8月から迷宮入り条件が変わります。最後の回答から2週間経過した未解決問題が「迷宮入り」となります(8/1時点で判定し処理されます)。

【正解を創りだすウミガメ】1が並んだとき【第11回】

毎度!第11回正解を創りだすウミガメらてらて鯖版、開催です!

(前回の様子:10回 https://late-late.jp/mondai/show/5261

11回目です。ゾロ目ですね。見栄えが良いですね。縁起がよさそうですね。いや、冷静に考えるとそうでもありません。
とにもかくにも令和初の創りだすですよ!?

こちらに出題される問題文にはまだ解説がありません。生まれたばかりなのです。問題文があるのに解説がないなんて変ですよね?かわいそうですよね?解説を書きたいですよね?

よろしい。ならば創りだすだ。
というわけで問題文行ってみましょう。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


携帯電話で時刻を確認した男。
11時11分であることが分かると男は大きな声をあげた。
いったいどうして?


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

はいっ、こちらが今回の問題文です。ひたすら11にちなんでみました。
こちらの問題文に素晴らしい解説をあげてください!


以下、スケジュールとルールになりますが、今回ルールを若干変えておりますので必ずチェックしてください!!

▶ 1・要素募集フェーズ ◀
 [5/15 21:00頃~質問が50個集まるまで]

初めに、正解を創りだすカギとなる色々な質問を放り込みましょう。


◯要素選出の手順

1.出題直後から、”YESかNOで答えられる質問”を受け付けます。質問は1人3回まで。

2.皆様から寄せられた質問の数が”50”に達すると締め切り。
 そして次が重要。今回は、全ての質問を完全ランダムで選びます。いいですか、完全ランダムですよ!
どんな要素が選ばれるのか私にも想像ができません!

 合計”11”個の質問が選ばれ、「YES!」の返答とともに『[良い質問]』(=良質)がつきます。
※良質としたものを以下『要素』と呼びます。
※良質以外の物は「YesNo どちらでも構いません。」と回答いたします。こちらは解説に使わなくても構いません。

あと次、次に書いてあること大事なのでよく確認してください!!!

※創りだすは要素で矛盾が発生しないよう要素を選択するのが通例ですが、今回の創りだすに限り矛盾した要素も採用します!
[矛盾例]田中は登場しますか?&田中は登場しませんか?
→田中に関する矛盾した内容の要素ですが、2つとも選択された場合、両方とも採用します!!

大事なことがいくつかあったので2回言いますね?

※①要素11個は主催者選択ではなく全て完全ランダム。
※②今回の創りだすに限り矛盾した要素も採用。

今回の特別ルール、理解できましたか?理解出来た人から先に進みましょう。

ちなみに、要素が揃った後、まとメモに要素を書き出しますのでご活用ください。



▶ 2・投稿フェーズ ◀
 [要素を11個選定後~5/28 23:59]

要素募集フェーズが終わったら、選ばれた要素を取り入れた解説を投稿する『投稿フェーズ』に移行します。
各要素を含んだ解説案をご投稿ください。

らてらて鯖の規約に違反しない範囲で、思うがままに自由な発想で創りだしましょう!

※過去の「正解を創りだす(らてらて鯖版・ラテシン版)」もご参考ください。
ラテシン版:sui-hei.net/mondai/tag/正解を創りだすウミガメ
らてらて鯖:https://late-late.jp/mondai/tag/正解を創りだすウミガメ


◯作品投稿の手順

1.投稿作品を、別の場所(文書作成アプリなど)で作成します。
 質問欄で文章を作成していると、その間他の方が投稿できなくなってしまいます。
 「コピペで一挙に投稿」を心がけましょう。

2.すでに投稿済みの作品の末尾に「終了を知らせる言葉」の記述があることを確認してから投稿してください。
 記述がない場合、まだ前の方が投稿の最中である可能性があります。
 しばらく時間をおいてから再び確認してください。

3.まず「タイトルのみ」を質問欄に入力してください。
 後でタイトル部分のみを[良質]にします。

4.次の質問欄に本文を入力します。本文が長い場合、複数の質問欄に分けて投稿して構いません。
 また、以下の手順で投稿すると、本文を1つの質問欄に一括投稿することが出来て便利です。

 まず、適当な文字を打ち込んで、そのまま投稿します。
 続いて、その質問の「編集」ボタンをクリックし、先程打ち込んだ文字を消してから投稿作品の本文をコピペします。
 最後に、「長文にするならチェック」にチェックを入れ、編集を完了すると、いい感じになります。

5.本文の末尾に、おわりなど、「終了を知らせる言葉」を必ずつけてください。


▶ 3・投票フェーズ ◀
 [5/29 00:00頃~5/31 23:59]

投稿期間が終了したら、『投票フェーズ』に移行します。
お気に入りの作品、苦戦した要素を選出しましょう。


◯投票の手順

1.投稿期間終了後、別ページにて、「正解を創りだすウミガメ・投票会場」(闇スープ)を設置いたします。

2.作品を投稿した「シェフ」は“3”票、投稿していない「観戦者」は“1”票を、気に入った作品に投票できます。
 それぞれの「タイトル・票数・作者・感想」を質問欄で述べてください。
 また、「最も組み込むのが難しかった(難しそうな)要素」も1つお答えください。

※投票は、1人に複数投票でも、バラバラに投票しても構いません。
※自分の作品に投票は出来ません。その分の票を棄権したとみなします。
※投票自体に良質正解マーカーはつけません。ご了承ください。

3.皆様の投票により、以下の受賞者が決定します。

 ◆最難関要素賞(最も票を集めた要素)→その質問に[正解]を進呈します。

 ◆最優秀作品賞(最も票数を集めた作品)→その作品に[良い質問]を進呈します。

 ◆シェチュ王(最も票数を集めたシェフ=作品への票数の合計)→全ての作品に[正解]を進呈します。

 そして、見事『シェチュ王』になられた方には、次回の正解を創りだすウミガメを出題していただきます!

※票が同数になった場合のルール
[最難関要素賞][最優秀作品賞]
同率で受賞です。
[シェチュ王]
同率の場合、最も多くの人から票をもらった人(=複数票を1票と数えたときに最も票数の多い人)が受賞です。
それでも同率の場合、出題者も(事前に決めた)票を投じて再集計します。
それでもどうしても同率の場合は、最終投稿が早い順に決定させていただきます。



■■ タイムテーブル ■■

◯要素募集フェーズ
 5/15(水)21:00~質問数が50個に達するまで

◯投稿フェーズ
 要素選定後~5/28(火)23:59まで

◯投票フェーズ
 5/29(水)00:00~5/31(金)23:59まで

◯結果発表
 6/1(土)を予定しております。

※上記のスケジュールは主催者の都合で変更する場合があります。
あらかじめ、ご了承お願いします。


ラテラテ鯖版創りだすは混沌してナンボ。なので今回は積極的にルールを乱してみました。果してこの変更が吉と出るのか凶と出るのか、悪い予感しかしません。
皆さん、生みの苦しみを存分に味わってください!
それでは『要素募集フェーズ』スタートです!
質問は1人3回までです。皆様の質問お待ちしております!
19年05月15日 21:20 [たまにんじん]
【新・形式】

色々ミスがありましたが結果発表公開中です。

新・形式
正解を創りだすウミガメ
初出題が「創りだす」
10ブクマ
No.1[時野洋輔]05月15日 21:2705月15日 23:19

犬は関係ありますか?

YESNO 重要ではありません。

No.2[愛莉@京都LOVE]05月15日 21:2705月15日 23:19

和歌は重要ですか?

YES 【要素①】和歌は重要です! [良い質問]

No.3[時野洋輔]05月15日 21:2905月15日 23:19

携帯電話である必要はありますか?

YESNO 重要ではありません。

No.4[「マクガフィン」]05月15日 21:3005月15日 23:19

実は1じゃなくてI(アイ)でしたか?

YESNO 重要ではありません。

No.5[OUTIS]05月15日 21:3105月15日 23:19

嘘は関係あるかナ?

YESNO 重要ではありません。

No.6[OUTIS]05月15日 21:3105月15日 23:19

人形は関係あるかナ?

YESNO 重要ではありません。

No.7[OUTIS]05月15日 21:3105月15日 23:19

仮面は関係あるかナ?

YES 【要素②】仮面は関係あります! [良い質問]

No.8[こはいち]05月15日 21:3205月15日 23:19

りんごますね?

YES 【要素③】りんごます! [良い質問]

No.9[時野洋輔]05月15日 21:3205月15日 23:19

カニバリますか?

YESNO 重要ではありません。

No.10[こはいち]05月15日 21:3305月15日 23:19

平らだったからですか?

YESNO 重要ではありません。

No.11[HIRO・θ・PEN]05月15日 21:3405月15日 23:19

かしますか?

YES 【要素④】かします!  [良い質問]

No.12[「マクガフィン」]05月15日 21:3605月15日 23:19

明らかな矛盾がありますか?

YESNO 重要ではありません。

No.13[HIRO・θ・PEN]05月15日 21:3605月15日 23:19

ビビビビビビビですか? [編集済]

YESNO 重要ではありません。

No.14[「マクガフィン」]05月15日 21:3805月15日 23:19

そんな死に方なら本望ですか?

YESNO 重要ではありません。

No.15[HIRO・θ・PEN]05月15日 21:3805月15日 23:19

KよりBの方が劣っていてほしいですか?

YESNO 重要ではありません。

No.16[こはいち]05月15日 21:3905月15日 23:19

「お前」なのは重要ですか?

YESNO 重要ではありません。

No.17[Rest]05月15日 21:4005月15日 23:19

そして、バトンは渡されましたか?

YESNO 重要ではありません。

No.18[ごがつあめ涼花]05月15日 21:4205月15日 23:19

真っ赤に染まりますか?

YESNO 重要ではありません。

No.19[ごがつあめ涼花]05月15日 21:4405月15日 23:19

「 ㅤ ㅤ 」は重要ですか? [編集済]

YESNO 重要ではありません。

No.20[愛莉@京都LOVE]05月15日 21:4505月15日 23:19

怪談が関係しますか?

YESNO 重要ではありません。

No.21[太陽が散々]05月15日 22:0005月15日 23:19

蹴飛ばしますか?

YESNO 重要ではありません。

No.22[赤升]05月15日 22:0105月15日 23:19

スライムが最強ですか?

YES 【要素⑤】スライムが最強です! [良い質問]

No.23[赤升]05月15日 22:0105月15日 23:19

画面から手が出てきますか?

YES 【要素⑥】画面から手が出てきます! [良い質問]

No.24[太陽が散々]05月15日 22:0105月15日 23:19

「シャキ!シャキ!シャキ!」ますか?

YESNO 重要ではありません。

No.25[てぃの]05月15日 22:0205月15日 23:19

小刻みに震えていたのは関係しますか?

YESNO 重要ではありません。

No.26[太陽が散々]05月15日 22:0305月15日 23:19

うるさいですか?

YESNO 重要ではありません。

No.27[赤升]05月15日 22:0405月15日 23:19

XはEになりますか?

YESNO 重要ではありません。

No.28[ごがつあめ涼花]05月15日 22:1105月15日 23:19

人間以外の生物が重要ですか?

YESNO 重要ではありません。

No.29[Rest]05月15日 22:1405月15日 23:19

壊すことができますか? [編集済]

YES 【要素⑦】壊すことができます! [良い質問]

No.30[とろたく(記憶喪失)]05月15日 22:1405月15日 23:19

静かですか? [編集済]

YESNO 重要ではありません。

No.31[とろたく(記憶喪失)]05月15日 22:1405月15日 23:19

壊すことができないですか? [編集済]

YESNO 重要ではありません。

No.32[とろたく(記憶喪失)]05月15日 22:1405月15日 23:19

カッパは重要ですか? [編集済]

YESNO 重要ではありません。

No.33[ハシバミ]05月15日 22:1505月15日 23:19

男は大切なことを忘れていましたか?

YESNO 重要ではありません。

No.34[夜船]05月15日 22:1605月15日 23:19

延長コードは関係しますか?

YES 【要素⑧】延長コードは関係します! [良い質問]

No.35[ハシバミ]05月15日 22:1705月15日 23:19

五本指ソックスを履いていますか?

YESNO 重要ではありません。

No.36[ハシバミ]05月15日 22:1805月15日 23:19

登場人物に子供はいますか?

YESNO 重要ではありません。

No.37[夜船]05月15日 22:1805月15日 23:19

最高難易度はEXですか?

YESNO 重要ではありません。

No.38[夜船]05月15日 22:1905月15日 23:19

ルドルフは登場しますか?

YESNO 重要ではありません。

No.39[Rest]05月15日 22:1905月15日 23:19

(´・ω・`)←こいつは登場しますか?

YESNO 重要ではありません。

No.40[ビッキー]05月15日 22:2105月15日 23:22

人参色に染まりましたか?


YESNO 重要ではありません。

No.41[愛莉@京都LOVE]05月15日 22:2205月15日 23:19

現実に戻りますか?

YESNO 重要ではありません。

No.42[きっとくりす]05月15日 22:3105月15日 23:19

季節はずれの雪が降ってますか?

YESNO 重要ではありません。

No.43[きっとくりす]05月15日 22:3205月15日 23:19

果てしない夢を追ってますか?

YES 【要素⑨】果てしない夢を追っています! [良い質問]

No.44[きっとくりす]05月15日 22:4005月15日 23:19

去年よりキレイになりましたか?

YESNO 重要ではありません。

No.45[藤井]05月15日 22:4305月15日 23:19

いささか丸すぎましたか?

YESNO 重要ではありません。

No.46[藤井]05月15日 22:4405月15日 23:19

いささか尖りすぎていましたか?

YES 【要素⑩】いささか尖りすぎていました! [良い質問]

No.47[藤井]05月15日 22:4405月15日 23:19

いささかすべすべすぎましたか?

YESNO 重要ではありません。

No.48[かふぇ・もかろに]05月15日 22:4705月15日 23:19

11:11とは夜ですか?

YES 【要素⑪】11:11とは夜です! [良い質問]

No.49[かふぇ・もかろに]05月15日 22:4805月15日 23:19

11:11とは昼ですか?

YESNO 重要ではありません。

No.50[かふぇ・もかろに]05月15日 22:4805月15日 23:19

ガラケーますか?

YESNO 重要ではありません。

要素が50集まりました。これで質問を締め切らさせていただきます。
要素選別終了しました。これより投稿フェーズになります。 
5/28 23:59が締め切りです。皆さまの投稿、お持ちしております!
No.51[時野洋輔]05月15日 23:4106月02日 17:16

ちょっと荒業ですが、タイトル「正義の味方カメオの誤算」

作・時野洋輔 [良い質問]

No.52[時野洋輔]05月15日 23:4106月02日 17:16

 新元号が発表される日。

 正義の味方の②仮面のヒーロー、カメオ(正体は⑤スライム)はブラジルで戦いを繰り広げていた。

 テレビの⑥画面の中から出てくる謎の手に苦しめられたカメオだったが、テレビの⑧延長コードを、④ウミオから借りた⑩尖ったナイフで⑦切り裂いさく荒業で大逆転。

 ⑨世界平和の夢に一歩近づいた。

 そんなカメオは、今日の昼の元号の発表を見ようと、現地のホテルで日本放送を見ようとした。

 すると、何故か元号の発表は既に終わっていて、

「万葉集という①和歌が元で決まった」と教えられた。

 ③アップル製のスマホで日本の時刻を確認すると、⑪PM11:11。

 すっかり時差を忘れていたカメオだった。END
[編集済]

正義のヒーローという設定に絡めて上手に要素が消化せれていました。異国にいても日本のことを忘れないお茶目なヒーローカメオでした。

No.53[キャノー]05月16日 00:3106月02日 17:24

題【23:11を過ぎたあたりに、深夜テンションで書き上げたオカルトがこちら】 [編集済]

作・キャノー [良い質問]

No.54[キャノー]05月16日 00:3206月02日 17:24

ライ
「それで、結局11:11になったら、急に不気味な気配を感じたんだよ!正直殺されるかと思ったね!
…と次の瞬間、目が覚めたんだよね。実は夢オチでさ、目が覚めたら机に突っ伏してたって訳よ、俺が。」


ライの友人
「君って本当にバカだな…怪奇現象が本当に起きるかを確認しようとしたら、その前に寝ちゃいました?アホでしょ。」


ライ
「仕方ねえだろ!噂の内容が、『時計の2つの針が重なる11:11に、自分の周りに、円になるように【③11個のリンゴを置いて】おくと、怪奇現象が発生するってやつだぜ!
確かめるためには、当然夜更かししないといけないだろ?でも俺達は学生だから、朝早く起きて、真面目に勉強して、家に帰る頃には、もう眠たい訳よ。」


ライの友人
「眠たい以前の問題だ。
まず、2つの針が重なる?実際に時計の針を合わせれば分かるが、11:11に長針と短針は重ならない。
それに、りんごを11個?くだらないな、オカルトと全く関係のないアイテムを、何故儀式に用いる?
そして、11:11というのは普通『午前』の事を指すんだよ!昼間に怪奇現象が起きる訳ないだろ!!」


ライ
「いや、俺は普通に【⑪23:11】に儀式をやってましたし。多分午後って書くのを忘れたんだろ。」


ライの友人
「言っておくがな、ネットにありふれている噂を信じている時点でアウトだ。」


ライ
「オカルト研究部として、いつかマジモンの怪奇現象に遭遇するのが【⑨夢なんだよ!】」


ライの友人
「夢オチしたやつが何を言っているのか。それにオカルトに遭遇したいなら、近くの洞窟に行けば…」


ライ
「少しは真面目に相談に乗ってくれよ…洞窟に住んでる幽霊たちは、別にオカルトでも何でもないし。
どうすれば儀式が成功するのか、考えてくれよ。」


ライの友人
「真面目に論破してやっただろう?怪しさ満点のオカルトの矛盾点を。」


ライ
「あのな、お前は【⑩言い方が尖りすぎ!】俺のやる気を削ぐな!俺達は見た目が柔らかいんだから、もっと優しく相談に乗れよ!
とにかく、お前に相談した俺がバカだったわ、今夜もう1回やってやる!」


ライの友人
「せっかく貴重な時間を割いて、深刻そうな顔をしたお前の相談に乗ったのに、内容がこれだぞ!
お前の下らない幻想なんて、いくらでも【⑦壊してくれるわ!】もっと現実を見ろ!」


___



日本のどっか、午後11:06。


暗い部屋の中に灯る光は、パソコンの画面のみ。
これでもかというぐらい暗い部屋の中で、1人の少年がゲームをしていた。


「クッソ、このゲーム難しすぎるんだよ、クリアできる訳ねえだろ…
ハァ、11:11まで暇つぶしにゲームをしようと思ったが、ストレスしか募らねえな…」


そう語る少年は【②顔に仮面を装着】しており、少年の周りには、11個のりんごが置かれていた。


「本当に、仮面を被って、周りに11個のりんごを置けば、怪物が召喚されるんだろうな…?
部長は訳の分からない噂を真面目に検証しようとした挙句、それを僕に押し付けるなよ…」


説明しよう。
少年はオカルト研究部の部員であり、部長から「11:11に召喚される怪物の謎に迫れ!」と課題を出してきたのだ!
言うまでも無いが、いくらオカ研とはいえ、根も葉もなさそうな噂を、少年は信じていない。


「ウチには儀式用の仮面なんて無い!って言ったら、【④仮面を無理やり貸してくる】から、噂を検証するしかなくなったし、マジふざけんな…」


そう独り言を言う中、パソコンのディスプレイを覗くと、『23:11』の表記。


「そもそも、長針と短針が合わない時点で、この噂が嘘なのは分かりきってるんだけどなぁ…ほら、何も起きな………」


その瞬間、少年のパソコンは溢れんばかりの光を放った…!


「「何が起きたんだ!?」」


そして、少年とライが目を開けた時、彼らはこう言い放った。


少年
「ス、スライムが僕の目の前に!?」


ライ
「に、人間が俺の目の前に!?」


___



時を少し戻して、午後11:10、
『スライム』のライは、懲りずに儀式の準備をしていた。


ライ
「あれから、もう一度儀式について調べてみたが、どうやら仮面が必要なようだな…うっかり見落としていたぜ。
後、この儀式は、『召喚の儀式』だそうだ…つまり、儀式が成功すれば、俺は誰かを召喚出来る?」


___



そして現在、ライと少年は少し考え、おもむろに腕時計を確認し、11:11を指している事を確認すると、現状を理解し、そして叫ばずにはいられなかった。


「「あの噂は本当だったのかよ!!!!!」


少年
(…あのスライムっぽい奴の反応を見るに、あのスライムも同じ噂を検証していた?
あの噂は『2つの針が重なった』時に発動する…僕は長針と短針が重なった時だと
勘違いしていたが、もしかすると、『同じ儀式をしていた僕とあのスライム』の、『2つの時計』の事を指していたのか?
だとすると、針が2つあるのも頷けるが…)


※単に、短針と秒針が重なっただけです。少年の考察は間違っています


ライ
「って、ここどこだよ!なんで目の前に人間がいるんだよ!?
もしかして、召喚されたのは俺の方なのか!?」


少年
「ヤバい…あの噂は本当だったんだ!ゲームでしか見た事がないスライムっぽい何かが【⑥画面から上半身を出して】喋ってる…!」


この時、ライは思考した。


まず、何故自分の目の前に人間がいるのか。これは自分が召喚されたからだろう。
問題はこの後だ。


人間という種族は、スライムをはじめとする魔物を惨殺する、極悪非道の化け物だと聞いている。
この前歴史で習った、人間と言う化け物は、はるか昔から魔物を虐げていたのだと。
【①和歌という文化を嗜んでいた頃に、魔物の虐殺を題にして、和歌をしていた】という証拠もあったくらいだと、授業で学んだ。


ここまで考えたライは、とりあえず「俺の身を守る事が最優先だオラァ!」と叫びながら、少年を殺しにかかった!!


少年
「ヤベェ!これは死ぬタイプのオカルトだったんだ!こんな情報をよこしやがって、ふざけんなよ部長!!!
待って、止めてくれ、死にたくない!!!」


ライ
「さっさと死ねやオラ!いますぐぶっ殺してやる!
殺してやるから、逃げようとするんじゃねえ!
おい待て、何か枠みてえなやつがつっかえて、出てこれねえんだよ!だから逃げるなって!!」


少年のノートパソコンの画面は、どうやらライには小さすぎたようだ。


少年
「………あれ、何故か殺されていないぞ、そうだ、こういうオカルト物は、大抵は元を絶てば解決出来るんだ!
逆に僕がお前を殺してくれるわ!!」


そう叫ぶや否や、少年は自分のノーパソに接続されている、電気を供給するための【⑧延長コード】を思いっきり引っ張った!!!


少年
「アッハッハ!コンセントを抜いてやったぞ!これでパソコンの電源は切れる…お前はジエンド……
何故だ、何故生きている!」


そこには、上半身だけのスライムが!


ライ
「痛いなぁ…俺を召喚した魔法陣(パソコンの画面)を何らかの方法で消滅させて、下半身を消し飛ばすとは、やはり人間はクソ野郎だな!」
だが勝ち誇っていたところ悪いんだけど、俺スライムなんで、体が半分ぐらい無くなっても、心臓と頭が残ってれば普通に生きれるんだよなぁ!」


少年
「【⑤そんな設定チートだろ!】スライムは雑魚じゃないのかよ!?」


ライ
「よし、何か動揺している!これは勝てるぞ!」


勝機を確信したライは、とりあえず、スライム特有の柔らかい拳を少年に振りかざした…!


まぁ柔らかいというのは魔物基準であって、人間である少年が耐えきれるハズもないのだが。


ライ
「よし…俺は勝ったんだ!壮絶なコロシアイに…!
もうこんな所にいてたまるか!二度と怪しい儀式なんてしてたまるか!
さっさと元の場所に帰る!…多分、俺を召喚した魔法陣を使えば戻れるよな?



あれ、魔法陣が消えているんですけど…」


___



スライム刑事
「…という事で、ライ君は2日前から行方不明になっている。
我々警察も捜査を始めるから、ライ君について心当たりがあったら、何か教えて欲しい。」


ライの友人(当然こいつもスライム)
(ライの行方が知りたいのは、こっちもだよ…情報が無いのが口惜しいが…
まさか、本当に儀式が成功した訳じゃぁあるまいし、流石に儀式の件を警察に話す訳にもいかないよな…)


ライの友人も、警察達も、当然知る訳が無かった。
ライが召喚された際に使われた少年のパソコンが、乱闘騒ぎの際に壊れてしまった事を…





BADEND NO11 作者の私が3日後ぐらいに見返すと、絶対に黒歴史になってるパターン


【物語と私が 完】


捕捉:
スライムという魔物にとって、幽霊というファンタジーはオカルトに該当しないようです。
[編集済]

叙述、ファンタジー、黒歴史(?)と選定された要素以外にもてんこ盛りな作品でした。

No.55[OUTIS]05月16日 00:4806月02日 17:29

【誇り、散りゆく】 [編集済]

作・OUTIS [良い質問]

No.56[OUTIS]05月16日 00:4806月02日 17:29

貴方と結ばれたかった。
貴方も同じ月を見ているのだろうか。
町へ出た時、一目惚れだった。
人目を忍び仮面(2)を使わねば逢うこともできないこの世で、貴方と結ばれることが果てしない夢(9)だというならば、何のための地位なのか。

「貴方のような高貴なお方と結ばれることは叶いません。
どうか一夜の夢とすべてを忘れてくださいまし。
『和林檎(3)は くさりて縛り 毒となし 身をも逢瀬も 今日の限りと』(1)
(貴方からいただいた寵愛は和林檎(当時林檎は観賞用の物だった)のように美しく尊い物ですが、私にとっては鎖のように縛り、熟れて腐りった果実のように私の身を犯す毒と化す(4)のです。 もう身重となった私の身も、人に知られぬように貴方と逢う事も限界です、今日で終わりにしましょう。)
貴方へ贈るにはいささか尖った言葉である(10)事をお許しください。」

そして男は多くの人に弔われその一生を終え、輪廻転生を経て新たな生を歩むことになったのだが・・・
「今はスライムが最強(5)という事で人気ですが、前世にてポイントをほとんど使ってしまっている為今の貴方は一般人以下がせいぜいですね~」
という言葉を聞いただけで何も選ぶことが出来ぬまま新たな人生を歩むこととなった。

~16年後~
「母さんやめて!」
男の生まれた環境は劣悪なものだった。
酒に溺れた母親に鎖のような延長コード(8)で縛りつけられ、学校ではクラスの女子にいじめられる日々。
男には居場所の監視用にスマホを与えられ、それだけが生きる楽しみとなっていた。
ある夜、いつものようにネットでスライムが転生する小説を読んでいるとわずかな記憶が蘇る。
-「スライムが最強・・・人気ですが・・・」-
うすぼんやりとした記憶を手繰り寄せる。
鎖のような延長コード 母親が好んで飲む林檎酒(林檎を発酵[腐敗]させて作る)
携帯の現在時刻は夜11:11(11)1111という数字・・・
次々と歯車がかみ合ったかのように記憶がリンクする。
そして、記憶を与えるかのようにスマホから幻の手が出てくる(6)。

男は1111年前の記憶が蘇ったその瞬間、すべてを悟った。
男が愛した女性と瓜二つのクラスメイトと1111年前、気に入らないものはすべて壊していた(7)自らの暴政。
前世の業より、愛していた者に嬲られるという現の地獄に気づき男は慟哭した
その男の今生の名を「一・一(にのまえ・はじめ)」という。

【簡易解説】
前世の暴政という業より男は前世で愛していた者の生まれ変わりから嬲られるという地獄を味わっていた。
平成11年11月11日深夜11:11、様々な要素が揃い1111年前の記憶が蘇り男は大声でむせび泣いた。
尚、1111年前も二人の関係は男が女をストーキングしているような関係であり、女は嫌がっていた為極力柔らかい言葉で返事を書いている。

※登場する和歌はかな~~り適当に作った為文法・用語的に間違っている可能性しかありません。 あまり気にしないでください。
End
[編集済]

前世の報いを今生で受けているという、昔話染みた教訓のある現代設定の話でした。

No.57[とろたく(記憶喪失)]05月16日 11:2606月02日 17:38

「ボクの大親友」

作・とろたく(記憶喪失) [良い質問]

No.58[とろたく(記憶喪失)]05月16日 11:2806月05日 14:43

アリババは40人の盗賊、シェヘラザードは千の物語。
世の中には不思議な話が色々あるけれど、
その中でももっと面白い話、聞きたくなーい?

これは、昔出会った俺の友達の話さ。
昔って言ってもそうだな、大体10、20、30……
……ま、細かいことは置いといて。

彼はその昔、生きるために食べ物を盗む貧乏人だった。
毎日ケーサツに追われながら過ごしてた。
だがいつかは金持ちの王様になり、幸せに過ごすという夢を持っていた。

そんな時のこと、市場では見慣れない絶世の美女がいた。
彼はすぐに一目ぼれさ。
その美女は、市場のリンゴを勝手に子どもにあげて、手を切られる寸前。③
ミカンじゃないよ? ミカンは和歌山の重要な特産品だから。①

彼は持ち前の機転で彼女を助け、ついでにリンゴも仲良く食べた。
なんだかんだで、互いに惹かれあっていたのさ。

だが、彼女の正体は王女様。
わざわざ庶民のふりをして、こっそり家出をしようとしてたところだった。
身分違いの恋だと知った彼は落ち込んだ。そりゃもう、こっぴどく。

そんな時のことだ。
仮面をかぶった一人のおじいさんが、こんな話を持ち掛けてきた。②
砂漠の果ての洞窟の中にあるランプを取ってくれば、
どんな褒美でももらえる、そんな話だ。
彼はそれに応じて、危険な洞窟の中に入ってランプを手に入れた。

ランプをこすると、あらまびっくり!
中から魔人が出てきて、3つの願いを叶えると言ってきた!

彼の願いは今の生活を変えることと、彼女のハート♡を射止めることだった。
そのために、自分を王子にしてほしいと言ってきたのさ。

もちろん魔人はそんなのお茶の子さいさい。
あっという間に国の王子に大変身!
75頭の金のラクダも、53羽の紫クジャクもついでにつけて、
王国にいざ、お目通り。

結果は大成功!
もちろんうまくいかないことはたくさんあったけれど、
最終的に彼と王女様は仲良く暮らしました。そして残った願いで魔人も自由。
自由になった魔人は世界各地に旅行するようになったとさ。
めでたしめでたし、ハッピーエンド。


……おっと、ついつい話し込んじゃったけどもう夜の11時11分だ。⑪

ん? これは何って?
旦那ってば、もしかして携帯電話をご存知でない!?

それではちょいと貸してあげよう。④
そうそう、そのボタンを押すと……



バアッ!!

画面から手が出てびっくりした?⑥
まさに驚き過ぎて手も足も出ないってカンジ? あ、声は出てるか。
なんちゃって! あーっはっはっは、イーヒッヒッヒ……

え? 笑い過ぎ? これは失礼。
いささか尖りすぎたアイサツだったかな?⑩
やっぱり携帯電話がいきなりスライムになったほうが最強の掴み?⑤
ついつい飲み過ぎて調子に乗っちゃった。

そんじゃ気を取り直して。


私は魔人。今は旅行中だけど、時々趣味で誰かの願い事を叶えている。
ちょっとした人助けの延長コードー中というわけ。⑧
どんなことも叶えられるよ。もちろん例外はあるけどね。

まず、4つ以上にするのはダメ。数の管理が大変。
恋愛沙汰も無理。人の心は変えられません。
人を殺すのもナシ。頼まれてもやらない。
死人を生き返らせるのもできない。ホラーすぎるでしょ?

それ以外なら何でもOK! 金持ちでも超能力者でもどんとこい!
でっかい星を壊すこともできちゃう。でも理由なく頼むのはやめてね。⑦
ランプの魔人にするでもいいよ。家が狭くなっちゃうけどね。ヒヒーっ!

……おっと、これ言ったら色々不味い?
でも気にしない! だって自由だもん!

果てしない夢を追っているなら、底なしの力でそれを叶えちゃうよ。⑨


さあ、君の3つの願いは何?



