ウミガメ町の事件簿

ラテオ「ん？　あれは……？　おい、ちょっと停めてくれ」

パトカーでウミガメ町の巡回中のラテオは、あからさまに駐車禁止の場所に置いてある車があるのを見て、相棒の運転手・ラルオに、パトカーを停止するように言った。
駐車違反の車の後ろにパトカーを停めたあと、ウミオはパトカーを降りて駐車違反の車のところに歩いて行き、運転手に注意をしようと思った。
しかし、運転手のカメコは、近くのパチンコに行っており、不在だった。

ラテオ「おいおい、ホントしょうがねえな……。とりあえず、駐車違反のステッカーを持ってきて、貼っておこう……ん？　……あれは……」

と、ラテオは再びあるものを目撃した。



同時刻。ウミガメ町のあるコンビニに、ストッキングをかぶりナイフを持った強盗のウミオが入ってきた。

ウミオ「金を出せ！　出さないと頃すぞ！！」
カメオ「ひいっ！　だ、出します！　出しますから、落ち着いてください」

コンビニ店員のカメオは、ナイフで脅されて、店のレジから慌てて金を出し、ウミオに渡した。ウミオはすぐさま、カメオに背を向けて逃げ出す。

カメオ「け、警察……！」

慌てて110番通報しようとしたカメオだったが、

ラテオ「警察だ！　強盗の現行犯で逮捕する！！」

コンビニの外、斜め向かいから、ウミオがカメオを脅す様子を目撃していた警察官のラテオが、警察手帳をかざしながらコンビニに飛び込んできて、コンビニを飛び出そうとしていたウミオを素早く取り押さえた。ナイフが床に落ち、ウミオがあきらめて床に膝をついた。

ラテオ「もう大丈夫ですよ、外からすべて目撃していましたので。こいつが盗もうとした金も、そのままお返しします」
カメオ「……あ、はい、どうも……」

あっけに取られたカメオだったが、とりあえず無事に済んだことにホッとするのだった。異常を感じた相棒警察官のラルオや、コンビニ店長のカメタもやってくる中、ウミオはパトカーに連行されていった。

電話『はい、もしもし、ウミガメ町警察署ですが』

カメオがかけた電話の向こうから、そんな声が聞こえてくるが、カメオは何も言わずに電話を切った。結果として、イタズラ電話となったが。



もしカメコが駐車違反をしていなかったら、ラテオたちはコンビニ近くで時間を取られず、そのままパトカーはコンビニの前を通り過ぎ、わずかな時間差だがラテオたちはそのすぐあとに起きたコンビニでの事件に気付かなかったかもしれない。





ちなみに、そのカメコはパチンコで大フィーバー中だった。