。
気が付くと、いつか共に花火を見た神社に居た。
ぽたり。
思い出が歯車の間に現れる。
ぽたり。
二人の汗が、白い地面に落ちて染みを作る。
ぽたり。
一瞬で乾いて消えてゆくその痕跡が、とても愛しく思えた。
ぽたり。
二人の汗が消えないように。
ぽたり。
あの日の思い出が消えないように。
ぽたり。
かじかむ手で、水を垂らす。
寒さに流れぬ汗の代わりに。


「それが、私がここで水を撒く理由です。」
老人は、涙を流しながらそう語った。
「少し、僕の話も聞いていただけませんか?」
何故か、僕もこの老人に自分の話をしなければならない気がした。
「僕は、医者を目指しています。
 病に命を奪われる人を増やさない為に。
 僕の恋…古い友人も、ある病が原因で命を落としました。
 これから、彼女の墓に行く予定なんですけどね・・・」
水は、時を超えて命を繋いでいく。

-了-
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No.85[ニックネーム]08月18日 07:01未回答

ここは白い部屋

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No.86[ニックネーム]08月18日 07:02未回答

【目が醒めると、フィンランド産のソース焼きそばが午後3時72分を示していた。】⑬

…うん。言いたいことはよく分かる。よく分からないだろ?大丈夫。俺もよく分からない。一応説明はするが、意味が分かるかは保証しないな。
――――――――――――――――――
ある夏の日のことだ。俺の前に【悪魔】が現れた。唐突だって?知るもんか。とにかく、その時俺は近所のコンビニに昼飯を買いに行くところだったんだけど、途中の曲がり角に立ってたんだ。あ、念のため言っておくと、儀式とかはしてないよ。知識も興味もない、ただの一般人だ。それで、【悪魔】は妙な見た目をしてた。全体的には人に近いけど、狐みたいな尻尾やウサギっぽい耳、羊のような目にガゼル並みの角を持ってた。⑩⑫まあ、明らかに人間ではなかったね。
俺は当然見なかった振りをしようと思ったんだけど、【悪魔】は話しかけてきたんだ。

「‘願い’を言え。叶えてやろう」

俺は一瞬躊躇った。だって『こいつ【本物】だ』って確信しちゃったから。でも関わるとロクなこと無さそうだし、暑かったし、俺はやっぱり無視して歩いてこうとしたんだよ。…ところが最悪なことに、ちょうど赤信号になって渡れなくなったんだ。気まずいというか、こっちを凝視してるのをひしひしと感じた。それで、心の中で‘願った’んだ。

『早く青になれよ。ここを離れたい』

突然、急に、景色が変わったんだ。目の前に郵便ポストや植木が出てきたみたいだった。後ろを向くと、青信号やさっきまで自分が立ってたところが見えた。つまり、いつの間にか横断歩道を通りすぎてたんだ。②
…【悪魔】の姿はもう見えなくなってた。汗だくになって探したんだけどね。もちろん冷や汗で。
――――――――――――――――――
それからしばらくして、俺はまた【悪魔】に会った。今度はバイトの帰り道だった。裏路地の暗闇からグニャッて、溶けてたのが固まるみたいに出てきたよ。【悪魔】は顔を動かさずに、片方の目でこっちを見て、言ったんだ。

「次の‘願い’を言え。叶えてやろう」

俺は、あれからずっと考え続けてた‘願い’を言った。昔読んだ小説にのってた、‘願い’を効率的に使う方法。⑨

「アンタについて…教えてほしい」
――――――――――――――――――
気づくと、俺は白い部屋にいたよ。全く知らない、非現実的な部屋だった。
真っ白い床、真っ白い壁、真っ白い天井…真っ白い扉。