《要約》
携帯電話を知らない男。
時間を確認できると言うので画面を見たら、
携帯電話の持ち主である男にイタズラでびっくりさせられた。


(以上)
[編集済]

タイトルの「ボク」視点で展開され、結末まで語られる話でした。 [正解]

No.59[時野洋輔]05月16日 17:3506月02日 17:44

二回目失礼します。タイトル「和歌の君を追って」

作・時野洋輔 [良い質問]

No.60[時野洋輔]05月16日 17:3606月02日 17:44

①【君が行き日長くなりぬ山たづね迎へか行かむ待ちにか待たむ】
(訳:貴方が私のもとを去って長い日にちが経ちました。貴方のおられる山奥まで訪ねて行きましょうか、お帰りをひたすら待ちましょうか)

そのような和歌が書かれた紙が川を流れ、スライムの塒に流れ着いた。それを読んだスライムは、この和歌を書いた女性に会いたいと願いました。
本来、魔物であるスライムが人間に会いに行くなど⑨果てしない夢。しかしスライムは諦めませんでした。
スライムは、己の魂と引き換えに、魔界の悪魔と取引をしました。
何も映っていない捨てられたテレビの画面から伸びてきた⑥手に己の寿命の大半を渡すことで、彼は電気の力で人間になることができる力を手に入れたのです。
近くの山小屋から、⑧延長コードを繋げて、スライムは毎日毎日電気を盗んでは自分の中に蓄えていきました。

スライムはとうとう人間になることができました。ただし、目がいまいちなので、②仮面で目を覆って、いざ人間界へ出撃です。
雨が降っていたので、山に捨てられていた、しかしまだ使える傘を持って山を下りました。

簡単に見つかると思っていた女性ですが、なかなか見つかりません。
当然です、女性を探す手がかりは、紙に書かれた和歌と、その紙についていた③リンゴの香りだけなのですから。

そして、夜になった時、スライムは女性を見つけました。
雨に濡れて誰かを待っている女性。彼女の手にはリンゴの入った袋が。

そんな女性に、男が声をかけていました。女性は明らかに嫌がっています。
スライムは男に辞めるように声をかけました。
男はそれに激昂し、⑩いささか尖ったナイフでスライムを突き刺そうとしましたが、彼の体に蓄えられていた電気がナイフを通じて男に伝わってしまい、男は痺れてその場に気絶しました。⑤

女性は何があったのかわからないけれど、スライムに礼を言いました。
女性は言いました。
愛しい人を待っていたけれど、彼はとうとう来なかった。美味しいりんごパイを焼いてあげようと思ったのに……と。

スライムはいよいよ言おうとしました。
あなたが待っていたのは自分であると。しかし、男の手から零れ落ちた携帯電話――その時間、「⑪PM11:11」を見てスライムは思わず声をあげてしまいました。
自分の寿命はあと数分で尽きてしまうのです。

もしもいま、彼女に告白しても彼女を困らせてしまうだけ。
スライムは女性に、濡れてはいけないと持っていた傘を④貸して、その場を去ることにしました。

【我を待つと君がぬれけむあしひきの、山のしづくにならましものを】
(訳:私を待って濡れたとおっしゃるその雫になって、貴方に寄り添いたかったです)

⑦そしてスライムの体は崩れていきました……

 残ったのは、たった一粒の雫のみ
 END
[編集済]

11個の要素を用いて作られた海外のおとぎ話のようなものが足りでした。

No.61[かふぇ・もかろに]05月16日 19:5606月02日 17:50

【待ち合わせ】 [編集済]

作・かふぇ・もかろに [良い質問]

No.62[かふぇ・もかろに]05月16日 19:5706月02日 17:50

6月5日午後11時05分

修学旅行3日目の夜、僕は幼馴染と待ち合わせをした。こんな時間にした理由は単純で、友達にこれから彼女とする話を聞かれたくないからだ。ちなみに明日の予定のため今日の就寝予定時刻は22:00、1時間前だった。だから今目の前にいる彼女が眠たそうな目で睨んできているのもしょうがない。

「ねぇ、この時間じゃなきゃダメだったの?先生にバレたら面倒だよ?」

「流石に一階のおみやげ屋前までは来ないと思うよ。もし足音が聞こえたらその柱の陰に隠れられるし。」

と言った瞬間ほんとうに足音が聞こえてくる。わざとだろ。いや違うだろうけど。そんなわけで柱の陰に隠れて3〜4分、見回りの先生が何処かに行ったので話を続けることに。

「それで、結局呼び出しておいて何の用なの?」

「そうだった。まあ、こういう時になんて言えばいいのかわからないから1番端的な言葉で伝えるよ。」


6月5日午後11時11分

「好きです。付き合ってください。」

その日、僕と彼女はただの幼馴染ではなくなった。


8月5日午後9時00分

花火大会の日、僕と彼女は誰も知らないような良く花火の見える場所からどんどん打ち上げられる花火を見ていた。ちなみに彼女は屋台を回ってから来たので食べ物は大量にあるようだ。なんなら狐のお面(②)まで買っている。話しかけられた時に流石に驚いた。「人が多いところが苦手な僕に配慮してくれたらしくこの場所で待ち合わせをしていた」と思っていたのだが、もしかしたら驚かせるためだけだったのかもしれない。

隣でリンゴ飴(③④)を食べている彼女を見ていた時にふと漏れた

「花より団子だな」

の一言に彼女は頬を膨らませて

「勉強が私よりできないくせにことわざなんて使って……ムカつく。」

なんて言ってきた。

「ごめんごめん。にしても昔っから君の方が勉強できたよね。そういえば小学校の頃の自由研究も一緒にやらなかった?」

「やったやった。スライムが燃えるかだっけ?」

「そうそう、確か君が
『固体とも液体とも言い切れないものってなかなかに面白いものだろう?だからスライムは私たちに可能な実験の材料として最強といえるものの一つだ。(⑤)』みたいなこと言ってたんだっけ。正直あの時に初めて頭いいんだなぁって思ったんだ。何言っているかよくわかってなかったからさ。」

「なんかそんなこと言ってたなぁ、懐かしい。お父さんがこんな言い回し好きだったんだよね。流石に今ではあんな言い回ししてないけど。お父さんは今でも越えられない壁だと思っているしずっと追っている夢なんだよ。(⑨)
まあそれはいっか。それで確かスライムを燃やそうとして全然燃えずに結局あの年の花火大会に間に合わなかったんだっけ。
ちなみに私も少しはあんたから影響受けたんだよね。ほら、百人一首を一時期ずっと見てなかった?」

「ああ、あの頃ね。なんかハマったんだよね。それが何の影響を?」

「百人一首習う前から何個か覚えられたんだ。習ってからも頭に入りやすかったし。まあ、最初に意味を知ってから心に残っている一首しか覚えていないけど。

『今来むと
いひしばかりに
長月の
有明の月を
待ち出でつるかな』(①)

あってるよね?」

「自信はないんだ。まああってるよ。それにしてもあれの意味って確か……」

その意味を言おうとして彼女の顔を見るとお面をつけていた。ただ、その横から見える顔は、リンゴ飴のように赤くなっていた。

12月5日午後11時03分

バイトが終わった。
彼女と付き合い始めてちょうど半年であることを忘れてバイトを入れていたため、時計を見て間に合うなら彼女の家に行こうとスマホで時間を確認する。

午後11時05分

まだ間に合うか。彼女の家に走って向かおうとした時、彼女から電話がかかってきた。

『もしも……』

「付き合い始めて半年だったこと忘れていてごめん!今から会いに行ってもいいか?」

『ごめん……多分もう会えないや……』

彼女はとても辛そうに話した。

「どういう……ことだ?」

『タコ足配線、延長コードの複数のコンセントに……大量のプラグを刺すあれ(⑧)が原因だと思うんだけど……家が燃えてきてさ……逃げ遅れて……部屋の中も燃えてきているから……最期に声が聞きたくって……』

彼女のその言葉は、画面から出てきた悪魔が、僕の耳を通して、僕の心を壊すために作った、あまりにも尖りすぎたナイフのように思えた。(⑥⑦⑩)

「ごめん。僕がちゃんと記念日であることを覚えていれば、ちゃんと一緒にいてあげられれば、ちゃんと……」

『君は悪くないよ……何も悪くなんてないんだよ……全部私の不注意なんだよ……

ねえ……私の好きな和歌……覚えてる?』

「『今来むと
いひしばかりに
長月の
有明の月を
待ち出でつるかな』だよな?」

『うん……覚えていてくれて嬉しい……
私があの歌が1番好きな理由はね……
1番大きな意味が『ずっと待っていた』だから……だから私も……』


ツーツーツー

電話が切れた。電話するまで見ていた画面に戻る。


午後11時11分(⑪)

周りのことなど気にすることもできずただただ泣き叫ぶ。
全部、全部僕のせいだ。もしかしたらいつ気づくかなって充電が切れないように充電しながら電話を待っていたのかもしれないし、もしそれがなければ火事なんて起きなかったかもしれない。

「あまり待たせちゃいけないよな。」

【終】
[編集済]

ニヤニヤしながら読んでいたのにまさかの結末。違う終わり方も見てみたかったです。

No.63[バタルン星人]05月17日 01:1106月02日 18:27

かけだし

作・[バタルン星人 [良い質問]

No.64[バタルン星人]05月17日 01:1106月02日 18:27

「やあ先生 ワタシとゲームをしよう。」
画面越しに仮面の人物がしゃべる。②

どうしてこうなったのだろうか。
最後の記憶は妻の焼いたアップルパイだ。③④

わけがわからない。
試しに画面を殴ると、私の腕は画面を貫通した。⑥⑦

「ちょ、ちょっとー そういうのは良くないと思いま… 良くないぞ。」
慌てた声が聞こえる。

しかしすぐに代わりの画面がどこかから現れた。準備のいいヤツめ。

「ゲームは簡単。先生はこの部屋の中から出るだけでいい。
 ただし、この部屋には"爆弾"が仕掛けられている。
 そして、この部屋のどこかには爆弾の"延長コード"が隠してある。⑧
 延長コード以外のコードを入力したらドカンだ。
 一つだけヒントをやろう。"時間"だ。」

なにやら面倒なことに巻き込まれたらしい。
しかし私には関係ない。幸いカギはかかっていない。
今すぐここを出よう。⑩

「先生そりゃあないよ! 人を救うのが先生の仕事でしょ!!」

機嫌を損ねたようだ。
仕方がないので、これみよがしに置いてある携帯電話を確認する。


なんてことだ!! これは妻の携帯電話ではないか!!
らしくない大声をあげてしまう。

妻のところへ急がなくては。どうせコイツのことだ。
延長コードはそのまま11時11分だろう。

コードを入力すると 爆発音と共に白い煙があがった。


【終われないよ】





つくづく準備のいいヤツめ。

「残念だったな! 延長コードは23時11分だったのだー!」⑪
嬉しそうな声が聞こえたが今はそれどころじゃない。


『先生は 遊んでるほど ヒマじゃない このスライムを キミにあげます』
書き置きとスライムを残して部屋を出る。

きっとこれで大丈夫だ。今どきの子どもはスライムに目がないはず。
こんな事もあろうかと用意しておいてよかった。

それにしても、私は医者ではなくて歌人だと何度言ったら分かるのだろうか①

和歌がもっと流行れば、私が養っていけるのに・・・⑨


~数日後~

三人「「「 スライムっていいよね!!! 」」」⑤


『補足解説』
妻の連れ子と遊んでいた歌人の男は、
スマホのロック画面を見て、妻の忘れ物であることに気づき声をあげた。
(ぶち抜いた画面はダンボール工作的なナニカです)

【完】
[編集済]

本物の歌人の日常は分かりませんが、なかなか世知辛いものなのかなと想像できる話でした。

No.65[OUTIS]05月17日 22:2006月02日 18:31

【芥】

作・OUTIS [良い質問]

No.66[OUTIS]05月17日 22:2006月02日 18:31

ある所に愛し合っている二人の男女が居た。
男は何度も女へ求婚したが、男は被差別部落出身であり、女の家は名家であった為女の家がそれを許さなかった。⑨
その為、ある晩男は仮面②をつけて女の元へ忍び込み、
「この窓は高いので手を貸しましょう。④」
そう言ってほとんど監禁状態にあった女を盗み出した。
すぐに家の者が気づき、二人を探す為辺りを大人数で探し始めた。
二人は逃げながら様々な場所を通った。
腹を空かせては林檎③を手持ちが無かった為1つ買い、裏路地で分け合って食べては間接キスを意識して林檎のように真っ赤になり、
商店街の家電屋のテレビで放映されていた科学番組では王道のスライム⑤を見て、
「あれは真珠かしら?」といった彼女を人目があるからと無視して走り抜け、
疲れ果てた二人は一軒の古い廃屋へとたどり着いた。
 男は追手が来ても女が逃げる時間をとれるようにと屋敷のあらゆる出入口を塞ぎ、バリケードとした。
もちろん、中で何かがあった時の為に女が逃げられるよう2階に壊せる窓⑦があるのを確認し、脱出する時命綱となるように数本の延長コード⑧も用意した。
男は追手が来ないか外で寝ずの番をしていると、一人の老人が咎めるように話しかけて来た。
「これ、そこで悪戯しちゃあいけねぇよ。 その屋敷TVにゃ悪い鬼が住み着いていて11時11分になると出てきて最初に見た人間を一人食っちまうんだ。」
男はその話を老いぼれの戯言と一蹴しまともに取り合わなかった。
―――――――
・・・しかし中では
 一人廃屋に閉じ込められた女は心細く、広いリビングの隅に縮こまっていた。
カチッ 家主が去って尚動き続けていた古い置時計が11時11分を示す。
-ザザザ-
電気が通っていないはずのテレビから明かりがつき、画面から異形の手が出てくる。⑥
「ッ!!!!!!!!!!」
声にならない叫びをあげた女はすぐさま逃げようと2階の窓を壊し延長コードをかけようとする。
しかし、割れた窓は通るには鋭すぎた。⑩
大声をあげて下にいる男へ助けを求める。
―――――――
上から女の悲鳴が聞こえる。
男は、いきなりの事に驚きながらも上を見た。
すると、女の後ろから巨大な影が迫っている。
異形に腰を抜かし動けずにいると、鬼はムシャムシャと男の見ている前で女を食べてしまった。
女を食べ満足したのか、鬼は男を無視して消えていった。
ふと我に返り老人の話を思い出して携帯を取り出すと、時刻は11:11⑪。
大声で泣き叫び、地を蹴ったところでもうどうしようもない。
「白玉か何ぞと人の問ひしとき露と答えて消えなましものを」①
(あれは真珠ですか?とあの人が訊いた時、スライムと答えて私も消えてしまいたかったのに)

簡易解説~
男は老人の話を信じていなかったが、携帯の現在時刻を見て真実だったと知り、あの時老人の言葉を信じていればと、女を亡くした悲しみと己の不甲斐なさのあまり慟哭した。

-終-

これは『芥川』という私が最も好きな古典作品を改変したものだヨ
元の話では女は草の上におりていた露を真珠か何かかと問うのだけれど、要素回収の為露をスライムと変更したヨ
ただ、最後の和歌の部分では露という表現が最適であり、スライムも露も似たようなものだという結(暴)論に中の人が至った為、和歌の部分のみ露という表現を残しているヨ。
[編集済]

元の物語は伊勢物語のようですね。こちらも気になるので見てみます。

No.67[赤升]05月18日 17:4406月02日 18:37

タイトル「世にも奇妙な百人一首大会」

作・赤升 [良い質問]

No.68[赤升]05月18日 17:4406月02日 18:37

男「さあ!始まりました第11回世界異種族混合百人一首大会①!進行は私」

キエエエエエエエエエエエイ!

男「はーいもう既にうるさい。今のはマンドラゴラですね。耳栓が無ければ即死でした。こんなにうるさいと読み手の人も大変ではないでしょうか」

読み手((はい、今日の読み手です。今皆さんの心に直接語りかけています。よろしくお願いします))

男「あ今回は念話で読み上げるんですね。じゃ大丈夫か。それではルール説明を始めます」

男「今大会は予選と決勝戦の2つにわかれています。予選は一対一、トーナメント式で試合を行います。予選を勝ち抜いた4名で決勝戦を行います」

男「試合は、相手より先に読まれた札を押さえるとその札が取った人のものになります。全ての札が読み上げられたとき、札が多かった方の勝ちです。」

男「また、試合中の備品の破壊行為、相手への妨害行為は不問とします⑦。その他細かいルールは公式サイトをご覧ください」

男「それでは早速、(百人一首の)全生物最強という果てしない夢を追うものたちの勝負を始めましょう⑨!」

グオオオオオ アオォーーーン キエエエエエ ワアアアーーー!

男「うんうるさい」

~~~

男「さあ予選の準備が整いました!予選の様子は進行兼実況の私」

読み手((君がため~))

バンバンバンッ

男「え?早くない?それにお手つきしてる人何人かいない?」(注.百人一首に“君がため”で始まる首は2首ある)

読み手((春の野に出でて~))

ババババンッ

読み手((~ 我が衣手に~雪は降りつつ~))

バンバンバン

フシャー ウオー ワアアアアアア

男「全部読み終わってから取るのは世界大会としてはちょっと遅い気が…」

~~~

男「予選が終了しました!」

男「ここまで勝ち抜き、決勝戦に出場する選手を紹介したいと思います!」

男「まずはこの選手!左手にリンゴ③、右手に札、そして顔に仮面②!魔法使い代表です!」

魔法使い「魔法使いなのです」

男「そのリンゴはやはり毒リンゴでしょうか。どなたかに渡す予定が?」

魔法使い「あげないのですよ?…ジュルリ」

男「え、いいんですかね。もしかして、毒じゃなくて普通のリンゴなんでしょうか?」

男「ところで、その仮面は何に使うんでしょう?やっぱり呪術?」

魔法使い「先程の試合がメデューサの方との試合だったので、石化防止のための仮面なのです」

男「普通の仮面みたいですね」



男「続きましてこの選手!」

スマホ「はい、皆さんこんにちは。幽霊代表です」

男「今は休憩中なのでただのスマホに見えますが、試合中は画面から手を伸ばしてプレーします⑥!」

男「ここまでかなりの好成績を残してきた幽霊選手ですが、何かポイントはありますか?」

貞子的な人「そうですね、この大会に向けて頑張って練習してきた成果が出ているようで嬉しいです」

男「おっと、この結果は努力の賜物のようです!わりと真面目!」



男「次にこの選手!巨大な図体、鋭い爪と牙!一説には最強の生物とされる、ドラゴン代表です!」

ドラゴン「どうも~ドラゴンです~」

男「意外と緩い!見た目とのギャップが凄いです!」

男「気を取り直して、ドラゴン選手は今大会の出場選手の中であることのトップです!さてなんでしょう?」

ドラゴン「ん~これまでに取った札の合計とかでしょうか~」

男「緩いわりに自信家!正解は『今大会中に破壊した備品の多さ』です!特に札への被害が頭一つ抜けています!」

ドラゴン「お~申し訳ありません~。札を押さえたり、掴もうとしたりするだけで爪で切ってしまいまして~」

男「紙を扱うにはドラゴンの爪はいささか尖りすぎていたようです⑩!」



男「最後の選手です!決勝戦初出場、今大会のダークホース!スライム代表!」

スライム「よろしくプルン」

男「意外や意外!一説には最弱とされるスライムが予選を通過しました!これには、何か秘策があるようです!」

スライム「置いてある札全体を覆うように体を広げて、一斉に取れば勝てるプルン」

男「これは凄い!スライムならではの戦法です!かつてこれほどまでゲーム性を無視した戦法があったでしょうか!」

スライム「勝てばよかろうプルン」

男「わあリアリスト!最弱と称されたのが原因で少しすれてしまったのでしょうか?しかし、戦法と勝利に対する意識においてはスライムが最強のように思えます⑤!」

男「決勝戦の準備も進んできました!この4人の選手たちは、どのような試合を見せてくれるのでしょうか!これで選手の紹介を終了とします!」



男「・・・あー疲れた」

~~~

男「さあ決勝戦の準備が整いました!今年の全種族最強を決める試合がいま開始します!」

ヒュー ウオー キエエエ ワアアア

読み手((む))

バァン!

男「おお速い!流石決勝となると出ている選手たちも勉強をしっかり行っているのでしょう!」(注.百人一首に『む』から始まる首は一首しかない)

男「今のは…あっ幽霊!幽霊選手が取りました!」

~~~

バンッ

男「今ので50首目、半分が終了しました!現時点でもなかなか拮抗しています!」

男「開始前はスライム選手が有利と思いましたが、この選手の戦法には隙があるようです」

男「読み始めとスライムが体を広げきるまでにタイムラグがあるおかげで、他の選手がそのラグの間に取ることができるのです!」

男「これはわからなくなってきました!後半戦、開始…ん?」

飛んでいくスマホ「ピューン」

読み手((どうしたんでしょう?))

男「…あっ、幽霊選手の入っているスマホの充電のために使っていた延長コードを、誰かが蹴ってしまったようです⑧!」

読み手((幽霊の方、大丈夫でしょうか))

男「てかあれ、俺のスマホ・・・」

~~~

男「えー…どうやらスマホが壊れてしまったらしく、幽霊選手は復帰できないとのことです…。俺のスマホが…」

男「今大会では出場選手がいかなる理由で試合ができなくなっても、そのまま試合は続行します。よって残りの3名から優勝を…おや?」



ドラゴン「―――ですからスライムさん~それは私の札でしょう~?」

スライム「そんなことないプルン。そこまで言うなら証拠を出すプルン」

ドラゴン「札の傷~。私の爪の跡ですよ~」

魔法使い「えいっ」

スライム「あ、札が直ったプルン」

ドラゴン「え。…魔法使いさん~?」

魔法使い「備品を壊す方が悪いのです」

スライム「確かにそうプルンね」

ドラゴン「いやいや~それは今問題ではありません~。スライムさん~私の札を盗りましたよね~」



男「他の人の意識がスマホに向いている内にスライム選手がドラゴン選手の取った札を盗んだ、といったところでしょうか」

男「なんとか話し合いで決着を着けて欲しいのですが…あ」



スライム「しつこいプルン。もう肉体言語で真偽を決めるプルン」

ドラゴン「いいでしょう~最強の生物の格を見せつけますよ~」

スライム「顔に飛びついて鼻と口を押さえるプルン。呼吸を止めれば倒せるプルン」ブツブツ

魔法使い「面白そうなので参加するのです」

ブオォォォォォォ ビシャァァァ キラキラキラ…



男「…あーあ」

読み手((百人一首大会が乱闘騒ぎと化しちゃいました④))

男「えー、読み手さん、お疲れ様でした。何か一言ありますか?」

読み手((ファミチキください))

男「…今大会は、これで終了とします」

~~~

男「もー!疲れたー!」

男「いやおかしいでしょ…まずどうして進行と実況を同じ人がやるの…しかもルールガバガバすぎ…せめて大会の進行を妨害するのは禁止して…」

男「出場者も出場者だよ…真面目に百人一首やろうよ…試合外で決着着けようとしないで…」

男「外真っ暗だし…今何時だろ…あ、スマホ壊れてた…ん?」

23:11と表示されたスマホ「パッ」

男「あれ、直った?うわ、夜の11時⑪!?しかも無駄にゾロ目」



スマホから伸びてくる手「ニュッ」

男「!!!???」

貞子っぽい人「き~さ~ま~、よ~く~も~閉じ込めたな~^^?」ヌッ

男「ぎゃあああああ!?俺じゃなああああああああい!!」

【完】
[編集済]

どこかで見たこののある魔法使いさんが登場したり、11回大会に相応しいカオスな作品でした。

No.69[OUTIS]05月18日 19:3906月02日 18:39

【夢物語】

作・OUTIS [良い質問]

No.70[OUTIS]05月18日 19:4006月02日 18:39

退屈な3限の中頃、徹夜明けの眠気を覚ます為に携帯をいじろうと開いたものの俺の意識はロック画面の11:11の文字を最後に夢の世界へと堕ちていった

携帯を見る。
現在時刻は午後11時11分⑪
12時にはまだ時間がある
仮面舞踏会②で夢見るシンデレラを探すのは楽じゃない
残り時間は49分
探す 探す
49の中に。

49は7×7
7人の小人に守られた
白雪姫は小屋の中
毒林檎③に侵され眠りについた
私が起こすその日まで
眠り続ける 眠り続ける。

眠ったお姫様は城の中
彼女にとって糸車の針は
いささか尖りすぎていた⑩
塔の上の糸車。

塔の上にはラプンツェル
長い髪を伸ばし続けて
延長コードと絡み合い⑧
一夜の夢を求める梯子と化して④私を呼ぶ。

私を呼ぶ声は神話生物の模造品
テケリ・リ テケリ・リ 蠢きながら
無敵のショゴスは地の奥深くに封じられ⑤
目覚めの時を今か今かと待ち望む。

竹の中 目覚めの時を 待ち望む
光り輝く 月の姫君
高貴なる 皇子5人に 見染められ
条件として 並ぶ難題
「葎はふ下にも年は経ぬる身の 何かは玉の台をも見む」
私にも 求婚断り 和歌送る
和歌を通じて 続くやり取り。
避けられぬ 姫は月への 御帰りに
夢の林の 小道を通る。

林の小道を通り行く
赤い頭巾の目的地
祖母の不在を知らないで
ベッドのマシン狼に
喰われて彼女は捕らわれた
牢の画面を私が割ると⑦
中から二人の手が飛び出した⑥
三人は蟲のついた大きな石を
腹の穴に投げ込んだ。

穴に落ちた兎を追って
アリスは夢へ飛び込んだ
大小数多の夢を追いかけ⑨
不思議の国ももう終わり
夢物語ももう終わり。


3限の終わりごろ、落ちる感覚で目が覚めた。
古典の授業中に寝てしまったらしい。
「おい、ワークの問4だぞ」
どうやら指されていたようだ。
何々・・・
「問4:かぐや姫が帝の求婚を断った際に詠んだ歌を本文中より抜き出しなさい。」
これは夢に出て来た和歌じゃないか?①
夢の記憶を手繰り寄せ、俺は大きな声で答えた。

【簡易解説】
11:11の表示からなんやかんやあってかぐや姫の夢を見ていたおかげで目が覚めた時すぐに自信をもって大きな声で答える事が出来た。

-終―
[編集済]

昔読んだ星新一の長編のように場面がころころ変わる不思議な作品でした。

No.71[Rest]05月18日 21:5106月02日 18:45

「夜は長く短く尊い」

作・Rest [良い質問]

No.72[Rest]05月18日 21:5306月02日 18:45

「まーた勝っちゃったじゃねーか」

リンゴをかじりながら男は言う。③
「手加減しろよーw こっちはコントローラー壊すことだってできるんだぞw⑦」
「おいおい人が貸してやってるのにそれはないだろww④」
「…ってか、メタライトって仮面とったらかわいいらしいよ②」
「とか言いながらスライム使ってるのな。」
「まぁね。スライムで世界一目指してっから⑨。てか実際最強じゃね?⑤」
足に絡まる何かしらの延長コードが不快だ。⑪
スマホのバイブが鳴る。やっとスマホを買った母からのlineだ。
「はやく帰ってきてね。和歌いからって調子に乗らないでよ( 一一)
11時には絶対帰ってくること!じゃないと承知しないからね。」
いや誤字。ひでぇな誤字。①
まぁまだ9時だし余裕で帰れるだろ。
まぁいいや。友達とのスラッシュブマザーズ(略してスラブマ)の時間は大切だ。
さっさと次の勝負にいそしみますかね。

「てか画面から手出てくるようになったんだなこれ、邪魔だわーカチャカチャ」
「ほんとそれ。カチャカチャ」
「いやこのスライムの技強すぎ。頭とがりすぎだろ。⑩」
「いやいや。これよりお前の下Bのほうがつよいんやで」
「いやこれ使えねーだろwww寝ちゃうだけじゃんwwww」
「え?使えるで。ほら、俺の近くで下Bしてみ」
≪カキーーーーーーーーン≫
「は!?!?!!?!?!?!」
「ほらな?」
「まじかよ…」

…それからかなりスラブマで遊んでいた…

「ハイまた勝ったー」
「いやもうお前が強いのはわかったから。てか、時間大丈夫なの?」
「いやいやまだたぶん10時くら…



11:11



( ゚д゚) ・・・
 
(つд⊂)ゴシゴシ
 
(;゚д゚) ・・・
 
(つд⊂)ゴシゴシゴシ
  _, ._
(;゚ Д゚) …!?



_人人人人人人人人人人人人人人人人人人人_
> 11時過ぎてるやないかああああああ <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄




秋の夜長。
【完】
[編集済]

桜井さん見てますか、次回作のご参考に。

No.73[靴下]05月22日 02:2406月02日 18:50

タイトル「粋な演出(?)」 [編集済]

作・靴下 [良い質問]

No.74[靴下]05月22日 02:2506月02日 18:50

「やった、当たった、当たった!!」

――男はロックバンド「The Apples」の大ファン。③ 今まで何度も何度もライブのチケット抽選に応募していたが、超人気を誇るが故に倍率はとても高く、男は一度も当選したことがなかった。しかし神は男を見捨ててはいなかった。久しぶりのアルバム発売を記念したライブに当選したのである。しかも何より嬉しいことに、デビュー11周年を迎える当日に、メンバーの出身地である沖縄県で行われる、特別なライブである。男は2カ月後に開催されるライブに、今から心を踊らせるのであった。
しかし気になる点が1つあった。それは開演時間である。他の日程では午後4時から5時くらい、遅くても午後6時に開演なのに、その日のライブだけはなぜか午後8時開演と書いてある。誤植かとも思ったが、公式サイトや当選通知にも午後8時と明記されている。男は理由が気になったが、深くは追及しなかった。
それよりも男が気にしていたのは、沖縄への旅行である。せっかく沖縄に行くからには、ついでに色々観光をしたいと男は考え、ライブ当日を挟んで2泊3日の旅行をすることにした。
そして迎えた沖縄旅行。1日目に沖縄観光を楽しんだ男は満足気にホテルに到着した。
「今日は十分に楽しんだし、そろそろ寝るか。...あれ? どうしよう、ケータイの充電コードが届かないな...しょうがない、隣の部屋に人いるかな?」
男は隣の部屋を訪ねた。
「夜遅くにすみません、ケータイの充電コードが届かなくて充電できないんです。すみませんが延長コードを貸していただけないでしょうか?⑧ ...って、あれ?」
男の目を引いたのは、隣の部屋の宿泊客が来ている服だった。
「も、もしかして、あなたもApplesのファンなんですか?」
「"も"、ということは、あなたもですか?」
「はい、実は明日のライブに行くんです!」
「偶然ですね、僕も行くんですよ! 立ち話もあれなので、中入りませんか? あ、充電器ですよね、どうぞどうぞ、延長コード貸します④」
隣の部屋の客は偶然にもApplesのファンで、男はすぐに仲良くなった。ライブを翌日に控えてファンと語りながら飲む酒、つまむ菓子が美味しくないはずがない。❹
...
「Applesの曲で一番好きなのどれですか?」
「いや、やっぱりメジャーな曲もいいんですけどね、インディーズ時代からApplesを知っていた僕としては「スライム」が一番好きですね」
「わかりますわかります! やっぱり「スライム」が最強ですよね!⑤」
「今までいろんなジャンルに手を出してきた彼らの方向性がハードロックに定まった伝説のミリオンシングルですもんね!」
「今までの迷いを壊すことができたってメンバーも言ってますもんね⑦」
「もちろん知る人ぞ知る名曲「イロハニホヘト」も好きなんですけどね。あの曲の歌詞は最高ですよね❹」
「それもめっちゃわかります! この曲ライブではやったことないので今回も聴けるかはわかりませんけどね...」
「今までライブに行ったことは?」
「僕今回が初めてなんですよ」
「そうなんですか! それは楽しみですね! 僕は前1回だけ行ったことあるんですよ。4枚目のアルバム「Masquerade」のときのライブで、最初の登場シーンでメンバーが仮面をつけて登場したんですよ②」
「うわー、かっこいいですねー、見てみたかったなぁ!」
...
結局2人は一晩中語り合い続けた。

次の日、日中沖縄観光を楽しんだ男は早めの夕飯を済ませ、会場に向かった。周りのファンもなぜ開演がこんなに遅いのか、把握している人はいなかった。
そして迎えた午後8時ちょうど、ステージに設置されたディスプレイに映像が流れ始める。ファンの熱気が最高潮に達したときステージの中央にスポットライトが集まった。すると画面が左右に割れ、手が出てきた。⑥ メンバーが中に入っていたのだ。会場に割れんばかりの拍手が響き、ライブが始まった。
最新アルバムからの曲はもちろん、今までの有名曲、時々珍しい曲を挟みつつライブは進んでいった。
「...俺たちがやってる曲はロックだけど、でも俺らは日本人なんだよ。今までいろんな曲を作ったけど、伝えたいことをシンプルに伝えるには、やっぱり使い慣れた言葉が一番いいんだよ。そんなわけで次の曲は、日本語をリスペクトするために、和歌を参考にして作った曲です。①」
そんな紹介をされて演奏されたのは、男たちが話題にしていた「イロハニホヘト」だった。
もちろんファンはこの曲の特別さを知っているため、盛り上がりもひとしおだった。
楽しい時間は過ぎるのがあっという間で、とうとうアンコールも含め最後の曲になってしまった。
「...次で最後の曲です。今日で俺らはデビューして11年です。デビューした当時は、ファンがつかなくたっていい、俺らは俺らのやりたい音楽をやって死んでいけばいい、なんて思っていた時期もあった。今考えたら当時の俺たちは尖りすぎてたと思う。⑩ でも今はわかる、そんなことは絶対ないんだよ。俺たちの音楽を求めてくれる人たちがいるから、そんなファンのみんなのおかげで俺たちは11年たった今でも変わらずに果てしない夢を追い続けていられるんだよ。⑨ 本当にお前たちに感謝してるよ、ありがとな! 次で最後の曲です、一緒に歌ってくれ!!」
男の人生最初のライブは、男が一番好きな曲「スライム」で幕を閉じた。
曲が終わり、エンディングでメンバーの挨拶が行われた。ドラマー、ギタリスト、ベーシスト、そして最後にボーカル。そのボーカルの言った最後の一言が、このライブの開始時間の秘密を解くカギだった。
「...みんな今日は何の日だか知ってるよな? そう、俺たちのデビュー11周年の日だ。どうして今日のライブがこんなに遅い時間に始まったのか、わかるか? その理由が知りたかったら、ケータイを開いてくれ。それじゃあな!!!」
そういうとメンバーはステージの奥へと消えていった。
ボーカルの言葉の意味がわからなかった男は、自分の携帯電話を取り出した。ロック画面に一番大きい文字で表示されている文字、それは――。
「PM11:11」⑪
デビュー11周年をケータイに表示させるために、このライブは遅い時間から始まったのである。
その意味を理解した男は思わず大きな声をあげていた。もちろん、周りのファンと一緒に。
【完】


[余談] ④貸します の他に、❹歌詞ます と ❹菓子ます を1つずつ入れてみました。
[編集済]

粋な演出とこだわりを持ち続けるロックバンドの話でした。

No.75[太陽が散々]05月26日 07:3606月02日 18:52

【世界よ丸くなれ】

作・太陽が散々 [良い質問]

No.76[太陽が散々]05月26日 07:3806月02日 18:52

ここは病院。
僕は検査を受けている。この世には恐ろしい、怖いものが多過ぎるのだ。

「これから色々なものをあなたに貸します。
そして反応を確認します。
怖くなったら、壊してもいいからね」
④⑦

まず、出てきたのは果物だ。
まん丸のリンゴ、まん丸のぶどう、基本的には大好きだ。③
おっとパイナップルだ。少し恐怖を感じる。

次に様々な電化製品を見せてくる。
これも基本的には大丈夫。たまに怖いもあるけど。
1番怖いのは、延長コードだ。コード部分は大丈夫だけど…⑧

続いて出てきたの本。
文字は基本的に恐ろしいものだ。
小説、漫画、和歌集、どれも怖い。①

お次は色々な仮面だ。②
怖かったり、怖くなかったりだが…
角(つの)があるのは特に怖いなぁ。

映画を見せられた。
ところどころ怖いけど意外と見れるなぁ、とか思ってたら、画面から手が出てくるあの映画だ。別の意味で怖いわ。⑥

次はゲームをする。
「ぷよぷよ」なんかは怖くないのに、「ドラクエ」のスライムは実は怖いんだよなぁ一生勝てない⑤

これで検査終了。結果は後日出るそうだ。

帰り道、辺りは真っ暗だ。⑪
携帯で時間を確認する。
アナログ時計は針が怖いんだよなぁ
携帯なら、怖くない時間もあるから、使っているのだ
そして携帯に映し出された時間は…

11:11

ぎゃああああああああああああ!!!!!!!

