もう誕生日パーティーを開くような歳ではないから、盛大に祝われることはなかった。家族には朝「おめでとう」とだけ言われた。
今日は一日、なんの予定もなかった。なにか部活に入っているわけじゃなければ、友達と遊びの予定があるわけでもなかった。ただ寝て起きて本を読むだけの、いつもどおりの退屈な日曜日だった。これが平日だったなら、私の誕生日を覚えていてくれる友達の誰かが「おめでとう」くらいは言ってくれたのだろうけれど。
私は一日のほとんどを自室で過ごし、夕方に近くのコンビニで少し高いお菓子を誕生日プレゼントとして買った。少し高いと言っても、せいぜいコンビニで買える程度のものだから、そんなに高くはない。私が家を出たのはその一回だけだった。
こんな一日だったけれど、私は今日が休日でよかったな、と思った。
一体どうしてだろう?
明日誕生日の子に渡すプレゼントを今日買えてよかったと思っていますか?
明日誕生日の子にプレゼントを渡そうとしていたはYES!よかったと思った理由はそこではありません [良い質問]
今日が平日だったら、先に好きな子から自分が祝われる可能性がありましたか?
NO!!私はその可能性はないと思っていました [良い質問]
好きな人の誕生日の前日が私の誕生日だったので、プレゼントをそのまま横流しにしているのではないかと思われなくてよかったと思いましたか?
NO
好きな子の誕生日の前日が平日だった場合、プレゼントを渡すことが難しいですか?
YES 私にとっては ミスリード注意 [編集済] [良い質問]
(編集しました)休日でも好きな人と連絡は取れますか? [編集済]
NO 少なくとも、連絡を取り合うような仲ではありません [編集済]
好きな子の誕生日の前日が休日でさえあればよく、自分の誕生日は関係ないですか? [編集済]
NO!むしろ、私の誕生日が休日であることが彼にプレゼントを渡すために必要でした [良い質問]
私と彼、どこで接点があるかは重要ですか?(部活仲間など)
YESNO どこで接点があるか特定する必要はありませんが、2人の関係性はとても重要です
(30)なぜ彼が私の誕生日を知っているかは重要ですか?
YESNO なぜ知っているか自体は実はそこまで重要ではなく、知っているという事実が重要です [良い質問]
私は同性愛者ですか?
NO 別にYESにしても成り立つ(しなんならそっちの方向で書こうかなとも思っていた)んですが、今回はNOです
私にとって彼から誕生日を祝われたことは意外でしたか?
NO 彼が私の誕生日を覚えていることはわかっていたので、意外ではありませんでした
私が登校した際に他のクラスメイトから誕生日の話題を振られますか?
YESNO 振られるかもしれませんが、ここでは重要ではありません
好きな子の誕生日の前日が平日だった場合、好きな子に声をかける口実がなくなってしまいますか?
YES!そんな感じ!自分の誕生日が平日なら困ります [良い質問]
彼が私を祝ってくれたのは、学校だと恥ずかしくて祝って貰えないけど家なら恥ずかしくないからだと思い込んでますか?
?彼が祝ってくれる場合も祝う場所は学校です
自分から「誕生日なんだけど」と声を掛けるより、好きな人から声をかけてほしいですか? [編集済]
NO 好きな人から声をかけて貰えるとは思っていません [良い質問]
登校日ベースで考えれば実質一緒の誕生日なので確実に祝ってもらえるので休日でよかったですか?
ごめんなさい、確実に祝ってもらえるというそのロジックがよくわかりません
「よかった」と思った理由は(経緯はともあれ)、10/1の私の誕生日が休日で10/2の彼の誕生日が平日であるために彼の誕生日を祝うことができたからですか?
YES
彼にプレゼントを渡した際、「そういえば、お前の誕生日昨日だったよな。休日だからプレゼント渡せなかったよ。お返しするから、何か買いに行こうぜ。」とか、後付けの嘘でも良いから言い出してくれることにワンチャン賭けられるからですか? [編集済]
YES!ワンチャンに賭けてます! [良い質問]
私の誕生日が平日なら、彼がプレゼントをくれなかったことが確定なので、こちらからだけプレゼントを渡す厚かましい女になりたくなかったが、私の誕生日が休日だったので、その意味での負担なしにプレゼントを渡すことができるからですか?
