17創りだす 感想

作成者:さなめ。
部屋名:17創りだす 感想
ルームキー:はきだめにはる
問題文 没案

・降りだした雨によって、男は告白することを決意した。どのような状況だろう。
(雨降って気固まる)

・こちらに向かって手を降る女の手には絆創膏がついていた。それにより、男の部屋は明るくなった。どのような状況だろう。
(怪我の光明)

・男が絆創膏を持っていたので、女の顔は真っ赤に染まった。どのような状況だろう。
(怪我の紅潮)

弔いを込めて。。。

解説 没案(想定解?)

・捨てられた紙が、同棲する男が指輪を買ったときのレシートだったから。
(弥七さんの正に射ぬかれた質問で、これは没だ…!と確信致しました。)

・間違って彼の下駄箱の隣にラブレターを入れてしまった彼女。間違えられたことを知った男は、端っこにある彼女の下駄箱の隣のゴミ箱に、返事ラブレターを入れた。
(複雑)

・失敗作のラブレターが、捨てられていたから。
(これだけでは逆に単純過ぎますが、私にはこれ以上ストーリーを広げられませんでした。弥七さん、流石です。)

こちらも、弔いを込めて。。。




本当は、こういう部屋になる予定でした。

【総発言数:15】
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さなめ。[ラテアート]

靴下さん:『背景に咲くデイジー』

先に言っておかないと忘れてしまいそうなので、問題文のトリックから。「ゴミ箱」をバーチャルな世界に連れていく発想は面白いと思いました。パソコンの機能としてのゴミ箱にすることで、捨てられた「紙」が何かの文書であることへの説明がつきやすくなりますし、何よりパソコンという重要なアイテムを無理なく物語に組み込ませられています。
…その物語ですね、大好きです。本当に。大前提として、今回の創りだすは短いものが多く集まるルールとなっており、長文を投稿する際は、長文なりの魅力を引き出し、癖の強い要素を巧く組み込む必要があります。靴下さんの作品はそうした制約をものともせず、晴香と奏汰の物語を静かに、切り取る形で表現されていました。出会いの場面ではお互いの呼び方に想いを比喩するところや、家に帰った際のお母さんの反応から、晴香の性格をそれとなく表現するところなどは本当にお見事で、丁寧に読み込めました。風邪をひいている時の晴香の告白の場面は、その後の切なく悲しい結末を鮮やかに対比して、愛らしく華々しく、何よりかわいくてかわいくてかわいくて…。(可愛いのでした。)
デイジーの背景を設定する課題を課すという奏汰からのメッセージも想いがそこかしこに溢れてきて、なんと粋な使い方をなさるのだろう、と感動致しました。初期設定にいかにもありげなデイジーの花畑を精巧な物語設定によりエモンガ溢れるものに変える技巧は本当に感銘ものです。
そして何より、主人公である晴香に想いを寄せて共感できます。一緒に喜んで悲しんで泣いて。これが一番大事。一番素晴らしい。かわいくて感動の素晴らしい作品でした。ご投稿ありがとうございました!
[19年12月01日 13:16]
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さなめ。[ラテアート]

[編集済] Mさん:『your name.』

タイトルで既に、かの有名な曲が流れてくるようでした…。
入れ替わってる!?その設定をここまでに持って来られるとは、と驚きながら、物語を読み進めるとあっという間の短さ。あれ、本当に要素5コもありましたっけ…?従来のMさんのスタイルを貫く、「短さと成立の両立」をしっかり成し遂げられていて、やはり匠の技は凄い、と感嘆しました。
…というより、朝起きたら海外に飛ばされちゃう彼女、本当に可哀想過ぎませんか??神様何してるんですか?悪戯じゃない悪戯好き過ぎませんか???(錯乱中。)急に海外に飛ばされちゃって、しかも身体が他人で異性で、しかも知り合い達と全員さよならして、自我って何ですか知りませんよ、みたいな空間で…。。。書き連ねているだけで背筋も凍るようです。あれ、もしかしてホラーですか?いや、後半が全然違います、さなめ。さんしっかり見て下さい。
そのような境遇の中、同じく可哀想過ぎる彼と連絡を取り合い、ささえ合う。良かった、知り合いは全員いないけど、「仲間」ならいる。繋がる手段としてのスマホが壊れるという追い討ちもありながら、最後には元に戻れて、彼と想いが通じ合う。アグレッシブで壮大で、しかしだからこそエモーショナルエモンガな恋、I love youと短い言葉に込められる想いの深さを想像すると、彼女の抗いが報われているような気がして安堵し、感銘を受けました。ゴミ箱に入れたのは、きっと彼女が絶対、気付いてくれる場所だから。
壮大な設定と短い文章が両立する楽しい作品でした。ご投稿ありがとうございました!
[19年12月01日 13:15]
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さなめ。[ラテアート]

