美味しい朝ごはん

簡易解説
カメミは前日に夫の携帯電話を覗いた。
夫の携帯電話には女性からのメールが入っていたことから、大げんかになった。
盛大な喧嘩になり、カメミは食器を夫に投げつけ全部割ってしまった。
料理はできたが、盛り付けるべき食器が無くなってしまい、夫の携帯電話を見なければ食器は残ってたのにと後悔した。

～以下、長い（？）解説。お時間のある方はどぞ～

「風呂入ってくる」

そういうとウミオは風呂場に向かいました。

洗い物をしていたカメミは今日も完璧な家事に内心満足していました。

（そういえば今日は『カニバリの悪魔』が放送する日じゃない。見ないと…）

カメミはリビングのソファーに体を預けながら、見たい映画が始まるのを今か今かと待ち望んでいました。

ﾌﾞﾌﾞﾌﾞﾌﾞ…ﾌﾞﾌﾞﾌﾞﾌﾞ…

ウミオの携帯電話がリビングのテーブルの上で鳴っているのに気が付いたカメミは何とはなしに、ウミオの携帯電話を拾いあげました。

メールが来ていることに気が付くと、いたずら心に火が付きメールを開きました。

『今日は楽しかったですね。また、遊びましょう。ミカ』

（……は？　なにこれ？）

カメミは心が一気に熱くなるのを感じていると

「あがったぞ」

と声が後ろから。

「あなた…これはどういうこと？」

「なにがだ？　……おまえ！　なに勝手にみてるんだ！」

「言いたいことはそれですか！　いい年して浮気とかどういうことですか！」

立ち上がったカメミはウミオに詰め寄りますが、ウミオがカメミに手を上げました。

そのことで頭に完全に血が上ったカメミは台所に向かい、ウミオが普段使っている食器を投げつけました。

「あぶねえだろ！」

「うるさい！　ワタシが普段どれだけっ！！」

こうなるともうカメミは止まりません。

皿、コップ、茶碗と、つかめるものをすべて投げつけました。

「話もききやがらないで！　もういい！　出ていく！」

「勝手に出ていきなさいよ！」

ウミオは軽く荷物をまとめて出ていきました。

カメミは腹立たしい気持ちのまま布団に入り寝ました。


～問題文の後～

食器棚に食器がない、いや、割り切ってしまったことを思い出したカメミは溜息をつきながら、割れて散乱している食器を片付けに行きました。

しかし、そこに割れた食器がない。どういうこと？　と思っていると、玄関のドアが開きました。

「ふー、思ったより量があったな。重かったな　おはようカメミ。食器は全部ゴミ捨て場に出しておいたぞ」

「あなた…なんで…」

「あのな、ミカは孫の名前だろ。いい加減覚えろよ」

カメミがウミオの指を見ると絆創膏だらけでした。

頭に血の上ってしまったウミオは家を飛び出しましたが、冷静になり家に帰ってきました。

「そういえば、そうでしたね。ごめんなさい、あなた。でも…」

「いいんだ。お前が早とちりで、忘れっぽいのはいつものことだろ？」

「そうでしたね。でもあなたも早とちりで忘れっぽいですよ」

「どういうことだ？」

「だって、今日は燃えるゴミの日ですよ」

「あ…」

二人は笑いながら違反の紙が貼られたごみ袋を手を繋いで取りに行きました。

朝食後、そろそろお迎えが来るのではないかと二人で語り合いながら、デパートに食器を買いに出かけました。