完璧!正解! [正解][良い質問]
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10月2日、朝。私は努めて落ち着き払っている風を装って、アラタに話しかけた。
「朝家出る前にさ、そういえばそうだったなって思い出して、これ持ってきた。誕生日プレゼント」
私は昨日買ってきた少し高い(けどそんなに高くない)お菓子をアラタに渡した。あくまで急ごしらえで用意しましたという体だから、ラッピングは何もしていない。
「え、ああ。ありがとう」
戸惑いながらプレゼントを受け取ったアラタは、「覚えててくれたんだ」と小さく零した。
「そりゃ覚えてるよ。私と一日違いだもん。小さい頃はいっつも合同で誕生日パーティーしてたし」
私とアラタは家がすぐ近くで、いわゆる幼なじみだった。私の母親とアラタの母親は私たちが産まれる前から親交があって、一緒に子育て頑張りましょうねなんて言っていた矢先に一日違いで私たちが生まれたもんだから、こりゃ奇跡だなんだの言って家族ぐるみの付き合いが始まった。私の幼い頃の思い出はいつも隣にアラタがいて、まるで家族のような存在だった。
「そっか、そりゃ覚えてるよな」
でも、その関係はずっと続くわけじゃなかった。女子と一緒にいるのはダサいという小学生男子特有の価値観のせいか、あるいは単に私と一緒にいるのに飽きられたのか、小学四年生の頃からアラタは私によそよそしい態度を取るようになった。私たちの間の会話は次第に少なくなり、母たちも距離感の変化を感じとったのか家族ぐるみで遊びに出かけることもなくなった。
「なんか、こうしてミサキと話すのも久しぶり。変な気分だな」
それから中学、高校と私はアラタと同じ学校に進んだが、ずっと違うクラスで、ほとんど会話が交わされることはなかった。
今年の4月、小学校以来初めてアラタと同じクラスになれたけれど、私が「あっ」と呟いて、アラタが「久しぶり」と言って、私も「久しぶり」と返して、ただそれだけだった。これが離れ離れになって長年会えなかった相手だったなら、昔話に花を咲かせることができたのかもしれなかったけれど、そうではなかった。私たちの心は昔よりも離れていたが、疎遠すぎるほど疎遠でもなかった。学校で出会うことも度々あったし、近所ですれ違うことだってあった。結局、同じクラスになっても私はアラタに話しかけることができなかった。
「私も変な気分。昔はきょうだいみたいに仲良くしてたのにね」
でも私は諦めきれなかった。
いつからだろうか、私はアラタに恋をしていた。
10月2日、アラタの誕生日に、勇気を出してアラタに話しかけよう。私はそう計画を立てた。
「それで、ミサキの誕生日は昨日だったよな。昨日は何もお祝いとか言えなかったけど、今言うよ。誕生日おめでとう」
私は、昨日が休日でよかったと心から思った。もし昨日が平日で学校があったなら、私はきっとアラタに「誕生日おめでとう」と言ってくれないか淡い期待を抱いて、声をかけられないことに一人涙を流していただろう。
もしそうなれば、私たちの関係は「誕生日を祝いあうほどでもない間柄」として規定されてしまって、私は今日アラタを祝うことだってできなかったはずだ。自分は祝われていないのに、一方的に祝ってプレゼントを贈るなんて、そんなことができるはずがない。
こうしてアラタと話ができるのは、昨日が休日だったおかげだ。
「ありがとう」
私はなるべく顔に出してしまわないように気をつけながら、久しぶりにアラタに誕生日を祝ってもらえた喜びに打ち震えていた。
「そういえば…」
アラタは何やら恥ずかしそうに呟きながら、カバンから何かを取り出した。
昨日が休日じゃなくてもよかったと私が気づくのは、ほんの少し後の話。
彼と私は互いに誕生日を知っている
もし10/1が平日だったなら、私は彼に誕生日プレゼントを渡すことができなかった
もし10/1が平日だったなら、彼は私の誕生日を祝ってくれなかった
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