【検査結果】
尖端恐怖症

この世界はいささか尖りすぎてる…⑩
全てが丸くなれ…
そんな果てしない夢を僕は願い続ける

【完】
[編集済]

要素の回収が上手くてオチまでスッキリな作品でした。

No.77[夜船]05月27日 00:0406月02日 18:59

【実話スープ】

作・夜船 [良い質問]

No.78[夜船]05月27日 00:0406月02日 18:59

やばい パソコンがフリーズした

きっかけは充電のために伸ばしていた延長コード。
友人とSkypeで会話していたのだが、少々休憩と思って
シリアルを食べようとしたら、その際に延長コードに足を引っかけ、盛大にぶちまけてしまった。
その時の様子を見ていた友人からすると、突然
パソコンの画面へ手が伸びてきているような様子が見えたと同時に、画面が暗転したためびっくりしたという。

画面が暗転してしまったため、一先ずキーボードに入り込んでしまった粉を取ろうと、家にあるスライム型の
キーボードクリーナーを使った。やはり最強のキーボードクリーナーと銘打っているだけあり、細かいものはほぼ全てとることができた。
しかし、少し大きな屑が隙間に噛んでしまっていた。
それを取るのにちょうどいい道具がないかと周りをあさっていると、ちょうどピンセットが見つかった。
それを使って取ろうとしたのだが、いささか尖りすぎていたためごみとともにキーまで外れてしまった。


どうにかキーを付けなおしたものの、やっぱり壊れてしまっており画面が付かなかったため修理に出す。
店頭に持って行って代替機を借り、電源を入れる。パソコンメーカーのII:E2のアイコンが出てくる。
仮面を模したIIE:2の見慣れたアイコン、その後夢を追う棒人間を模したローディング画面をへて、初期設定の画面が開いた。

時間の設定だけでも行おうと携帯をつける。そうして画面に表示されるII:E2の文字
某リンゴの会社の携帯なので
唐突な画面表示に驚く。
    ・
    ・
    ・
しばらくして理解する。
あーこれ画面逆じゃーん。23:11じゃーん。驚きと偶然に少し大きな声を上げてしまった自分に恥じ入りつつ、
パソコンの時間設定をする。
設定を終え、無事に翌日提出の和歌に関するレポート課題を出す。

ほっと一息つき、その日は就寝した。
みんな!パソコンのバックアップは取ろうね!
(余談ですが、これを書いている最中にほんとにシリアルこぼしました。パソコン上じゃなくてほんとによかった。)

[編集済]

パソコンが便利過ぎるからこそいざというときに共感できる作品でした。

No.79[とろたく(記憶喪失)]05月27日 03:0506月02日 19:12

「その時見た月は、何よりも綺麗だった。」

作・とろたく(記憶喪失) [良い質問]

No.80[とろたく(記憶喪失)]05月27日 03:0506月05日 14:43

 白い天井。
 とはいってもあたりは、まだ暗い。
 夢からまだ醒めていないような、そんな感覚さえする。

④耳元で、かし、かし、と何かを削るような音が聞こえる。
③音のする方を向くと、藤原が林檎の皮を剥いている。

 藤原は、そういう奴だ。
 俺が立ち直るようになるまで、ずっとそばにいてくれたのだ。
 林檎の皮は、するすると細い一本の赤い糸のように伸びていた。

「……藤原」
 名前を呼んだ。

 藤原は、林檎を剥く手を止め、こちらを向いた。

 林檎から、滴が溢れて落ちた。







 百人一首大会の日になった。
 心の片隅にある喪失感が、自分の中にあった。
 それでも突き動かす何かが、まだ自分を奮い立たせるようだった。


 序歌が詠まれる。

 神経を、研ぎ澄ませる。


「なにわづに――
 さくや―このはな―ふゆごもり――
 いまは―はるべと―さくやこのはな――

 いまは―はるべと―さくやこの―はなぁ――」



――――――――――――


 高村は、百人一首の札を全て記憶していた。
 相手を札数100対0で打ち負かしたこともあったし、札を覚えるやり方も彼から聞いたことがある。
 ただ、彼から教わったのは少し変わった方法だった。


「とりあえず、お前の苗字と同じ歌人の歌から覚えてみたら?」
「藤原は34個もあるって言ってたじゃん。いきなりそんな数無理だよ」
「大丈夫だって。むしろ何も知らないから覚えられるんだよ、親しみもあるし」
「そういうもの?」
「そういうものだぜ」

 高村はそう言って笑った。
 不安だったが、その時はなんだか頑張れる気もした。


 そんなことを言われてから2年ほど経ったころのことだ。
 高村は、大学対抗百人一首大会の予選中である。

 相変わらず、切れのいい動きで札を取る。
 安定した素早さに安心もするが、時々それが危ういように見えるときがある。

 ……それが、私の思い過ごしであればよかったのだが。

「なに―わづに――」

(……バシンっ)


 高村は、取り札が存在しないはずの序歌でお手付きをした。
「……高村?」


――――――――――――


 俺は1年前から、同じ夢を見る。

 ばらまかれたかるたの取り札を、子どもが一生懸命にかき集めている夢だ。
 その子どもは、奇妙なことに仮面を被っていて、素顔が見えない。

 仮面の子どもは札を全て集め終わると、その札の山を抱えて俺の横を通り過ぎるのだ。

 しかし、ぱた、と小さな音がして振り返ると、札が一枚落ちているのが見えた。
 俺がそれを拾って声をかけると、子どもは振り返る。

「……なに?」
「これ、落としたよ」
「本当だ。ありがとう」

 そう言って子どもは立ち去ろうとする。
 いつもは、ここで目が覚める。
 だけど、今回の俺は仮面の奥の顔が気になって、子どもの頭に手を伸ばした。



 ――自分の顔とよく似ていた。



――――――――――――


 白い天井。
 何もかもが、見覚えのない場所だ。

 ――ここは、いったい?


 あたりを見回す。
 湿布の匂いと、窓のカーテンから漏れる夕暮れの赤い光。

 そして、セーラー服を着た見知らぬ女の子。

「君は……誰……?」


 彼女は驚いた顔をしていた。
 “僕“には、彼女の驚いた理由がわからなかった。



――――――――――――


 私には、彼の身に何が起きたのかわからなかった。

「高村、私を……」
「高村……違う。”僕”は……僕は、《サクヤ》だ」

 サクヤ……?

「君は……君は一体誰なんだ? ここは一体どこだ?」
「落ち着いて、あなたは高村家定なの、サクヤという人はいない。あなたは混乱してる」
「ねえ、答えてよ。君は誰なのか、そしてここはどこなのか」
「ここは病院。大学で倒れてたのを、運び込まれたの」
「そんなはずは……そんなはずはない。僕はずっと……遊んでたんだ」
「遊んでた……?」
「それで散らかしたから、片付けようとして、それで……」

 ……どういうこと……?

 高村は確かにかるたサークルの部室にいた。
 でも、それはかるたをするためではなくて、課題のために使っていたはず……。

 それに……

「……私は、あなたの同級生だった藤原。……覚えてない?」
 彼――サクヤは、首を横に振る。



「軽い心因性の記憶障害かもしれません。何か、前に精神的なダメージを受けたことは?」
「ええ、1年前に、火事で…………」

「…………なるほど。原因としては充分あり得ます。もしかしたら一生戻らない可能性もあります」
 医者がそう言うと、高村のお母さんはショックを受けたように手を口に当てた。
「そんな……何か方法はないんですか?」
「そうですね、治療方法として脳に最も適した刺激を与えると注目されているのはスライム遊びと言われていますが……他に何か、息子さんが好きだったものは?」⑤
「好きな物……ですか……」

 彼の好きな物……

「……かるたは? あなた、百人一首はわかる?」
「……百人一首……」



――――――――――――


「……百人一首……」
「……百人一首? 家定、百人一首は覚えているの?」
 女性……おそらく母親のようだが僕にそう聞き返した。

「……僕は、サクヤだよ」
「何馬鹿なこと言ってるの」
 僕の言葉を信じてはくれなかったが、どこかほっとしたような表情をしていた。
「かるた、すぐ家に取りに行ってくるからね。待っててね」

 そして、急ぎ足で病室を出て行こうとしたが、扉の前で母親は軽くつまづいた。
「ああっ、ごめんなさい。何か抜けてないですか?」
「いえいえ全然大丈夫ですよ、今朝退院した人のを片づけてたみたいですね。でも延長コードが放置されてるなんて危ないなあ、火災事故があったのに。すみません、注意しておきますね。……下まで送りますよ」
 二人は病室を去った。どこか安心している自分がいた。


「……大丈夫?」
 少女……藤原と名乗ったその子は、不安そうに顔を覗く。
 彼女とは初めて会ったはずだ……それなのに懐かしい面影のようなものと、自分の心の中で締め付けられるような痛みがある。
 それでいてとても、暖かい……。

「大丈夫だよ、ありがとう。えっと……藤原、さん」
 藤原さんは、静かに笑った。なんとなく寂しげな気がした。


 そして、彼女は病室を立ち去って行った。

 それと入れ違うように、母親が入ってきた。
 母親の手には、古いながら綺麗な箱のようなものを持っていた。

 箱を渡されたのでそれを開くと、文字の書かれたカードが入っていた。

《なかくもかなとおもひけるかな》
《けふをかきりのいのちともかな》
《いてそよひとをわすれやはする》

 そんな文字が書いてある。
 僕はこれを知っている。だけど……

「……ない。どこにも……」
「ない? 何がないの?」
「無いんだ。欠けてる」
「100枚全部あるじゃない。本当にどうしたの、家定」

 母親らしき人は目を丸くしたが、不安そうに僕を見た。

「……きっと疲れてるのよ、課題もやってたみたいだし。今日はもう寝なさい。すみません先生、とっくに時間を過ぎてるのに……」
「いえいえ、これぐらいでしたら構いませんよ。明日には退院できるはずですから、お母さまもゆっくりお休みください」

 母親は頭を下げる。心配そうにしているが、なんだか素直に受け止められないでいた。

 そして布団の中で、自分のことを思い出してみようとしたができなかった。


 ……


 …………



「なにわづに―」

 声がする。
 この声はどこから聞こえてくるのだろう。

 僕は歩き出す。答えを求めて、もやもやした空間の中を。
 ふわふわした感覚がするが、地に足はついている。

「いまははるべと―さくやこのはな――……」
 確かに近づいているのに、声はだんだんと小さくなっている。


 仮面をかぶった学ランの少年を見かけた時には、もう声は聞こえなくなっていた。

 少年は、ぼろぼろの小さな箱を大事そうに抱えている。
 箱の中身を覗くと、カードが乱雑に積まれている。
 整理されずに入っているので、箱からカードが今にも零れて落ちそうだ。

 少年はその箱を抱えてとぼとぼと歩いてすれ違った。

 そしてすれ違いざまに、ぱたり、と音がした。


 カードが一枚落ちている。
 少年に声をかけ、僕はカードを拾った。

《76:くもゐにまかふおきつしらなみ》





「『わたの原』……って、前にも教えてくれたよね」
「2つあるんだよ。どうせならセットで覚えたいだろ」
「間違えないように?」
「そう。似てるけど、中身は全然違う」
「どんな意味なの?」
「『海広っ、空みたい!』……っていうの」
「……端折りすぎじゃない?」
「本当にそうなんだって。そういう歌もあるんだって」
「えー……?」
「想像してみろって。自分が海へ漕ぎ出して、そしたら白い波がぅわっさー、ってなっててさ、それが空みたいに果てしなく広がってるんだ。まるで自分が青空の中にいるみたいな、そんな感じになるんだよ」
「……なんだかすごく、壮大?」
「だろ? そういうただ純粋に目の前の景色に感動する歌もいいと思わないか?」
「……まさか、わざわざそのために旅行しようなんて言ったの?」
「……そういうんじゃねえよ。俺はただ……藤原、お前に、……」
「私?」
「……なんでもない」





 ……今のは?
 辺りには何もない。だけど、声と風景はまるで昨日のことを思い返したようにはっきりと浮かんだ。

 このカードが見せたのだろうか?
 一体、なぜ……?

「……何ですか?」
「えっ?」

 目の前に仮面の少年が立っていた。
 仮面の奥から、自分と同じ目の色が見えた。

 ――そうだ、このカードを……――


 ……

「……なんでもない」
「……」
 少年は、何も言わずに立ち去った。


 ポケットにしまったカードの感触は、僕をこれ以上ないほどに安心させた。



――――――――――――


 窓からチラつく日の光で目が覚める。

 体を起こすと、俺は見慣れない部屋の中にいた。
 そして、布団の上で散乱している百人一首の札があった。

 ……どうしてこれがここに?
 確か俺、レポートやってたよな?
 もしかして寝落ちした?


 部屋の外に出る。
 ……やっぱり病院だよな。なんでこんな場所に?
 病院の中を歩き回る。ロビーには母さんがいた。
 目が合うと、母さんはすぐに駆け寄ってきた。

「もう大丈夫なの?」
「え? う、うん。なんか心配かけたみたいだね」
 本当にそうよ、と母さんは言った。ちょっと申し訳ない気持ちになった。
「それにしても一生戻らないかも、なんて。お医者様も不安にさせるんだから……さ、退院準備をしましょうか」

 部屋に戻り、二人で散らばった札を片付ける。
 なんだか重たい荷物を降ろした後のように気持ちが軽い。

「百人一首って、母さんが持ってきたの?」
「もちろんよ。だってあなたが百人一首って言うから。本当に好きなのね」

 ……寝言でそんなこと言ってたのか、俺。
 やっぱり大会前にやりすぎたらだめだな。


 残りの一枚の札を手に取る。

《くもゐにまかふおきつしらなみ》

「……こんな札あった?」
「何言ってんの、あなたが一番よく知ってるでしょ?」
「そうだけど……この札に見覚えがないんだよ。まさか百人一首で余分な札があるわけないよね?」
「数えてたけどそれ入れてちゃんと100枚よ。……全く、昨日は札が欠けてるなんて言い出して、今度は余ってるなんて。本当に学校行って平気?」
「……昨日、俺そんなこと言ってた?」
「それも覚えてないの? ……やっぱり昨日からおかしいわね……」

 母さんは心配そうに俺を見る。全く覚えにないことを聞かされて、俺も混乱している。
 ……とにかく、この見覚えのない札が気になるので、帰宅したときに百人一首の表と照らし合わせてみるしかない。

 もしかしたら、やりすぎて記憶が飛んでいるのかもしれない。
 上の句さえわかれば、この札のことも思い出せるだろう。


 帰りの電車の中で札を眺める。やっぱり覚えがない。
 だが、何か引っかかりがあるかもしれないと、つい札を睨む。

 ……やっぱりだめだ。
 色んなことを考えていたら、電車の中で揺られてついうとうととしてしまった。



――――――――――


 車掌に起こされて目が覚める。僕は電車の中にいたようだ。

 回送だというので慌てて外に出る。
 ……どこだろう。また知らない場所だ。

 ただ、辺りを見回すと見覚えのある姿が見えた。確か……
「藤原さん」
 藤原さんは振り返って僕を見た。瞳は透き通るように綺麗だった。
 彼女のことは、やっぱりよく知らない。
 だけど、僕には確かめたいことがあった。

「……ポケットに入っていたんだ」
「ポケットに?」
「なぜだかわからないけど、君に見せたいなって」
「私に……?」
 僕はカードを渡す。
 一瞬ためらったように感じたが、彼女はちゃんと受け取ってくれた。

「……わたの原、漕ぎ出てみれば、久方の……」
 彼女は、歌を詠みあげる。
 静かだけど、綺麗な声だった。


「……懐かしいな」
「僕も、なんだか懐かしい気持ちになれた」
「……どうして、これを私に見せようと?」
「……なんでだろ」

 確かに、彼女に渡すべきだと思ったのだ。
 ただその理由は、僕にはまだ明確にはわからない。


 もしかしたら、このカードは僕から欠けている何かの一部なのかもしれない。
 その記憶を取り戻せば……その理由もわかるのだろうか。


 ……もっと知りたい。
 自分自身のこと、そして彼女のことを。
 彼女と話していると、何故だか懐かしいような、暖かいような、そんな気持ちになってくる。

 その理由を知りたい。
 僕は、自分の欠片を集めることにした。



――――――――――――


 ……最近、眠るのが怖い。
 眠るたびに全く違う場所で目が覚めたり、同じ場所で起きたと思ったら日付が二日後になっていたり。

 それだけじゃない。
 眠りから目覚めるたびに、何か気持ちが軽くなっているように感じる。
 そう、軽くなっている。なのに、なぜか不安な気持ちになる。

 ――まるで、なにか大きな落とし物に気づかないままでいるみたいな……――

 ……どうしよう。ただでさえ学校を休みがちであるというのに、これ以上家族にも友達にも迷惑をかけられない。

 ……××にも、心配させるわけにはいかない。


 …………?

 えっと……あいつの名前は……


 あいつの……名前は…………。



――――――――――――


 夢で拾い集めたカードが40枚ほど集まってきた。

 そのたびに、真っ新な日記を埋めていくように、自分の一部となって記憶が綴られていく。

 ……やはりカードは、欠けた記憶を埋めるものだ。
 これを埋めていけば、僕は自分のことを知ることができる。


 そうすれば、きっと……


「……どうしたの?」
「……まだ信じられないんだ。自分が、もう一つ人格を持ってるって」

 そして、元々の人格が彼であるということも。

 目が覚めるたびに、彼の家族は僕を避ける。
 僕は彼の病気であるから、仕方のないことかもしれないけれど。

「……僕のことを見ようとしてくれない。……君だけだ、僕のことをすぐに気づいてくれるのは」
「……見分け方があるのよ」
「……一体どんな?」
「……内緒」
 ふ、と彼女が笑った。

 スマートフォンの中で見る彼は、とても楽しそうに笑っている。
 ……彼女と一緒に。

 彼女は、藤原さんは、僕と向き合ってくれる唯一の人だ。
 もちろん彼女からしたら、高村の別人格という認識でしかないのだろうけど。

 けどそれが、酷く安らぐ。
 僕はここにいていいのだと、心から思える。

 だから僕は、僕と彼女を繋ぐカードを集める。
 カードは、そのための……僕が存在するためのものだ。


《あわてこのよをすくしてよとや》

「難波潟、短き葦の、節の間も……」
 彼女は再び歌を詠んだ。
 綺麗だけど、素直に素敵だとは褒めたくなかった。

「……彼がうらやましいよ」
「どうして?」
「君が初めて人のために詠んだ歌だから」
「……ちっぽけな理由よ」
 そう言う彼女は、優しく微笑んだ。

「……風邪で1日会えなかったことがちっぽけな理由?」
「……その日は暇だったから、ついでに覚えただけ」
「でも、これは……短い間も思い人に会えないことを嘆いた歌だ」
「……」


「……僕じゃあ、ダメなの?」
「…………え?」

 ……自分の中で、わかってきたことがある。
 夢の中でカードを拾い集めるたび、藤原さんとの記憶も集まっている。

 彼女にカードの意味を教えたり、彼女と過ごした時にカードの歌を思い出していたり。
 高村は、きっと彼女のことが好きなのだろう。

 そして、僕も……


 カードが見せてくれる風景の中の彼女は、とても綺麗で、美しくて。
 泣いた、笑った、喧嘩した、何の変哲もなく過ごした日々さえも。

 どうしてこんなに、愛おしく感じるのだろう。
 どうしてこんなに、狂おしく感じるのだろう。


 ――喉の奥が、せぐりあげるのをせき止めて痛い。
 彼女に惹かれていくたびに、痛みがそれを増していく。

 この感情は、何?
 僕に向けたものではない感情が、そのまま僕の心を揺さぶる。
 同じ風景に映った高村のものではない、この感情は何だと言うのだ?


 知りたくない。だけど知らなくては、僕は僕をわからないままだ……。



⑨僕は果てない夢の続きを追い続ける。
 それが、僕の存在を証明するものであると信じて……


 ……


 …………



「……見つけた」



――――――――――――


 サクヤから取り札を渡されるたびに泣きそうになる。
 高村がどんな気持ちで私に歌を教えてくれたのかと考えるだけで。

 サクヤから想い出を教えられるたびに心が痛む。
 誰かとこうして昔のことを話せるのがこんなに嬉しいと思うだけで。

 彼は彼じゃない。
 けれどサクヤの一部は、私の一部でもある。

 パズルのピースが埋まっていく。
 それだけで、私はまだ私でいられる。
 サクヤもまた、それは同じことなのだ。

 だけど……

 全てがそろった時、”彼”はいったいどうなってしまうのだろう。



――――――――――――


《51:さしもしらしなもゆるおもひを》





「…………かきゅっ」
「……かきゅ?」
「す、すまん間違えた。舌噛んだ」
「もう、しっかりしてよ。大事な話があるんでしょ?」
「お、おう。ちょっと深呼吸するわ。すぅー……はぁー……」
「……落ち着いた?」
「いや、全然落ち着いてない」
「ふふっ、何それ」
「……やめろ、その笑顔は俺に効く」
「何、笑っちゃダメなの?」
「い、いや、ダメじゃない。むしろ笑ってくれ」
「うん、そうする……?」
「なんだその疑問形」
「だってわけわかんないもの。ねえ、ホントに話す気あるの?」
「あ、あるに決まってんだろ。ただちょっと勇気がいるんだ」
「はあ」
「……よし。じゃあいくからな」

「……かくとだにー、えやはいぶきのさしも草ー……さしも知らじな……」
「……さしも知らじな、燃ゆる思いを。……知ってるよ」
「えっ、俺、お、教えたっけ」
「ううん、全然」
「じゃあなんで……」
「……あのね、藤原家出身の歌人は何人だっけ」
「……34人」
「そのうち私に教えてくれた歌は何個ですか」
「……33個」
「そう。気づかないと思ってた?」
「で、でもよ、他の歌だって教えたろ、なんで気づいて……」
「……やっぱりわざとだったんだ」
「あ……」
「それで、この歌の意味は何?」
「し、調べたんなら、わかるだろ」
「あなたの口から。……高村の口から言って」
「……恥ずかしいだろ」
「あのね、異性に和歌を贈るって時点でもう既に恥ずかしいんだからね」
「……『知らないかもしれないけど、俺、お前のことが凄い好きなんだ』」
「……カッコ付けちゃってさ」
「…………顔、真っ赤」
「……ばか」





 ……見つけた。
 彼女と、自分――《高村》を繋ぐ、決定的な何か。
 全体の絵が予想できるほどに、僕はもう高村としての記憶を手に入れていた。

 ……すべて手に入れることができたなら。
 カードを持つ手に力が入った。


 カードが燃えた。


 仮面の少年が振り返った。



――――――――――――


 眠らなければいい。
 眠らなければ、俺はまだ俺でいられる。
 何も失わずに済む。

 消えそうな意識を、なんとか眠気覚ましで持たせる。
 コンセントに繋げたスマートフォンを酷使し過ぎて、スマートフォンが熱くなっている。

 寝てはだめだ。
 寝ては、また大切な何かを失われる。

 それが何かわからなくなってきているが、それでも何かが失われる感覚だけはある。

 これ以上奪われてたまるか。
 俺の中で《それ》は、俺にとってそれは――


「家定」



――――――――――――


「家定」

 叫んでいた。
 届かないとはわかっていても、それでも彼を見てられなかった。

 高村は、徐々に記憶を失っている。
 あの札一枚一枚に込められたものが、だんだん思い出せなくなっている。
 きっとそれは、いや絶対に、サクヤのことと関係している。

 ……なのに私は。

 彼を止めることができない。
 むしろ、私は望んでいる。

 サクヤが高村の記憶を持つことを。
 サクヤが高村として成り代わっていくことを。
 サクヤがいれば、私は私として存在できるから。


 だって、高村は私のことを……
 それなのにまだ、私は高村のことが……


 揺れ動く。
 高村が元気に日々を過ごしているなら私はそれでいいはずなのに。
 サクヤと話すたびに、もしかしたら、やり直せるんじゃないかって。

 ダメなんだ。そんなのダメなんだ。
 高村のために、それは良くないことなんだ。
 私が望んだって意味がないんだ。


 ああ、でも私、私はきっと、これが本心なんだって。

 こんなこと、本当に今言うべきじゃないのに。


「……誰だ……お前、は……」
「……家定……私を……」

 どうか、どうか私を……


「……忘れないで…………」


 ――そして彼は、倒れた。



――――――――――――


 あと一枚。

 あと一枚で、僕は。
 僕を形作るものが、完成する。

 夢の中で歩調が早まる。
 あそこにたどり着きさえすれば、あとはカードを拾うだけだ。


「……?」

 妙だ。
 いつまで経っても、少年の場所にたどり着けない。
 それなのに、ぼろぼろの箱だけ落ちている。しかも、空っぽのまま。

 カードはどこだ?


「……返して」



――――――――――――


 高村は病院に運ばれた。
 高村のお母さんが倒れた高村を見つけて、119番へ通報したのだ。


「……まずいかもしれません」
「そんな……家定はただの寝不足ですよね? そうですよね?」
「……そうですね。ただ、最近の息子さんはいささか神経が尖りすぎていたようにも感じましたから……」⑩
「それがどうだって言うんです、あの子はかるたをやっていただけで、それがどうしてまずいことになるんですか」
「……前に、息子さんは人格が入れ替わっているという話を?」
「え、ええ。もちろん覚えてます。もう一つの方も実際に……」
「その時、そのもう一つの人格と距離を置いて接していませんでしたか?」
「……」
「……お気持ちはわかります。自分の子どもがまるで別人のようになってしまったら、接し方がわからなくなってしまうでしょう。それを責めることまではしません。でもね」


「接し方一つで、人の心は簡単に壊すことだってできるんですよ」⑦


 高村のお母さんは、青ざめた顔をしてベッドの前で崩れた。

 私はそれを、黙って見ているだけだった。



――――――――――――


「……返して」

 振り返る。
 仮面の少年が、そこに佇んでいる。
 仮面の奥の目が鈍く光っている。


「俺の思い出を返して」
 静かに少年はそう言った。
 わけがわからないまま聞き返した。

「……どうして今更そんなことを言うんだ」
「それは俺のものだから」
「じゃあ、今までどうして取り返そうと思わなかった?」
「……」
「ずっと前から気づいていたくせに。僕が集めていたのを知っていたくせに」
「……」
「どうして君は、カードを落としていたんだ?」
「……」

「答えがないなら、これは僕のだ」
「違う!!」
 少年は叫んだ。仮面が今にも落ちそうだった。

「お前は知らないんだ、どうしてこれが俺の一部なのか、どんな思いで俺がこれを持っていたのか……」
「それは君がこれ以外に何も持ってないからだ……!」
「……っ」
 少年は言い返さなかった。……いや、言い返せなかったんだ。
 もう、僕は彼のことをほとんど理解していたから。

「君が唯一他人から認められた理由が、かるただった」
 彼にはかるたしかなかった。
 それがなければ、彼女にはおろか他人にさえも存在を認められていないほどに。
「それを落としたらどうなる? 君は何もできない、無力な人間だ」
「……」
「……それだけじゃない。君がこれを落としただけで、彼女は……」


「……藤原さんは、心から笑うことができない……」

 ……ずっとそうだった。
 カードを渡すたび、彼女は微笑んでいた。
 だけどそれは、昔を懐かしんでいるだけで、今を楽しんでいるようにはちっとも思えなかった。

 それは確かに僕が君の記憶を奪っているからなのだろう。
でも、それでも……

「……最初に落としたのは、君だ」

 僕は少年から仮面を引き剥がした。
 僕が彼と代わるために。

 そして……最後のカードを手に入れるために。


「やっぱり……仮面の裏に潜んでたんだな」②

 彼は、僕が彼の体を乗っ取らないようにずっと潜んでいた。
 眠っていたけれど、ずっと表に出ていた僕を監視していた。

 でもそれも、今日までの話だ。

 仮面の裏にあるカードを剥がす。

「……これで僕は、僕として存在できる――」



《11:ひとにはつけよあまのつりふね》






「お父さん、死んじゃった」
「……」
「明日葬式だって」
「……そっか」
「……これ、あげる」
「これは……?」
「百人一首。もう持ってるだろうし、ぼろぼろだけど」
「……お父さんの形見じゃないのか」
「だって、私が持ってても使わないもの。言葉の意味もわからないし」
「……」
「……だからさ、高村が持ってて。もう私、お父さんのこと忘れたいから」
「そんな言い方……」
「本当にそうなんだもの。……最期まで、何考えてるかわからなかった。……辞世の句なのかわからないけど、『わたの原、や……』……もうそれすらも覚えてないや」
「……八十島かけて漕ぎ出でぬと、人には告げよ海人の釣舟……」
「そう、それ。……本当にわけわかんないよね」

「……『遠い遠いところにいるから、私は元気だと伝えてほしい』……」
「え?」
「……本当は、こんな時に詠む歌じゃない。だけど……」
「……だけど?」

「……忘れたらダメだ、お父さんのこと。お父さんは、藤原のこと……大事に想ってる。死んだ後も」
「……どうしてそんなことがわかるの?」
「わかるさ、だってこれは…………」
「……?」
「……二度と会えないと承知で詠んだ歌だから……」
「……」
「……ごめん。こんなこと言って」
「…………知ってたら、もっとお父さんのこと、知れたかな」
「……」

「……ねえ」
「……なに?」
「高村は全部、歌の意味を覚えてるの?」
「いや、これはたまたま……小野篁が詠んでたから」
「……《たかむら》だから?」
「まあ…………うん」
「……作者で覚えてる人初めて見た」
「だ、だって親近感あるじゃん……」
「……ちなみに藤原はいるの?」
「いるよ。だって平安時代だから。34個ぐらい」
「うわ、そんなにあるんだ……ねえ」
「ん?」
「……やっぱりこれ、私がもらっていい?」
「そりゃ、だって俺、貰うつもりないし」
「そっか。……100個全部覚えられるかな」
「俺が教えるから……約束」
「……うん。……約束」





 ……これで全部だ。

 だけど――僕は彼から、彼を奪えなかった。


 百人一首は、自分のためではない、彼女のためだった。
 彼女が悲しみを乗り越えるために、初めて意味を持ったのだ。


 ――この100枚は、あくまで彼の一部でしかなかったのだ……――


 だからいつも、思い出の中に彼女がいたんだ。
 だからいつも、少年はぼろぼろの箱を大事に抱えていたんだ。


 ……そうか、僕は……

「……最初から、君の代わりにはなれなかったんだな……」



 ……ふと、最初から覚えていた歌を、口にする。

「……難波津にー、咲くやこの花、冬ごもりー……今は春べと、咲くやこの花ー……」

 忘れかけていたが、本来の目的はこの歌を探すためだった。
 結局この中には、そんな歌はどこにもなかった。

 この歌は序歌といって、百人一首のはじまりを告げる合図らしい。
 つまり、百人一首に関わる人で知らない人はいないといってもいいだろう。

 僕は、そこから生まれた。百人一首が、僕の全てだから。


 ――じゃあ彼は、なぜこの歌を忘れたんだ?

