大往生

半年前　

逃げるカメオとカメコ、そしてカメオの両親

カメオは母親に背負われカメコはカメオの父親に手を引かれていた

突然カメコは足を止めた
カメコ『私はもう歩け無い。お前達、私を置いて逃げなさい』

そんな事できる訳がない！カメオの父親はカメコを背負おうとするがカメコは孫を叱責する
カメコ『馬鹿者！そんな事をしたらお前達もカメオも死んでしまうだろうが！こんなババアの命とお前達の命！どちらが大切かわからんのかっ！』

し、しかし・・・
カメコ『お前は優しい孫だよ。しかし私の孫である以上にカメオの父親だ。わかるね？』

カメオの父親は唇を噛み切るほど歯を食いしばると肩で息をしている妻の背からカメオを降ろし自らが背負う。これでかなり速く逃げられる筈だ

カメオ『イヤだ！カメコばあちゃんをこんな所に置いてかないで！カメコばあちゃんが死んじゃう！』
カメコ『カメオ、おまえは優しいねえ。だいじょうぶ。私は死なないよ。前に言っただろ？私は戦争を生き残ってるんだ。こんなのはどうってことない。また会えると約束するよ』
カメオ『約束だよ・・・絶対だよ・・・』

カメオの父はカメオを担いで走り去った

カメコはカメオの母親に『私の大切な孫と曾孫をよろしくお願いします』とペコリと頭を下げる。カメオの母親も頭をさげると地面に大粒の水滴が流れ落ちた

三人が去った後、カメコはその場に静かに正座する

カメコ『亀太郎さん。待たせたね。今からそちらに逝きますよ』

カメコは最愛の人の名を呼ぶとすっと目を閉じ手を合わせた


あれから半年。カメコの遺体は見つからない。まあ無理もないが・・・

状況からカメコの死は確実なので合同葬式を上げる事にしたがカメオは反対する

カメコばあちゃんがボクにウソをつくわけないんだ！