その男、海乃亀策は一心不乱に机にへばりつき、紙を積み上げて行く。
「…たしは…常だ…私は正常だ、私は正常だ、彼らが狂っているのだ、私はおかしくない、全て間違っている、アッハッハ、全て私のものだ、世間も皆、全て間違っている、モット高尚であるべきだ、私は高みに至る、そうしたらきっと笑ってやる…」
その後、海乃が何かを成すことは二度となかった。何故?
「…たしは…常だ…私は正常だ、私は正常だ、彼らが狂っているのだ、私はおかしくない、全て間違っている、アッハッハ、全て私のものだ、世間も皆、全て間違っている、モット高尚であるべきだ、私は高みに至る、そうしたらきっと笑ってやる…」
その後、海乃が何かを成すことは二度となかった。何故?
おあそびスープ
誤解を招きかねないので少し修正させていただきます、申し訳ない…[編集済]
No.21[わびすけ]07月29日 21:5307月29日 21:56
海乃さんの「」内セリフはレビュー等を見た後の感想でしょうか?
Yes No、解説では執筆中ですが、彼の言動は答えに関わりません。
No.25[kome]07月29日 22:0007月29日 22:02
海乃の物語は終了してしまったので、それ以上海乃が何かを成すことはあり得ないし、生命的に死ぬこともないですか? [編集済]
No!海乃は物語の登場人物ではありません!ですが生死についてはグッド! [良い質問]
No.29[kome]07月29日 22:0607月29日 22:08
積み上げられた紙に書かれている内容は重要ですか?
Yes、具体的な内容は不必要ですが場合によっては海乃はこれからも文章を書き続けていたでしょう。
彼を「小説家」と呼ぶには人によっては些か早すぎたかもしれません。
No.33[ペリン]07月29日 22:1407月29日 22:15
「海乃亀策」というペンネームで小説を書いていたが,デビューできなかったので,「海乃亀策が何かを成すことはなかった」ということですか?
Yes!正解とします!! [正解]
No.34[kome]07月29日 22:1507月29日 22:15
海乃というペンネームを持つ男は、自身の渾身の出来である作品を出版社に持ち込んだが、酷評されてしまい、自分に自信を失い、それから小説を書くことはなくなってしまったので、小説家海乃亀策はその後何かを成すことは二度となかったですか?
Yes!これも正解とさせていただきます! [正解]
参加者一覧 7人(クリックすると質問が絞れます)
全員
藤井(12良:4)
tosh(3)
kome(8良:2正:1)
ペリン(4良:2正:1)
OUTIS(3)
わびすけ(2良:1)
吊られる男(2)
[結論は下部へ]
彼は名は海野直樹、彼は、日ノ本にて俗に奇書と呼ばれる様な書物を病的なマデに愛する本読みであった。
その奇妙な、或いはペダントリー−謂わば己が学を衒うが如き露悪とも表されるような立ち振る舞い–な、ともすれば奇体な紙の束でしかないものに彼は魅せられていた。
海野は書に飢え、喘いでいた。斯様な書物の凡そ総てが其の眼前に積み上がっていたからに他ならない。
気でも狂ってしまいそうだ。其れは言わば彼にとっての餉だ。欠かしてはならぬものだ、食を断とうものならお前だって狂うであろうに。
そうして思い至るは天上に赫く星の如き書を己が手で産み落とすなどと云う蛮勇とも名状されるであろう行為であった。
海野は筆を執ると己が身に、その心根に沁みた総てを薄らとした紙に吹き掛ける。ツラツラと。
ヒトは零落したハイカラに踊らされる。
横文字だの漢字だのを無知蒙昧の民草に吹聴する、尤も意味も理解せず繰り返すだろうが。
其れが愉快でタマらない。
しかし衒学も程々にせねばなるまい、しかして其処に文学を綯い交ぜにするのだから、其れを述べるだけならそれこそ愚かと云うものである。
程なくして海野は自身の愚かさに打ち拉がれた。狂気を散蒔こうというのに自らが正気を保っていられようか。
