一匙分のティ・カップ

「ごめん、責めたわけじゃなくてですね」

花の形をしたそれをカップに混入してやった。
ばれた。

「お砂糖です、ただの。ちょっとかなり大分とんでもなくお高めなだけの、ええ」
「お財布的な意味ですみませんでした」
「うん、体調的にも心配してください」

さすがに溶ける限界まで入れるのはまずかったようだ。

「もう大丈夫ですよ、次は良い点取ってきますから」
「いや別にいいです」
「私の将来的に良くないんです」
「なるほど」

残念ながらプラシーボ効果しかないようだ。
テンション上がったり疲労がポンと飛べば面白かったのにと思わないでもない。が、身内から犯罪者を出すのは将来的に良くなさそうだ。

「お砂糖なら食べていいですか」
「やめてください」

入れてしまったものは仕方がない。
姉は紅茶を二つのカップに分け、牛乳で嵩増しした。

「ほら、責任は取ってくださいよ」
「もちろんです」

とてつもなく甘くて最高だった。


正解
弟が落ち込んでいるのを心配してくれたと知ったから。