 これがなければ百人一首はできない。
 彼女の箱を大事そうに抱えているほどの彼が、一体なぜ…………






 …………待て。



 ……どうして彼は彼女が持っているはずの箱を抱えている?


「……っ!!」



《セーラー服を着た見知らぬ女の子》
《彼女は驚いた顔をしていた》
《大学で倒れてたのを、運び込まれたの》
《私は、あなたの同級生だった藤原。……覚えてない?》
《延長コードが放置されてるなんて危ないなあ、火災事故があったのに》⑧
《入れ違うように、母親が入ってきた》
《すみません先生、とっくに時間を過ぎてるのに》
《一瞬ためらったように感じたが、彼女はちゃんと受け取ってくれた》
《見分け方があるのよ》

 記憶が流れ込んでくる。今まで僕が僕として存在していた時の記憶だ。
 そうか、彼女は、もしかして彼女は…………


 いや、それだけじゃない、もっと確実な手がかりがある。
 あれは僕がまた生まれたばかりの時だ、母親がまだ彼を二重人格ではなく記憶障害だと思っていた時のことだ。

 思い出せ、僕が聞き逃した、その会話を。


《何か、前に精神的なダメージを受けたことは?》
《ええ、1年前に、火事で…………》



《  ……恋人を、亡くしてるんです……  》



――――――――――――


 白い天井。

 ずいぶんと眠っていたような、そんな感覚さえする。
 あたりを見回すと、お母さん、高村、高村の家族やクラスの友達……

 ……とにかく、私と親しい間柄の人たちが私を取り囲んでいた。

「あれ? みんな、どうしてこんなところにいるの?」

 返答はない。まるで私の声が聞こえてないようだった。
 だが、視線は集中して、ベッドの方を見ていた。


 振り返る。



 白い布を被った私がいた。


 1年ほど前のことだった。



――――――――――――


「……お前は間違ってない、何一つ」

 学ランの高村は言った。

「確かに俺は、かるたしか取り柄がない。かるたなくして、俺の存在する価値はなかった」
「でも、君は、彼女のために」
「確かにそうだったと思う。だが、彼女のためにやっていたことは、いつしか俺のためにもなっていた」
「……」
「……藤原を元気づけたいだけだった。でもそれがだんだん、藤原と俺を繋ぎとめたいがための口実になっていった」
「……彼女が、自分の全てだったから」
「……自分にそれを言われるのは、なんだか妙だけど」

 彼は笑った。だけど、弱々しかった。


「……だから俺は、もう百人一首ごと全部捨ててしまおうと思った」
「……どうして」

「――どの札を見ても、思い出してしまうから」
 箱の中身に目を落とす。中身は、空っぽのままだった。

「……言いたい事はわかってる。最後の一枚を見たら、尚更思うよな」
 彼は、死んだ彼女を忘れようとした。
 確かに全部集まるまでの僕が気づいていたら、それを非難したと思う。
 藤原さんのことを考えたら、そんなの彼女を殺したも同じだ、と。

 だけど、今は……

「……わかるような気がする」
「お前が?」
「カードを集めるたびに、胸が張り裂けそうだったから」
「そうか……それは、悪いことをしたな……」
「いいよ。おかげで、自分のことが知れたから」

 僕は笑った。なんだか、気分が軽かった。
 もう自分はそこには行けないけれど、それでも大事な物を取り戻すことができたような晴れ晴れとした気持ちだった。


「……お前の」

 僕が立ち去ろうとしたときに、彼は声を発した。

「お前の名前……知らないんだ」
「……今更いいだろ、僕はもう表には出ないんだから」
「それでも……ずっとお前じゃ、申し訳ない」

「……サクヤ。サクヤだよ」
「サクヤ……? なるほど、だから……」
「?」
「い、いや、こっちの話。それより、……ありがとう。俺が捨てようとしたものを、拾ってくれた」
「……自分のことしか考えてなかっただけだよ」
「それでも……本当に大事なものだった。お前はそれをわかっていた。だから……」
「……あのね、君は勘違いしてるよ」
「……?」

 彼はわかっていないようだ。
 はあーあ、ほんと僕って、最初から勝ち目ないんだよなあ。


「……ほんと、君がうらやましいよ」

 僕は、手に持った仮面を彼の顔に押し付けた。



――――――――――――


 白い天井。
 とはいってもあたりは、まだ暗い。
 夢からまだ醒めていないような、そんな感覚さえする。

 耳元で、かし、かし、と何かを削るような音が聞こえる。
 音のする方を向くと、藤原が林檎の皮を剥いている。

 藤原は、そういう奴だ。
 俺が立ち直るようになるまで、ずっとそばにいてくれたのだ。
 林檎の皮は、するすると細い一本の赤い糸のように伸びていた。

「……藤原」
 名前を呼んだ。

 藤原は、林檎を剥く手を止め、こちらを向いた。

 林檎から、滴が溢れて落ちた。



 スマートフォンを取り出す。
 カメラを起動する。
「――あ、待っ……――」


 彼女はスマートフォンのカメラを手で塞ごうとした。
⑥だが、その彼女の手は、スマートフォンの画面からすり抜けただけだった。

「……やっぱり映らないよな」
「……」
「……久しぶり。って言っても、お前ずっと近くにいたんだっけか」
「……うん」

 彼女は、昔とまるで変わっていなかった。
 当たり前だけど、何故だかそのことが嬉しいとも思った。

 試しに彼女に触れてみる。やっぱり、感触はない。
「……何が違うんだろうな。お前の触れるものと、そうでないもの」

「……私が触れるのは、私への思いが詰まったものだけ」
「……そうなのか」

 彼女は頷いた。色々試したら仏壇に供えられた果物や自分の持ち物には触れるが、人間には触れない、とも言った。

「だから、かるたに触ることができた時ね……凄く嬉しかった。でも同じくらい、辛かった」
「……悪い」
「ううん、だって私、最初は家定が私を見えなくてむしろ良かったって思ったの。そして、早く私のことを忘れて、いい人を早く見つけてって」
「……」
「……でもね、サクヤと出会ってから……それが間違ってたって、ほんとは私のことを覚えててほしい、私が見えるようになってほしいって、気付けたんだよ」
「……」
「……ごめん。こんな、めんどくさい女で」
「……いや、いい。俺も、忘れるべきじゃなかった。けど……忘れなければ、俺も一生お前のことが見えないままだったとも思ってる」

 百人一首を見るたびに思い出す。
 歌に込められた思いと、彼女との思い出を。

 だけど俺は、ずっとそれを引きずり、そのまま逃げて周りを見ようともしなかっただろう。

 だから一度失ったことも、失ったものの大きさに気づけてから取り戻せたのも、決して欠かすことのできない道のりだったのだ。

「……もう大丈夫だ。……俺は、ちゃんと前を向けるよ」
「……良かった」
 彼女は笑った。相変わらず、綺麗な笑顔だった。

「……やっぱりお前は、笑ってる顔がいい」
「ふふ。……いっつもそればっかりいうんだから。……あ、そうだ、はい」

 渡されたのは、百人一首のカードだった。
 全て揃って箱に入れられ、整理までされている。

「……返すよ、これ」
「……元々お前のだろ」
「まあ、そうだけど……ほら、相手いないから」
「……お前のお父さんがいるだろ」
「だからー……、あーもう、女心ぐらい察してよ!」
「……冗談だよ。これは、俺が持っておく」

 ……お前との思い出が、たくさん詰まったものなのだから。


「……じゃあ、私、行くね」
「ああ。……じゃあな」
「うん。……バイバイ」


 月の向こうへ、彼女は消えていった。
 彼女とはもう、二度と会えないだろう。


 スマートフォンの画面を開く。

⑪時刻は、11時11分を指していた。

 ふと思い出す。
 11番目の歌は…………



「…………咲耶…………」


 彼女の名前が零れて、大きく響いた。
 スマートフォンの画面に、雫が落ちていた。



 百人一首大会の日になった。
 心の片隅にある喪失感が、自分の中にあった。
 それでも突き動かす何かが、まだ自分を奮い立たせるようだった。


 序歌が詠まれる。

 神経を、研ぎ澄ませる。


「なにわづに――
 さくや―このはな―ふゆごもり――
 いまは―はるべと―さくやこのはな――

 いまは―はるべと―さくやこの―はなぁ――」





《要約》

ロック画面で11にちなんだ歌を思い出す。
そして、死んだ恋人との写真を見て思わず名前を呼んだ。







――――――――――――


 ――その夜、同じ夢を見た。

 仮面をつけた子どもが、一生懸命に散らばった札を集めていた。


 集め終わった札を抱えて、子どもはそのまま走っていった。

 案の定札がひらりと落ちたので、拾ってやる。

「……落としたよ」
「……ありがとう」

 子どもはそのまま去ろうとする。
 だけど、俺は思わず声を掛けた。

「――おい!」

 振り返る。子どもは、耳を傾けている。

「もう、なくすなよ」
「……君もね」

 そう言って子どもは仮面を外した。
 そして、俺に仮面を投げた。


「……忘れちゃダメだよ!!」①

 子どもの顔は、確かに俺だった。

 投げられた仮面には、見覚えのない札が一枚貼られていた。




《いまははるへとさくやこのはな》


「…………当たり前だろ、《サクヤ》」



 この歌がなくては、始まらなかったのだから。




《結》


[編集済]

百人一首とストーリーが綺麗に噛みあった物語でした。 [正解]

No.81[とろたく(記憶喪失)]05月27日 15:4906月02日 20:12

「企業戦士、転じて仮面戦士」

作・とろたく(記憶喪失) [良い質問]

No.82[とろたく(記憶喪失)]05月27日 15:4906月02日 20:12

出演

針木 キタロウ(しんき-)
南  天馬  (みなみ てんま)
針木 ニシキ (しんき-) (本日欠席)
星野 月子  (ほしの つきこ)
星野 大洋  (ほしの たいよう)

東  梓馬  (ひがし あずま)

用語(雰囲気で楽しんでいただければ)

バイク:デザードシップ(DS) 砂漠のデザートと船のシップ
船を模したバイク 望遠砲が内蔵
ベルト:サンドレーダー(SR) 砂のサンドとレーダー
    基本は羅針盤の形で進むべき方向を示してくれる 腰に装着するとベルト
敵怪人:グラビティ 黒くべたべたした何か
    人間に憑りつき、人間を吸収する。炎が苦手




《仮面ファイター第二話》

0:あらすじ、前話カット

(天馬)
……砂漠を歩いていた針木キタロウとその弟・針木ニシキは、オアシスの中に落っこちてしまう。
するとそこは現在のトーキョーの上空と繋がっていた。
そこで通りかかった南天馬に衝突し、そのまま成り行きで彼が出入りしている太陽研究所へと居候することとなる。
一方、現在のトーキョーは突如出現した黒い塊、グラビティによって人々の命の危機が迫っていた。
そこで登場したのが、仮面ファイター・ポラリス……
……針木キタロウが転身した姿だった。


1:太陽研究所、休憩室内

(テレビ)
今朝、黒い物体が人々を大量に襲う事件が発生しました。
なお、この化け物は専門家によりますと、風ではなく磁力のような引き合う力によるものだとされ、通称「グラビティ」と呼ぶことを発表しました。
その際グラビティによる甚大な被害を止めたのが……

(キタロウ)
いっ……てぇえーーーーーーっ!!

(月子)
ちょっとキタロウくん、動いたら危ないでしょ?
全く、急に飛び出したと思ったら、こんな怪我して帰ってきて。
ニシキくんもずっと気を失ってるし。
一体何したらこうなるんだか。ねえ、天馬くん?

(天馬)
は、はは、そうですね……

(月子)
それにしても、このテレビに映ってる人、一体誰なんだろうね?

(天馬)
ああ、誰なんでしょうね……


2:回想・帰り道

 天馬がニシキを担いでいる。
④キタロウは足をひきずり、天馬は肩を貸している。


(キタロウ)
……ポラリスのこと、誰にも言わないでおいてもらえますか?

(天馬)
どうして?

(キタロウ)
グラビティは、仮面ファイターを優先して狙ってくるんです。
みんなを巻き込んでしまうかもしれませんから。

(天馬)
……もしかして、前にも同じことが?

(キタロウ)
……はい。それで大事な人が、何人か……

(天馬)
……そっか。……わかった。そういうことなら、誰にも言わないよ。
大丈夫、僕は口が堅いから!


3:研究所、休憩室内

(天馬)
とは言ったものの……

(天馬・心の声)
っあー! いいなあ! 超かっこいい!
正体不明のヒーローなんて、渋すぎるでしょ!
テレビでも報道されまくってるし、初日でファンクラブもできたようだし、なんて羨ましすぎるんだ! 隠しておくなんてもったいない!
絶対に僕なら「それ、自分がやってるんですよ」とか言いたい!
い、いやしかし、守ると言った手前、破ったらダメだよな、うん。
だけど……ああーっ! 本当に僕とは大違い……

(月子)
天馬くん。……天馬くん?

(天馬)
は、ハイっ! 何も隠してませんっ!

(月子)
……何の話?

(天馬)
……あ。いやいやいや、本当に、何でもないです。

(月子)
そう。それならいいけど……天馬くん、もう会社に行かなくて平気?

(天馬)
……あ! そうだった……もうこんな時間になってたんですね。それじゃ僕はこれで……


 天馬、休憩所を出る。


(キタロウ)
あれ? 天馬さんはここの研究所で働いてるんじゃないんですか?

(月子)
ああ、それはね……

(大洋)
説明しよう!! (と、二人の間ににゅっと出てくる)

(キタロウ)
うわああっ!

(月子)
お父さん!

(大洋)
彼はな、あの謎の黒い物体の対策を練る会社に勤めているのだ。それで科学者などの意見を聞くために、ここに通っているというわけさ。

(月子)
本当は報告書だけでもいいんだけど、ちゃんと説明できるようになりたいからってわざわざ来てくれるの。

(大洋)
いやあ熱心な若者だよ。仕事だからって適当にしたりしない。
太陽人の仮説も聞いてくれるし、きっと会社でも優秀だ。
月子の旦那に欲しいぐらいだ。

(月子)
も、……もー! 何言ってるの、お父さん! (と大きな音を立てて背中を叩く)


⑦大洋、壁を壊すほどに叩きつけられ、気絶。


(月子)
あ、ごめん。

(キタロウ・心の声)
……あそこ、今朝望遠砲で焦がしたところを修理してなかったっけ。


4:プラネタホールディングス、オフィス

 天馬がパソコンのキーボードをイライラしながら叩いている。
 後ろから、同僚・東梓馬が天馬の首筋に冷たいソーダを当てた。

(天馬)
ぉわっ……なんだ、梓馬か……

(梓馬)
よう。……なんかやけにイライラしてるな?

(天馬)
イライラもするよ。くっそーあの上司、僕に対してだけいささか言い方にトゲありすぎじゃない?⑩

(梓馬)
あの人は割とそうだろ。男には冷たく当たる。

(天馬)
にしたって、なんでわざわざみんなのいるオフィスで言うんだよ。あの人声大きいし。

(梓馬)
なんだ、そうだったのか。それは是非その場に居合わせたかったな。

(天馬)
やめてくれよ、ホントに腹立ってんだからさ。

(梓馬)
ま、過ぎたことに腹を立てても仕方ない。そうだ、今日は昼過ぎに上がれとのことらしいから、帰って休んだらどうだ?

(天馬)
そうなの?

(梓馬)
なんでも、ヘタった延長コードを交換するらしい。業務に支障が出そうだから仕事するな、だってさ。⑧

(天馬)
またか? 今月入って二回目だぞ。
しかも繋いでるの、この前導入した林檎社の最新式ワックだろ? ……そんなすぐに?③

(梓馬)
俺たち下っ端が気にしてもしょうがない。とにかく、お前も一息どうだ?

(天馬)
……僕、炭酸飲めないんだけど。

(梓馬)
俺たちの果てしない夢を追いかけるなら、何事も挑戦だ。⑨

(天馬)
……「茜さす」か。

(梓馬)
そう。和歌の枕詞で、俺たちの合言葉だ。忘れちゃいなかったみたいだな。①

(天馬)
もちろん。お前との約束を、忘れるものか。

(梓馬)
なら、ほれ。

(天馬)
…………。


 梓馬は缶を飲み干し、遠くにある缶ゴミに正確に投げ入れる。
 天馬が缶を開けようとした瞬間、警報が流れる。


(社内放送)
緊急事態発生、緊急事態発生!
社内にグラビティが侵入、すでに職員たちが大量の被害を……きゃああーーー!!
(バックに大勢の人の叫び声。大きなノイズを立てて切れる)

(天馬)
まずい……!


 天馬はスマートフォンに電話をかける。


5:太陽研究所、休憩室内

(月子)
ん? 天馬君からだ……はい、もしもし。どうしたの?

(天馬・電話)
月子さん! 今、そこにキタロウくんはいる?

(月子)
え? まあいるけど……

(天馬・電話)
代わってほしいんです!

(月子)
え、ええ……

(キタロウ)
? ……どうしたんですか?

(月子)
天馬くんからよ。なんだか急ぎみたいだけど……

(天馬・電話)
キタロウくんかい? 急いできてほしいんだ! グラビティが……!

(キタロウ)
っ、すぐに行きます!! (電話を切る)

(月子)
天馬くん、なんだって?

(キタロウ)
忘れ物らしいです!

(月子)
あら、それは大変……

(キタロウ)
ということで、デザードシップ、借ります!!

(月子)
え? ちょ、ちょっと……!


 キタロウ、デザードシップに乗って研究所内を出る。


(月子)
……もう、大事な発明品なのにー……ねえ、父さ……
父さん? あれ? どこ行った?


6:プラネタホールディングス、エントランス内

 逃げまどっている人々を、グラビティが襲っている。


(梓馬)
なあ、一体どうするつもりなんだ!?

(天馬)
助けを待つんだ!

(梓馬)
助けを待つったって……出口はもう使えっこない、逃げるのをそのまま襲われるのがオチだ!

(天馬)
大丈夫、彼なら……彼なら、来てくれる……!

(梓馬)
彼って、一体誰の……


(SR)
ファイトスタイル! ポラリス!

(天馬)
この音は……!


 天馬が振り向くと、SRを装着したキタロウ。
 SRの起動音に合わせてポーズを取る。


(キタロウ)
…………転身!


 キタロウ、仮面ファイターポラリスに変化。


(SR)
レイド! ポラリス!

(天馬)
キタ……じゃなかった、ポラリス!

(ポラリス)
グラビティ! 俺が相手だ!

(グラビティ)
ウウ……ウウウ…………


 グラビティはポラリスめがけて近づいてくる。
 グラビティから出るスライム状の何かを、ポラリスは避ける。
 そして、ポラリスはグラビティをなぎ倒す。


(ポラリス)
生まれたばかりのグラビティか。
人間をあまり食べきってはいないようだが……これ以上やらせはしない。

(グラビティ)
ウグ……ウオオオ……

(ポラリス)
とどめだ、望遠砲を……!

(グラビティ)
グワアアアアア!!


 グラビティの咆哮。周囲の人間たちは怯む。


(グラビティ)
マダ……タリナイ……

(ポラリス)
……え? 喋った……?

(グラビティ)
スライム状ニ……スライム状ニシテヤル……ミンナミンナ……
ソシテワガぐらびてぃハ………スベテノ頂点ニ……⑤

(ポラリス)
どういうことだよ、一体どうして……!

(グラビティ)
邪魔スルモノハスベテ食ッテヤル!!


 グラビティは触手のようなものを伸ばした。
 その先には、天馬がいた。


(ポラリス)
……天馬さん! 危ないっ!!


 鈍い音がした。
 天馬は目を見開いた。
 ぐちょり、と粘ついた黒っぽい水が落ちた。
 梓馬が、グラビティに吸収されていた。


(天馬)
……梓馬……?

(梓馬)
……へへ……やっぱ間に合わなかっ……た……か…………

(天馬)
梓馬ァァーーーっっ!!!

(グラビティ)
グオオ……チカラダ……チカラガワイテクル……
オマエモ食ロウテヤル……

(ポラリス)
させないっ!!

(グラビティ)
ジャマヲ……ジャマヲスルナ……

(ポラリス)
天馬さん! 早く避難するんだ!

(天馬)
キタロウくん……梓馬が……梓馬が……!


 グラビティとポラリスは激しい攻防を繰り広げている。
 しかしグラビティが咆哮して怯んだ隙に、ポラリスは床に突っ伏する。
 そしてポラリスの変身が解ける。


(キタロウ)
……ぅぐ……

(天馬)
キタロウくん!!

(キタロウ)
大丈夫、です……、がぁっ……!


 キタロウはグラビティに吸収されかかっている。


(キタロウ)
天馬さん、お願い、が……
……この、サンドレーダー、あなたが、持っててくだ、さ……

(天馬)
そんな……君は! 君は一体どうするんだ……!

(キタロウ)
だい、じょうぶ、です……きっと……信じてますから……

(天馬)
信じるって、何を!?

(キタロウ)
…………(ほとんど吸収されている状態。口元しか見えない)

(天馬)
キタロウくん!!

(キタロウ)
……「茜さす」……

(天馬)
……え?


 キタロウは吸収される。
 その際に少しだけ、口の端が上がったような気がした。


(天馬)
どうして、君がその言葉を……?
……「茜さす」…………


すると、SRが起動。画面には、《認証完了》の文字。


(SR)
……ファイトスタイル! クロス!

(天馬)
……え? ……クロス?
……一体、誰の事?


⑥SRの画面から、正面を指差す様に手が表示される。


(天馬)
お、……俺!?

(SR)
イェーッス!

(天馬)
じ、じゃあ……えっと…………転身!
……あ、あれ?

(SR)
ポーズツケテ!

(天馬)
ええっ! あれ必須なの!?


 天馬、SRの音に合わせてポーズをたどたどしくとる。


(天馬)
…………転身!


②天馬、仮面ファイタークロスに変化。


(SR)
レイド! クロォオーッス!

(天馬)
ほ、本当になってる……
一会社員だった俺が……こんなのと戦えるのか……?

(SR)
ジブンヲシンジテ! ナニゴトモチョウセン!

(天馬)
……そうか……そうだった。
自分を信じて、みんなを助けなきゃ!
でも、どうやって?

(SR)
ボウエンホウ!

(天馬)
ああ、そうだったそうだった。
よし、くらえぇえーーっ!!


 DSから望遠砲を取り出し、それを使う。
 太陽光が集まり、グラビティに命中。
 そのまま、グラビティは燃え、散り散りになる。
 キタロウや他の人々が解放される。


(天馬)
キタロウくん!!

(キタロウ)
……やっぱり……あなただったんだ……

(天馬)
ああ、使うことができた! ありがとう、君のおかげで……
でも、いったいどうして……

(キタロウ)
……あの、友達の方はいいんですか?

(天馬)
ああ、そうだ、梓馬は? 梓馬はどこに……


辺りを見回す。
だがその中に、梓馬らしき人はいない。


(天馬)
そんな……いない……

(キタロウ)
……帰っただけかもしれません。俺たちも帰りましょう。

(天馬)
そう……だよな、きっと帰っただけだよな……
……しかし、今日はやけに明るいね。もう夜のはずなのに……


キタロウ、天馬に肩を貸す。
出口へと向かっていく二人を、星野大洋が壁の裏で見ていた。


6:トーキョー、とあるビル

 窓の景色を眺めている男性と秘書。コーヒーを嗜んでいる。
 あたりはとても明るく、男はにやりと笑う。


(男)
日辻よ、今何時何分だ?

(秘書)
……11時11分です。

(男)
それに狂いはないか?

(秘書)
はい、少なくとも。

(男)
……君はアナログ時計だからな。スマートフォンではどうだ?

(秘書)
……23時11分ですね。⑪

(男)
素晴らしいっ!! 大幅に日照時間を更新している!
全て順調だ、全て計画通りだ。

(秘書)
……。

(男)
おっと、声が大きすぎたか。いやしかし、こんなにうまくことが運んでいると、どうにもにやけが止まらなくてね。

(秘書)
……だからこそ、油断は禁物かと。

(男)
わかっている。……だが長年の願いが叶う。今までの苦労が報われる……




《第二話 終》



《要約》
初めて見る白夜だったのでテンションが上がった。


[編集済]

ピンチ、駆けつけるヒーロー、熱い展開!少年漫画のような王道ストーリーでした。

No.83[ラピ丸]05月28日 18:2906月02日 20:23

「三月、茜色のキーホルダーと夜半の流れ星」 [編集済]

作・「三月、茜色のキーホルダーと夜半の流れ星」 [良い質問]

No.84[ラピ丸]05月28日 18:3006月02日 20:23

【解説】

 雲雀が空を気持ち良さそうに泳ぐ晴れの日、委員会の定期会合終わりの俺は、心地よい陽光の中、疲れる体にムチ打ちながら、高校生らしく部活動へと向かっていた。
 鞄につけているキーホルダーの『和歌丸くん』も、心なしか憂鬱そうである。①

「それでね、凄いんだよ最近のVR! 画面から手が伸びてきたと思ったら、空に飛んじゃって」⑥

 隣で楽しそうに目を輝かせるのは、同じ天文部に所属するミナミ。女みたいな名前で、遠目から見ると女にしか見えない奴ではあるが、れっきとした男である。
 コイツも委員会終わりに部室に向かっていた所で、先程偶然出会ったので一緒に行くことになったのだ。

「とにかく、ラテランドのVRプラネタリウムすっごく楽しかったからさ、今度みんなで遊びに行こうよ!」
「んー、確かに面白そうではあるが、なんだか酔いそうだから俺は別にいいかな」
「大丈夫だよ。セイが酔うのは自分にだけでしょ?」
「よし、喧嘩だな買おうじゃないか」

 餅は餅屋、鍵は鍵屋と相場は決まっているが、しかし天文部が天文かと言われると、答えは今も昔も決まってノーである。
 かつての天文部は掲げた名前と裏腹に「部活面倒、しかし帰宅部は格好がつかない」なんてワガママな奴らの溜まり場だった。
 かくいう俺だって、気楽に放課後のんびりできると思って天文部に入部したのだ。なのに……。

 ヒドく生産性のないくだらない事を言いあったり、頭の中でグルグル考えたりしている内に、気がつけば部室に着いてしまっていた。
 職員室の鍵受けに部室の鍵はなかったから、十中八九、あの女は既に中にいるのだろう。
 小さく、もはや習慣となったため息を一つついて、年季が入って古ぼけたブラウンの木製ドアを、音を立てないようゆっくり押し開ける。
 中に目を向けると俺たちの気配を察知したのか、振り返ってニヤリと笑った女子生徒と目があった。

「遅い! 待ちくたびれたじゃない!」
「悪いな、アズマ。委員会が長引いた」

 アズマはそれには応えずに仁王立ちのまま腰に手を当てる。
 肩のあたりで切りそろえられた艶やかな黒髪。印象的な大きな目は、端の方がキリリと吊り上っていて少々威圧感を出している。体は決して大きくない、むしろ小柄な方だろうに、放たれるオーラは不思議と大きく感じられる。
 明眸皓歯というに相応しい彼女は、俺たち二人を順に眺めると意気軒昂に手を一つ打った。

「それじゃあさっさと、席につけ!!」

 鞄にぶら下がる和歌丸くんは、困った顔をしてるように見えた。



 アズマという女の入部は、結果的に天文部に大きな変化をもたらした。
 『この腑抜けた部活を、超面白い部活に変える!』との第一声を残した彼女は、持ち前の奇天烈な活動力によって形だけの抜け殻部活を得体のしれない不可触部活にしてしまったのだ。
 簡単にその業績を述べるなら、放送室をジャックして昼の落語拝聴会を開催、学校中の延長コードをかき集めて中庭に電灯魔方陣形成、文化祭にてフラッシュモブならぬフラッシュサスペンス劇場を実行、エトセトラエトセトラ。⑧
 おかげで、かつて十余人を持て余していた天文部に所属しているのは、今日ではアズマ本人と物好きのミナミ、抜けるタイミングを失った俺の三人になっている。
 しかも辞めていった元部員に対して当の元凶は『根性がなかったのよ』でバッサリだ。実に無慈悲なことか。
 そんな悪魔の皮を被った変態のアズマが、

「今日は何の日かわかる?」

 六人がけのテーブルに腰を落ち着けた俺たちに、ホワイトボードをコツコツ叩いてたずねてきた。
 どうでもいいけど六人がけでまだまだ席は空いてるのに、なんでミナミは俺の横に座るの?

「何かの記念日だったか? 桃の節句は先週だったろ」
「アレじゃないかな、流星群。最近テレビでよく言ってるでしょ」
「さっすがミナミ君! 部長として鼻が高いわ! それに比べてセイは……」

 アズマはどうしようもないと諦めたように肩をすくめる。おい、残念なものを見る目で俺を見るんじゃない。

「いや、俺だってそれくらい知ってたさ。ただ、アレ今日だったっけか? てっきり週末あたりとばかり思っていたが」
「今日よ。とぼけちゃって。本当は忘れてたんでしょう? 天文部としての自覚が足りないんじゃないかしら」

 自覚なんて高尚な代物、適当な志望で入部した俺には始めからない。
 今列島の注目はラテラテ流星群に集まっていた。
 ラテラテ流星群が日本で見れるには実に多くの条件が必要な為、千年に一度しか現れない非常に珍しいものなのだという。
 連日テレビのニュースでは、どこのチャンネルを見てみてもアイドルコメンテーターが満面の喜色を浮かべて『こんな珍しいものがある時代に生まれて幸せです』と代わり映えしないコメントを繰り返している。

 この千年に一度の珍事は、はたして当初の予想よりも俺たちの生活に大きく影響しているようだった。
 なんと言っても天文部ではあるが天体に関して微塵も興味がない俺が、頭の片隅の『その他』のフォルダに分けて記憶できているのだから驚きだ。
 アズマは嬉しそうに、今度はさっきよりも強くホワイトボードを叩いて、

「で、当然私たち天文部がこんな滅多にない超チャンスを逃すわけにはいかないわ! そこで!」

 キュッキュッと素早くペンを走らせると、

「天文部は今夜、流星群観測会を開催します!!」

 流麗な字で『流星群観測会!!』と大きく目立つように書いた。

「待て、待て待て待て。流星群観測会だ?」
「なによ。なんか、文句でもあるの?」
「大ありに決まってる。なんでわざわざ夜集まって、星を見るだけなんて面白くない事をせにゃならんのだ」

 流星群が見られるのは、当然ながら夜だ。夜は俺のプライベートタイム。部屋でゴロゴロゲームしてる方が有意義なのに。

「面白くないとはなによ。私たちは天文部なんだから、天体イベントを積極的に行うのは当然のことじゃない。むしろ、流星群を見ないで天文部は名乗れないわ」
「それぞれの家で、各々自由に見れるだろ」
「みんなで見ることに意義があるのよ。一人ぼっちでどうしてたかが星なんか見なきゃいけないの?」

 お前こそ『たかが星』とか言っちゃっていいんですかぁ?

