この世に未練がある人間は、幽霊になるという。
「わたし、幽霊になっちゃった」
亡くなったはずの恋人・日向は、樹の元へと現れて言った。
「樹くんとやりたかったことが多すぎたからね」
それを聞いた樹は、日向が満足して消えられるようにと、日向の望みを何でも叶えると決めた。
最近できた遊園地に一緒に行く。
この辺りで一番高い山の山頂から夕陽を見て、2人の写真を撮る。
海の見えるレストランでウミガメのスープを食べる。
……
…
日向の言ったことを一つひとつ叶えていった樹だったが、その半分も終わらないうちに、日向は消えてしまった。
一体なぜ?
※「この世に未練がある人間は幽霊になる」以外の非現実要素はありません。
「わたし、幽霊になっちゃった」
亡くなったはずの恋人・日向は、樹の元へと現れて言った。
「樹くんとやりたかったことが多すぎたからね」
それを聞いた樹は、日向が満足して消えられるようにと、日向の望みを何でも叶えると決めた。
最近できた遊園地に一緒に行く。
この辺りで一番高い山の山頂から夕陽を見て、2人の写真を撮る。
海の見えるレストランでウミガメのスープを食べる。
……
…
日向の言ったことを一つひとつ叶えていった樹だったが、その半分も終わらないうちに、日向は消えてしまった。
一体なぜ?
※「この世に未練がある人間は幽霊になる」以外の非現実要素はありません。
らてらておぶざまんす?2023-9
No.7[霜ばしら]09月18日 22:3709月18日 22:39
日向が亡くなって笑わなくなった樹が、日向の願いを叶えていっている時に笑ったので未練がなくなりましたか?
1+
非常に迷いますがYesよりのNoとさせてください!日向の願いが樹に関することなのはYesです! [良い質問]
No.11[霜ばしら]09月18日 22:4009月18日 22:42
日向が亡くなってから樹はやつれてしまいましたか?
Yes!!ここからは物当てになってしまいそうなので、解説では「家に引き篭もった」です! [編集済] [良い質問]
No.13[霜ばしら]09月18日 22:4209月18日 22:43
樹が引きこもりをやめて普通に外に出て健全な生活ができるようになったので、そのことを憂いていた日向の未練はなくなりましたか?
Yes!!正解です! [正解]
参加者一覧 5人(クリックすると質問が絞れます)
全員
「マクガフィン」(2良:1)
さなめ。(3)
きはる(2)
ほずみ(3良:3)
霜ばしら(3良:2正:1)
簡易解説
日向の本当の未練とは、日向の死後、家に引きこもるようになってしまった樹。
見かねた日向は樹の前に現れ、自分の望みと称して樹を外へと連れ出した。
日向の願いを叶えていく中で、樹が社会復帰を果たしたため、日向は満足し、消えた。
とても長い解説
「わたし、幽霊になっちゃった」
昔、樹くんと一緒に暮らしていた部屋。埃の積もったそこに、半透明の足先をつけて着地した。
樹くんったら、幽霊でも見たような顔しちゃってさ、失礼なんだから。あ、わたし、幽霊だった。
「え、あ、日向……?」
「えー、わたしのこと、忘れちゃったなんて言わないよね?」
そんなわけない。それは私が一番知ってる。
部屋はカーテンが締め切られていて薄暗い。床に放ったままにされている通販の段ボールや、はさみはちょっと危なっかしい。ゼリーのゴミは結構汚い。あと流しに積み重なってるカップラーメンのゴミも。わたしが虫嫌いなの、知ってるくせに。
「っまさか! 一瞬だって、忘れたことはっ……」
「うん、忘れないでいてくれたのは嬉しいけどさ、」
こんなの望んでないよ。
その言葉は呑み込んで、なんでもないよ、って首を振ると、わたしは宣言する。
「わたし、この世に未練ばっかりなの! 樹くんとしたかったことが多すぎたからね」
「そ、そうか……?」
「そう! だからさ、まず、最近できた遊園地に一緒に行こうよ! わたしが消えられるように、手伝って!」