[編集済] みづさん:『千代に八千代に』

うわぁ大好きだー!!この作品めっちゃ好きですみづさん本当に!後で冷静になって感想書きます!
ということで、冷静になったさなめ。です(上の後日)。まず、お題文のゴミ箱が一捻りされ、神社の賽銭箱となっていました。普通のゴミ箱ではないというだけではなく、ゴミ箱、いや「屑箱」の実物が感じさせる荒れ廃れた印象を形にして残すことで、神社のもの寂しさを私たちの心に植えつけています。要素自体は特異なものを使うことなく、普遍的で曖昧な要素を率直素直に使うことで、むしろ元々の物語の世界観を崩すことなく、引き立てる役割を担います。これも大前提ですが、元々の物語自体に確固たる設定がなければ、癖の無い要素というのは逆に使用するのが難しいのです。あとは何が言いたいかわかりますね?今作の要素使用は、精巧で正統な味付け、正にこの作品の素質を活かした形が成立しているのです!
問題文の「女」もまた、彼を想う一途な心から寂れた神社に彩り、光を与え、達観した「私」の意識の中にも少しずつ入り込んでいく。そして「私」は神という視点から、彼女の想いを少しだけ後押しする意味で、問題文を鮮やかに回収し、ラストのサプライズで心地良い驚き、余韻を残してくれます。…因みに、「恋する相手としての彼以外」からのメッセージが紙にあるのも今回は珍しいですね…。
要素6個である故(か、否か?)のこの短さの中で、この作品にはしっかりと芯のあるテーマが感じられ、もう一度作品を読むことでも、違った視点で楽しめます。やーやーすげー。凄すぎる。お忙しい中、この作品を創りだして下さり、主催は本当に嬉しかったです。ご投稿ありがとうございました!
[19年12月01日 13:14]
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さなめ。[ラテアート]

ぎんがけいさん:『ヒナギクの子』

お洒落で、それに思い切った告白だ…。
前半のヒナの心情描写が共感を誘うもので、リアルな感じが致しました。そうそう、こうやって幾人もの恋の物語を読んでいる私だって、急に恋が破れるシーンとは無縁だなんて、勝手に思ってますもん。一種の正常性バイアスのような。いや、というかそもそも私にはそういう恋にすら無縁で…?…あ、話が逸れてしまいましたね。戻します!
また、ホダカの決断にも思い切ったものを感じます。ゴミ箱に他の何か希望を捨てる、という演出は他にもありましたが、こちらは自らの夢、海外渡航を捨てています。彼が彼女に全て言葉で伝えているように、それほどに必死な姿が窺えて、彼の思いの強さがひしひしと伝わってきます。一緒に伝えられるデイジーの花畑もお洒落な計らいで、ヒナの名前と重ね合わせているところなんて、これはヒナさんも大感激だー…!っと感嘆しております。それと、デイジーの花言葉のことまで全部言ってしまう彼は、それほどに必死だったんだなー…。
しれっと紛れ込んだ不審な出来事は本当に怖い香りしかしませんが、そういうジンクスを断ち切って、こちらの二人にもどっかんして欲しいです。ご投稿ありがとうございました!
[19年12月01日 13:13]
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さなめ。[ラテアート]

夜船さん:『Days eye』

街のシンボルとなる大きな砂時計に、ドライフラワーの主産業。やや異質でファンタジアな雰囲気の漂う冒頭は、まず読者の心を惹き付けます。そういった「異国」で迷った彼女と、彼とのやり取りは直接会話文が登場することはなく、語り手のプレイバック調で進行されるので、静かで穏やかな時間が流れていました。それが、前半。
後半の回収は、真実を淡々と明かしていく様が衝撃的で、思わず文章を読み返してしまいます。擦れ違った二人の勘違いが正され、問題文のように恋が「叶ったことを知った」頃には、後悔や懺悔の気持ちが残るばかり。彼女の善意による研究もまた、二人の言葉の擦れ違いと重なるように、恩が仇となって降りかかって、受容する側を痛めつけることにしかならない。その全てが、ある語り手の力で、静かに、静かに語られ、何かを物語るように、砂時計の砂が崩れ落ちていく。
…まさに、圧巻。凄すぎる。多くを語っていないのに、私、また読者側はこうして様々な精巧に組まれる構成要素を感じ取ってしまう。いやー本当に凄い。物語としても感動というか、衝撃を呼ぶ作品で、夜船さんすげーってなってます。ご投稿ありがとうございました!
[19年12月01日 13:12]
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さなめ。[ラテアート]