「時間は? こんなこと言い出すんだ、知らないわけじゃないだろ。流星群は夜中に来るんだぜ」
「そんなの些細な事よ。夜中だろうと朝だろうと、星を見るのに時間なんて関係ないわ。ま、夜が更けたら狼にでも変身しちゃうってことなら、考えなきゃかもだけど」

 仮初にも男女が夜中に会うなんて、普通の女の子ならむしろ嫌がって然るべき状況、お前はなんでこんなにノリノリなんだよ。
 と、それまで俺とアズマのやり取りをお菓子をつまみながら静観していたミナミが、申し訳なさそうに手を挙げた。

「ちょっといいかな。その、観測会をやるとして開催地はどこなの? ここら辺は町中だから、人気のない場所が見やすいとは思うんだけど」

 女子に向かって『人気のない場所』を提案するなんて、普通の一般男性ならどうしたって下心が見え隠れする物だというのに、この男は表情ひとつ変えずに述べてしまう。
 都合が良かったのでミナミの意見に乗っかることにした。

「そうだ場所だ! 悪いが俺んちは無理だぜ。立地が悪い」
「僕もダメかなー。夜は姉さんや妹が組の集会やってるし」

 何の組の集会なのか気になるけど、聞かぬが仏だろう。少なくとも一年一組、なんて温いものではなさそうだ。

「私も無理よ」
「お前もかよ! ともかく、場所がないなら出来ないじゃないか! 残念ながら計画は頓挫って事だな」

 場所がないのに開催できる道理はない。おそらく中止になるだろう。普通ならば。
 しかし、観測会を発起したのは他でもないアズマである。
 アズマの事を、深くよくとまでは言わないまでも、赤の他人よりは知っていると思う俺にしてみれば、彼女が簡単に引き下がるとは到底言えなかった。
 現代のはみ出し者にして、永遠の夢追い少女。深い知的好奇心と、貪欲な探求力と恐ろしいほどの実行力を兼ね備えた、子供。⑨
 そのアズマが、この程度の問題で引き下がるわけがない。
 案の定、ペンを置いた彼女は何かありそうな顔でニヤリと笑うと、チッチッチと指を左右に振ってきた。

「セイ、アンタも気が早いわね。私は、家がダメって言っただけ。場所がないなんて一言も言ってないわ」
「『私も無理よ』は、全否定に近いと思うんだが」
「知らない」
「おい」
「とにかく! 安心して、場所はもう準備してあるの! 別に変なところじゃないわ。みんなもよく知ってる場所よ」

 みんなもよく知る場所、ねぇ……。

「もったいぶらずに教えてよ」
「ふふん、ミナミ君もせっかちね。聞いて驚きなさいな。きっと意外すぎて私の素晴らしさに惚れるわよ」
「「それだけはない」」
「あれえっ!?」
「で、どこなの?」

 意外と興味があるのか、体を机に乗り出して目を爛々と輝かせるミナミを見て気分が良くなったアズマは、したり顔で地面を指差し、堂々と言い放った。

「ここよ、学校の屋上」

 ……………………。

「いやいやいや、待てよ。俺の聞き間違いでなかったら、お前今『学校』って言ったか?」
「安心なさい。ちゃんと『学校』で合ってるわよ」
「はぁ?」

 この女いっつも滅茶苦茶だが、今日はいつにも増して破茶滅茶考えてるぞ。

「ないないない。それはないだろ」
「何がないのよ。一番アリでしょ? 山奥で騒いでも怒られない、街灯も少なくて星空も綺麗、みんなが知ってて、周囲も静か。これ以上どこが適切だってぐらい条件ジャストね!」
「なーにが『条件ジャストね!』だ。だいたい許可は出たのか?」
「全然」
「じゃあダメじゃないか。こう言うのって事前に許可がないと使用できんだろ」

 地域によって高校のあり方は千差万別だが、どこを見回しても夜の学校に許可なしで集まってよし、なんてイカれたルールを採用している所はない。

「それに、流星群がくるのは夜中なんだぜ? 屋上に鍵もかかってると思うんだが?」
「いちいち細かいこと気にするわねー。そんなもんこわしゃあ良いのよ、こわしゃあ」
「ダメに決まってんだろ!」

 って言うかその口ぶり、壊せるのかよ!⑦

「ま、とは言ってもセイの心配もわかるわよ。もしも忍び込んでる所を誰かに見られたら、そのクールさにファンクラブが出来てしまって困っちゃうものね」

 警備員さんにこってり絞られて、教師陣に目をつけられるんだよ。
 ファンクラブが出来るなんて妄想は、間違いなく間違いだ。

「そこで二人には、もし万が一見つかっても大丈夫なように、コレをつけてもらうから」

 言うとアズマは、物がパンパンに詰まった通学鞄の中から板切れを二枚出し俺たちに投げ渡した。

「何だこれは?」
「見て分からない? 仮面よ仮面。盗賊といえば、クールな仮面……よね!」②
「盗賊つってんじゃねぇか!!」

 というか、この仮面(?)はどう見ても板を適当に切った代物以上には見えない。まさか自分で作ったんじゃないのだろうか。
 とりあえず仮面は鞄の中にしまっておこう。
 和歌丸くんが呆れてるようだった。

「顔が隠れててもさ、結局捕まっちゃったら意味ないよね」
「そ、そうだよ! 捕まっちまったら、顔隠してても元も子もねーじゃん!」

 だが、アズマの余裕は崩れない。

「ふっふっふ。二人ならそう心配すると思って、作ってきましたスライム玉!」

 次に得意げに鞄の中から青っぽいボールを取り出して、今度は慎重に俺たちの前に並べる。
 俺はそれをおもむろに取って、

「何だよスライム玉って」
「文字通り、衝撃を加えたらスライムが飛び出る仕組みなの。やっぱりビックリアイテムでスライムの右に出るものはいないわね」⑤
「なんて凶悪なもんつくってんだ!!」

 悪魔の魔道具じみた嫌がらせ兵器を、俺は静かに和歌丸くんの横に置いた。
 和歌丸くんは隣に置かれたスライム玉に、怯えているのだろうか。
 すると、隣でプルプル震えていたミナミが、我慢の限界がきてしまったのか、机を強く叩いて立ち上がった。

「アズマさん……、これはいけないよ。こんなの、こんなの……」
「そうだミナミ! このわからず屋に一言ガツンと言ってやれ!」
「…………こんなの、面白すぎるじゃないか!」
「そうだそうだ! こんなの面白すぎってえぇ!?」
「そうでしょそうでしょ。やっぱり私は素晴らしいって事なのよね」
「でも、せっかくの観測会なんだからお菓子の一つでもあった方がいいと思うな」
「ん、それもそうね。準備万端かと思ったけど、そうでもないのかも」
「安心して。お菓子は僕が準備するよ。親戚のおばさんから青森土産のりんごクッキー貰ったんだ。みんなで食べよう!」③④

 ミナミはこちら側だと思ってたのに、なんだか裏切られた気分だった。

「というか、まだ俺は行くとも言ってないんだが」
「あ、そうだ!」
「聞けよ!」
「忍び込む時に警備員さんに見つかったら厄介だけど、それはどうするの? 流石に適当に勘を頼るのは不安だな」
「なんで忍び込む事前提なんだよ」

 この二人思考の方向がドンドン悪に染まっていってる。
 不安げに眉をひそめたミナミの肩に優しく手を置いて、アズマは反対の手でサムズアップした。

「ソレに関してはアイデアがあるわ。セイ!」
「ん?」
「あんた————————」
「はぁ!? ————————!?」
「そ、————————、って事でよろしくね!」
「おい、いくらなんでもソレは……」
「それじゃあ、今日の夜十一時に校門前集合。各自一旦帰宅して、準備に取り掛かるわよ!」
「おー!!」

 元気よく声を揃えると、二人はサッサと荷物をまとめて一目散に帰っていった。
 部室に一人残される。誰に聞かせるわけでもなく、ただ確認するように呟いた。

「…………なんてこった」

 侮ってた。十分に警戒し過大評価と思えるぐらいに頭おかしい認定していたが、まさかここまでとは。
 気がつけば西の空が茜色に染まって、夕焼け小焼けのメロディーが街に響いていた。
 和歌丸くんの仕方ないような顔が赤く染まっている。
 時刻は午後五時を回ったところだった。



 良い子は眠り良い夢を見る、午後十時半の少し前。
 家を出るところで居間で寝転ぶ母親に声をかけられた。

「あら、征治。こんな時間にどっか行くの?」
「ん? まあな。ほら、今日流星群があるだろ? アレを見に行くだけだよ」
「あー、そういえばそんなものもあったね。車には気をつけてね」

 テレビに釘付けの母を背にして、一人月夜へと繰り出した。

 もうすぐ四月だというのに、相変わらず外の空気は冷え込んでいて、吐く息が白いモヤを作って宙に漂っていく。
 幸いというか不幸にもというか、今夜は気持ちいいほど晴れていた。
 見上げると満天の星が宝石箱のようで、思わず顔がほころぶ。
 うちから学校までは歩いて二十分ほどかかるので、十分前にはなんとか着けそうだ。

 和歌丸くんは家に置いてきた。

 放課後の電撃告知からまだ六時間ほどしか経っていない。本来ならこんな時間に出歩く事もなかったのに、なぜ俺は黙々と学校目指して歩いているのか。
 考えてみれば、いや、わざわざ考えなくてもアズマにはいつも振り回されてきた。
 時には誰もが驚き呆れ、時には誰をも魅了する摩訶不思議な魅力を持った女の子。
 陽気で、想像外で、疲れるけど楽しくて、危なっかしくて、目を離さずにはいられない。
 迷惑で、でもかけがえのない、世界で一番の友達。

 ダメだ。夜はいけない。考えなくてもいい事まで表に出てしまう。
 そう、何だかんだ言いながら、俺はやはりアズマを気に入っているのだった。

 校門前にはすでに二人が揃っていた。腕時計を見るとまだ予定時刻まで五分ある。
 少々遅くなったとはいえ、まだ遅刻ではないか。

「あ、セイ遅い! 待ちくたびれたわ!」
「まだ遅れじゃねぇだろ」
「セイくん、こんばんは」
「おう、ミナミも早いのな」
「僕もさっきついたところだよ。アズマさん、一時間前から待ってたんだってさ」
「一時間って、冷えるだろ」
「そのくらい平気よ」

 プイとそっぽを向かれた。心配するのがバカらしくなる。

「それじゃあ全員揃った事だし、そろそろ行きましょうか」

 アズマを先頭にして、一列に校舎裏へと回り込んだ。
 うちの高校は、セキュリティが緩い代わりに周りを古ぼけたフェンスが囲み不審者が入り込めないようにしている。
 アズマが先導してくれたのは、そこの一部がちぎれて人一人分通れるほどの穴が空いている場所だった。

「これじゃあ不審者も入り放題だな」
「二人とも、ここから侵入するわよ。私についてきてね。あ、フェンスのそこ、ちぎれて尖ってて危ないから気をつけなさいよ」
「はーい、了解です隊長!」
「もっと安全な場所はないのか」

 くぐり抜ける時、尖ったフェンスの先が着てきた上着に刺さりかかった。危ない。⑩

「よしっ、第一障壁突破ね! じゃあセイ、私とミナミくんは西トイレに向かうから、手筈通りしっかり頼んだわよ」
「ゴメンね、変な役目押し付けて」

 そう思うのなら代わってほしい。
 俺の返事を待つ間も無く、二人はそそくさとトイレの方に向かって行った。
 西男子トイレの窓は鍵が壊れていて閉まらないらしく、どうやらそこから入るつもりらしい。
 俺は二人の背中が曲がり角で見えなくなるのを確認して、ぽりぽりと頭をかいた。

「仕方ない……。やるか」

 嫌々だが、もう諦めて子供らしく仕事に取り掛かろう。

 アズマの考えた作戦はこうだ。
 まず俺が大声を出して警備員の気をひき、その隙に二人が校舎に忍び込む。
 その後適当なタイミングで俺も合流する。
 大声を出さない組にとっては、非常に素晴らしい作戦だろう。
 が、正直負担が重すぎる。俺だけバレて捕まる可能性が段違いだ。
 やりたくない、非常に気がすすまない。
 しかし、その反面、この状況を楽しいと思う俺がいるのも事実だった。
 実に不思議ではあるが、納得できないものではなかった。
 それがなぜか、今の俺ではわからない。
 きっと十年後ぐらいにわかってくるものなのだろう。

「…………そろそろかな」

 叫ぶタイミングは二人と別れて十分が目安だ。
 スマホを取り出して時間を確認する。
 午後十一時十一分。いい具合だな。⑪

 万人を魅力する綺麗な月夜に、俺は校舎の前に立って拳を強く握りしめる。
 そしてトイレの前で息を潜めているであろう二人に聞こえるように、大きく息を吸い込んで、叫んだ。

【簡易解説】
今夜訪れるラテラテ流星群を学校で見ることになった男達三人。
男は他二人がまず侵入出来るように、作戦決行の23時から10分程経ったのを確認すると、警備員の気をひく為に大声をあげた。

《完》
[編集済]

セイがどうやって急場をしのいだのか、すごく続きの気になる作品です。

No.85[OUTIS]05月28日 22:0206月02日 20:30

『禁忌』

作・禁忌 [良い質問]

No.86[OUTIS]05月28日 22:0206月02日 20:30

アダムとイブは蛇にそそのかされ林檎を食べて楽園を追放された。③
創造主よりも強くなってしまったショゴスは地下深くに封印された。⑤
見てはいけない呪いのビデオを見た者は画面から出てくる幽霊に連れていかれる。⑥

古来より、人間は「禁忌」という物に惹かれ多くの創作物において禁忌と、それを破った者へ下される罰を描いて来た。
それは今でも様々な事柄に当てはまる。
延長コード等の「禁止」を見るとやってみたくなる。⑧
尖った物を人に向けてはいけないと言われるとやってみたくなる。⑩
そんな記憶が誰にでもあるはず。
これはそんな物語。


あれは私が幼い頃、近所に高校生のサヤさんという人が住んでいた。
彼女の両親は海外にいて、彼女も寂しかったのだろう、私は毎日のように勉強を教えてもらったり、遊んでもらったりしていた。

いつも遊んでいるとき、こっちをちらちらと見つめてくる。
可愛いなーとか思って見返すと慌てて目を逸らして。
あの時はそんな日々がずっと続くと思ってた。

あの日、私はサヤさんと一緒に散歩をしていた。
お昼前でいつもなら帰る時間だったけれど、もう少し一緒に居たくて我儘を言った。
彼女は少し困った顔をしたけれどすぐに散歩に連れて行ってくれた。

散歩をしている時、話す事が無くって買ってもらったばっかりのスマートフォンの話になったんだっけ。
ちょっと見せてあげたら触りたそうにしてたから少しだけ貸してあげたんだ。④

スマホをいじっているといきなり11:11の文字が出て来た。
スリープボタンを押してしまったんだろう、当時の私はすごい驚いた。
それこそ、周りを見るのも忘れてしまうほどに。
歩きスマホ。
一般に危ないとされている行為。
そのせいで赤信号を渡ろうとしてしまった。

「危ないっ!」
目の前の子供を押し飛ばす。
自分の迂闊さを呪った。
車は止まらない。
間に合って。
お願い。

赤。
林檎のように鮮やかな赤がその場に咲いた。
怖くはなかった。
むしろ綺麗とさえ思ってしまった。
サヤさんは死んだ。
私がスマホに意識を取られていたせいで。

あの日以降、私は規則を病的に守るようになっていた。
常に自分を仮面で押さえつけて生活するようになった。②

ある日、私が見つけたのは一冊の本だった。
「挽歌集」死者を弔う和歌が集められたその本を、私は引き寄せられるように買ってしまった。①

私は毎日のようにそこに詰め込まれた和歌を読んだ。
気が付くと深夜11:11、私は数年ぶりに夜更かしをした。⑪

ピシッ

何かが割れるような音がした。
それと同時に俺はやっと気づいた。
最初から規則なんて、仮面なんて自分の中で壊す事ができたのだと。⑦
俺が挽歌を欲したのは彼女の死を弔いたかったんじゃない、自分の中の彼女の死を弔いたかったんだ。
もう一度逢いたい。
どんな方法をとってでも。
俺は彼女を生き返らせることを決意した。
魂でもDNAでもなんでもいい。
とにかくもう一度彼女に会う為に。
人間の蘇生・再現。
果てしない夢を叶える為に、俺は生命倫理という大きな規則を破る決意をした。⑨
「アハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \」
静寂の中、ネジの外れたマッドサイエンティストの笑い声のみがやけに大きく響いていた。
-終ー
【簡易解説】
歩きスマホをしていたせいで大切な人を失った男は、生命倫理に唾を吐き捨てたマッドサイエンティストとなりその笑い声はやけに大きく響き続けていた
[編集済]

個人的には「狂気」よりも「切なさ」に反応してしまう作品でした。

No.87[ハシバミ]05月28日 22:2706月02日 20:42

題「泡沫」

作・ハシバミ [良い質問]

No.88[ハシバミ]05月28日 22:2706月02日 20:42

「お願いします、あなたの力が必要なんです!」
「間に合ってます」
「わたしは間に合ってません! 力を貸してください!」
「結構です」
「お願いします、話だけでも聞いてください!」

 学校帰り。地下鉄を出て、乗換のために少し離れた駅へ歩く。この時間はいつも学生やサラリーマンでそれなりに混雑している。
 道行く人に声をかける女性――あるいは少女と言っても差し支えのない年頃――がいた。困った様子であるが、誰も立ち止まることはない。どころか、目を向けたり避けたりということもない。
 都会は冷たいと言っても、ここまでだろうか。遠目に見る限り、明らかな詐欺や宗教にも見えないが。
 そんなことを考えながらも改札に向かって足を進める。自然、女性にも近づくことになる。
 何気なく視線を向けると、はっきりと目が合った――合ってしまった。女性は驚いたように目を見張り、人の間を縫ってこちらへ迫ってきた。そうしていきなり、力を貸せとすがられたのである。

「他を当たってください」
「他の人じゃだめなんです!」
「どうして」
「あなたしか、わたしの姿が見えないから」

 うすうす、そんな予感はしていた。思わず足を止める。間近に見る女性の服装は、周囲から明らかに浮いていた。短い丈のワンピースはどこか現代的――あるいは現実的ではない。

「お願いします! ……ああ、もう時間が、とにかくお願いします、一緒に来てください」
「……何をしろって?」
「世界を救ってください!」

 頭がクラクラする。やはり怪しい宗教だったのだろうか。
 無言で頭を抱えたのを肯定と捉えたのか、女性は俺の腕を掴んで歩きだした。慌てて足を動かす。もうどうにでもなれ。金を請求されたら全力で逃げよう。
 そのまま、駅から少し離れて細い路地の奥へと入っていく。

「あと1分」

 立ち止まり、腕時計を見て呟く。そういえばさっきも時間がどうこうと言っていたような。
 自分のスマホで時間を確認すれば、PM08:07。

「なあ、一体どこに」
「時間です。――入ってください」

 飲食店の裏口だろう扉を開いて中に促す。そっと覗き込むが、先は全く見通せなかった。電気が点いていない――いや、それにしたって路地から入る光でもう少しは見えるはずだ。
 女性を振り返ろうとしたとき、強く背中を押された。

「早く入ってください、時間がなくなってしまいます」

 入るためというより転ばないために足を踏み出す。どこまで行けばいいのか。2,3歩ほど歩いたところで、背後で扉の閉まる音を聞いた。
 ぱちり。
 国境の長いトンネルを抜けると――もとい。扉をくぐり暗闇を数歩歩いてまばたきすると小屋であった。
 山小屋のような雰囲気の、小さな小屋。とてもあの路地にある雑居ビルの中とは思えない。
 慌てて振り向けば、腕があった。

「……は!?」

 駅やショッピングモールでよく見るような、背丈ほどある大きな縦型モニター。まずこの時点で部屋とミスマッチにも程がある。そうしてその画面から出てくる、右腕。(⑥)
 慌てて距離を取ると、左足、右足、すぐに全身が出てきた。ごく普通に、モニターの後ろから歩いてきたかのように。

「今、これ、何、え?」
「ああ、こちらではこうしたモニターで移動できるんですよ。あちらの世界では扉と繋がるようですが、こちらの中でしたらモニターから入ってモニターからでるんです」

 便利でしょう? 今しがた画面から出てきた貞子、ではなく女性は微笑む。人を連れてくるというひとまずの目的を達成したからか、先程までの焦った様子はない。

「電源に繋がっていないといけないのが難点なんですけどね。なのでほら、こうして」

 女性はモニターから伸びるコードをひょいと摘む。延長コードに繋がっているらしい。(⑧)
 自分にしか姿の見えない女性、世界を救う、時空移動。安っぽいファンタジーかとも思ったが、モニターやら延長コードやらはやけに現実的でそぐわない。
 いっそ完全なファンタジーである方が受け入れられたような気すらしてくる。

「ですから、あちらの世界に戻りたいときにもこうしたモニターを使用すれば戻れます。ただ、世界を越えて移動できるのは18歳まで――いえ、正確には17歳までなんですけどね」
「17歳まで?」
「はい。それを過ぎると世界に固定されてしまうんです。つまり、18歳になった瞬間に世界で、一生を終えることになります」
「……ちなみに、それ以外の制約は? 一度移動した後は24時間は再移動できないとか」
「そういう制限は……ただ、元々1時間に1回しか使用できないんです。世界間移動も、世界内移動も」
「あ、のさ」
「はい」
「俺、明日、誕生日」
「そうなんですか、おめでとうございます! ……って、一日早かったですね」
「うん、で、明日、18歳になるのね」
「ああ、それは……それ、は……ええ!? 明日!?」
「明日」

 女性はバッと腕時計を見る。明日、明日。口の中で何度か呟いてから、指を折りはじめた。

「……大丈夫、あと3時間あります。3時間で世界を救いましょう!」

 無茶を言う。

「タイムリミットは23:59、か」
「いいえ、11:11です」
「は、なんで」
「移動は1時間に1回と言いましたよね。それは元々この移動方法が、ゾロ目の時間にしか使えないからなんです」

 なので、日付が変わる前の最後のチャンスは、11:11。(⑪)
 女性は申し訳なさそうに言う。酷く今更な気もする。そして。

「ゾロ目、移動……聞いた覚えが」
「そうですか?」
「仮面ライ」(②)
「気のせいです」
「電お」
「気のせいです」

 ……まあ、電車には乗らないし。多分。パスも要らないし。恐らく。俺が小さいときに見ていた特撮番組に似ているなんて、ただの偶然だ。

「それで、俺は何をすれば?」
「……力を、貸してくれますか?」

 ここまで来て選択の余地があるとは思わなかった。
 なんだかよく分からないけど、やらなきゃいけないことだけは分かった気がする。
 こんな感じだったか、と口の中で呟く。

「ああ、貸すよ。あと3時間だけ」(④)
 
 言えば、女性はパッと笑顔になる。思い返せば、ずっと切羽詰まった顔をしているだけだった。
 絆されそうになるが、忘れるなかれ、俺が女性に付き合うのは5時間だけだ。

「ところで、貴女の名前は?」

 あと5時間の間柄とは言え、流石に不便だ。
 尋ねると、女性は困ったように眉を下げる。

「名前、ですか。うぅん、何がいいですか?」
「は?」
「私、名前がないんです。よろしければ、付けてください」

 名前がなくて、不便ではないのか。
 首を傾げながらも考える。名前、名前。何でもいいのだろうが、そう思うと余計に浮かばない。名前。
 必死に記憶を漁っていると、ふ、と引っかかった。

「かへる山……」
「え?」
「霞。それでどう?」
「かすみ。……霞」

 霞、霞。女性――霞は、何度も呟く。気に入ってもらえた、のだろうか。無性にむず痒い。

「ありがとうございます。あの、あなたのことは何とお呼びすれば」
「ああ、俺は紀伊利貞。好きなように呼んでくれればいいよ」
「きい、としさだ。利貞さん、ですね。よろしくお願いします」
「ああ、よろしく」

 今更な挨拶を交わすと、霞は「少し待っていてください」と隣の部屋へ向かった。
 手持ち無沙汰になって周りを見渡すが、ソファとテーブルと棚があるだけの、本当に小さな小屋だ。イメージでしかない山小屋や、小さな別荘。そのくらいの非日常で、ファンタジーとは思えない。
 そうしているうちに、霞が戻ってきた。――ファンタジーを携えて。

「まず、これ。これしかないんですけど、大丈夫ですかね?」

 そう言って霞が差し出してきたのは、剣だ。鞘も柄も鈍く金色に光り、豪奢な装飾を施されている。いかにもな雰囲気だ。

「大丈夫って、使ったことないから分からないけど……ちょっとこれ、尖りすぎじゃない?」(⑩)

 両刃の西洋的な、あるいはファンタジー的な剣の形。ただ、それにしてはやけに先端が細い。
 少しだけ鞘から抜いてみるが、柄の側はやはり普通の太さだ。

「その方が鎧の隙間を狙いやすいんです。首とか……ご存知ですか? 鎧って、脇が弱点なんです。そこを守ってしまうと、動けないので」
「へぇ……って、これ対人用?」
「元々は、ですね。これから戦っていただくのは違いますよ」

 もはやファンタジーと思って受け入れはじめているが、流石に人を相手取るのは厳しい。
 どうやらそうではないらしく、ひとまず胸をなでおろす。

「それで、世界を救うって、具体的には何をすればいいんだ?」
「この世界には、誤った秩序があります。それを正していただきたいんです」
「誤った秩序」
「はい」

 頷き、霞は説明を続ける。

「この世界も、あなたがいた世界とはあまり変わらない、平和な世界でした。ある日、魔物が誕生するまでは。
 魔物は山に、街に、人々に被害をもたらしました。当然人々は魔物を倒そうとする。だけど、敵わなかった。
 人々は魔物を倒すことを諦め、彼らから離れて暮らすことにした。魔物も安定した住処を得てからは、人々の生活を脅かすことはなくなりました。
 時々遭遇することはあれど、一定の平穏が保たれるようになり、いつしかそれが秩序となったんです」

 だから、と霞は言う。

「この世界の人々では、魔物を倒せなくなってしまった」

 ――つまり。この世界の人間ではない、秩序の外にいる俺なら、魔物を倒すことができる。そういうことだろうか。でも。

「今は平和なんだろ? 魔物にしろ動物にしろ、多少の被害は仕方ないんだし」

 熊とか猪とか、俺の中で魔物はすっかりそういう位置づけだ。

「確かに、それはその通りです。だからこそ秩序となった。……だけど、その中で。魔物が少しずつ力を付けてきている。このままでは、多少では済まなくなってしまうんです」
「でも、そしたらそれはもう、秩序の外なんじゃ」
「そうですね。元々、魔物はこの世界のイレギュラーです。だからこそ秩序を壊しうる。それも、最悪な形で。だから、今のうちに倒さないといけないんです」

 理屈は、なんとなくは分かった。世界を救う。秩序を正す。

「でもその魔物って、倒しきれる数なのか? そもそも俺、戦い以前にスポーツの経験もろくにないけど」

 中高と部活は陸上部だ。短距離で、それも大して真剣にやっていたわけではない。全国平均よりは速くとも地区大会止まり。正直、何の役にも立つとは思えない。

「大丈夫です。倒すべきは、1体だけですから」
「1体だけ?」
「はい。秩序を保っているのがその1体なんです。なので、それを倒せば秩序は壊せる――正せるんです。あなたなら」(⑦)

 よく分からないが、そういうものかと納得する他ない。確かにゲームも特撮もそういうものだ。元凶さえ倒せば、あとはなんやかんや解決する。

「でも、そのボスに辿り着くまでに色々あるんじゃないのか? 時間もないけど。というか考えてみれば1体だって倒せるか分からないんだけど」

 というかそもそも、この世界の人が倒せなかったから秩序がなんだという話になっているんじゃなかったか。 
 にわかに不安になったところで、霞はあっさりと言う。

「それは大丈夫です。昔と今とでは状況も違うので。……でも、そうですね。練習がてら少し倒してみましょうか。この辺りには、弱いのも居るんです」

 言いながら、霞は小屋の外へ出る。慌てて後を追えば、小屋の裏にある草むらから、ひょっこりと覗くものがあった。

「……スライム?」

 いかにもな見た目のスライムだ。いかにもな。

「これが魔物です。すらいむ、というのはそちらの世界での呼び名でしょうか」
「因みに、さっき言ってた倒すべき1体っていうのは」
「同じです。えっと、スライム」
「つまりこの世界の最強はスライム?」
「最強……まあ、そうなるでしょうか」(⑤)

 大きいのだろうか、硬いのだろうか。いや、見た目がスライムなだけで全く違うものなのかもしれない。今、眼前にいるこいつも。
 
「さあ、剣を抜いてください。一撃で倒せます」
「え、ああ」
 
 ゆっくりと剣を抜く。先端に向かってぐっと細くなっている、銀色。
 霞が鞘を受け取り、促してくる。
 スライムの大きな両の瞳からは何の感情も読み取れない。
 ごめん。心の中で呟き、剣を振りかぶる。
 手に伝わった感覚は、切っ先が地面を打った衝撃。
 ふ、と、音もなく、感触もなく、跡形もなく、消えた。

「おめでとうございます。これで大丈夫ですよ。あと2,3体やってみましょうか」

 霞に言われるがまま3体のスライムを倒し、小屋に戻った。
 現実味がない。罪悪感のあるような、ないような。
 そういえばとスマホを確認する。PM10:40。いつの間にか、あと30分だ。

「なあ、あと30分だけど、平気なのか? ラスボスはどこにいるんだ」
「大丈夫ですよ、10分もあれば」

 言いながら、皿を片手に部屋に戻ってくる。
 皿の上にはくし切りのリンゴが乗っていた。(③)

「怪我はしていないようですけど、お疲れでしょう。どうぞ」
「ああ、ありがとう。……怪我?」
「はい。……ああ、あなたの世界では違うんでしょうか、ちょっとした怪我ならこれを食べれば治るんですよ」
「回復アイテム的な?」
「そう、なるんですかね
 
 ファンタジーというか、ゲームというか。それにしても。

「せめてグミとか、加工しないのか? 回復アイテムとしてなら持ち歩きに便利な方が良いんじゃ」
「素材そのままが一番効果があるんですよ」
 
 それはそうなんだろうが。
 しゃくり、と齧ったリンゴは、確かに身体に沁み渡った。

 食べ終わるころには、期限まで20分を切っていた。

「なあ霞、そろそろ」
「そうですね」

 行かなくていいのか。俺の言葉を遮るように霞が立ち上がる。
 ソファに立てかけていた剣を取り、俺に手渡す。

「わたしはずっと、この世界の平和を願ってきました」
「ああ」
「大それた願いのつもりはありません。ただ、誰もが願うように。争いのあるよりはないように。みなが幸せであるように」
「霞、それは」
「わたしは」

 今話すことなのか。倒すのが先ではないのか。
 問おうとした俺の言葉を遮り、霞は尚も続ける。

「それができることだと思っていました。この秩序がずっと保たれるのだと。それが平和なのだと。だけど、違った。違ったんです。
 この秩序は、保たれているのは、一方的な関係です。人々は魔物を倒すことができない。それだけです。魔物が力を付けても、人々を襲っても。魔物を倒すことができない。人は、ただ、死ぬだけ。
 それに気付いて、だから考えたんです。だから行動したんです。でも、分かってしまった。人々は魔物を倒すことができない。そして魔物もまた、魔物を倒すことができない。誰にも、できない。
 だけど1つだけ。1つだけ可能性がありました。それが、これです。世界間移動。これは秩序の外です。ずっと探していました。わたしを見ることができる人を。そうして見つけました。あなたを。わたしを見ることができる人を。
 ――わたしを、殺すことができる人を」

 すっと腕を伸ばし、俺の手の内の剣を示す。

「さあ、もうすぐ時間です。その前に、その剣で。この世界を、救ってください」

 何を言っているんだ、と。冗談だろう、と。意地が悪いにもほどがある、と。
 言えなかった。
 霞の真剣は、疑いようがなかった。

「……お前は、そのために、俺を連れてきたのか」
「はい。こんな強行軍になるとは思いませんでしたけど……でも、ちょうど良かったかもしれませんね」

 情が沸かなくて。そう言って笑う。笑えている、つもりなのだろう。

「これは、夢だったんです。私がずっと追ってきた、果てしない夢。いつか叶うと信じた、夢。(⑨)
 ね。叶えてください。あなたなら叶えられる。あなたにしか叶えられない。
 大丈夫、わたしもあのスライムと同じです。その剣で貫かれれば、すぐに消える。
 そうしたら帰って、あなたの日常です。現実です。
 だってこれは、夢なんですから」
 
 スマホを見る。11:09。

「お願いします。もう時間がない。あなたにも、わたしにも。この世界にも。
 やっと、やっと叶うんです。救えるんです。救われるんです、わたしは。ずっと、この日を夢に見てきた」

 11:10。

「ほんの3時間。夜の夢にも満たない、泡沫です。
 この世界は正しい形に戻る。何もなかったように。あなたはあなたの世界に、現実に帰るんです。何もなかったように」

 11:11。

「早く、」
「霞!」

 霞は目を見開く。ほんの3時間前と同じ顔だ。それがやけに懐かしい。
 大丈夫、まだ間に合う。俺、足はそれなりに早いんだ。そう言うつもりだった。

「俺、夢を覚えているのは得意なんだ」

 ふ、と。霞は、笑っただろうか。手に伝わった感覚は、切っ先が板張りの床を打った衝撃。
 それだけだ。
 振り返り、モニターに触れる。ず、と指が、腕が、飲まれていく。剣を置き、足を踏み入れる。
 1歩、2歩。先の見えない暗闇だ。3歩。
 ぱちり。
 目を開けると駅の路地裏であった。
 振り向けば、ゆっくりと扉が閉まる。
 スマホを見れば、11:12。もうこの扉は、開かない。
 そっと扉に触れる。

「かへる山 ありとはきけど 春霞 立ち別れなば 恋しかるべし」(①)

 たまたま今日、授業で習った和歌だ。古今和歌集に収録されている、別れを惜しむ歌。たまたま、思い出しただけの、歌。
 試験にこの歌が出ればいい。俺はきっと、忘れないから。

 さあ、もうすぐ終電だ。明日の授業はなんだったか。ああ、宿題がなくて良かった。
 俺は帰る。現実へ。

【完】
[編集済]

