大罪人の就活

要約
Aは沢山の賞を受賞した有名小説家であり、自身のマンネリを解消するために就活を始めた。
そんなAはライターとしての文才と話題性にこの上ない人材だったため、新聞社は即決で採用を決めた。


解説
Aは才能あふれるミステリー小説家だった。
扱うジャンルは殺人事件から怪盗ものなど幅広い。
学生の頃に応募したコンクールで優勝してデビューして以来、数々の著名な賞を受賞してきた。
しかし、10年も経つとアイディアがマンネリ化してしまい納得のいく作品が書けなくなっていた。
このままではいけない…。そう思ったAは、打開すべく頭をひねった。
しばし考えた後、ふと思いついた。
「そうだ、自分は今まで小説家しかしたことがない。犯罪と実際に関わる新聞社のライターになってみれば新しい着眼点を得られるかもしれないぞ！」
善は急げで履歴書を書き始めたA。もちろん、今まで貰ってきた賞の数々のアピールは怠らない。書き連ねていくと、賞罰欄は満杯になってしまった。

満を持して新聞社へと面接へ向かうと、応接室へやってきた面接官へと履歴書を提出した。
その履歴書に目を通した面接官は仰天した。面接にやってきたAは、かの有名な小説家ではないか！
文章を書く能力は言わずもがな、その話題性は落ち目になってきた我が新聞社にとってこの上ない存在だ！
このような人材を他社に渡すわけにはいかない！

こうして、新聞社は即決で採用し、Aはライターとしての職を電光石火で手に入れたのだった。
半年後、無事スランプを抜け出したAがこれまた電光石火で退社するのはまた別のお話。