OUTISさん:『創り出されたかぐや姫』

さあさあ、今宵のOUTISさんの挑戦は、前回主催様の手によって一段と厳しくなっております…。
前回の予言通り、創り出されたシリーズに月のプリンセスがやって来ました。…それにしても、まるで仕組まれたかのような、物語の精巧さが光っています。腐ったみかんや海外渡航などの要素が、有名な求婚のシーンとマッチしており、問題文の回収、ゴミ箱に捨てられた一枚の紙の使い方も素晴らしいです。主催としては、紙に何かしらのメッセージや暗号、最悪でも香りのようなものなど、つまり何か付与がされることを予想し、その中身やいかに…というステージを構想していたのですが、これは意外!火鼠の皮衣、これも有名なアイテム、と合わせて、「何も起こっていない」ことで恋の成就(、または求婚の成功)を気づかせるトリックは、際立って巧妙さを感じました。最後の慌ただしいシーンはちょっとした愉快さを取り入れられており、砂時計をファンタジー的に回収しているのもお見事です。総じて本当に、あらゆる制限をものともしないシェフとしての腕を見せて頂けました。さあ、次回はあの有名な…。。。って、プレッシャーで何も思い付きませんのでここまでで。ご投稿ありがとうございました!
[19年12月01日 13:11]
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さなめ。[ラテアート]

まりむうさん:『失恋そして再会』

カメオ、完全にヒーローやないか…。
この物語は、恋のいわゆる「王道」に美しいトッピングを散りばめた面白い作品だと、総じて感じました。大筋としては、慣れない環境に苦しむカメコのもとに、カメオが颯爽と登場し、一時の別れを経て、再び繋がれる。始まりの舞台が小学校ということもあり、ヒーロー役のカメオのちょっぴりクサイ台詞が微笑ましく、穏やかに読み進められました。特に、「先生に言うぞ!」なんて、もう小学校の格言並みに小学生らしさを滲み出していて、カメオかっこよかわいいー!とニヤニヤしていました。
また、梅やデイジー、桜を用いた心情描写が、カメコを巡る物語を引き立てていて、その粋さにエモーションを感じています。淡々と事実を語るなかで、しれっと情景が混ざるのは、やっぱり素敵なんです。あとは、問題文の手紙ですが、何故ゴミ箱に入っていたんだろう、と些か気になりました。単純にカメコに届けるためか、何かのトラブルで入ってしまったか、はたまたカメオの迷いが表れているのか…。物語の本筋となりうる部分なだけに、色々な想像を働かされますね…!
最後のシーンからも窺えるように、語り手の穏やかな語りかけが微笑ましさを誘い、王道と粋さが混ざり合う、綺麗な作品でした。ご投稿ありがとうございました!
[19年12月01日 13:10]
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さなめ。[ラテアート]

八つ橋さん:『まんま見ぃや』

お、大人な恋だ…。
しとしと降る雨、壊れたスマホ、腐ったみかん。一癖強い要素を織り交ぜながら、この作品は主人公であるデイジーの鬱屈とした失恋、またその事実への落胆、狂乱をこと細かに綴っている印象でした。その鬱屈さを細部まで、直接と間接の二側面から描くことでこちらの共感、思いの汲み取りを誘い、また最後の意外な結末を問題文の回収と共に輝かせる。その一本道が太く、力強いものである種の曇りのなさを感じました。
そして、今回の創りだすでは稀有だった、すこぶる大人な恋!感性が中学生まで振れ幅な私にとって、熱い二人はハイレベルで、心臓ばっくばくしながら読んでおりました。先のリアル感も相まって、モリオの決断には、一点の迷いを絶ちきった潔さを感じ、呆気にとられた読者の方もいるのではないでしょうか。…え、私ですか?その筆頭かも知れません。恋、ではなく愛、のために全てを捨てたモリオへの拍手を促して終わる部分では、愛の壮大さ、モリオの決断力の強さを語り手視点から賞賛していて、だ、だよね?ですよね!?となってました。こちらも粋な演出です。
総じて、ディープでしっとりとした作品でした。ご投稿ありがとうございました!
[19年12月01日 13:09]
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さなめ。[ラテアート]