世界を救うことの厳しさと重圧を一人で抱えこむ勇者の話でした。

No.89[藤井]05月28日 22:3706月02日 20:56

タイトル『セントポーリア』

作・藤井 [良い質問]

No.90[藤井]05月28日 22:3806月02日 20:56

 
ぱしゃり。

それはシャッターが切られた音ではない。
りんごが地面に叩きつけられた音だ。[③]
力の限り、強く強く。



翔は見えない何かを睨みつけていた。


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日が暮れて薄闇に包まれる高架下の小さなトンネル。
壁にはスプレーで落書きされた文字。
周囲には田んぼが広がり、少し離れた場所にはよく名の知れた企業の工場が建っていた。

粉々に砕け散ったりんごをトンネルの壁面へ蹴り寄せて、翔は深く溜息をついた。


こうでもしないと、心がもたない。

昨日はガラスのコップを思いきり投げつけた。
弾け飛んだ破片を浴びて、明日への呼吸を繋ぐ。


どうしようもないことをどうにかしようともがき、結果どうしようもないのだと思い知る。そんな無生産な日々を呆れるほど繰り返してきた。
叫び出したい気持ちを、頑固な心がぐっと堪えさせる。
壊れる寸前にあって尚壊れさせてくれない自我。
翔は抵抗しようのない苛立ちから、いつからか物を投げつけて壊す癖がついた。
割れる、砕ける、ちぎれる。そうやって"壊すことができる"ものを、日々壊し続けた。[⑦]

それが唯一、翔にとっての救いであり、生きる術だったのだ。



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その年の5月下旬、翔はぼんやりとした光を見た。


トンネル近くの畦道を辿って工場の方へ歩いていくと、やがて桜並木に辿り着く。春には淡いピンクの花をつけて、工場の社員らが花見でもするのだろう。
辺りが暗くなった夜、翔は目的もなくふらふらとさまよっていた。
ふと、やわらかに点滅する光に気づく。
--蛍だ。
思わず顔を上げる。

(こんなところに、こんなにたくさん蛍が出るんだな)

歩いていくと、その光はどんどん増えていく。
すっかり魅了されて奥へ奥へと進んでいく翔の耳に、ふとか細い歌声が届いた。
こんな場所で歌声が聴こえるはずもないが、確かに聴こえる。
翔は神経をそちらに集中させ、恐る恐る歩を進めた。


ゆるやかなカーブの先に、20代くらいの女性が大きな木に背を預けてギターの弾き語りをしているのが見えた。
ストリートミュージシャンと呼ぶにはあまりにも人気のない時間、場所を選びすぎている。
それにその歌声は明らかに、誰かに聴かせるための音量ではなかった。
まるで自分自身に向けてひとりごとを囁いているような。

翔はなんだか聴いたら悪いような気がして、でも気になって、彼女の視界に入らないように慎重に場所を選んで腰を下ろした。
息を潜め、なるべく音を立てないように。


『君の心にぽっかり空いた穴をふさぎたいの』


蛍の光のようにやわらかく、どこか寂しい歌声。
彼女はその場所で一時間あまり歌い続けた。
翔はそれをずっと聴いていた。


じゃり、と音が鳴る。
彼女が立ち上がる音だ。
翔は一瞬ものすごく悩んだ。なにも知らない素振りでその場を立ち去るか、それとも--

「……っ、あの!」

翔はほぼ本能に従うような形で、彼女に声をかけることを選択していた。

「わっ、びっくりしたぁ」
「あ、す、すみません。あの、実はさっきまでずっとそこで聴いてました」
「えっ」
「いつもここに歌いに来てるんですか」
「あ、いや……そういうわけじゃなくて、何となく、歌いたい気分で。何となく、ここに」

彼女は言葉を探すように視線をさまよわせながら、ポツリポツリと話した。
なにか話したいが、なにを話したいのかわからない。なにか聞きたいが、なにを聞きたいのかわからない。翔はもどかしい気持ちになった。

「ええと、君は学生?」
「まぁ一応……大学生です」
「こんな時間にこんな場所にいるってことは、家が近くとか?」
「いや、まぁ、何となく……」

彼女は少しだけ何かを察したように、そっか、と短く返した。


「少し話そうか」

背負ったギターを再度下ろす彼女に、翔はこくりと頷いた。



「ここ、実は思い入れのある場所でね。……初対面の君にこんな話するのもどうかと思うけど」
「いいっすよ。聞きたいです」
「ありがとう。……数年前ね、ちょうど大学卒業して就職したばかりの頃。いろいろ行き詰まっちゃって、朝出勤する途中で道を外れて、車でここに来たんだ」
「こんな場所に?」
「うん。会社行きたくなくて。でも、休みますって連絡する勇気もなくて。何かもう、何もかもが怖くってダメで、この木に思いっきりぶつかったの」

彼女は先ほど自身が背を預けていた桜の木を指差した。

「えっ?」
「車でノーブレーキでね。いわゆる自損事故。死にたいわけじゃなかったんだけど、逃げたくて仕方なかった」
「……それで」
「車はペシャンコに潰れて一発廃車になったけど、身体は大した傷もなくて……笑っちゃうよね。そう簡単には壊れてはくれないんだよ。心はボロボロだったのにさ」

翔は胸の奥がズキンと痛むのがわかった。

「でもね。ぶつかって気を失う瞬間、その一瞬だけ、ぐちゃぐちゃに絡み合った糸がパァッてほどけた気がしたの。なんだか救われた気がした。……結果として会社は辞めちゃったし車も潰しちゃったし、自分から木に突っ込んだなんて忌まわしい記憶みたいに聞こえるけど……私はあの瞬間が一番、自分が『生きてる』って感じがしたの。だからそれ以来、何かあるとここに来るんだ」

改めてよく見ると、彼女のいた桜の木の幹は大きく割れた痕があり、その部分をツタが覆っていた。

「本当に、初対面でする話じゃなかったね。ごめん」
「いや……なんか上手く言えないっすけど、聞けてよかったです。自分に重ねていろいろ思うところがあるっていうか」
「うん。なんか不思議だけど、君には話しても大丈夫って気がしたんだ。私に都合のいい解釈でしかないけどさ」

へへ、と控えめに笑う彼女。
翔は彼女の名前を知りたいと思ったが、同時に聞いてはいけないような気がしてやめた。

「……何つーか、俺も、いろいろぐちゃぐちゃで」
「うん」
「なんか壊してないと落ち着かなくて。学校は、ここ最近行ってなくて。先も見えなくて、」
「うん」
「今日も適当に歩いてたら、蛍がいて。キレーだなって思って歩いてたら、歌声が聴こえて。ぶっちゃけもういつ死んでもいいやって思ってたけど、生きててよかったって、今ちょっと思った」
「……やっぱりなんか、君は私に似てる」

彼女はギターケースを背負い直し、歩きながら喋ろう、と促した。

「実は私も今日、わりと死の淵にいたんだよ。どうにもならないことがあって、どうしようもなくて、気付いたらギター持ってここに来てた。私の人生今日で終わりでいいって思ってたら、君が来た」
「……この後死ぬつもりだった?」
「死のうとは考えてなかったけど、もうなにも考えたくないなって。全部終わればいいのにって思ってた」
「……」
「でも、もう少し繋いでみようかなって。君は延長コードみたい[⑧]。私の人生が少し延びたよ」
「そんなん言われたの、初めてっす」
「私もこんなこと言ったの初めてだよ」

翔はなんだか照れ臭くなって、わざとらしく夜空を見上げた。

「……俺、たぶん今日のこと、この先ずっと忘れないと思います」
「……やっぱ今日死んでもいいやって気になってきた」
「何すか、それ」
「あっはは。じゃあ私、車向こうに置いてるからここで。気をつけて帰りなよ」
「ありがとうございます」
「こちらこそ」

おやすみ、と軽く手を振る彼女に小さく会釈を返して翔も元来た道を辿り始める。
しかし、すぐに振り返って彼女の背に呼びかけた。

「……あの!」
「うん?」
「さっき、一番最後に歌ってた曲、なんて曲ですか?」
「一番最後?あぁ、『Saintpaulia』って曲だよ」
「セントポーリア」
「そう」
「あの曲、好きです」

彼女は嬉しそうに微笑んで、何か思い立ったようにギターケースのファスナーを開けた。
中からファイルを取り出してぱらぱらと捲り、やがて一枚のルーズリーフを取り外して翔へと差し出す。

「Saintpauliaは私の知り合いが書いた曲なんだけど、私もすごく好き。自分の気持ちに寄り添ってくれる曲なんだ。これ、歌詞[④]」
「……貰っていいんですか?」
「うん。この曲に惹かれたなら一度ゆっくり詞を読んでみて。きっと君の救いになるよ」




その日を境に、翔は自ら物を投げつけて壊すことをしなくなった。
いつの日にか、大事なものをこの手で包み込めるようにと翔は心に誓った。



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翌年の夏。

柚希は夜の公園を歩いていた。
気持ちがぐちゃぐちゃになってしまった日は、意識的に夜の空気を吸うようにしていた。
柚希なりの延命処置だ。

生きることが難しい。
自分が余計に難しくしているだけなのかもしれない。
些細なことで胸が潰れそうになる。
それでもどうにか命を繋いでいる。

滑り台のてっぺんから広場を見下ろす。
夜の公園は静まり返っていた。


『君の心にぽっかり空いた穴をふさぎたいの……』


慣れ親しんだ曲をそっと口ずさむ。
少し心が落ち着くようだった。



そういえば。
一年前、桜の木のそばで出会った彼はどうしているだろうか?
もうあの日のことなど忘れているだろうか。
何か壊していないと落ち着かないと言っていたが、今でも何かを壊し続けているのだろうか。
彼は鋭利なガラス片のように見えた。傷つきやすい心を護るために鋭く研がれたガラス。それは強固なように見えて、割れやすい。
もっと伸縮性のある柔らかな何かで彼の心が覆われるといい、と思う。変化自在なスライムのような何かで[⑤]。


柚希はスマートフォンを取り出し、SNSアプリを起動させた。
賑わうタイムライン。
ぬるりと脳が吸い込まれていくような感覚。
拭えない寂しさを紛らすのに欠かせない場所だが、その場所こそが更に自身の孤独感を助長させていることにも、もうずっと前から気づいている。
画面をスクロールしていくと、まるで液晶の向こう側から無数の手が伸びてくるようだった[⑥]。
そちらに身を浸しきってしまえたら、いっそ楽なのかもしれない。
身体感覚のない世界。脳が描き出す世界。
SNSにアクセスしている間は意識にベールがかかっているようで、それは夢を見ている時の感覚に似ていた。深い深い夢[⑨]。
表示される自身のアイコンイラストはにっこりと笑っている。それを眺める自分は笑ってなどいない。
現実世界でもこんな風ににっこりと笑った仮面を被っていれば、もう少し上手に生きられるのだろうか?[②]


「……苦しいなぁ」


誰に告げるでもなく、柚希はぽつりと溢した。




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大学三回生になる翔は、毎日学校へ通うようになっていた。
ある日の講義でのことだ。
ぼんやりと窓の向こうを眺めていた翔は、講師の平坦な声にぴくりと反応した。


「『忘れじの 行く末までは かたければ
  今日をかぎりの 命ともがな』

えー、これはですね、"いつまでも忘れない"と言うあなたのその言葉を、この先もずっと変わらないとは到底信じられませんよと。ですから、あなたがそんな風に言ってくれる今日を最後に死んでしまいたいものです、という句ですね」


翔ははっとして、ホワイトボードに書かれたその和歌を二度見した[①]。
どこか懐かしいような、不思議な感覚。
そうだ、あの夜の彼女の言葉だ。
自分が"今日のことをずっと忘れないと思う"と言ったそのあとに、彼女は"今日死んでもいいや"と言った。

翔はなんだか急に落ち着かなくなって、その講義が終わったあともずっと彼女のことを考えていた。




翔はその晩、思い出したように彼女からもらったSaintpauliaの歌詞を取り出した。そしてサビのフレーズの一部をスマートフォンで検索した。
ふたつの動画がヒットする。
そのうちのひとつは見知らぬ男性の弾き語り動画だった。見たところSaintpauliaの作曲者、つまり原曲だ。
そしてもうひとつの動画をクリックする。真っ暗の画面に聴き覚えのある音と声が流れてくる。間違いない、これは。

(あの人の声だ)


動画にリンクされているSNSアカウントに飛ぶ。
ちょっとしたストーカーまがいの行為に及んでいるようで罪悪感が無いでもなかったが、昼間の大学での出来事が翔のリミッターを外させていた。
彼女は今、どうしているのだろう?

真っ先に目に飛び込んできたのは、タイムラインに投稿された最新の写真だった。
翔はその風景に釘付けになる。



暗闇の中に浮かび上がるのは、ツタの覆った桜の木。

投稿日は今日。
よく見ると投稿時間はつい先ほどで、23:09となっている。

翔は咄嗟にホーム画面を表示した。

pm 11:11。[⑪]

彼女は今、そこにいるのか?



「……ッ、ちょっと外出てくる!!」
「ええ!?アンタ、こんな時間からどこ行くの!?」
「すぐ帰ってくるから!!」


母親の制止を振り切って翔は慌てて家を飛び出した。
自宅からあの桜の木までは15分くらいだろうか。
翔は無我夢中で走った。
夜でも空気が生暖かい。首筋を汗が伝う。




たどり着いたその場所に、彼女はいなかった。
ただ、桜の木にはギターが立て掛けられていた。



乱れた呼吸をそのままに、翔は辺りを探し歩いた。
桜並木を奥へ奥へ。工場の裏側へ。しかし、どこにも彼女の姿はない。

ふと、どこか遠くから歌声が聴こえてくる。
翔は全神経を耳に集中させた。
導かれるように方向転換をする。



そして高架下のトンネルに彼女はいた。




近づく足音にビクリと肩を揺らし振り返った彼女が目を大きく見開いた。

「えっ……君、あれ!?もしかして、えっ」
「久しぶりっす。覚えてますか、俺のこと」

息を整えながらゆっくりと尋ねる翔に、彼女は表情を歪めた。

「忘れるわけないよ」


戸惑う彼女に翔は事の経緯を話した。
そして自分の行動が改めてストーカーみたいだと再認識した翔は、そのことを詫びた。
彼女はぶんぶんと首を横に振り困ったように笑った。その笑顔が次第に泣き顔のように崩れていく。

「すごいな、君は。本当に延長コードみたいだ。まさか今日再会するなんて……」
「ここに来るってことは、何かあったんすか」
「そうだね、うん。どうしようもなくて……あぁ、君に会うときはいつもどうしようもないな、私」
「ゆうて二回しか会ってないですけど」
「あはは。そうだった……」

ぽたり。涙がひとしずく頬を伝って落ちる。
彼女は疲れきっているように見えた。

「ごめんね」
「……なんで謝るんすか」
「なんか、うん……なんでだろ。いろいろ、ちょっと気が抜けて」
「死ぬつもりだった?」
「ううん、……でも全部終わりにしたかった」


どうしようもないから。
どうにもならないことが山ほどあって。
どうにかしたくて、でもどうにもできなくて。
呆れるほど繰り返して、出口がなくて。
でもなんとか繋いできて、でももう繋げないかもって思って。


「……でも、まだもう少し、繋いでみようかな」


彼女は涙で濡れた頬をそのままに笑った。
翔は両腕を伸ばし、彼女を包み込んだ。
それは無意識の行動だった。

嗚咽を漏らして泣く彼女の背を静かに撫でようとしたとき、翔は自身の伸びた爪に気づいた。
いささか尖りすぎているその爪の先[⑩]で彼女を傷つけまいと、慎重にゆっくりと撫でる。


「……君はスライムみたいだね」
「何すか、それ……」
「最強だ……」
「意味わかんないっす……」


翔はふっと笑った。
そしてあの夜聞けなかったことを、改めて彼女に尋ねた。


「名前、教えてくれませんか」
「……柚希。成宮柚希だよ」
「俺、広瀬翔です。成宮柚希さん、覚えました」
「翔くん。……ありがとう」
「もうずっと忘れません」
「……あはは。やっぱもう、今日死んじゃってもいいなぁ」
「大丈夫っすよ、忘れないから」

翔ははっきりとした口調で告げる。

「それに、」
「うん?」
「忘れたらまた教えてください。そしたらまた覚えるから」
「はは、延長コードみたいだなぁ」


柚希はようやくすっきりとした笑顔を見せた。






 もうだめだ と思った時
 どこへも行けない と思った時

 そんなとき、誰かの優しさに触れて 呼吸が続く。

 脆く崩れ落ちそうな心が、誰かの弱さに寄り添う。



 僕らはそうやって、どうしようもない日々を繋いでいく。





  -end-

[編集済]

繊細で儚い登場人物たちによる繊細で儚い物語でした。

No.91[ごがつあめ涼花]05月28日 22:4806月02日 21:13

【トーキョーヴァンパネルラ】

作・ごがつあめ涼花 [良い質問]

No.92[ごがつあめ涼花]05月28日 22:4906月02日 22:38

________________


『曇りなき 心の月を 先だてて 浮世の闇を 照らしてぞ行く』

月照
______________

16歳になった俺はただ田舎におさまるのが嫌で、果てしない夢を追いかけようとしてこの大都会、東京に1人で上ってきた。⑨
その頃は、自分なら1人でもきっと上手くいくだろうと、どこから湧いてきたのかも分からない自信とやる気に包まれていた。

だが、そんな自信も、巨大なビルに圧倒され、満員電車に押し潰されそうになり続け、来る日も来る日もバイト先で先輩に罵声を浴びせられる中で削られて、無くなっていく。

"社会"を間近で見るうちに、自分まで代替可能な部品になっていくような気がして怖かったのだ。

そして・・・今日もまたこのモノトーンな街で変わり映えのない作業を終え、帰路についていた。

帰路にはいつも薄暗い路地裏を選ぶ。理由は単純。誰もここを通らないからだ。

このビルに囲まれた路地裏はこの都会を体現するように殺風景で、何度通っても俺は好きにはなれなかった。でも、こんな夜に人が誰も通らない場所なんてここくらいしか無い。そして、その静けさは確かに自分の気を少しだけ晴らしてくれるのだ。

まぁ、同時に陰鬱とした単調さが俺を苛立たせるのだけれど。

つまるところどこに行っても結局はマイナスだ。この路地裏も、この都会も。色が無い、どうしようもなく単調なのだ。



__だからだろうか。



色の無い路地裏に、真っ赤な華が咲いていた時に、あまりにもそれが美しく感じられて・・・・・・思わず足を止めてしまった。



ビルの壁一面に赤く広がる血も。



生気を失って壁にもたれかかる死体も。




そして何よりも、その血を浴びて赤く染まり、満月の光で妖しく照らされる少女が。



俺にはひどく色鮮やかに見えてたまらなかった。




少女の視線がこちらに向けられる。少女は少し驚いた様子でこちらを見つめていた。
「え、うそ。見られた・・・?」
口元からは、人間とは思えないほどに尖った牙が白く輝いていた。⑩

「どうしよう、お腹すいて無いしなぁ・・・」彼女は何かを考える素振りを見せながら、ぶつぶつ呟いていた。

そんな異様な光景の中で、俺は逃げ出そうとしなかった。殺されてしまうかもしれない。だが、それでも彼女の白い髪から、赤い瞳から、そして、一挙一動から目が離せなかった。

要はそれほどまでに彼女に惹かれており・・・完全に『一目惚れ』というやつだったのだ。彼女の事以外を考えられなかった。


「・・・・好きだ」気づけば俺は口を開いていた。
「お前が好きだ。」衝動からだろう。抑えようとすることなど、今は考えられなかった。

少女は一瞬目を見開いて固まると、すぐに頬を赤くした。
「え、えええええ!!!???」


もう一度続けて俺が「好きだ」と言おうとする前に、頬に強い衝撃が走り、そのまま意識が途絶えたのであった。

_____________________________

「・・・ぅん・・・??ここ、は・・・!?」

朝日を受けて目が覚める。知らない場所だ。反射的に起き上がろうとするも、身体が動かなかった。
驚いて自分の身体を見ると、全身が延長コードで縛られていたのだ。何でだ!?⑧

「・・・目が覚めた?」
声のする方に顔を向けると、少女が気まずそうな表情でこっちを見ていた。
でも、さっきと見た目が違う?白かった髪も黒くなってるし、瞳が赤いわけでもないし・・・・・

待てよ。というか、こいつは・・・。


「浦戸、だよな?」

「・・・・・・はぁ、やっぱりヒカルくんだよね・・・」

浦戸美夜(うらどみよ)、俺の高校のクラスメイトは、右手にナイフを持ちながら、乾いた笑みを浮かべていた。

「昨日のこと、覚えてる・・・よね?」冷や汗をかきながら、浦戸が念を押すように問いかける。

昨日のこと。浦戸が異形と化して人を殺していたこと。俺が偶然それを見かけてしまったこと。浦戸の妖艶さに惹かれたこと___

「なんで赤くなってるのよ・・・まぁいいわ。で、覚えてるの?ねえ。」

「うん、ま、まぁ。」迫力を帯びた問いかけにあっさりと答えてしまう。

俺がそう答えると、浦戸は「あぁぁ・・・やっぱり・・・」と頭を抱えた。


「浦戸って・・・あれか?吸血鬼みたいなものなのか?」俺はおそるおそる問いかける。

吸血鬼。鋭利な牙が特徴的で、人の血を食料とする怪物。その他、コウモリになるとか、鏡に映らないとか、様々な伝説がある。

昨日見た彼女の姿は、吸血鬼そのものだった。


「多分、その認識で合ってる。
なるのは満月の夜だけだけど・・・ 1ヶ月に1回・・・頑張って2ヶ月に1回は人を食べないと生きられないし、事実これまでにいっぱい食べてるから吸血鬼と変わらないと思うわ。」

にわかに信じ難い話だが、実際に俺は見ているし、昨日は確かに満月の夜でもあった。浦戸美夜は吸血鬼である、ということに間違いはないのだろう。


「じゃあ、俺も食べられるのか?」

彼女を見上げながら俺は言う。
延長コードで縛られ動けない身体だし、この距離だと抵抗も出来ないまま殺されてしまうだろう。

「そこをずーーーっと迷ってたんだけどね。」浦戸は片手でナイフを弄びながら言う。

「あなたを生かしてあげるわ。④

さっきも言った通り、吸血鬼なのは満月の夜だけ。
あの日に一人食べたし、私はもうお腹いっぱい。
かといってあの現場は君に見られちゃったから放っては置けないし・・・でも殺して学校がお通夜ムードになるのも嫌なんだよね。

だから、さ。ヒカルくん。君は『保存食』だ。」黒目だけれど、昨日みたいな妖しい目をして、彼女は笑う。

「保存食?」

「そう。保存食だから、どうしても人を隠れて食べられなくなった時に食べる。
ヒカルくん、東北から引っ越してきて一人暮らしでしょ?折角だし、ウチに住ませてあげる。一緒に住んで、一緒に学校に行こう。

ほら、喜びなよ。私のことが『好き』なんでしょ?」
浦戸が楽しそうに言う。

確かに、俺はあの時浦戸に惹かれて、好きだと叫んでしまったな・・・
浦戸がこの姿になっても未だに胸の高鳴りは止まらないから、きっと好きなのは変わらないんだと思う。まったく、自分のことながら、一目惚れは恐ろしい。


「・・・ちなみに、拒否権は?」

「何のために縛ってると思ってるのさ。断ったらしょうが無いから殺すよ」

「だよな。はぁ・・・」

自分に向けられたナイフにため息をつく。

こうして、意中の相手との思わぬ形での同棲生活が始まったのであった。

________________

『君が為 尽くす心は 水の泡 消えにし後ぞ 澄み渡るべき』

岡田以蔵
__________


「吸血鬼ってかっこいいな。」

「何、突然。」

「いや、この間の変身とか凄かったし・・・」


時間が経つのも早いもので、浦戸と住むようになってから1度目の満月の夜が過ぎた。
今月は、俺は食われなかった。

満月の夜、浦戸が窓のカーテンを開けて月の光を浴びると、浦戸の髪の色が次第に黒から白に変わっていって牙も伸びていく様は、とても美しかったなぁ。
そして、そのまま「行ってくる」と言ってフードを被って家を出て、二時間ほどして、「美味しかったー。」と笑顔で帰ってきた時には、別の服を着ていた。服に付いた血を隠す為だろうか?

この前浦戸に人間がどんな味がするのかを聞いてみたら、彼女は少し考えた後に、「林檎に蜂蜜をかけたような味」と答えた。自分の身体に、そんな味がするのか・・・③

俺は相変わらず彼女に惹かれている。相変わらず、家では延長コードで縛られているし、いつ食べられるかわからない生活だけれど・・・それでも今、他愛のない話を出来るくらいには話せるようになった。

「ゲームとかに出てくるモンスターの中でも、だいたい吸血鬼って大ボスくらいの位置にあると思うし、他のモンスターとかでもだいたい血を吸ったら倒せそうな気がするな。」

「あぁ、そういう。
ヒカルくんもそういうのをカッコイイと思う感じ、男の子だねぇ。
そうね。吸血鬼になるっていっても、身体能力がちょっと上がって、牙が生えるくらいのものだからなあ。血が流れてて、肉弾戦が通じるモンスターとかなら勝てるんじゃないの?
鎧とかつけられるとさすがに噛む場所が無いからお手上げだけど」

「血が流れてて、肉弾戦が通じる相手か・・・」

「うん。だからアレは絶対無理、倒せない。」

「アレ?」

「スライム」 浦戸がちょっと悔しそうに言うものだから、俺は思わず笑ってしまった。

「最強のモンスターなのに、スライムが倒せないってちょっと可愛いな。スライムが最強のモンスターなんじゃないか?⑤」

「可愛い言うな!食べるぞ!
はぁ、そもそも私をモンスターに例えないで欲しいんだけど・・・。」

「違うの?」ちょっと悪戯っぽく言ってみる。

「違うよ。」浦戸はため息をつくと、続けて言う。
「RPGの世界のモンスターはモンスター同士の軍とか国家があって、その秩序の中で人間を襲って生きてるでしょ?
私は違う。人間しかいない世界で、1人違う種族に生まれ、人間の秩序のもと生きないといけなかったから。」

「・・・ごめん。」あんまり悲しそうに言うものだから、素直に謝った。
「1人なのか。てっきり親とかが吸血鬼だったとか、そういうものだと思ってた。」

「うーん、お父様とお母様は物心ついた時にはいなかったから分からないのよね。
・・・でも、多分人間だったんじゃないかなと思うわ。」

「どうして?」

「私に物心がついてないから。ホラ、小さい頃って何でもかんでも口に入れちゃうでしょう?だから私は、きっと『食べ物が目の前にあったからつい。』みたいな感じで食べちゃったと思うの。
ヒカルくんも、お皿の上に林檎が食べられる状態で置いてあったら食べるでしょ。」

「林檎って・・・。仮にも親にその例えを使うのか。」

「親"でも"よ。
私にとっては、人間は食べ物でしかない。だから物心がついていても、いつかは食べていたんじゃない。
いい?あなたたちの価値観と私の価値観を一緒にしないで。人間の価値基準で動いたとしても、私は死んじゃう。そんなのは嫌だから。

私は『生きるために人を食べなくちゃならない』。」

『生きるために』という言葉にひどく重みと隔絶を感じた。目の前の彼女とはそもそも種族が違うのだということを意識させられ、胸が苦しくなった。

「じゃあ、浦戸はずっと1人だったのか?」

「いや、お母様とお父様が死んでからは、私はおじい様に引き取られたから・・・しばらくはおじい様に育てられたわ。もう亡くなったけど。
あ、そうそう。この家もおじい様が建てたの。えっとね・・・」

浦戸は俺を縛る延長コードを外すと、「ついて来て」と言って俺の手を引っ張った。

「良いのか?延長コードを外して。逃げるかもしれないぞ?」

「逃がさないし、別に無くてもヒカルくんは逃げないでしょ。ほら、さっきから手を繋がれて脈が凄いよ。可愛い。」

「うっ、可愛いって言うなよ」

「お返し。」2人で笑った。

そうやって言い合っている間に、地下にある1つの部屋にたどり着いた。

「入口が壊れてる?」

「私が昔壊したの。さ、入って。」

招き入れられて中に入る。そこにあったのは、鉄格子が無理矢理こじ開けられたような跡の残る牢屋だった。

「これは・・・」思わず息を呑む。

「おじい様はね、私の事が怖かったんだと思う。
そりゃあしょうがないよね。自分の愛しい息子とその妻が年端のいかない子供にむごたらしく殺されたのに、ソレを自分が引き取らなきゃいけないなんて。」浦戸は昔を懐かしむように語り出す。

「だから私はここに入れられて育てられたの。懐かしいなぁ。昔は満月の夜によく暴走しちゃったから、牢屋もボロボロになっちゃって。途中で手錠で壁に繋がれたなー。

・・・それでも、おじい様は私を殺さなかったの、生かしてくれた。
おじい様はお医者さんでね。血液パックを毎月提供してくれたんだ。

そりゃあ私のことは怖かったんだろうけど、それでも血液の提供を私の生きる術として与えてくれたんだよ。
祖父としてなんとかして孫である私を『人間』として生かそうとしてくれたんだなーって思うよ。だから、私はおじい様には感謝してる。

まぁ、おじい様が亡くなってからは、私も家のお手伝いさんとかに『バケモノ』として憎まれて、殺されかけたけど・・・。当然血液も貰えなかったし。
何ヶ月も何も食べてないと人を見ると抑えられなくなって暴走しちゃうんだよね。だからその時の勢いで牢屋まで壊しちゃって・・・屋敷の人みんな食べちゃったよ。⑧

・・・と、まあそんなことがあって、私は今こうやって生きてるのでした。めでたしめでたし。」

「暴走・・・なんというか、壮大な話だな。今まで生きてこれたのが凄いよ」

「私は生きるためならなんでもやるから。殺人も食事として数え切れない程してるし、君たちの言う所の大量殺人鬼・・・いや、人間ですらないから害獣かな?
だから、人間基準での"良い話"では決して無いよね。


さて、私の生い立ちについては話したし、次はヒカルくんのことを聞かせてよ。」

「え、俺!?」まさか話を俺に振ってくるとは思ってなかったので、若干慌てる。
「俺の生い立ちなんて、そんな面白いことも無いぞ?」

「そうかな?でも私だけ喋ってヒカルくんが喋らないのもなんかズルいしなー。
んー、じゃあね、例えば、ヒカルくんはなんで東京に来たの?」

「ま、それならいいか・・・」

俺は東京に出た理由とか、それからの自分の失敗とかを浦戸に喋った。

・・・・・・・・・

・・・・・・

・・・

「あはははは!!!何それおかしい、謎の満ち溢れる自信で東京に来たって、ほんとに何それ。しかもすぐ折れちゃうとか、ふふふ・・・はははは!!!」

「もっともだけど・・・そんなに笑うことないだろ!」

「ははは、ごめんごめん。でもさ、そんなに生き急いでまで社会的に大成功したいの?何でそんなに頑張るんだろーなーって思って。」

「何ていうか、生きてるなら、何か大きなことをしたいだろ。」

「んー?」浦戸が首を傾げる。


「人類の歴史って長いよな。何万年とか。
その中で今生きてるだけでも人類は70億人もいて、しかも俺らは80年くらいしか生きられない訳で。
何万年もの中で生きて死んだ人間を、俺たちは何人知ってる?せいぜい何兆人のうちの100人くらいだろ。殆どの人は何も残せずに、知られずに死んで、誰からも認識される事が出来なくなる。
それなら、生きていても死んでるのと一緒なんじゃないかって思ってしまうんだ。

俺はそれが怖いから。自分が生きてたって未来に伝えたいし、でもそれは無理だと思うから、せめて自分の中でも生きてるって実感が欲しい。あとは、生きてるんだから、誰かのために何かしたい。

つまるところ、生きた証を残したいんだよ。」


「ほえー。やっぱり、私にはよく分からないな。人間の中で偉人になりたいとかそういう感覚も無いし、私は私でオンリーワンだしなあ。」本当にわからない、といったように欠伸をしながら浦戸が言う。


___人間の価値観と吸血鬼の価値観は違うんじゃないか。


俺はそう言おうとしたが、やめた。

「あっ!でも、生きている人間と死んでる人間の違いは分かるよ。」
浦戸はふと思いついた風に言うと、

「えいっ!」と俺の腕に噛み付いてきた。

「えっ、何だよ、痛い痛い!!」突然のことに驚き、慌てて振り放す。
腕には歯の跡がくっきりと付き、噛まれた所から少しだけ血が出ていた。

「何すんだよ!」と怒ると、浦戸は血が出ている俺の腕を触って呟く。「あったかい。」

「え?」

浦戸は腕から手を離して、指に着いた俺の血をちょっと舐めると、こう続けた。
「人間の生きている血ってね、あったかくて、ぬるぬるしてて、おまけに、味があって美味しいの。
逆に死んでからちょっとすると、冷たくてあんまり味がなくなっちゃう。証拠が残ってバレるのは嫌だから残さず食べるけどね。」

「それ言うために腕噛んだのか・・・」

「いいじゃない、保存食なんだし。
いるんだよね、たまに。生きてるはずなのに、冷たくて味がしない人。芯が冷えてるのかな?そういう人は、私も生きてるのか死んでるのかわからないなって思う。食べるし死ぬんだけど。

だからね・・・私が何を言いたいかというと、ヒカルくんは生きてるって言えるんじゃない?あったかいし、美味しかったし。」

「んー? そう・・・なのか?これで本当に言えてるのか?」

「それは知らない。所詮モンスターなので?人間の事なんてわかりませーん。
ふぁあ・・・眠くなってきたし、私はそろそろ寝るね。」そうして浦戸は駆け足で寝室に向かって行ったが、途中で「あ、」と何かを思い出したように振り返る。

「君は私の保存食なんだから、私に食べられる前に冷たい、味のない奴にならないでね。絶対」


俺は笑うと、「ハイハイ、わかったよ」とだけ返して、走り去る彼女を見送った。もう延長コードで縛られなくて良いのか・・・安心した。


『味のある血』という言葉が、頭の中にこびりついて離れなかった。

________________

『月も見て 我はこの世を かしく哉』

加賀千代女
______


ベッドの中。ヒカルくんに昔の事を喋ったせいか、色んなことが頭の中に浮かんでくる。

『院長、なんでアイツを生かそうとするんですか、あんなの人の皮を被っただけのバケモノですよ!?』

『ヒッ・・・!!来るな、この人殺し!』

あぁそうだよ、うるさい。全部事実だし、悪いとも思ってないよ。こちとら生きるためにやってんだからさ。

おじい様が私を人間として生かそうと頑張ってくれたのを知ってたから、私も人間として学校に通った。でも、"私"が友達を作れる訳がないよね。そもそも種族が違うんだから、人間の価値観もわからないし。

ありのままの私じゃ受け入れられないのを知ってたから、学校ではどこにでも居そうな女の子の仮面を被った。②

当たり障りの無い対応と距離感をもって、何人か話せる友達も出来た。あの子達は、私の本性を知ったらどうするだろう。逃げるだろうな、拒絶するだろうなぁ。まあ、それが当たり前だと思うし、責める気もないよ。当たり前。普通。皆生きたいし、自分が大切なんだよ。私もそうだから。


だから、さ。


『好きです』

『可愛いな』

なんて。ヒカルくんはおかしいよ。
私のありのままを知って、そんな言葉が最初に出てくるんだよ?
自分がいつ殺されてもおかしくない状況なのに、よく捕食者と普通に話なんてするよなぁ。
ヒカルくんは「生きてるうちに何かしたい」って言ってたけど、それなら真っ先に私から逃げるべきじゃない?本当に、わけわかんない。


はぁ・・・ヒカルくんのせいで、私も、不思議な感覚だ。胸の奥がギューッとなるような、何なんだろう。これ・・・。

「ヒカルくんの血、美味しかったな・・・。」

________________

『露と落ち 露と消えにし わが身かな なにはのことも夢のまた夢』

豊臣秀吉
______

こんな生活が始まって、5回目の満月の日になる。なんだかんだ、俺もまだ生きている。

こうして俺が生きられるほどに浦戸が狩り?を続けられるのは、やっぱりあの路地裏の存在があるからなんだろうなと思う。
あそこは人がほとんど通らないうえに、薄暗いから、彼女が"獲物"を誘い込んで食べるのには、絶好の場所だ。

あの時も。きっと、俺がもう少し通る時間が早かったら浦戸に食われてたんだろうなーと思いながら、スマホの電源をつけ、現在時刻を確認する。
『P.M.21:45』
浦戸はいつも20時に家を出て、だいたい22時に帰ってくるから・・・そろそろだろうか?

