檸檬

クリスマスシーズン。
カメオは書店の店員であり、店内をクリスマス仕様に飾り付けしていた。
しかし、予算の兼ね合いもあり、クリスマスツリーを用意できなかった。
そんなとき、小さな女の子が書店を訪れてこういった。
「サンタさん！わたしクリスマスツリーがみたい！てっぺんにはね、キラキラしたお星さまがついてるのよ」
どうやらクリスマス仕様の赤い制服を見た女の子はカメオをサンタクロースと勘違いしたようだ。
カメオは何とかしてクリスマスツリーを演出したいと考えた。
そこで、カメオは飛び出る仕掛け絵本の存在を思い出した。
カメオは本を積み上げて高さを調整し、一番上に仕掛け絵本を乗せると、あるページを開いた。
そのページは開くと大木が飛び出る仕掛けになっていた。
しかし、肝心の頂点のお星さまがない。
仮にもカメオはいまはサンタクロースなのだ。
折り紙で星を作ることもできたが、サンタクロースは欲しいものを何でも袋から取り出す存在。
こんなところで幼い女の子の夢を壊したくはない。
そこで、とっさに同じ商店街の人からおすそわけしてもらっていたレモンを一番上に置き、それをお星さまに見立てたのだ。
お星さまというよりはお月さまであったが、小さな女の子はとても満足した様子でその仕掛け絵本を買って帰ったのだった。