名探偵カメオの誤算と悲劇

カメオは、推理ゲームが大好きなゲームプレイヤーであった。
複雑なトリックや犯人の嘘に隠された『真実を暴く事』が好きだからだ。
昔から、推理をする事が大好きで、推理ゲームはかなり前からやっていた。


現実とは違って、『必ず犯人を突き止めるための証拠が、都合よく簡単に見つかる』ので、『推理すれば真犯人がわかる』のが推理ゲームだ。
少し前にプレイしたゲームでは、登場人物に『名探偵様』と褒められたものだ、実に気分が良い。
現実だとこうはいかない。証拠なんて都合よく集まらないし、名探偵なんて呼ばれないだろう。刺激のある事件なんて、現実では起こらない。
現実と比較して、推理ゲームは素晴らしいとカメオは思っていた。


そんなカメオは、とある推理ゲームをプレイする事にしたのだ。

カメオ「よーし！名探偵の俺が、見事に真相を解き明かしてみせるぞ！」

ゲームを始めたカメオは、ゲームに感動した。
怒涛の展開！そして巻き起こる殺人事件！次々と明らかになる衝撃的なトリック！
美しいグラフィックに、声優さんが奏でる天使の様なキャラの声！
あまりにも素晴らしすぎるゲームに、カメオは感動させられたのだ！

そんなカメオが一番感動したのは、主人公カメコである！
カメコは突如殺人事件に巻き込まれた一般人として、殺人事件に挑むのだが、
ストーリーで挟まれるカメコの心理描写や、カメコの作中での優しさ、キャラとしての美しさに、
カメオの中でのカメコの好感度がうなぎ登りだったのだ！

カメオ「こんな素敵な主人公を考えてくれた制作者様に感謝だ！」

作中で巻き起こる様々な殺人事件を、主人公カメコを通して解決していくカメオ。
カメオは、ゲームをプレイしていく中で、カメコという人柄に好意を抱いていった。


・・・だが、そんなカメオに悲劇が訪れる。
ゲーム終盤、最後となる７つ目の殺人事件を調査し、『犯人を暴くための証拠は出そろい』、ついに犯人を指摘するシーンがやってきたのだが、

カメオ「あれ？マジで犯人の正体がわからねぇ！？」


そこから犯人を考察する事数時間。
容疑者の誰が犯人になったとしても、推理に矛盾が生じてしまう、犯人の正体が本当にわからない・・・
カメオはありとあらゆる可能性を吟味し、真相を推理したが、それでも、犯人の正体にたどり着く事は出来なかった。

調子が悪いせいだと思ったカメオは、いったんゲームを中断し、数日の間は別の事をしていた。


その時は突然やって来た。
別の推理ゲームをしていたカメオは、そのゲームの『叙述トリック』を見て、閃いたのだ。

そう、カメオは真実に気づいたのだ、気づいてしまったのだ・・・


カメオ「あれ？これってカメコが犯人なんじゃね・・・？」


カメオ「いやいや、確かに証拠はカメコが犯人である事を示しているけれど、だって主人公だよ？
　　　　今更主人公が犯人なんて展開は無しだよね？
　　　　何十時間もゲームをプレイして、一緒にカメコを操作して推理してきたんだよ？
　　　　これでカメコが犯人だったら俺泣いちゃうよ？マジで泣くよ？
　　　　カメコが犯人な訳ないよね？俺の勘ｔ（以下省略）」


主人公カメコに強い好感を抱いていたカメオは、「叙述トリック」の可能性を一切考慮していなかったのだ。
無意識のうちに、容疑者候補からカメコを外していたのだから、真相がわからないのは、当たり前の事だったのだ。


かくして、名探偵カメオの推理は的中してしまい、カメコが犯人である事が判明。
カメコは逮捕され、ゲームはエンディングを迎えた。

カメオ「なんでこうなるんだああああああぁぁぁぁぁああああ！！！！！！！！！」

カメオは心の底から後悔した。カメコが犯人だったなんて知らなければよかった……


要約した解説
カメオは『推理ゲーム』の中では名探偵。
『ゲームの中で起きた殺人事件』を解決しようとしたが、
『叙述トリックが使われており、真犯人は主人公である可能性を全く考慮していなかった』ために、当初は真実を暴けなかった。
後日、主人公が犯人であるという真実を暴くが、『主人公に強い好感を抱いていた』ので、真実に絶望し、真実を暴かなければよかったと後悔した。

ＢＡ判定下記３つの事に気づく
・殺人事件は現実世界の話ではなく、架空の世界の中の話
・真実を暴けなかったのは、叙述トリックに気づいていなかったから
・カメオは主人公（真犯人）が犯人である事にショックを受けた