そして俺の考え通りに10分程して彼女は帰ってきた。
美味しいものを食べた後の幸福そうな表情と、なぜか複雑そうな表情を混ぜたような面持ちで。

「どうした?何かあったのか?」と聞くと、浦戸は「あー、えっとね、その・・・」としばらく言い淀み、ついにこう言った。

「あそこの路地裏、通れなくなるんだって。」

「え・・?何て?」予想外の発言に、思わず聞き返す。

「路地裏、私が使ってるとこ。通れなくなるって。聞こえた話だけどね。
来週くらいからあそこにあったビルが取り壊されるのか、新しくなるのかで、あそこの道が広くなるらしいの。だからしばらくあそこは通れないし、通れるようになっても人通りが良くなっちゃうみたい」

「あぁ成程・・・それだと本当にずっと使えないな。どうするんだ?」

「そうだね、とりあえずは人通りが少なそうな所をこの1ヶ月で探すけど・・・もし見つからなかったら、"保存食を使わないといけない"と思う。」


あぁ、そうか。ついにか。

「わかった。」

「まぁ短くても1ヶ月は時間に猶予はあるから・・・やり残した事とかある?」

「そりゃあいっぱいあるよ。将来色々やりたいから東京に来たんだし。でも、それは1ヶ月では出来ないしなぁ・・・
1ヶ月で自分が出来ること。1ヶ月で自分が残せるものか・・・」

そうやって考える俺を浦戸は怪訝そうに見つめる。「ねえ、前から思ってたけどさ。」

「ん?」

「余命宣告をされたのに、やけに素直だよね?ヒカルくんは、死ぬのが怖くないの?」

「そりゃあ怖いよ。だって死ぬんだぞ?
でも、俺が死ぬことで浦戸が少し生き延びられるなら・・・誰かのために生きたってことで俺の生きた意味になるかなとは思うから。あとは、まぁここに住んでる時点でいつか死ぬのは分かってたし。」

「・・・そっか。」浦戸が少し顔を赤くする。

「遺書を残すか・・・?いや、そもそもどこに置いておくんだ。
親に送るにしても『吸血鬼の保存食として食われて死にました』なんて説明できるわけがないし、
『自殺』って嘘をついて悲しませるよりは『行方不明』の方がまだ希望を残せていいだろうし・・・」

「それならポエムとか書いといた方がいいんじゃない?家に飾ってあげるよ」冗談っぽく言う。


「ポエムは何かちょっと抵抗あるな・・・

・・・ん、いや。ありかもしれない」

「え?本気で?」

俺の予想外の一言に浦戸は目を丸くさせる。確かに俺もポエムは書きたくない。死ぬ時まで自分を飾るのは嫌な感じがしたから。ただ、自分の人生を淡々と長く綴るのも味気ない気がするよな。なら、そうだな・・・

「辞世の句ってどうかな。」


◆◆◆


『辞世の句ってどうかな。』

『辞世の句って、アレ?この世に別れを告げる歌みたいなの』

『それ。なんか長々と綴るのも味気ない気がするかなと思ってさ。』

『ふぅん』

なんて。

あれから、2週間くらい経った。
まぁわかってたけど、あの路地裏以外に人通りが少なくて人を食べてもバレなさそうな所は見つからない。
うーん、来月からは私も厳しいかなぁ。1ヶ月や2ヶ月ならまだ耐えられるけど、それが続くようなら私も死んじゃうからなぁ。

やっぱり、ヒカルくんを食べなきゃいけない、か。

ヒカルくんはあれからずーっと辞世の句を考えてる。もう死ぬから、って財布の中身を全部使って俳句の本を買った。行動力というか、なんというか・・・・・・

前にヒカルくんが言ってた『生きているうちに死んでも残るような何かをしたい』ってさ、結局周りの為なのか自分の為なのかで全然意味が違うんだよね。

『周りの為』、つまりは、周りに価値を認めて欲しい、とか自分の価値を見いだして欲しい、とかだと自分が本来持つはずの価値基準を他人に委ねてるわけだし、そういう人はきっと自分で価値の判断が出来ないから、満ち足りることが無い。どんどん上を、もっと上をって追求していって、いつまで経っても幸せになれないんじゃないかなーって思う。まぁ、そもそも人間の社会がこうなっちゃってる気もするけど・・・

逆に、『自分のため』にちゃんと自分で価値を判断出来れば、そこそこで満足できるでしょ。

学校で見てきた人間は圧倒的に前者が多かった。勉強でしか他者が自分を見てくれないから勉強頑張って良い大学に行くんだとか言ってた人とか、可愛く見られたい。いいねが欲しい。って過剰にSNSをやる女子とか・・・・・・正直に言ってバカらしい。一生欲求が満ち足りる筈もないし、人生の最後くらいに「不幸せな人生だった」なんて嘆くんだろうなって思うよ。
幸せ、不幸せなんて自分の見方次第なんだから。

そう。だから私はそのヒカルくんの言葉を聞いた時に、(あぁ、君も他者評価のために生きてるんだ)なんて思って退屈だった。
けど、他者評価が行動の源になってるなら自分の命まで使うわけがないじゃない。自己献身はそんな範疇を明らかに超えてるし、そもそも、何かを犠牲にする決断なんて、自分で何が大事か分かってないと出来ない。

だから、意味がわからないんだ。ヒカルくんは命が大事じゃないの?死ぬのが嫌なんじゃないの?
それとも、私のことが、そんなに・・・?

(・・・・・・・・・!!!)

ハッとした。今まで胸の中にあったぎゅっとした気持ちが、分かったような・・・・・・そんな気がした。


そんな時だった。


「よし、出来た! 」
さっきまでペン片手に本を睨んでいたヒカルくんが声をあげた。


「出来たの?ちょっと見せてよ。」

「あ、待て!まだ心の準備が」

慌てるヒカルくんから句の書かれた紙を奪う。えーと、どれどれ・・・?


『ぬばたまの 夜に焦がれた 我が命
やみよを照らす 光であれたら』①


「ぬばたまって何?」

私が聞くと、ヒカルくんは照れくさそうにしながら、


「なんて言えばいいかな・・・和歌で、『夜』にかかる枕詞なんだけど」


枕詞。ある語の前に置いて語調を整えたり、情緒を添える言葉のこと。強調、ともとれるか。

「・・・ふーん。」

そう言ってもう一度歌を見る。


『ぬばたまの夜』『や"みよ"』『光』__ははっ、笑っちゃうよ。自分の辞世の句で"それ"やるかな?本当に・・・

「何笑ってんだ?そんなに変だったか?」

「いいや?いい歌だと思うよ?私は」


ニヤニヤしながら言う。当然嘘だ。変だよ、おかしいよ。


でも、君のそういうところに、私は____


「ねえヒカルくん。・・・私のこと、好き?」

「そりゃあそうだろ。吸血鬼でも食べられても、お前が好きだ」

「・・・そっか♪」


今はまだ抑えておこう。
この、胸の中の__甘酸っぱい気持ちを。



あぁ、やっぱり、私は・・・・・・・・・・・・




・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・

「あれから1ヶ月経ったけど・・・食べる場所見つけたのか?」

「私を誰だと思ってるのさ。見つけるに決まってるでしょ?」

「まじか!あー、折角カッコつけて辞世の句まで書いたのにな」

「・・・ふふ、食べられないんだから良かったじゃん。アレはアレで飾らせてもらうけど。」

「おいやめろよ、恥ずかしいだろ。」

「だーめ。」



・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・

「・・・ただいま。」

「あ、おかえり。今日は早いんだな。
ここから近いのか?見つけた場所って。」

「まぁね。いやー、本当にいい場所見つけ・・・あっ」

「!!」倒れかけた浦戸をすぐに支える。

「あ、ありがと・・・」浦戸がこちらから目を逸らして言う。

「"また"か?最近よくふらつくけど・・・風邪か何かか?」

「みたいだね。ごめん、今日は早く寝るよ・・・」浦戸が寝室に向かう。またふらつくのが心配だから着いて行こうとすると、「大丈夫だから」と止められた。


吸血鬼でも、風邪ひくんだな・・・・・・


・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・

寝室のドアを開ける。

「浦戸、大丈夫か?学校からのプリント置いとくぞ」

「あー・・・ありがと。大丈夫。風邪だからすぐに治るよ」

「本当か?」

「うん。だからもう出てっていいよ。1人でゆっくり休みたいし・・・。」

「え?でもさ」

「いいから」

「でも・・・」

「いいから!!!!」

「・・・・・・わかった。」

部屋から出て、ドアを閉めた。

「・・・・・・。」

少量の違和感とともに。


・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・

寝室のドアを開ける。

「浦戸、入るぞ。」

「・・・ヒカルくん?そのセリフは普通ドア開ける前に言うものだからね。もう・・・」

「あぁ、ごめん。ちょっと聞きたいことがあってさ」

「・・・なに?ちょっとしんどいから、手短に頼むよ。」目をこちらに向けないまま、浦戸が呟くように言う。顔は青白く少し痩せた様に感じる。

「今日は満月だけどさ。その体調で行くのか?」

「そりゃー、行くでしょ。どんな状況でも食べないと。」

「そうか。"どんな状況でも"、か。
なら、これはどんな状況だ?」

「・・・どういうこと?」

「なぁ、浦戸。4ヶ月前にお前が新しく見つけたって言った場所、どこだ?家の近くを探してみたけど、そんな場所はなかったぞ」

「言う必要ある?関係ないじゃない。」

「いやさ、あるだろ・・・じゃあ次の質問。俺を執拗に部屋から追い出そうとする理由。何故だ?」

「・・・それも、関係ないでしょ。もういいでしょ。出てって!じゃないと__」

「じゃないと、食うのか?俺を。それならそうしてくれ、さっさと食べてくれ!」


だってさ、お前・・・・・・



「場所を見つけたなんて、嘘だろ。」


「・・・そ、そんな訳ないじゃない!私だって食べないと死ぬんだし、それに・・・ホラ!そんな嘘つくんなら、真っ先にヒカルくんを食べてるでしょ。」

「俺もそうだと思った
。そう信じたかった!俺も食べられてないから、きっとどこか俺の見つけられなかった場所で食べてるんだと思ったよっ!!!

__浦戸が、俺を食べたくないから食べないなんて、するはずがないって、思ったよ・・・・・・」

「何が、言いたいの」

「なぁ浦戸。さっきも聞いたけど、何で俺の方から目を逸らすんだ?最近・・・先月も、先々月もそうだったよな。」

「そ、それは・・・」

「前に言ってたよな。『頑張れば2ヶ月までなら人を食べなくても死なない』って。丁度浦戸が体調を崩したのも2ヶ月前くらいだよな。

こうも言ってたよな。『長い間人を食べなくて暴走しかけた』って。

浦戸が嘘をついてるなら、もう"4ヶ月も何も食べてない"ってことだろ・・・!!!人間を・・・俺を見たら本能を抑えられずに暴走して俺を食べるかもしれないからって。だから、こうやって__」

「ち、違う・・・!!私は・・・・・・」声の震えが、悲痛な表情が、全て真実だと告げていた。

「浦戸、分かるだろ。このままだとお前は死ぬ。だから・・・俺を!食べてくれよ・・・!!!」

俺が死んだとしても、お前の苦しむ姿なんて見たくないから・・・と俺は叫んだ。


___お互い、長い沈黙が続く。

しばらくして、浦戸が口を開く。


「話す・・・話すから。
扉越しでもいい?多分、そろそろ、我慢出来なくなる。」

「・・・わかった。」
俺は寝室から出て、扉にもたれかかる。

「じゃあ・・・話すね。

少しして、浦戸も・・・逆側の扉にもたれかかったようで、声が近くに伝わってきた。それでも、今にも消えそうな、弱々しい声だ。

「まず・・・・・・うん。ヒカルくんの言う通りだよ。結局都合のいい場所なんて見つからなかった。でも・・・でもね?保存食のはずのヒカルくんのことを食べられなかったんだ。
だってさ___

ヒカルくんのこと、好きになっちゃったんだもん。

はは・・・おかしいって?そんなの分かってるよ。私は吸血鬼で、ヒカルくんは人間なんだ。結ばれるわけもない。
おかしいよ。好きになったからって、自分が死んでも君を食べたくないなんて・・・まるで"君みたいな"事を私が考えるなんて。
おかしいよ。君は。こんな私の事を、好きでいてくれるなんて・・・・・・。

だから、私も好きになっちゃうんだよ・・・」


扉の向こうで浦戸がすすり泣くのを、驚いて何も言えずに聞いていた。

だが、続いた言葉でさらに驚かされる。

「・・・私はね。多分今日か明日には死ぬと思う。」


「・・・っ!??」

「自分の身体の事だからね。『そろそろだな』って分かるの。
・・・死ぬのは怖いなぁ。なんてさ、人の命をたくさん奪って来た身が言えるのかは分からないけど、それでも怖いよ。そもそも奪わなかったら私はここまで生きてないしさ・・・・・・。
しかも結局、心に嘘ついてヒカルくんを食べたって、場所を見つけられなかったら1,2ヶ月しか生き延びられないっていうね。

ねぇ、私は・・・どうすれば良かったのかな?

この世界にたった1人こんな身で生まれてしまってさ。生きることも許されない、こうやって好きな人とも結ばれない、私の生って何だったんだろうね。

人魚姫みたいに声を犠牲にして人間になれたら・・・あぁ、でもあれも泡になって消えちゃうんだ。」

「浦戸・・・・・・・・・」

「くや、しいなぁ・・・。人間に生まれたら、違ったのかな・・・」

『どうすれば良かったのか?』その問いには、答えられなかった。いや、答えたとしても、きっと気休めにもなれない。だって、彼女の立場に立てるのは、彼女だけなのだから・・・・・・・・・


でも、死に行く彼女の為に__『好きな人のために』何かしたいと、また思ってしまった。
俺は酷く無力で不器用だ。誰かのために何かをしたいと思っても、涙を流す彼女を安心させる事も出来ない。自分が犠牲になる解決策しか思い浮かばない。

それでも、助けたいから。自己満足でも何でもいい。それでも・・・ッッ!!!


「ちょっと行ってくる」

「え・・・?ヒカルくん・・・・・・!?」

「人通りの少ない場所を探してくるんだ。好きな奴が死ぬ瞬間までのうのうと待ってられるかよ・・・!!!」

「ちょ・・・・・・・・・待って・・・ヒカル、くん・・・っ!!!!!」


そう言い残して急いで俺は外に出る。猶予は無い、急いで見つけないと。浦戸を、生かすために・・・。

________________

『願はくは 花のもとにて 春死なむ その如月の 望月のころ』

 西行
______


「ここは・・・ダメだ、人通りは確かに少ないけど、道が広すぎる。」


「ここなら・・・あぁクソ!監視カメラがある。」


外に出てどのくらいだろうか。もうとっくに日も落ちて・・・それでもまだ俺は東京の街を駆け巡って都合のいい場所を探していた。が、夜でも至る所が電気で照らされ、どこに行っても人が居る・・・まるで『今まであの路地裏があったのが、浦戸が今まで生きてこられたのが奇跡だ、諦めろ』と言われているかのように。

認められる訳がない、認めたらダメだ、そんな不条理・・・

「もうすぐ、夜中か・・・浦戸はまだ・・・早く、見つけないと。」


そう決意してすぐの事だった。
あまりにも暗く先程まで見落としていた道に気づいたのだ。

細すぎず、広すぎない、監視カメラもないし、十分薄暗い、これなら、見つからない・・・・・・いける!!!!!

喜びと驚き、高まる興奮を混じえて、ひとまずスマホの電源をつけて時計を確認する。時間は予想通り夜中に近い、『午後11時11分』で⑪____




「・・・・・・!!!???」


浦戸の、大量の不在着信が届いていた。


あまりの衝撃に声を出してしまう。
何故電話を?無事なのか?それとも・・・・・・
あぁぁ、今すぐに携帯の画面から今すぐこの手を、身体を出してでも、すぐに浦戸の所に行って安否を確かめたい。⑥

携帯の着信履歴を見る。それまで連続で届いていた電話は、ある時刻で止まっていて、最後に届いたメールには、




『おねがいだからそばにいて』




と、短く書かれていた。


___あぁ、そうだ。そうに決まってる。

俺が逆の立場なら、それを要求しただろう!!!!!!


『死ぬ間際くらい、好きな人のそばにいたい』って・・・っ!!!!!!!!!


何が『自己満足でもいい』だ!その結果がこれだろう・・・っ!!


あぁ、本当に、自分は・・・本当に、無力で、不器用だ。


大声で泣き叫んでから、急いで"家"に戻った。


・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・



もう冷たくなって動けない"其れ"の前に、ひたすら子供のように涙を流して自問自答する。

どうすれば良かった? ___ただ、側にいてやれば良かったのだ。



どうすれば良かった?___ただ、側にいてやれば___違う!!!


『彼女を生かすためには』どうすれば良かったんだ・・・・・・


その答えを見つけられないまま、その答えに囚われたまま、『保存食』は温かさを失って、腐っていく____


________________


『ぬばたまの 孤独の夜に 降る光

後の御世には あなたのそばで』

 
______



【完】
[編集済]

とても切ないカニバリ要素でした。 [編集済]

No.93[きっとくりす]05月28日 23:2806月02日 21:21

タイトル「箱の中身はなんだろな」

作・きっとくりす [良い質問]

No.94[きっとくりす]05月28日 23:2806月02日 21:21

ふと気づくと、箱の中身はなんだろなゲームをしていた。箱に手を入れる入り口は普通丸いが、今あるものは少し違って、長方形の入り口だった。しかも穴が有るのは箱というより壁。中身に行き当たるのだろうかと思いながら手を突っ込み中をかい探った。そこで手に触れたのは丸みをおびた物体。これは……「りんご?③」

『正解です』という声が聞こえてーー

***

ハッと目を覚ました。携帯で時間を確認する。

『AM11:11』

一瞬遅刻か!?と思ったが今日は休みだった。いや、休みだとしてもちょっと寝過ぎたかなと起きる。なにか変わった夢を見ていたような気がするが思い出せない。まぁ、いつものことだ。気にせず、遅めの朝食(もう、昼食か?)を食べながら、昨日のことを思い出していた。



「おもしろい体験したくないですか?」

突然、そんなセリフが聞こえた。
声のした方を見ると、仮面の男②がこっちを見ている。怪しい人だ……と無視することにする。しかし、

「オノヒロシくん、毎日に退屈してるのでしょう?バイトで報酬もでますよ!」

なぜか名前を知られていた。誰にも言ったことないのに……。

「ふっふっふー、なんで知ってるのかと思ってるでしょう。私は何でも知ってるんですよ!」

仮面を付けたあやしい人物のわりには、ミステリアスさの欠片もない話し方である。

「やってくれませんか?やってくれますよね?ね?」

押しに負けて「やります」と返事してしまった。

「よかったー、じゃあ、よろしくお願いしますね!これ、もろもろの資料です。では!」



仮面の男の残していった資料は、資料と呼べるほどのものではなく、手書きで、『スマホから手が出てくる⑥のでなにかものを触らせてあげてね☆』と書かれていた。雑な説明である。

まだ手なんて出てきてないけど本当に出てくるのだろうかと思っていると、突然ぬっと手が出てきた。何かを探すように動いている。

手には何かを触らせるようにとのことだったので、近くにあったリンゴを持たせてみた。しばらく触っていたと思ったら突然、手が消えてスマホの上にりんごが落ちた。

「あっ…」

スマホが壊れた。りんごってスマホを壊すことができるんだなー⑦。あっ、そうかiPhoneじゃないからだ!Androidは敵とみなして攻撃するのか!今度からりんご食べるときは気をつけないとーーー


***

ハッと目を覚ました。携帯で時間を確認する。

『PM11:11』

夕方から寝てしまって変な時間に目が覚めてしまった。なんだか夢でなるほどって言う発見をしたような気がするけど思い出せない。もやもやしながら、再び寝るための準備をする。

結局、りんごの正解だけじゃダメだったらしくて、それからもしばらく箱の中身はなんだろなゲームを続けた。手を入れたら鋭いもので刺されたり、三連続スライムだったり、いろいろなことが起こってさすがに疲れた。風呂の中でまた寝ないようにしないとーーー

***

ハッと目を覚ました。携帯で時間を確認する。

『PM11:11』

いつの間に寝てたんだろう?いつか見た夢の続きを見た気がする。

あの後もなんどか手が現れた。一回は勉強中であわてて鉛筆を持たせようとしたら、いささか尖りすぎていたらしい⑩。勢い余って手に鉛筆を刺してしまった。途中、スライムを持たせたときの手の反応がおもしろくて何度もスライムを持たせてしまった。マイベストだ⑤。

あれ?でもスマホ壊れたのに何で時間が確認できたんだろう?よくみると携帯に延長コードがささっていた。……そうか、延長コードでスマホの寿命も延長されたんだった。延長コードは万能ーーー⑧

***

ハッと目を覚ました。携帯で時間を確認する。

『PM11:11』⑪

「また!?」

さっき起きたときも『PM11:11』だったぞ?

するとどこからともなく仮面の男が現れて、

「ごめんなさい、間違えました><次は朝の11時11分だったはずでしたー。」

そんな男の様子を見て、思い出した。これは夢だ。『命にもまさりて惜しくある物は 見果てぬ夢のさむるなりけり(命より惜しいのは、夢の途中で覚めてしまうこと)』って和歌に共感①してずっと夢を見続けようと計画したのだった。自分を仮死状態④にして、永遠に終わりのない夢を見続けているのだ⑨。

始めは夢だと分かっていたはずだったが、いつの間にか夢の中も複雑化していたらしい。それはそれで楽しいかもしれないーーー

***

ハッと目を覚ました。携帯で時間を確認する。

『AM11:11』

完全に遅刻だ……。

【おわり】
[編集済]

夢なのか、現実なのか。今まで見たことのない摩訶不思議なタイプのオチでした。

No.95[ニックネーム]05月28日 23:4006月02日 21:32

タイトル「勇者、ウミノ=カメオ」

作・ニックネーム [良い質問]

No.96[ニックネーム]05月28日 23:4106月02日 21:32

(…あれ?ここは…どこだ?)

目を開くと、知らないやつらに囲まれていて、そいつらは祈るような姿勢で俺を見上げていた。
皆同じように両手を組んで、
目を見開いている。

突然のことに声は出ず、体も動かせない。

そんなハムスター状態の俺に、男が一人、近づいてきた。

「おお、勇者さま。我々にお力をお貸しください」

聞き間違いではなく、確かに「勇者」と言った。
確かにゲームはRPGをよくするが、夢に見るほどの勇者願望があるとは思わなかった。
そう、これは夢だ。
夢ならば、こんな訳のわからないシチュエーションもありえるだろう。
ということで、俺は「勇者」を満喫することにした。

「…そう、我が名は『ウミノ=カメオ』!
『勇者』である!」

おお!と歓声が上がる。

「ささ、こちらへ」

先ほどの男の部下らしき男を案内役として、俺を含めた数人が'謁見の間'へと移動した。
ふと、話す言葉や書いてある文字が日本語であることに気づき驚いたが、よく考えなくとも、自分の夢なのだから当然だった。

赤いカーペットが敷かれたいかにもな部屋。
その最奥の玉座に座り、派手な衣装を着た男がいた。
荘厳な雰囲気で辺りを満たし、「威厳」を擬人化したような男だった。

「召喚の儀は成功したのだな?」

「はい、ウミノ=カメオ勇者様がお越しくださいました」

王様は、難しい顔をした大臣や教皇(先ほどの男)と何やら話をしている。半分聞き流しながら、俺はほんのり後悔していた。何故って、勇者の名前に「ああああ」や「本名」を入れてはならないのだ。とてつもなく恥ずかしい目に遭う。現実離れ、いや、夢離れしたこの世界のリアルさも相まって、こそばゆいことこの上なかった。

それはさておき、
王様達の話から次の事情が分かった。
この世界にはいくつかの種族があり、かつては戦争を繰り返していた。しかしある時、尋常ならざる力を持った「スライム」(魔族)が他種族の軍を壊滅させ、全世界を支配した。以来、人族を含めた従属層は、支配層の魔族に虐げられている。
俺はその「スライム」を倒し、世界を平和にするために召喚された「勇者」らしい。

「海亀の勇者様、我々にどうか力を貸していただきたい」

大臣によると、「勇者」は何かしらの動物を守護に持つようで、俺は『"ウミ"ノ="カメ"オ』だから「海亀」に違いないと言った。「海野 亀夫」、漢字の意味がそのまま通じる所は俺の夢らしい。単純で助かった。

「…うむ。良いだろう。力を貸そう!」

こうして「海野 亀夫」こと「ウミノ=カメオ」は「勇者」になった。

しかし作戦会議の後…俺は複雑な気持ちになった。
軍が壊滅させられ、他種族と違って復興に時間がかかっている「人族」は、俺の引き連れる軍隊を用意できない。よってそのまま攻め込むという訳にはいかず、密かに潜入して討つことになったのだ。「勇者」なのか、「暗殺者」なのか、「アサシ◯クリード」を遊んだのはいつだったか。

潜入の話が持ち上がると、俺は奇怪な模様の彫られた【②仮面】を渡された。それを被ることで「魔族」の鋭い感覚を鈍らせ誤魔化し、「人族」であることを隠して紛れることが出来るようになるそうだ。しかし当然、ただ紛れたところで「魔族」の王である「スライム」の元へは辿り着けない。そこで俺は、「魔族」の軍隊に入ってのしあがり、十分に信頼を勝ち取ってから接触、暗殺を行うことになった。
…随分遠大な計画が立てられたものだ。こんなに長い夢は今まで見たことがないと思うが、目覚めて一秒で忘れる俺のことだから、案外こんなものなのかもしれない…と考えていたが、どうやら夢ではないらしい。あらゆる感覚が、完全に、現実のそれだった。…特に、痛みや苦しみ、悲しみは…。

俺は作戦に従い、「魔族」の軍に入隊した。訓練は、半端ないほど、苦しかった。正直に言って、ちょっと挫けた。スパルタだった。「勇者」として召喚された時点である程度の強さを持っていたお陰で、初め方は多少楽ができたが、それでもかなり辛かった。…面倒だからと、魔王城に突っ込まなくて本当に良かった。10000%勝てなかっただろう。俺は今軍曹(准尉>曹長>軍曹>伍長>…)に任命されているが、件の「スライム」どころか、ルルク曹長にも勝てないだろう。まだまだ道のりは遠い。

俺は今、ルルクに代わり、曹長を務めている。彼を含めた多くの兵は、「対亜人族戦争」で奴等の持つ殺戮兵器によって戦死した。…いずれ倒すべき敵の、この6年間を共にした仲間の死に、俺は激しく動揺していた。
…戦争が始まる前の夜、俺はいつもと同じように彼と酒を飲んだ。
約束をしたのだ。
必ず生きて戻ろう、と。
彼は、俺を庇って死んだ。
…肉好きが多い「魔族」にしては珍しく、【③りんご】好きだった彼のために取り寄せた戦勝祝いは、彼の墓に供えることになった。

4年後、俺は准尉へと上り詰めていた。「対巨人族戦争」において敵の殲滅作戦に大いに貢献したということで、戦功叙勲式に参列していた。…それ自体は一つの戦争に決着がつく度に開かれてきたが、今回は異例のこととして、件の「スライム」が直々に勲章を渡すことになっていた。これは、またとない、チャンスだった。

俺は10年前を思い出していた。あの作戦会議から始まったこの任務…

…「スライム」は不死に限りなく近いとはいえ、完全な不死ではない。「スライム」が体内にもつ核、それは「勇者」の力を込めた剣であれば、【⑦破壊することができる】…

…「スライム」が近づいてくる…

…タイミングを合わせ、飛び出した。周囲の護衛の反応できない距離、速度。俺は刀身を深々と突き立てた。

…手応えは、無かった。一瞬で理解できた。俺は失敗した。つまり、ここで、死ぬ。走馬灯のように、過去の記憶が流れて…

次の瞬間、何かに包まれる。何だか不思議な、優しい感覚。そして、聞こえてくる言葉があった。

「人間だ!」
「あの仮面が!」
「人間の男!」
「人間が騙していた!」
「殺す!」
「お下がりください!其奴は『勇者』です!」

「『カズハ』様!!!」


暗殺に失敗したせっかち「勇者」を「魔族」から守っていたのは、暗殺対象である【⑤最強の「スライム」】だった。

「そう、君の言う通り。
私を襲ってきたということは、この者は『勇者』だろう。
ならばこれは、またとない機会だ。
彼には、橋渡し役として協力してもらう」

不服そうな顔をする部下を残し、俺と「スライム」は'執務室'へと移動した。何やら話があるようで、俺は大人しく従った。

「魔族」の王、「スライム」こと『カズハ』は、今までと少し異なる視点を俺に与えた。

「…まず「人族」は、世界平和など目指してはいない」

「…え?」

「つまり、『人族』の狙いは私達『魔族』に成り代わり、世界を思うままに支配することなんだ」

「…はあ」

我ながらバカさが滲み出るような、気の抜けた返事しかできなかった。

「考えてもみてくれ。
「人族」、「亜人族」、「巨人族」…。彼らは戦争を繰り返していた。当時バラバラで、統制されていなかった「獣族」や「魔族」を使役していたんだ」

「…そんなこと、真実かどうか分からない」

「軍を用意できなかったと言うが、ならばどうして『勇者』なんてものを召喚したんだ?
そして何故、暗殺者や密偵のような真似をさせたんだ?」

「……それはもちろん、お前達に虐げられていたからだ。解放を望んでいたからだ」

「そもそもの話だ。君も、もう知っていると思うが、≪帰還の呪文≫は失われてしまっている。
君は、元いた世界へ帰ることはできない」

「………仕方ない。平和のためだ。犠牲は付き物だ」

「"平和のため"?
君は知っているはずだ。
「魔族」と他の「種族」が潰し合い、弱体化したところで反旗を翻すつもりなのだろう?
「勇者」が私を倒す頃、君は「魔族」の軍を内側から崩壊させる力を持ち得、「人族」の軍はどの軍よりも強大になるだろう?
ならばその先は」

「何を言おうと!惑わされることはない!」

「…ルルクを初め、「勇者」を支援するための潜入者が山ほどいた」

「…!?」

「…その殆どはもう、戦没者だが…君はそれについて、どう思う?」

「…そうか。彼も人間だったのか。…そうだな。
俺も、りんごが好きだった」


冷静になった俺に、『カズハ』はある提案をした。

「自由に、世界の現状を見てきて欲しい。それを元に、どちらの側につくかを判断してくれ」

調査して回ると、「人族」の嘘はもう、上級薬草の粉か、というくらいにボロボロと出てきた。
愚かにも、10余年も踊らされていた「勇者」は、
100余年、世界平和という【⑨果てしない夢を追い続けている】「魔王」に、
力を【④貸す】ことに決めた。


「確かに、私も昔は【⑩いささか尖りすぎていた】。迫害の恨みに身を任せ、怒りのまま全てを暴力で支配してしまった。その歴史のみを知らされた無辜の民からすれば、私は「過激な魔物」そのものだった。そのせいで拗れてしまった部分も多々あっただろう」

『カズハ』は悔いていた。力のない支配では、平和はなし得ない。しかし、力による支配では、歴史は必ず歪む。
過去の軋轢を解消し、緊張状態をほぐすためには、
公正公平な歴史が必要だった。
俺は『カズハ』と、新たな計画を立てた。
今度こそ、世界平和のために。

俺は、歴史の調停者となることにした。
役割としては、最後の審判を行うようなものだから、「勇者」というより殆ど「神」の位置になった。当然宗教まで絡むことになってしまったが、それも仕方ない。何とかするしかないのだ。

何とかした。

一先ず世界は平和になり、多少のいざこざはまだまだ残っているが、それもいずれは片付けられる。俺達は新時代を祝う記念式典を開いた。全種族が集まり、肩を組んで、心から笑いあった。

式典を抜け出し、元魔王城のバルコニーに出た俺は、先客に話しかけた。

「新しい時代か。…そういえば、俺の元いた世界だか、前世だかに、時代が変わる時に用いられた【①和歌】というものがあった」

一匹の「スライム」が振り返り、返事をした。

「『和歌』ねぇ。どこかで聞いたような…?」

「結構気に入ってて、今でも覚えているんだ。確か、こんな感じだ。
≪初春の令月にして、
気淑く風和ぎ、
梅は鏡前の粉を披き、
蘭は珮後の香を薫す≫」

「…あ、それ!」

突然、俺の身体は光り始めた。目を見開きながら、『カズハ』は言った。

「それだ!それが≪帰還の呪文≫だ!」

流石にこのご都合主義は如何なものかと思うが、そういうことなら仕方ない。軌道に乗ったあの世界は、もう大丈夫だろう。『カズハ』もいる。俺はお役御免というわけだ。

最後に、『カズハ』が何かを言った気がしたが、もう何も聞こえなかった。



俺は目を覚ました。

(…?何かの夢を見た気がするけど、どんな内容だったっけ?)

