弁当の行方

店員は、うっかりレンジで温める時には外さなければならない調味料を外し忘れたまま男の弁当を温めた。
そして次にレンジを開けた時には、弁当の調味料は爆発した後だった。

思いがけない出来事に一瞬茫然とした店員だったが、とりあえず冷静に時間のかかりそうな掃除は後回しに、お客様への対応を急がねばと判断しレンジの扉を閉めた店員は男に、

「大変失礼致しました。お客様のお弁当の温めに失敗してしまったので、同じものを温める間もう少々お待ちください。」

とことわって売り場からもう一つ同じ弁当を持ってくると、汚れて使えなくなったのとは別のレンジでそれを温め始めた。

失敗してしまったのは仕方ないし、まあ同じのが貰えるならと男は納得し、自分が買ってはないが交換してもらった同じ種類の弁当を持って帰ったのである。

因みに余談だが、失敗した弁当は買い取った店員の夜食として無事腹に収まったそうである。