昼下がりのアウトレイジ

今日は、「○○百貨店将棋まつり」の開催日。
8Fの特設会場では将棋好きの小学生たちが来場し、プロの棋士と指導対局を行うことができる。

浦部ゆうと君（10才）は、プロ相手にハンデ無しでも互角に戦える秘策を用意した。
「将棋は要するにどれだけ相手に差をつけられないかの勝負……つまり、相手の指した手をそのまま指せばいいんだ！」

そして、いよいよ戦いのとき。緊張の面持ちで浦部君は将棋盤を挟んで亀尾七段の前に座った。

亀尾七段「駒落ちはどうする？」
浦部君「僕が後手の平手でお願いします！」

これには亀尾七段も面食らう。しかし、小学生相手なのでここは咎めず「よろしくお願いします。」で対局を始めた。

浦部君「そうそう、このまま歩をぶつけて攻め合えば……イケるはず……！」（図1）

しかし戦況はどんどん進み、先手亀尾七段が後手浦部君の金を取った図2の局面、両者の勝敗は決定的なものとなった。
浦部君にとって、この金を取られたことはあまりに致命的だ。
第一に、先に金を取られながら王手をされたことにより、より早く詰みへ向かうのは浦部君の王になってしまう。
更に、この一連の流れによって盤面の対称性が崩れたため、浦部君はこのピンチを自力で挽回する必要がある。

亀尾七段「う～ん、思いつきはよかったけど、結局こうなって手が無くなっちゃうんだよね」
浦部君「……参りました」

解説まとめ
○○百貨店で行われた将棋イベントで、プロ相手に指し手をそのまま真似したが、
金を取られて、勝ちへの手が失われた。