己が淵に飲み込まれようというその時に男は気づく。
それは冒涜、否定である。即ちぺてんの狂気を縫い付けることである。
然し乍ら、海野にはその欠落から逃れ得るまでの気概も非ず、憐れにも此れを呑む他には無かった。
気狂いの様に独り言ちる様は最早其れそのものであり、此れと其れとを隔てる紙一枚の僅かばかりの厚さなど大した問題にもならなかったのである。
執念と云うべきか、斯くも大作と成るに至ったソレを満ち足りた様な面持ちで眺めた男は床に就いた。
翌朝、疲労の色が残る海野は、詰まる所–可及的速やかに–己が在り方の体現と云えるソレを真赤に口を開けた郵便ポストに投函した。
幾日か後、其れは届いた。
知識に謬りでもあったか、単に彼が文才か、それならマダ良いもので、敬愛する先立ち等の模倣とでも捉えられたのか、其れを評価するものは終には現れなかった。
聊か諧謔が過ぎると云うものだが。
「またか…」
海野にはとっては幾度となく相対したその一回に過ぎなかった。
「いつか必ず…」
海野は「海乃亀策」の名を棄て、新たな筆名を引っ提げ、ペンを執った。
結論
小説を書いていた海野、しかし、応募した作品が評価されなかったため、ペンネーム「海乃亀策」を棄て別の名義で書き始めた。
そのため、「海乃亀策」が何かを成すことは二度と無くなった。
彼は名は海野直樹、彼は、日ノ本にて俗に奇書と呼ばれる様な書物を病的なマデに愛する本読みであった。
その奇妙な、或いはペダントリー−謂わば己が学を衒うが如き露悪とも表されるような立ち振る舞い–な、ともすれば奇体な紙の束でしかないものに彼は魅せられていた。
海野は書に飢え、喘いでいた。斯様な書物の凡そ総てが其の眼前に積み上がっていたからに他ならない。
気でも狂ってしまいそうだ。其れは言わば彼にとっての餉だ。欠かしてはならぬものだ、食を断とうものならお前だって狂うであろうに。
そうして思い至るは天上に赫く星の如き書を己が手で産み落とすなどと云う蛮勇とも名状されるであろう行為であった。
海野は筆を執ると己が身に、その心根に沁みた総てを薄らとした紙に吹き掛ける。ツラツラと。
ヒトは零落したハイカラに踊らされる。
横文字だの漢字だのを無知蒙昧の民草に吹聴する、尤も意味も理解せず繰り返すだろうが。
其れが愉快でタマらない。
しかし衒学も程々にせねばなるまい、しかして其処に文学を綯い交ぜにするのだから、其れを述べるだけならそれこそ愚かと云うものである。
程なくして海野は自身の愚かさに打ち拉がれた。狂気を散蒔こうというのに自らが正気を保っていられようか。
己が淵に飲み込まれようというその時に男は気づく。
それは冒涜、否定である。即ちぺてんの狂気を縫い付けることである。
然し乍ら、海野にはその欠落から逃れ得るまでの気概も非ず、憐れにも此れを呑む他には無かった。
気狂いの様に独り言ちる様は最早其れそのものであり、此れと其れとを隔てる紙一枚の僅かばかりの厚さなど大した問題にもならなかったのである。
執念と云うべきか、斯くも大作と成るに至ったソレを満ち足りた様な面持ちで眺めた男は床に就いた。
翌朝、疲労の色が残る海野は、詰まる所–可及的速やかに–己が在り方の体現と云えるソレを真赤に口を開けた郵便ポストに投函した。
幾日か後、其れは届いた。
知識に謬りでもあったか、単に彼が文才か、それならマダ良いもので、敬愛する先立ち等の模倣とでも捉えられたのか、其れを評価するものは終には現れなかった。
聊か諧謔が過ぎると云うものだが。
「またか…」
海野にはとっては幾度となく相対したその一回に過ぎなかった。
「いつか必ず…」
海野は「海乃亀策」の名を棄て、新たな筆名を引っ提げ、ペンを執った。
結論
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これらの要素において、各々が「良い」と判断した場合にGoodしていきましょう。
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