その証言は矛盾している

料亭で盛り付け係をしているカメオが「和食の店で働いているから料理が得意」と婚活サイトの自己ＰＲに語弊のある書き方をしたが、得意料理に洋食を答えてしまったためラテコに実際は調理スタッフではないことがバレてしまった。


～以下、物語の顛末～

カメオはまだ調理師免許を持っておらず、料亭の調理人見習いとして盛り付け役をしている。
だが、見栄を張ったカメオは婚活サイトの自己紹介に「料亭の厨房で働いているので料理は得意です！」とまるで自分が作った料理を客に提供しているような語弊のある書き方をしたのだ。

幸いにも趣味の合う女性―――ラテコと幾度かのメールを経て実際会うことになったカメオ。
近くのカフェに入り、趣味の話で盛り上がる二人。
しばらくしてラテコはカメオにあることを聞いた。

「カメオさんは料理が得意と仰っていましたが、得意料理はあるんですか？」
「えっ！？ええっと……」

一人暮らしで自炊をしているし料理が得意であることは嘘ではない。
けど見栄を張ったのがバレないようにちょっと凝った料理を言わないと……

「ビーフシチューとか、カルボナーラとか……あとはキッシュとか！ああいうのは意外と簡単に作れるからね！」

しかしそれを聞いたラテコは首を傾げた。

「カメオさん……料亭でお料理をしている方なのに洋食が得意なんですか？」

ギクりとするカメオ。
料亭で出るのは勿論、先附・前菜・造里・蒸物・煮物・凌肴・止肴・焼物・揚物・御飯……様々あるが全て和食である。
ところがカメオは自分が実際に作る料理……洋食を答えてしまったのだ。

こうしてラテコに本当は調理スタッフではないことを見抜かれてしまったカメオは見栄を張ってわざと語弊のある書き方をしたことを認めて謝罪したのだった。


余談ではあるが、ラテコは正直に謝れるカメオさんは悪い方ではないし一緒に話すのは楽しかったと交際を申し出た。
ただし、ちゃんと修行して本当に調理人になることができたらという条件で。