ベッドから降りて、水を飲みに台所へ向かう途中、【⑧延長コード】が足に引っ掛かり、机の上に置いてあったスマートフォンが落ちた。寝起きには眩しい光を放ち、あるゲームの画面がついた。時間の表示は【⑪夜】の11:10。

壁にかかったアナログ時計がカチッと音をたてて、
俺は全てを思い出した。
この、勇者になって魔王と"一緒に"戦うRPGゲームを遊んでいた時、突然【⑥画面から手が出てきて】、俺はゲームの世界に召喚されたのだ。

夢オチなんかじゃない。

だって、画面に『カズハ』というキャラクターのセリフが、はっきりと、表示されていたのだから。

「ありがとう、『ウミノ=カメオ』!君のことは忘れないよ!」

11:11。俺は、返事をした。

「いいってことよ!」

【GAME CLEAR】

※補足
男は
11時11分で
あること(=夢じゃない)
が分かった。
[編集済]

勇者と魔王の新しい関係、役割を表現した作品でした。

No.97[HIRO・θ・PEN]05月28日 23:5706月02日 21:38

タイトル【目には目を】 [編集済]

作・HIRO・θ・PEN [良い質問]

No.98[HIRO・θ・PEN]05月28日 23:5706月02日 21:38

気がつくと、俺はパソコンの画面を殴っていた。


俺は、お前に復讐する。
俺の気が済むまで。

ディスプレイを貫通した腕を引き抜く⑥。鈍い赤色の液体が、俺の腕から滴り落ちる。そのまま携帯電話を掴み取る。Twitterを開き、居場所に見当をつけた俺は、家を出た。






10年前、俺はある事務所で俳優としてデビューした。アイツは同じ事務所の同期ということもあって、デビュー当初の俺たちは非常に仲が良かった。「一緒に頑張ろうな!」と言ってくれたアイツと共に、俺は一流俳優になるという果てしない夢を追いかけ⑨始めた。俺たちは事務所のお陰もあって、すぐに人気俳優の一人として出世街道を突き進んでいった。2人でライムをかじったザ・テレヴィジョンの表紙をコンビニで見た時の記憶は、今でも鮮明に覚えている。

俺が体調を崩し始めたのは5年前からだ。その頃から喉の調子が悪くなり、次第に体調も悪化していき、終いには撮影中に救急搬送される程になっていた。
病院で俺は眼と腎臓と肝臓をやられていると診断された。あまりにも異常な数値だと医者に言われた俺は、生活に原因があると思い、スケジュール帳を調べた。
俺が体調を壊す前日には必ずアイツと一緒の仕事があるということに気づくのに、時間はかからなかった。しかしそれを受け入れることは容易いことではなかった。

大手術をして後遺症の残った俺の身体では、体力の要る俳優業は絶望的だ。視力も極端に落ち、生活にも支障がある。献身的に介護をしてくれていた妻とは1年前に離婚した。愛する仕事、愛する妻を失った俺は、しばらく何もできなかった。

俺が苦しんでいる間も、アイツは何食わぬ顔で出世していった。何の力もない俺は、ただ何もできない自分に絶望しながら生きていくしかなかった。

主治医の先生からの定期メールに返信するため、パソコンを開いた。
おもむろに開いたブラウザに現れた文字に、俺は息が止まった。
「俳優のXXXさんが結婚、お相手は△△さん」
アイツの名前と、俺の元妻の名前。
どういうことだ……。
何で俺が……。
何故お前は俺の首を絞め続けるんだ……!
何故俺をうばいつづけるんだ……!
俺がまだ憎いのか?復讐されるのが怖いのか?怖いのか?
アイツの顔写真がこちらを見ているような気がした。こちらを嘲笑っているような気さえした。俺は、腕を振り上げた。



夜7時。アイツの尾行をし始めて8時間。アイツは怪しいバーの中に入った。3時間後、アイツは化粧の濃い女に見送られて外に出てきた。アイツが立ち去ったのを確認し、俺はその店に入る。さっき見た女が甘ったるい声で話しかけてくる。俺は我慢しながらも店の席に着く。アイツに復讐するためなら何でもできてしまう自分に僅かに驚きながら、俺は店内を見渡す。
床に紙が落ちているのを見つけた。アイツの名刺だった。俺は、この奇跡的な幸運を逃す訳にはいかなかった。俺の復讐劇が、神にさえも祝福されている気がしてきた。震える手でそっと拾い上げ、内ポケットに仕舞う。



夜11時。アカウント名をあの店の女の名前にする。アイコンを白い犬の写真にした俺は、名刺の電話番号からアイツを友達登録する。ゆっくりと息を吐いた俺は、メッセージを打ち込む。
「こんにちは!◯◯です🐩
XXXさん、今日お店に傘忘れちゃってますよ笑
お店で保管しておくので、また、きてくださいね💕」
成りすましか④バレないか心配だったが、何の問題もなく返信が来た。いつ行こうかなと返信する鈍感野郎に、今夜はと11:11⑪にメッセージを送信した。
間髪入れず返信が来る。「いいぜ ^ ^ 」
アイツは何のためらいもなく俺の罠に引っかかってくれた。アイツは会話の相手が俺だと気付いていないようだ。そのことが分かった俺は思わず大きな声で「ヨッシャ!!」と叫ぶ。
「じゃあ、今日の夜、バーでね♩」








お前が俺にしてきたことを、俺もお前にしてるだけだ。
お前の身体、お前の感情、お前の人生。
全部、ゆっくり、壊す。
人がどれほど簡単に他人の人生を壊せる⑦のか、俺がお前で実験してやる。

俺が耳元でそう囁くと、ガムテープで口を塞がれたコイツが呻き出す。バーの前で気を失い、気がつくと廃工場にいた、そのことを理解し始めたコイツは暴れようとする。廃工場に残っていた延長コード⑧で金網に括り付けられた腕を動かそうと必死になるコイツを見て俺は気分が高揚する。顔に巻きつけたガムテープを一気に剥がし、自由のない状況に苦しむ人間に対して視界と発言権を与える。
「おっ…おい!!お前は誰だ……!俺に何をするつもりだ!」
般若のお面②を被った俺は、落ちていたプラスドライバーを口にねじ込む。動きを止めるために突き刺しただけだったが、いささか尖りすぎていた⑩のか、血が垂れてきた。視界を得たばかりの眼の上にスライスライムを載せる。男は今まで感じたことのないような最強⑤の痛みに耐えかねて、冷たく気味の悪い廃工場に叫び声を放つ。気味が良くなってきた俺は、苦しむ人間を前にして、不意に笑いがこみ上げてきた。
「さぞかしお前も気持ちよかったんだろうな!俺が堕ちていくところを見ながら……!」
顎を蹴り上げる。顔面を上に向け、俺は一層力強く踏み込む。涙が止まらなくなっている人間の、汚くも美しい姿。俺はいつの間にか、有名な昭和歌①謡曲を口ずさんでいた。

上を向いて歩こう 涙がこぼれないように
思い出す 春の日 一人ぽっちの夜

次第に歌声が大きくなる。嫌でも聞こえるような大声で歌い切る。歌い終えた俺は、ガソリンを入れた缶を持ち上げる。叫び声を発する口を目掛けて一気に中身をぶち撒ける。叫び声は、液体を吐き出す音に変わる。静かになった人間に俺は怒声を吐きつける。
「ガソリンご③ときでへばってんじゃねーよ……!もっと苦しめよ、もっと味わえよ、もっと失えよ!」





復讐を終えた俺は、上を向いていた。
ガソリンの匂いがする手を、温い夜風が通り抜ける。
揺れる薄暗の中で、ライターを握り締めながら、俺は闇の中に消えていった。
[編集済]

要素の使い方がトリッキーで想像力を掻きたてる終わり方でした。

No.99[バタルン星人]05月28日 23:5806月02日 21:45

パートナー

作・バタルン星人 [良い質問]

No.100[バタルン星人]05月28日 23:5906月02日 21:45

特捜班の2人は今日も現場へ向かう。
倒れていたのは自称 YouTuberの男のようだ。⑨

現場には遺書のようなものがあり、鉛筆で書かれていた。

『だきしめた こころのこすも あつくもえ きせきをおこせ げんそうのうま』
『みかんグミ あなたがりんご だったなら わたしは死なず すんでいたのに』①③

左京
「暗号でしょうか どちらもまったく見当がつきません」
「ところで りんごグミといえば令和製菓のりんごグミが美味しいです」

亀海
「しかし不気味ですよね~ 薄型テレビを腕で突き破った状態なんて初めて見ましたよ」⑥
「延長コードに足 ひっかけちゃったんですかね?」⑧
「フラットの製品なら簡単に壊れたり 躓くこともないんですけどね」

左京
「私はこの仮面が気になりますねぇ」②
「見ているだけで勇気が湧いてくるようです」

亀海
「見て下さい左京さん! この鉛筆 ペンじゃないですか?」

左京
「いささか尖りすぎていますねぇ~」⑩
「素晴らしい書き心地ですが 文字を書いてから削ったとすると
やはり ただの自殺ではなさそうです」

鑑識
「被害者のものと思われる最後のカキコミは
 『ゲル種の中ではエコスライムが最強』⑤
でした。よほど面白いゲームなのでしょう」

左京
「存外 被害者は趣味のいい男だったようです」



 スタンディンバイ コンプリート スタンディンバイ コンプリート


亀海
「和歌子からメールだ」
「左京さんも持ったらどうですか ケータイ 便利ですよ」

亀海が左京に携帯電話を貸す。
そして時刻を確認する左京。
腕時計と同じ11時11分を示していた。

左京
「亀海くん!!どうやら私はとんでもない勘違いをしていたようです!」





「携帯電話って便利ですね!!」

「そういえば今日は大事な用があると言っていませんでしたか?」

亀海
「ああ!! 終わっちゃってる!」
「今日のサッカー楽しみにしてたのに・・・」⑪(11対11)
「こんなことならフラットの自動録画付きテレビ買っとくんだったなー」




自称 YouTuber
「うう・・ なんだか うるさいし身体が痛い・・・」④(仮死ます!)
「なんじゃこりゃぁあ!!!」


なんと男は生きていました。
全部 はやとちりでした。⑦(お話を壊すことが…)


この番組はご覧のスポンサーの提供でお送りしました

    令和製菓
     FLAT
    仮面のシツオ 
    株式会社PEN
     OMCET


※空想の5分番組です
【完】
[編集済]

左右違うだけで性能が全く異なる話でした。

それでは、ただ今をもって投稿を締切ます。

参加者一覧 23人(クリックすると質問が絞れます)

全員
時野洋輔(7良:2)
愛莉@京都LOVE(3良:1)
「マクガフィン」(3)
OUTIS(11良:5)
こはいち(3良:1)
HIRO・θ・PEN(5良:2)
Rest(5良:2)
ごがつあめ涼花(5良:1)
太陽が散々(5良:1)
赤升(5良:3)
てぃの(1)
とろたく(記憶喪失)(9良:3正:2)
ハシバミ(5良:1)
夜船(5良:2)
ビッキー(1)
きっとくりす(5良:2)
藤井(5良:2)
かふぇ・もかろに(5良:2)
キャノー(2良:1)
バタルン星人(4良:2)
靴下(2良:1)
ラピ丸(2良:1)
ニックネーム(2良:1)
19年05月15日 21:20 [たまにんじん]
相談チャットです。この問題に関する事を書き込みましょう。
Rest[15イイネ]>>たまにんじんさんお疲れさまでした!!投票出来ず申し訳ありませんでした;;[04日18時13分]
OUTIS>>開催感謝するヨ 少々余計な事を口走りそうだから一言だけ・・・藤井さん、次回、楽しみにしているヨ[03日22時08分]
藤井[はらこめし]>>第11回創りだす、ありがとうございました。主催のたまにんじんさんは多忙な中企画進行を全うしてくださり、ありがとうございました。いろいろとご無理されたのではないかといささか心配です。
そしてながたくさん、シェチュ王&二冠おめでとうございます!焼肉奢ってください。創りだす大好き芸人のながたくさんによる第12回が今から楽しみでなりません。参加するぞー。
そしてまさかの最優秀作品賞、本当にありがとうございます。「うぇぇ」って声出ました。言葉になりません。自分のどうしようもない部分、脆い部分が少し救われたような気持ちです。
作品にコメントをくださった方には投票会場にてお返事させていただきます。というか、全作品に対しコメントを書く方が増えてきたなと思っていたら、今度は企画終了後のコメント返しをする方まで増えてきましたね。みんなながたくさん。創りだすは最高だぜ。[編集済] [03日21時19分]
ごがつあめ涼花>>藤井さん、とろたく(記憶喪失)さんそれぞれ最優秀作品賞とシェチュ王おめでとうございます!今回はかなり自分も気合を入れていたのですが、御二方の作品を読んだ時に(あ、これは取られた)と思っちゃいましたw本当にエモンガでした。(エモンガは著作権フリーです) たまにんじんさん、かなり無理して頑張って下さっていたようで、本当にありがとうございました・・・!!![03日20時54分]
とろたく(記憶喪失)>>たまにんじんさん、お疲れ様です&シェチュ王ありがとうございます! 今まで3作作るの続けててよかった・・・精一杯務めさせていただきます! そして藤井さん、最優秀作品賞おめでとうございます! さすがとしか言えない・・・これが御三家ッ・・・! 一生目標にし続けます! また自分の作品にコメントくださった皆様、本当にありがとうございます。いつも言ってますが、皆さんのコメントが励みになります。創り出すは最高だぜ・・・![編集済] [03日13時40分]
かふぇ・もかろに>>たまにんじんさんお忙しい中運営お疲れ様でした。そしてありがとうございました。とろたく(記憶喪失)さんシェチュ王おめでとうございます。藤井さん最優秀作品賞おめでとうございます。[03日12時51分]
バタルン星人>>たまにんじんさん 開催・進行ありがとうございました!お疲れ様です!!(解説「あ」です。には驚きました。二番煎じだよっ ちゃんとご飯食べないからー 今大会も楽しかったです。ゆっくり休んで下さい。) とろたくさん 11回大会のシェチュ王おめでとうございます!クオリティと量を両立させる力は王の名に相応しいと思います。 藤井さん 最優秀作品おめでとうございます!音楽の力は素晴らしいです。 皆様お疲れ様でした![03日11時38分]
ハシバミ>>たまにんじんさん、主催お疲れ様でした。藤井さん、最優秀作品賞おめでとうございます。とろたく(記憶喪失)さん、シュチュ王おめでとうございます。そして拙作に投票・コメントくださった皆様、ありがとうございます。
お察しの通りゾロ目ネタから(だけ)だったのですが、ちょうど今週からジOは電O編。タイミングいーじゃん……[編集済] [03日08時40分]
赤升>>たまにんじんさん、運営お疲れ様でした。今回の創り出すが無事に終了してなによりです。ありがとうございました。とろたく(記憶喪失)さん、シェチュ王おめでとうございます。自分は今回ギャグに完全に振った作品が書けて楽しかったです。[03日07時44分]
ラピ丸>>運営お疲れ様でした!! 今回も楽しかったです!では![03日06時14分]
きっとくりす>>たまにんじんさん、主催お疲れ様でした&ありがとうございました!藤井さん、最優秀作品賞おめでとうございます!そして、とろたくさん!シェチュ王おめでとうございます!![03日02時50分]
キャノー[『良質問』]>>たまにんじんさん、創り出すの運営お疲れ様です!色々とあったようですが、最後まで運営していただき、ありがとうございます!とろたく(記憶喪失)さん、第11回優勝おめでとうございます![編集済] [03日01時08分]
バタルン星人>>バレチャッタ!! > ┏( .□. ┏ ) ┓=3カサコソ[02日23時38分]
OUTIS>>仮面のシツオ・・・名前に違和感を感じて考えてみたら私のOUTISを逆さまから読んだSITUOという事なんだネ・・・シツオ…[02日22時26分]
とろたく(記憶喪失)>>ロビー反応あった。よかった・・・[29日22時49分]
ごがつあめ涼花>>連絡取れました。投票所出せるそうです[29日22時16分]
とろたく(記憶喪失)>>いいと思います。ミニメール送りましたが、念のためロビーチャットにも呼びかけてみます。[29日21時48分]
ラピ丸>>とりあえず今夜は待ってみましょう。ミニメールもしておいて、一晩待って連絡がなければ明朝臨時会場を設置しておくのはどうでしょう?[29日20時45分]
とろたく(記憶喪失)>>まだなさげですね・・・何かトラブったのは間違いなさそうですが・・・たまにんじんさんからの動きを待ちましょうか、それとも臨時で投票会場だけ設置しておきますか?[編集済] [29日20時05分]
時野洋輔[はらこめし]>>お疲れ様です。投票会場はまだですよ・・・ね?[29日19時32分]
HIRO・θ・PEN>>なんとか間に合った。前回より1時間多く考えたぞ。(完成度が1.5倍とは言ってない)[29日00時11分]
ハシバミ>>ぎゃああ、OUTISさん、ご指摘ありがとうございます! 何故か最初から盛大に勘違いしたまま考えていました……多分修正はここだけでいいはず……[29日00時03分]
靴下[15イイネ]>>新機能「最新の回答へ進む」より「最下部へジャンプ」の方が相談欄に近いのも珍しいですね笑[28日23時58分]
ニックネーム>>我ながら、メチャクチャな文章ですね…。初参加ということで、多めに見てください…。[28日23時54分]
きっとくりす>>今回はなんとか書きました。[28日23時33分]
OUTIS>>飲み会()シリーズ再来かナ?[28日23時02分]
藤井[はらこめし]>>全然創りだせてない創りだすを投稿しました。ちょうどリアルでしんどい時期だったので、どうせならと思って今書けるものを書くことに。複数作品投稿してる人はマジすごい。自分は3作くらいボツりました。みなさんお疲れさまでした。打ち上げしましょう(気が早い)[28日22時59分]
ごがつあめ涼花>>間にあったぁ・・・要素つなげてフィーリングで書いたら物凄く長くなっちゃいました。16000文字くらいですかね、反省します[編集済] [28日22時54分]
OUTIS>>ハシバミさん、申し訳ないけど突っ込ませてもらうヨ 高校3年が誕生日前で17歳、誕生日後で18歳 つまり17歳の大学生は存在しないヨ・・・[28日22時43分]
ハシバミ>>投稿いたしました。今回は余裕がある、と思っていたら見事に時間がなくなりました……間に合って良かった……。[28日22時32分]
OUTIS>>タービンが回っていれば大丈夫だヨ・・・[28日22時07分]
ラピ丸>>投稿しました!! 今回は初めてストーリー調に挑戦してみたので、長々と綴ってしまってこりゃヤバイなと思ってましたが、私以上の猛者がいらっしゃるので安心です! へへっ、これで三票ゲットだぜ……[28日18時37分]
ごがつあめ涼花>>明日投稿します(戒め)[27日23時26分]
とろたく(記憶喪失)>>2作目:5000字まではセーフ・・・6000字まではセーフ・・・としてたら1万4000字になりました。再犯です。大変申し訳ありませんでした。 3作目:仮面が入ってたのでやるしかないと思いました。大変申し訳ありませんでした。[編集済] [27日03時15分]
夜船>>やっと出せたよ…今度はちゃんと投票します。[27日00時07分]
靴下[15イイネ]>>初めて創りだす参加させてもらいました! 1つ創るのでもこんなに大変なのに、何作品も創りだせる方をただただ尊敬するのみです...[編集済] [22日02時32分]
Rest[15イイネ]>>投稿いたしました。スマブラネタわからない方いたらごめんなさい。2時間クオリティです。とりあえず3票獲得できたので僕は満足です。[編集済] [18日22時32分]
赤升>>投稿させていただきます。百人一首かぶりました。[18日17時48分]
OUTIS>>芥川は原作も廃屋の鬼に喰われて跡形も無く消えているヨ やはり芥川はこのシーンが無ければネ・・・[17日23時13分]
ラピ丸>>OUTISさん、芥川私も好きです……。あれ、本家の方はお家の方が連れ戻したって事(と記憶してる)でしたよね? この話の子もそうだったらどんなに良かったか……。あるいは……。(あ、参加します[17日23時02分]
とろたく(記憶喪失)>>OUTISさん言い回しが物騒ww そして私もほかの方と展開が駄々被りになってたので練り直します・・・。[17日10時09分]
OUTIS>>やはりストーカーを引き裂くよりも、もかろにさんのように両想いの二人を引き裂く方が何倍も面白いネ・・・ 私ももう一度頑張ってみるヨ・・・[編集済] [16日22時19分]
かふぇ・もかろに>>投稿しました。要素回収色々と雑になってしまったし話もまあまあベタなものになってしまった。[編集済] [16日20時03分]
時野洋輔[はらこめし]>>この正解を創り出すウミガメって、三題噺に似ていますね。いくらでも答えを出せそう。[16日17時49分]
OUTIS>>「和歌:5・7・5・7・7の形≠川柳」 致命的なミスを犯した為編集中だヨ[16日17時31分]
とろたく(記憶喪失)>>投稿しました~。CV山寺宏一さんを意識しました。しかし某映画の実写が楽しみすぎて解説にも影響してしまうとは。[編集済] [16日11時33分]
ニックネーム>>面白そうなので参加します!(投稿できるかは和歌りません!)よろしくお願いいたします![16日01時33分]
キャノー[『良質問』]>>実は参加しました。黒歴史確定な作品を投稿するのも、また一興…[16日00時36分]
「マクガフィン」>>またしてもなかなかにカオスな予感…アルファベットがないだけマシか…[15日23時58分]
時野洋輔[はらこめし]>>仮面で最強スライムって、まさに、転スラじゃないですか!? これはアニメ化第二期楽しみですね![15日23時51分]
Rest[15イイネ]>>うーん、カオス。そしてとろたくさんと逆結婚できませんでした、残念!!![15日23時41分]
バタルン星人>>これはまた・・・ 色々楽しみです[15日23時37分]
かふぇ・もかろに>>和歌とスライムの組み合わせがなかなかに難しくなりそうですが頑張ってみます。[15日23時34分]
たまにんじん>>矛盾を発生させるためには「非現実要素はありますか?」「現代日本で成立しますか?」などの基礎質系が重要なのだと勉強になりました。次回(?)に向けての糧にします~。[15日23時29分]
ごがつあめ涼花>>全部個性が強くてなかなかに難しいですね・・・仮面二連続、こはいちさんついにりんごます、スライムが最強・・・wwwwww参加できれば頑張ってみます。

あーあー、はってっしーないー🎶[編集済] [15日23時26分]
たまにんじん>>おだんごさんいらっしゃいませ~。要素出しは終わってしまいましたが色々楽しんで行って下さい[15日23時26分]
夜船>>要素だしお疲れ様です。延長コード自分で入れておいて困っている現在。がんばろ。[15日23時24分]
とろたく(記憶喪失)>>要素出し本当にお疲れさまです! 矛盾しなかったことにちょっぴり残念に思いつつ、また仮面www[編集済] [15日23時22分]
OUTIS>>>>2連続仮面<<[15日23時22分]
おだんご>>遅れましたが参加します。[15日23時01分]
たまにんじん>>かふぇ・もかろにさん、ピッタリ歓迎です~[15日22時49分]
かふぇ・もかろに>>参加させていただきます。[15日22時47分]
たまにんじん>>藤井さん、滑り込み歓迎します~[15日22時44分]
藤井[はらこめし]>>すべりこみ参加します~[15日22時41分]
とろたく(記憶喪失)>>やだ、Restさん好き・・・(後のことは考えない)[15日22時36分]
Rest[15イイネ]>>どうせならとろたくさんに被せてみます...(´ω`*)[15日22時34分]
たまにんじん>>きっとくりすさんお待ちしておりました~[15日22時34分]
きっとくりす>>参加します。[15日22時30分]
たまにんじん>>夜船さん入港~[15日22時25分]
夜船>>参加します![15日22時17分]
たまにんじん>>とろたく(記憶喪失)さん歓迎しました![15日22時16分]
とろたく(記憶喪失)>>参加しました! (事後報告) 面白そうなのであえて矛盾要素いれてみようかな・・・[編集済] [15日22時15分]
たまにんじん>>ハシバミさんようこそ~[15日22時14分]
ハシバミ>>参加します![15日22時13分]
たまにんじん>>赤升さん、遅れたのは自分です~[15日22時04分]
たまにんじん>>てぃのさん楽しんでください~[15日22時03分]
赤升>>遅ればせながら参加させていただきます。[15日22時00分]
てぃの>>要素出しだけなら私にもできそうなので参加します![15日21時59分]
たまにんじん>>太陽が散々さんウェルカム~[15日21時54分]
太陽が散々>>参加します〜[15日21時52分]
たまにんじん>>ごがつあめ涼花さん毎度~[15日21時45分]
たまにんじん>>HIRO・θ・PENさんご案内~[15日21時43分]
ごがつあめ涼花>>参加します[15日21時42分]
たまにんじん>>バタルン星人さん見学どうぞ~[15日21時40分]
HIRO・θ・PEN>>参加するマン・θ・[15日21時39分]
たまにんじん>>Restさんフルスロットルで~。[15日21時39分]
たまにんじん>>こはいちさん、凶と出るでしょうね~。[15日21時38分]
バタルン星人>>参加します 要素出しは見学します[15日21時37分]
Rest[15イイネ]>>参加します。今回は抑え目でいきます。[15日21時33分]
こはいち>>参加します! 矛盾は果たして出るのかどうか……[15日21時32分]
たまにんじん>>「マクガフィン」さん、そう思っていた時期が自分にもありました~[15日21時32分]
たまにんじん>>OUTISさんごゆっくり~[15日21時31分]
「マクガフィン」>>参加します!初出題が創り出すとかかっこよすぎる…!![15日21時28分]
OUTIS>>さて、参加させてもらうヨ[15日21時28分]
たまにんじん>>愛莉@京都LOVEいらっしゃいませー[15日21時27分]
愛莉@京都LOVE>>参加します[15日21時26分]
たまにんじん>>時野洋輔さんよろこんでー。[15日21時25分]
時野洋輔[はらこめし]>>初参加よろしいでしょうか?[15日21時25分]
たまにんじん>>不手際が多く申し訳ありませんでした。皆さま歓迎いたします。[15日21時22分]
ゲストの方は発言できません、ログインまたは登録してください。
毎度! 
大変お待たせしました、結果発表です!

まずは参加者の皆さま、ご参加ありがとうございました!
リアルの方が忙しく、ネットを見れなくて進行に滞りが生じたこと、この場を借りてお詫び申し上げます。

今回は25作品という予想外に多い投稿数に正直ビビってしまったのですが、投稿数が多いのはイベントの成功に他ならないのでとにかく頑張ってみようと踏ん張りました。
意図的に要素出しで矛盾を出してみようと思った結果、なかなか荒れませんでした。
しかし!単品でクセの強い要素が出そろったのでなかなか満足です。
できることなら番外編ということで作品を作ってみたかったのですが、これはもう実力的にも時間的にも無理でした。
今回投稿された方々、本当に頭が下がります。

それでは結果発表いってみましょう!


最難関要素部門  (3票以上)

●要素⑥画面から手が出てきます!
 要素⑧延長コードは関係します!
 以上三票

ここだけ見るとテレビを連想してしまうのは私だけでしょうか?
そして栄えある最難関要素は

4票獲得の
要素①和歌は重要です! 
でした!


和歌は好き嫌いが現れる要素だと思うのですが、今回は嫌いな人が多かったようです。
この要素を上手に扱えた人が良い作品繋げられているような気がします。

それでは最優秀作品部門、こちらは3位からの発表です。

3位!

4票獲得が3作品

「三月、茜色のキーホルダーと夜半の流れ星」  (作・ラピ丸)
「ボクの大親友」  (作・とろたく(記憶喪失))
「その時見た月は、何よりも綺麗だった。」  (作・とろたく(記憶喪失))

とろたくさん2作品ランクインという大暴れっぷり、ラピ丸さんの作品もなかなかはっちゃけた青春ものでした。


続いて第二位!

五票獲得が二作品
「世界よ丸くなれ」  (作・太陽が散々)
「トーキョーヴァンパネルラ」  (作・ごがつあめ涼花)

文字数が多くなりがちな創りだすにおいて短くてシンプルな構成、なおかつ難しい要素たちを上手く活用して納得感の高い作品を生み出した太陽が散々さん。
対して、濃厚なストーリーに見合う文章量を書き、その上で今回の最難関要素である和歌を利用して物語を創ったごがつあめ涼花さん。
どちらもお見事でした。

いよいよ今回の一位です!

六票獲得 「セントポーリア」  (作・藤井)

ファンタジー作品の多かった今回で数少ない現実作品。
画面から手が出る、スライムが最強、などの要素を「例え」に用いることで豊かな表現に昇華していました。
登場人物の心理描写が素晴らしく、切なさが痛いほど伝わってきました。
作中に和歌も出てきますが、この作品自体が一つの歌のようでした。

今回のシュチュ王ですが、シェチュ王は最も票数を集めた作品を投稿した方ではなく、最も票数を集めたシェフになりますので
シュチュ王は「ボクの大親友」と「その時見た月は、何よりも綺麗だった。」の二作品で合計八票を獲得されましたとろたく(記憶喪失)さんになります。
とろたく(記憶喪失)おめでとうございます!


参加してくださった皆様。
作品を読んでくださった皆様。
誠にありがとうございました。

そしてとろたく(記憶喪失)さん。
12回目の「創りだす」を思うがまま好きなように開催してください

今回はリアルが忙しくてどうしても時間が取れず、準備期間が足りませんでした。
それによりたくさんの方々にご迷惑をかけてしまいました。
もし機械があれば、また参加して今回の失敗を取り消したいと思います。


それでは、長々と失礼しました。