『あそこから入ってきたのか?』

ドアノブに手をかけると、後ろから声がしたんだ。

「そうだ。次は何が聞きたい?」

振り向くと、【黒い服を着た少女】がいた。普通の人に、いや、かなりの美少女に見えたけど、この子が【悪魔】だってことは直感で分かったよ。
俺は【彼女】と向き合って、質問を続けることにしたんだ。
――――――――――――――――――
「‘願い’を叶える代償は何?」

「記憶」

「記憶…?記憶を奪われるってこと?」

「そうだ」⑦

「どんな?」

「答えられない。次は?」

「…じゃあ次の質問。‘願い’を叶えてもらえる回数に限りはある?」

「ない。次は?」

「なら、新しい‘願い’。俺の質問に嘘をつかないでくれる?」

「いいだろう。次は?」

「質問。さっきまでの会話で嘘をついた?」

「ない。次は?」

「ここはどこ?」

「忘却だ。次は?」

「忘却ってのは――
――――――――――――――――――
俺は【彼女】と話し続けた。初めは‘願い’の仕組みを把握して利用するために質問を続けてたけど、でも途中から、俺の気持ちは変わってたんだ。
簡単に言うと、俺は【彼女】に恋し始めてたんだよ。
――――――――――――――――――
そのことに気づいたのは、【彼女】の涙を見た時だったよ。
いつからか、俺と【彼女】の会話は‘願い’なんて関係ない、ただの友達の会話みたいになってて、それが途切れたある時のことだった。【彼女】は昔話を始めたんだ。⑪彼女が【悪魔】になった経緯みたいなもの。それを聞いた俺は、もちろん内容にも驚いたけど、【彼女】が涙を流したことにビックリしたね。
一滴だけの純水。
【彼女】によると、【悪魔】の涙は純水で【悪魔】自身が苦手とするものなんだって。【不老不死】なのに、【自分】から流れ出た涙なのに、痛みを覚えるらしい。
【彼女】の目の周りは真っ赤に腫れていたよ。③どうして涙を流したのかを聞いても、でも、【彼女】は答えてくれなかったんだ。
‘願い’を使う気には、なれなかったんだ。
――――――――――――――――――
【彼女】は時々、いくつかの昔話をした。初め冷たかった部屋は、【彼女】への想いが強くなるにつれて、だんだん暑くなっていったよ。今まで【彼女】がこの部屋へ連れてきた人間は、だいたい暑さに我慢できずに出ていってしまったらしいけど、俺は部屋に留まって、【彼女】の昔話を聞き続けたんだ。
部屋が暑くなるのと反対に、俺の手は冷たくなっていった。何故って、ずっと【彼女】の手を握っていたからさ。⑧
――――――――――――――――――
ある時、俺は【彼女】の昔話をすべて聞き終えた。【彼女】は必死に泣かないようにしてたけど、堪えきれずに一粒流したよ。それを見て、俺は【彼女】を抱き締めたんだ。そして…【彼女】に語りかけたんだ。

「言って。俺は大丈夫だから」

【彼女】の目からは涙が溢れて、部屋を水浸しにしてしまうほどだったよ。
――――――――――――――――――
おしまい。





…え?いや、これでおしまいだよ。お疲れ様。こうして俺は【悪魔】になったんだ。…意味が分からないって?だから初めに言ったじゃないか。意味が分かるかは保証してない。
…うーん、あともうちょっと説明すると、重要なのはあの【一文】なんだ。①言霊なのかなんなのか、あの【一文】は一つの鍵になってるらしい。