「けど、俺、」
「なーに、可愛い彼女のお願いひとつ叶えられないの?」
そう言うと、樹くんは伸び切った前髪の奥で、泣き出しそうな顔で笑った。
「幽霊になっても、日向は日向なんだな」
「当たり前でしょ?」
「そういうやつだったよ。……一週間くれ。絶対連れていく」
「やったー!」
無邪気に喜んで、洗面所に走っていく樹くんを見送った。
それから、遊園地に行った。山にも登ったし、水族館にも行った。わたしは食べられないけど、おしゃれなレストランにも連れてってもらったし、一緒に(といってもわたしは見てただけだけど)バンジージャンプも行ってみた。悲鳴をあげる樹くん、見ものだったなあ。
それだけ遊んでたらもちろん、お金が足りなくなった。樹くんはバイトを始めた。新しい友達ができたらしい。その友達と一緒に、今は仕事を探してるんだって。
同窓会に行きたいってねだってみた。樹くんはわたしばっかり見ているわけにもいかなくて、昔の友達と話してた。「あいつら、変わってないな」って、呆れたように笑ってた。
それは、ある公園からの、帰り道でのことだった。
樹くんはばったりあった友達くんと話し込んでて、夕陽が樹くんの髪を照らしていた。
綺麗に整えられて、つやつやと光っている黒髪。わっと笑った樹くんが、友達くんの肩を勢いよく叩いた。
もう、わたしはいらないかな。
そう思った瞬間に、ちょっと体が軽くなった。これは消えるや、と思った。
「ごめん待たせた」
「もー、待たせすぎ」
「悪かったって」
「お詫びに、ひとつ願い叶えて!」
「まだ大量に残ってるだろ? 何個あるんだよ」
「まあまあ、一瞬で終わるやつだからさ」
樹くんの顔を見た。やっぱりかっこよかった。
「あのさ、好きって言われたい」
「後でな」
「だめ!」
思いの外強い声が出た。わたしの勢いに面食らったような顔をしたけれど、樹くんは、いつものように仕方ないな、という顔をした。
いつだってわたしの願いを叶えてくれる顔。我が儘で主張ばっかりしてたわたしを許してくれた顔。
「好きだよ。……ほら、これで良いか?」
心が満たされた瞬間、またふっと体が軽くなった。
「うん。……ありがと」
また散らかしちゃだめだよ。
ちゃんとバイト行くんだよ。仕事探すんだよ。
わたしのことなんて忘れて、ちゃんと幸せになってね。
……でも、たまには、年に1回くらいは、あんなやつもいたなって、思い出してくれたら嬉しいな。
樹くんの顔を見た。その時ちょうど、夕日が沈んだ。
そしてわたしは、この世界から消えた。
日向の本当の未練とは、日向の死後、家に引きこもるようになってしまった樹。
見かねた日向は樹の前に現れ、自分の望みと称して樹を外へと連れ出した。
日向の願いを叶えていく中で、樹が社会復帰を果たしたため、日向は満足し、消えた。
とても長い解説
「わたし、幽霊になっちゃった」
昔、樹くんと一緒に暮らしていた部屋。埃の積もったそこに、半透明の足先をつけて着地した。
樹くんったら、幽霊でも見たような顔しちゃってさ、失礼なんだから。あ、わたし、幽霊だった。
「え、あ、日向……?」
「えー、わたしのこと、忘れちゃったなんて言わないよね?」
そんなわけない。それは私が一番知ってる。
部屋はカーテンが締め切られていて薄暗い。床に放ったままにされている通販の段ボールや、はさみはちょっと危なっかしい。ゼリーのゴミは結構汚い。あと流しに積み重なってるカップラーメンのゴミも。わたしが虫嫌いなの、知ってるくせに。
「っまさか! 一瞬だって、忘れたことはっ……」
「うん、忘れないでいてくれたのは嬉しいけどさ、」
こんなの望んでないよ。
その言葉は呑み込んで、なんでもないよ、って首を振ると、わたしは宣言する。
「わたし、この世に未練ばっかりなの! 樹くんとしたかったことが多すぎたからね」
「そ、そうか……?」
「そう! だからさ、まず、最近できた遊園地に一緒に行こうよ! わたしが消えられるように、手伝って!」
