初出題
参加者一覧 3人(クリックすると質問が絞れます)
全員
カラシラ(9良:6)
ささかま(2良:1)
あひるだ(3良:2正:1)
A.痴漢の冤罪の犠牲になりそうであり、それを男性への愛の告白で女性に興味がないことを無理やり示すため。
………………………………………………………………………………………………………………
俺の名前はカメオ、大学生だ。
その日は学校帰りで高校からの大親友ラテオと一緒に電車に乗っていた。電車は東京の夕方の山手線に比べれば空いていたほうだったが、十分動けるというわけでもない、そこそこの混み具合だった。ラテオとつり革に捕まりながら電車が付くのを待っていたその時である。
「この人、痴漢です!」
近くの女子のグループが突然俺を指差してそういった。周りの人達が一斉に非難するような目で俺を見る。
もちろん俺はそんなことをしてはいない。女子のグループを見ると何人かが笑っているのが分かった。つまりおふざけでそういったのだろう。
間違いなく冤罪だが、それを今言ったところで信用されるわけもない、ラテオも驚いたような目で俺を見てくる。
時間がない。必死にこの場をうやむやにする方法を考え、そして思いついた。
「痴漢?嘘をつくなよ小娘。」
「何誤魔化そうとしてるの?あなたの罪は明白よ!」
「それはないな。なぜなら俺は男性にしか興味がないからだ!」
「「?!!」」
そう、これが俺の考えた作戦。痴漢を疑われるなら、女性に興味がないことにして仕舞えば良い!
そしてラテオに向き直る。
「ラテオ、俺はお前のことを一目見たときから惚れていた!」
大声で宣言する。ものすごく心の中で謝罪しながら。
ラテオにも、自分の精神衛生上にも悪いが、これは俺への冤罪を誤魔化すためにしょうがないことなんだ!
「俺はラテオの…」
熱烈な愛の告白を続ける。嘘を言わないようできる限り俺の考えるラテオの良いところを拾いながら。そして最後にこう言った。
「今から、お前の唇を奪う。嫌なら、避けろ。」
そういって呆然としているラテオに向き直る。横目で見ると周りの人は突然の告白のことに混乱していて、もう痴漢の話も覚えていないだろう。目的は果たせた。あとはキスするフリをして……と考えていたが、俺たちは今電車の中にいることを忘れていた。
突然電車が減速し………
「ん…」
よろめいた俺の唇には柔らかい感触が伝わっていた。
(おえええええ)
心の中で吐き気を催しながら、丁度止まった駅でラテオと共に電車を降りる。後ろからは女子グループの黄色い声が聞こえてきた。痴漢の話はうまく有耶無耶になったらしい。なったはいいんだが…俺の心はとても悲しみに溢れていた。
電車が出発したあと……
俺は隣のラテオを見た。ラテオには本当に悪いことをした。巻き込んで、唇を奪って…
「ごめんなさい!」
ラテオに精一杯謝罪する。
「こんなの最悪なはずなのに、誰も望んでなんかないはずなのに、勝手に巻き込んで…本当にごめん!」
そう言ったところで、ラテオは俺を突き飛ばし、ホームから出ていった。
ホームに取り残されていた俺は途方に暮れていた。
本当に明日からラテオとどう向き合おうか…。
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俺の名前はカメオ、大学生だ。
その日は学校帰りで高校からの大親友ラテオと一緒に電車に乗っていた。電車は東京の夕方の山手線に比べれば空いていたほうだったが、十分動けるというわけでもない、そこそこの混み具合だった。ラテオとつり革に捕まりながら電車が付くのを待っていたその時である。
「この人、痴漢です!」
近くの女子のグループが突然俺を指差してそういった。周りの人達が一斉に非難するような目で俺を見る。
もちろん俺はそんなことをしてはいない。女子のグループを見ると何人かが笑っているのが分かった。つまりおふざけでそういったのだろう。
間違いなく冤罪だが、それを今言ったところで信用されるわけもない、ラテオも驚いたような目で俺を見てくる。
時間がない。必死にこの場をうやむやにする方法を考え、そして思いついた。
「痴漢?嘘をつくなよ小娘。」
「何誤魔化そうとしてるの?あなたの罪は明白よ!」
「それはないな。なぜなら俺は男性にしか興味がないからだ!」
「「?!!」」
そう、これが俺の考えた作戦。痴漢を疑われるなら、女性に興味がないことにして仕舞えば良い!
そしてラテオに向き直る。
「ラテオ、俺はお前のことを一目見たときから惚れていた!」
大声で宣言する。ものすごく心の中で謝罪しながら。
ラテオにも、自分の精神衛生上にも悪いが、これは俺への冤罪を誤魔化すためにしょうがないことなんだ!
「俺はラテオの…」
熱烈な愛の告白を続ける。嘘を言わないようできる限り俺の考えるラテオの良いところを拾いながら。そして最後にこう言った。
「今から、お前の唇を奪う。嫌なら、避けろ。」
そういって呆然としているラテオに向き直る。横目で見ると周りの人は突然の告白のことに混乱していて、もう痴漢の話も覚えていないだろう。目的は果たせた。あとはキスするフリをして……と考えていたが、俺たちは今電車の中にいることを忘れていた。
突然電車が減速し………
「ん…」
よろめいた俺の唇には柔らかい感触が伝わっていた。
(おえええええ)
心の中で吐き気を催しながら、丁度止まった駅でラテオと共に電車を降りる。後ろからは女子グループの黄色い声が聞こえてきた。痴漢の話はうまく有耶無耶になったらしい。なったはいいんだが…俺の心はとても悲しみに溢れていた。
電車が出発したあと……
俺は隣のラテオを見た。ラテオには本当に悪いことをした。巻き込んで、唇を奪って…
「ごめんなさい!」
ラテオに精一杯謝罪する。
「こんなの最悪なはずなのに、誰も望んでなんかないはずなのに、勝手に巻き込んで…本当にごめん!」
そう言ったところで、ラテオは俺を突き飛ばし、ホームから出ていった。
ホームに取り残されていた俺は途方に暮れていた。
本当に明日からラテオとどう向き合おうか…。
18年06月22日 16:18
[残酸]
相談チャットです。この問題に関する事を書き込みましょう。
ホームから出ていったあと僕はとてもイライラしながら歩いていた。
ーーーわかってはいたけど、そんなの誰も望んでなかっただろ、なんて…
キスをされたことは怒っていない。むしろカメオが僕をどれだけ見てくれているのかわかって嬉しかったのに…
初めてのキスは初めての失恋だった。
「恨むよ、カメオくん…」
この謎をシェアしよう!
ーーーわかってはいたけど、そんなの誰も望んでなかっただろ、なんて…
キスをされたことは怒っていない。むしろカメオが僕をどれだけ見てくれているのかわかって嬉しかったのに…
初めてのキスは初めての失恋だった。
「恨むよ、カメオくん…」
ブックマーク(ブクマ)って?
自分が正解した問題・出題者への賛辞・シリーズ一覧・良い進行力など、基準は人それぞれです。
自分専用のブックマークとしてお使い下さい。
Goodって?
「トリック」「物語」「納得感」そして「良質」の4要素において「好き」を伝えることができます。
これらの要素において、各々が「良い」と判断した場合にGoodしていきましょう。
ただし進行力は評価に含まれないものとします。
ブクマ・Goodは出題者にとってのモチベーションアップに繋がります!「良い」と思った自分の気持ちは積極的に伝えていこう!
ブクマ:1
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