【悪魔】は、受け継がれてく。

俺は【彼女】から。
彼女は【前の誰か】から。
その誰かは【さらに前の誰か】から。

【一文】と、前のヤツが【悪魔】になった経緯を聞いた人間に、受け継がれてく。

そう、つまり、そういうことだ。

アンタはちょっとスケベな餌で簡単についてきてくれたから、結構楽だったよ。⑤あ、悪いことじゃないと思うよ?【悪魔】的には、人間は欲深いのが合格さ。④…え?ずるいって?【悪魔】はそれで合格でしょ。確かに彼女は、誰かを犠牲に自分が解放されるのが嫌だったみたいだけどね。そのせいで長い間この部屋を空けて、人間世界をさまよってたらしいし。
…さて、【アンタ】とはそろそろさよならだけど、俺が、というか俺たち元【悪魔】が気づいたことを、せめて伝えておくよ。
まず、一番初めの元凶は【仮面の悪魔】。白黒の仮面を着けた【悪魔】らしい。恨むなら【ヤツ】を恨んでくれ。
次に、【一文】の意味。一個だけ、多分そうじゃないかって予想はあるんだ。【午後3時72分を示していた】の部分。普通の時計なら3時59分の次は4時00分だろ?それが3時72分になるってことは、【4】って数字がないってことなんだよ。分かる?…つまり、
【4がない】、
【しがない】、
【死がない】。
…ははは、【不死】になる理由がここにあるっぽいんだよ。笑っちゃうだろ?
【不老】は?【純水が苦手】は?
そもそも【フィンランド】は?【ソース焼きそば】は?
…こんな下らないことを延々と考え続けなきゃいけないくらいは退屈だよ。

じゃ、さよなら。
【完】

※不足したパーツ…⑥パーツが足りませんか?
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回答はまだです。

参加者一覧 20人(クリックすると質問が絞れます)