弥七さん:『腐るほどに、愛。』

全体の印象として、良い意味で「不可解」な作品だと感じます。
大前提の魅力として、先の作品のように、文章ひとつひとつの言葉選びがとりわけ丁寧で綺麗なのです。それは本当に、普段からの弥七さんスタイルを裏切っておらず、私には感嘆と憧れが渦巻いております。
本筋ですが、こちらは裏切りの連続!やや人読みを含みますが、弥七さんなら今回の文章で、絶対、ぜーったい幸せで容量オーバーしてしまう作品を書かれる!と思っていましたので、こうした歪みを含んだ作品にまず裏切られます。それは、作品読みの途中の場面の話ですが。
後半パートでの裏切りが、本当に魅力的です。歪み満載のゴミを漁るシーンから、問題文を通じて、「言葉通りの意味で」パズルのピースが組み立てられ、仕上げに出てきたのは、恋の成就。どうしてあそこからハッピーエンドに繋げられるのか、驚きでいっぱいでした。問題として魅力的な答えを導き、それでいて読者に臨場感を抱かせることを誘う結末。最後の砂時計の使い方は、洗練された書き手様の為せる技そのものを見たようで、素晴らしく感じました。
過去の弥七さんの問題には敢えて触れないことにしておきますが、総じて創り込まれた物語で、楽しませて頂きました。ご投稿ありがとうございました!
[19年12月01日 13:09]
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さなめ。[ラテアート]

ハシバミさん:『返事』

問題文の主役である彼女を対岸に置き、かつ相手の彼を、日記形式にすることで過去に置く。この手法の凄いところは、彼の独白だけで物語を完成させてしまう挑戦です。言うならば、出来事の端々を切り取ってフラッシュバックさせるような感じが、こちらに彼等の葛藤や喜びをそこはかとなく伝えてきます。…いや、こちらもこちらで、短い中に綺麗な物語が纏まっていますね…。
そして物語は、もう!彼女の返事が!古い記憶と一緒に押し寄せて、彼女が彼の全ての運命をも受け入れて、決断する場面がエモいです!きっと彼女は、彼が日記に記すほどに悩んだもの以上に昔から思い悩み、その上でその決意を固めたと思うと…。それはもう、プロポーズよりもプロポーズですよ?彼女さん?じゃあ逆に、ねぇ綾さん、一体、プロポーズって何ですか??
この二人にも、どこへ行っても幸せになって欲しいと思えました。ご投稿ありがとうございました!
[19年12月01日 13:08]
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さなめ。[ラテアート]

弥七さん:『遅咲きのかざぐるま』

まず、1399字、と要素数7に対してぎりぎりの文字数の中で、この物語は流れるような自然な言葉のリズムが蠢いています。静かな空間で、ひっそりと朗読しているような、唄っているような、そうした不思議なリズムに包まれているのです。作中詩(俳句)や「私」の想いは、自然であるのに精巧で、目を見張る構造だと感じました。
また、物語として、要素を用いながらも素敵な、いのちや恋に対しての見識を織り交ぜ、恋、愛強き故の彼女の慟哭を、「私」が一つの風に依って、ほぐしていく。腹に槍を打ち込まれながら彼女の心へ想いを届ける反逆者のその様子は、さながら本当に、自らの砂を彼女の砂時計に継いでいるようで。簡単に壊れてしまう「想い」を届け、風に依って動かす「私」がかざぐるまのように映る。彼女と相対された楠木を生き伸ばせ、問題文のシーンをその想いの受け渡し、「砂」の受け渡しへと昇華させていく。
…総じて精巧だと感じます。1399字を、言葉調の面でも想いの面でも無駄にしない物語で、静かな風吹くような、そういった心地よさが心を支配しました。…素晴らしい作品でした。ご投稿ありがとうございました!
[19年12月01日 13:07]
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さなめ。[ラテアート]