「けど、俺、」
「なーに、可愛い彼女のお願いひとつ叶えられないの?」
そう言うと、樹くんは伸び切った前髪の奥で、泣き出しそうな顔で笑った。
「幽霊になっても、日向は日向なんだな」
「当たり前でしょ?」
「そういうやつだったよ。……一週間くれ。絶対連れていく」
「やったー!」
無邪気に喜んで、洗面所に走っていく樹くんを見送った。
それから、遊園地に行った。山にも登ったし、水族館にも行った。わたしは食べられないけど、おしゃれなレストランにも連れてってもらったし、一緒に(といってもわたしは見てただけだけど)バンジージャンプも行ってみた。悲鳴をあげる樹くん、見ものだったなあ。
それだけ遊んでたらもちろん、お金が足りなくなった。樹くんはバイトを始めた。新しい友達ができたらしい。その友達と一緒に、今は仕事を探してるんだって。
同窓会に行きたいってねだってみた。樹くんはわたしばっかり見ているわけにもいかなくて、昔の友達と話してた。「あいつら、変わってないな」って、呆れたように笑ってた。
それは、ある公園からの、帰り道でのことだった。
樹くんはばったりあった友達くんと話し込んでて、夕陽が樹くんの髪を照らしていた。
綺麗に整えられて、つやつやと光っている黒髪。わっと笑った樹くんが、友達くんの肩を勢いよく叩いた。
もう、わたしはいらないかな。
そう思った瞬間に、ちょっと体が軽くなった。これは消えるや、と思った。
「ごめん待たせた」
「もー、待たせすぎ」
「悪かったって」
「お詫びに、ひとつ願い叶えて!」
「まだ大量に残ってるだろ? 何個あるんだよ」
「まあまあ、一瞬で終わるやつだからさ」
樹くんの顔を見た。やっぱりかっこよかった。
「あのさ、好きって言われたい」
「後でな」
「だめ!」
思いの外強い声が出た。わたしの勢いに面食らったような顔をしたけれど、樹くんは、いつものように仕方ないな、という顔をした。
いつだってわたしの願いを叶えてくれる顔。我が儘で主張ばっかりしてたわたしを許してくれた顔。
「好きだよ。……ほら、これで良いか?」
心が満たされた瞬間、またふっと体が軽くなった。
「うん。……ありがと」
また散らかしちゃだめだよ。
ちゃんとバイト行くんだよ。仕事探すんだよ。
わたしのことなんて忘れて、ちゃんと幸せになってね。
……でも、たまには、年に1回くらいは、あんなやつもいたなって、思い出してくれたら嬉しいな。
樹くんの顔を見た。その時ちょうど、夕日が沈んだ。
そしてわたしは、この世界から消えた。
23年09月18日 22:31
[輝夜]
相談チャットです。この問題に関する事を書き込みましょう。
ブックマーク(ブクマ)って?
自分が正解した問題・出題者への賛辞・シリーズ一覧・良い進行力など、基準は人それぞれです。
自分専用のブックマークとしてお使い下さい。
Goodって?
「トリック」「物語」「納得感」そして「良質」の4要素において「好き」を伝えることができます。
これらの要素において、各々が「良い」と判断した場合にGoodしていきましょう。
ただし進行力は評価に含まれないものとします。
ブクマ・Goodは出題者にとってのモチベーションアップに繋がります!「良い」と思った自分の気持ちは積極的に伝えていこう!
物語:4票納得:1票良質:3票ブクマ:5
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Goodって?
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これらの要素において、各々が「良い」と判断した場合にGoodしていきましょう。
ただし進行力は評価に含まれないものとします。
ブクマ・Goodは出題者にとってのモチベーションアップに繋がります!「良い」と思った自分の気持ちは積極的に伝えていこう!