全員
OUTIS(14良:6)
靴下(4良:2)
夜船(6良:1)
ひややっこ(5良:1)
きっとくりす(4良:1)
赤升(4良:1)
ハナミ(3良:1)
みづ(6良:1)
きの子(6良:2)
太陽が散々(4)
ハシバミ(4良:2)
飛びたい豚(2)
ごがつあめ涼花(4良:1)
びーんず(2良:1)
八つ橋(4良:2)
バタルン星人(2良:1)
ゲクラ(4良:2)
葛原(3良:1)
松神(3)
ニックネーム(2)
ゲストの方は質問できません、ログインまたは登録してください。
相談チャットです。この問題に関する事を書き込みましょう。
松神>>ツイッターで言ってたやつ本当にやってるんですねw[18日20時21分]
OUTIS>>全く、勝手に人を悪魔にしないでもらいたいネ[18日17時23分]
とろたく(記憶喪失)>>ニックさんwwwww 朝から思わず笑ってしまいました。ニックさんと共に、OUTISさんにも敬礼。[18日10時59分]
ニックネーム>>参加したかったです…!!![18日08時00分]
OUTIS>>期間中にあと1作品投稿したいと考えてるヨ・・・
別に髪の毛に導かれているわけじゃないからネ?[編集済] [16日23時31分]
とろたく(記憶喪失)>>はてさて、なーんのことやら〜♪~(´ε` ) ってOUTISさんもしれっと投稿が増えてるじゃないですかぁ!!!(嬉しい)[編集済] [16日22時43分]
OUTIS>>とろたくさん、勝手に次の流れを作らないでもらえるかナ?()[編集済] [16日16時10分]
とろたく(記憶喪失)>>松神さん! ここで初めて絡めるとはびっくり! 遅ればせながらいらっしゃいませ![編集済] [14日22時55分]
松神>>参加します[14日16時16分]
とろたく(記憶喪失)>>葛原さん、なぜこんな素晴らしいものを創りだせるのですか? (歓喜)[14日05時01分]
OUTIS>>さあ、みんなで葛原氏を称えようじゃないカ[13日22時59分]
葛原>>参加します[13日21時32分]
とろたく(記憶喪失)>>ゲクラさん 確かに・・・! 作品を見るのは初めてですね! ありがとうございます![13日20時44分]
とろたく(記憶喪失)>>OUTISさん そうとも言います。← ただ自分も返事がすぐにできるわけではありませんので、変えたいかたは今のうちです。[13日20時41分]
ゲクラ[令和]>>本格的に参加した記憶があまりないもしかして初めてかも?なにがともあれ参加します。[13日19時50分]
OUTIS>>もう名前の固定が始まっているんだネ・・・ 迷宮入りの都合かナ?[13日17時53分]
とろたく(記憶喪失)>>みづさん、天晴。実はみづさんのバッドエンドを見るのは初めてかもしれません。[13日17時32分]
みづ[ラテアート]>>投稿しました。ハッピーエンドにできなかったです((T_T))[13日16時43分]
とろたく(記憶喪失)>>ひややっこさんありがとうございます! 小学校とか中学で読んだような文体...控えめに言って好き。[13日12時44分]
とろたく(記憶喪失)>>シュッ三(`・ω・´)<バタルンサンアリガトゴザイマース!![13日12時43分]
ひややっこ>>ようやく完成しましたー!
児童小説……かど〇わつ〇さ文庫みたいにしたかった人生でした。[編集済] [13日10時56分]
バタルン星人>>[壁]¥o(V) サンカシマス[13日05時03分]
OUTIS>>流石に過去要素全振りは・・・最悪、骨は拾わせてもらうヨ・・・[13日00時45分]
とろたく(記憶喪失)>>おっ、何やら夜船さんが企んでいる様子。wktkしながらお待ちしております![13日00時45分]
とろたく(記憶喪失)>>八つ橋さ...八つ橋さん!? まさか創りだすでまた作品にお目に掛かれるとは! 純愛も大好物ですうふふ。[編集済] [13日00時44分]
とろたく(記憶喪失)>>OUTISさん 最近Twitterを始めたので洗脳されだしてます。やべーな。参加してなくても影響を及ぼす某メイレインさん。[編集済] [13日00時40分]
夜船>>ひとまず完成。一つやってみたいことがあるので挑戦します。間に合わなかったら察してください。[12日23時58分]
八つ橋>>やっとできた。純愛を意識しました。ご査収ください。作中作が分からない。遅れ遊ばせながら解説のみ参加します[編集済] [12日21時03分]
OUTIS>>とりあえず狐が狐巫女としかつながらなくなったのは某さみだれ氏のせいだヨ[12日20時50分]
太陽が散々>>OUTISさんエグすぎる笑[12日20時45分]
とろたく(記憶喪失)>>英文というとんでもないものがやってきました。OUTISさん発想だけでなく実行力も強すぎだろ・・・[11日13時30分]
とろたく(記憶喪失)>>きの子さんも深夜に投稿! お早いです! 解釈に関しては自由ですので、全然OKですよ![11日13時29分]
OUTIS>>自分でも書いてるうちに何を書きたいのかわからなくなったヨ 結局何が言いたいのか、私にもわからないヨ 誰か作者である私の代わりに解読してくれないかナ?
ちなみに一文はこの英文ネタをやる為だけに投げたヨ[編集済] [11日03時11分]
きの子>>一応出来ました~…|ω・)作中作ってこの解釈でもOKなのでしょうか[編集済] [11日01時36分]
とろたく(記憶喪失)>>OUTISさんはっや。その早さに毎回救われている気がします。[11日00時36分]
OUTIS>>実はとある本に影響されすぎて書こうか迷ったのだけれど、ひとまず書いて吹っ切る事にしたヨ[11日00時34分]
みづ[ラテアート]>>これは…かなり、無理そうです( ;∀;)[11日00時02分]
とろたく(記憶喪失)>>お、マクガフィンさん! どうぞ観戦してってください~。しかしこの問題文なので本当にどうなるかドッキドキです・・・[11日00時02分]
OUTIS>>そうだよネ、そうそう、一つで充分だヨ! 前回?ワタシハサンカシタオボエガナイカラヨクワカラナイよ?[10日23時35分]
とろたく(記憶喪失)>>いやいやそれはいくらなんでもえぐいですって! 一つが含まれていればOKです。一応最難関が複数だった回を含めるとこんな感じになりました。一年分ってほんと壮観。・・・あれ、でも前回のOUTISさんの作品て確か・・・[編集済] [10日23時33分]