残酸さん:『拾い上げられた想い』

これを読んだあとの私の顔ですか?カメ子と同じものを感じますよね(。。。)。
まず、前半のあっさりめな解説から、催涙雨が出てきたときはいささか興奮致しました。七夕という舞台設定を、短冊やこれを併せて無駄にしていないところや、雨を伝説と共にして彼女の心情に重ね合わせて、一時の敗北を描写する。こういうのは私みたいな読者には大好物です。こういうのだけでも…。
後半!彼がかわいすぎる!児童館の出来事とはいえ、短冊にズバリ想いを込めちゃうところ、目の前で夢が叶って、大慌てで逃げ出すところ、翌日に素知らぬ顔して彼女と話そうとして失敗するところ。もう何と言うか、そのまま彼女に見守られながらお幸せにマインスイーパーどっかんして下さいね。(?)…彼女も彼女で、現金に喜ぶのが人間らしさの描写を助け、暖かみがありました。そうしたお幸せマインスイーパーを、児童館や七夕など、特有の道具を用いて綺麗に物語に納められているのが好ポイントです。良い意味で騒がしく、明るい恋物語でした。ご投稿ありがとうございました!
[19年12月01日 13:06]
[31271]
さなめ。[ラテアート]

ハシバミさん:『ひなのきおく』

わ、渉くん…。
この物語は特に、砂時計とデイジーの花畑、二つの(個人的)難関要素を綺麗に組み込ませている印象でした。
始めの前説明では、それこそ少女漫画的な展開を表向きに想起させ、読者を期待へ導きます。甘酸っぱい展開に、な、なるんですか!?と…。
その流れから、後半へ繋げるための少し不気味な、サスペンス風味の危険を混ぜこみつつ、彼女のパニックを描く。このパニックの描写、もうそれだけでぶっとび大ジャンプできるくらいの衝撃。なのですが、最後の最後にもうふた爆弾。まず、彼女のパニック場面でも、「彼の部屋」のゴミ箱にある時点で匂わせていた彼の失望感を、要素を織り交ぜて見事に短く寄せて下さいました。最後を短くまとめることで、余韻の没入へと深くはまってしまいました。それは、彼の想いに気持ちを寄せる感覚のような。それと同時に、私が最も好きな部分、砂時計。デイジーの花畑で購入した砂時計が、彼女の恋が「始まって」しまうことで壊れる、「デイジー」に託された「無邪気な」日々(ここの言葉選びも秀逸でもう…ね。)が崩れる音が比喩されている!頭の中では、砂時計のガラスの間抜けな破壊音が、余韻として静かに響いていました。本当に素晴らしかったです。ご投稿ありがとうございました!
[19年12月01日 13:06]
[31270]
さなめ。[ラテアート]

きの子さん:『おれも』

倉庫内の狭い世界でのバイト、という舞台に至る経緯の書き方、まずこれがとても巧いと感じました。雨やスマホ等、始めの少ないスペースに要素を織り交ぜながら、スマホと別れを告げ、気さくな彼との出逢いを果たす。
また後半の、恋を魅せるパートで多くを語らない手法も、こちらに行間を想起させる意味で成功している。総じて問題に対する答えへの道しるべを追いかけているような感覚を抱け、楽しく読ませて頂きました。

……というのが始めに読んだ印象でした。なんと、きの子さん作品の魅力の半分も気付けていませんでした。
…ここまでで、ふとタイトルを見返してみると、ただ行間を想起させる目的に留まらない意味に気付いたわけで…。最後の番号、始めは電話番号や、パスワード、そういう類いのものかな?と思ったんですよ。…まさかポケベルの暗号だったとは…。(じ、自分で気づきましたよ!?)
これの何がエモいのか。スマホと決別したシーンが鮮やかに生きてくる!二人の言葉少なで、でも通じあって想いを共有している様が克明に映える!経緯として巧みな道しるべを追いかけている読者に、ポケベルという道具でそうした、「想いの追体験」を促している、魅せている!
最後にただ喜ぶではなく、臆病だった彼女が泣きそうになるシーンはこの道しるべのゴールにとてもマッチしていて、もう本当に「1475032104」。総じて、事実を多く並べているように見えて、行間にエモーショナルな感覚が潜んでいるので、驚きや感銘も一入でした。ご投稿ありがとうございました!
[19年12月01日 13:05]
[31091]
さなめ。[ラテアート]

この部屋が出来た日:11/28
[19年11月28日 22:57]