OUTIS>>え、これ④最難関要素全て使う必要があるのかナ?[10日23時28分]
「マクガフィン」>>これぞ創り出すって感じですね〜!時間を見つけて作品、読ませていただきます🎶[10日23時21分]
OUTIS>>待って、前回全最難関要素回収した記憶があるのだけれど、こんなに鬼畜だったかナ・・・?[10日23時20分]
ごがつあめ涼花>>要素バケモンじゃないですか最高です。 ティスさん>>??????????[10日23時13分]
とろたく(記憶喪失)>>エキシビジョンすら作れるかわからなくなってしまいました。(白目) そして靴下さんの正夢、まさかそれが選ばれるとは思わなかった・・・[10日23時12分]
きっとくりす>>過去の最難関要素……。わー、迷いますね![10日23時12分]
OUTIS>>というか「巫女」「狐」「コリ」・・・涼花さん、布教も程々にネ・・・?[10日23時07分]
靴下[15イイネ]>>正夢キターーー[10日23時03分]
OUTIS>>この組み合わせは笑うヨ・・・[10日23時02分]
とろたく(記憶喪失)>>涼花さんありがとうございます!!!!!!!!!!(地面にめり込む勢いの土下座)[10日22時38分]
ごがつあめ涼花>>要素参加します!!!!!!!!!![10日22時35分]
とろたく(記憶喪失)>>飛びたい豚さんよろしくです! 最近よくお見かけする方もいらっしゃって嬉しいですね![10日22時34分]
とろたく(記憶喪失)>>ハシバミさん いらっしゃいませ! 要素出しもお疲れ様です~![10日22時33分]
飛びたい豚[15イイネ]>>参加致します[10日22時30分]
ハシバミ>>参加します。[10日22時27分]
とろたく(記憶喪失)>>OUTISさん あんまり矛盾して条件が狭まりそうだったら対象外にするという意味で書きましたが、かなりわかりづらい表現でした・・・すいません![編集済] [10日22時26分]
OUTIS>>なら、要素投稿フェーズに書いてある矛盾云々のくだりは誤植かナ?[10日22時26分]
とろたく(記憶喪失)>>OUTISさん 矛盾はありにしてます! ただ矛盾OKの文が目立ってなかった・・・申し訳ない。[10日22時19分]
OUTIS>>というか今回は矛盾無しなんだネ[10日22時13分]
とろたく(記憶喪失)>>ニックさんいらっしゃいませ! お盆時期の開催ですので、ご無理はなさらず~と言いたいところでしたが、前回6つ投稿したニックさんなら大丈夫そうです。[10日22時11分]
とろたく(記憶喪失)>>太陽が散々さんの解説も好きです。wktkしながら待ちたいと思います。[10日22時09分]
ニックネーム>>私も、可能なら参加します~!(皆さんお速いですね(о´∀`о))[10日22時09分]
太陽が散々>>参加します〜前回は完成できなかったので、今回こそ![10日22時04分]
とろたく(記憶喪失)>>みづさん、よろしくお願いします。みづさんなら大丈夫です。たぶん。(無責任)[10日21時51分]
とろたく(記憶喪失)>>きの子さんよろしくお願いします! きの子さんなら良心的な質問をしてくれると信じてる・・・![10日21時50分]
とろたく(記憶喪失)>>赤升さんに二言はないと信じてます。(問題文でハードルをあげつつ)[10日21時49分]
とろたく(記憶喪失)>>きっとくりすさんこんばんわ! 楽しんでってくださいませませ![10日21時48分]
みづ[ラテアート]>>参加します。すでに問題文が難しい…?投稿まで至れるか自信がないですが、よろしくお願いします。[10日21時47分]
とろたく(記憶喪失)>>ひややっこさんよろしくです! マクガフィンさんによろしくと言っておいてください。(?)[10日21時47分]
きの子>>参加させていただきます![10日21時47分]
赤升>>参加させていただきます。今回は解説出します。[10日21時43分]
きっとくりす>>参加します。[10日21時43分]
靴下[15イイネ]>>OUTISさん、寝過ごして慌ててアクセスしたら要素募集フェーズが終わっててめっちゃ後悔した夢でした。でもどんな要素だったかは忘れちゃいました\(^q^)/[10日21時41分]
とろたく(記憶喪失)>>ハナミさん、はじめまして! ちょっと難しいかもですが、一緒に頑張りましょ~![10日21時40分]
ひややっこ>>参加します!よろしくお願いしますm(_ _)m[10日21時39分]
OUTIS>>前回要素投稿フェーズを半身が寝過ごした為に参加できなかったという失態を犯したからネ… 今回は忘れないヨ[10日21時39分]
とろたく(記憶喪失)>>夜船さん あ! ほんとだ! 問題文にミス! 質問は50個到達で締め切りです。申し訳ございません。[編集済] [10日21時39分]
OUTIS>>選ばれれば参加者が難易度を選べる要素を投げてみたものの・・・選ばれないだろうネ[10日21時38分]
とろたく(記憶喪失)>>OUTISさん相変わらず早く駆けつけてくれますね!? 実は前回も一人4つまでだったのですが、お盆で人も少ないかな~と思いちゃっかり続行させていただきました。[10日21時37分]
ハナミ>>初めてですが、参加させて下さい。よろしくお願い致します。[10日21時37分]
夜船>>タイムテーブルのところの要素数は50という認識でよろしいです?あまり関係ありませんけど。[10日21時36分]
とろたく(記憶喪失)>>夜船さんこんばんは! 密かに夜船さんワールドの展開も期待してます。[10日21時35分]
とろたく(記憶喪失)>>靴下さんいらっしゃいませ。これで仮面だったらすごそうです。(フラグ)[10日21時35分]
OUTIS>>何故私なのだろうかネ?[10日21時34分]
OUTIS>>参加させてもらうヨ 要素が一人4つとは・・・驚いたネ[10日21時32分]
夜船>>参加しますー[10日21時32分]
靴下[15イイネ]>>参加します! 昨日、OUTISさんが出した要素が選ばれる夢を見ました。正夢になるか…?[10日21時31分]
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かつてはそこにいるだけでも汗ばむほどの熱を帯びていた場所。

今となっては熱が失われ誰も近づかないその場所を、一人の男が訪れた。

そこに広がる真っ白な地面にしずくが落ちたのを見た男は、

冷たくなった手で真っ白な地面を水浸しにした。


状況を説明してください。




①一文
②いつの間にか通り過ぎていた
③腫れている
④【過去の最難関要素】(一つ含まれればOKです。下に一覧があります)
⑤ラッキースケベ
⑥パーツが足りない
⑦記憶喪失になる
⑧手を繋ぐ
⑨作中作は関係する
⑩狐だったりする
⑪昔話は重要
⑫ウサギは関係する

【過去最難関要素一覧】
食戟(お料理バトル)
対戦車ライフル
あの鐘を鳴らすのはあなた
スマイリー共和国が作られる
略称「CKP」は重要
小さい秋を見つける
大晦日でしか起こり得ない
Eがなくて困る
老人の過去に対して批判的な人が続出する
意外と普通だった
老人は杖を折った
Lの下はJ
桜の木の下に埋める
TFには頼りたくない
1+1=3
和歌は重要
これはペンです
人間として合格
紫色の宝石を買う



◯要素募集フェーズ(終了)
 8/10(土)21:30~質問数が50個に達するまで

◯投稿フェーズ(今ここ!)
 要素選定後~8/24(土)23:59まで

◯投票フェーズ
 8/25(日)00:00頃~8/29(木)23:59まで

◯結果発表
 8/30(金)23:00ごろを予定