強力な魔法

魔王の使う魔法はズバリ、人間を自分の献身的な手下にしてしまう洗脳魔法であった。
魔王はこの魔法を使って攻め込んだ国の国民たちをどんどん洗脳し、魔王軍を拡大させていった。
文句なしで完璧な作戦･･････であるかに思えた。
しかし、実はこの魔法には大きな欠陥があったのだ。
この魔法のポイントは普通の〝忠実な手下〟にするのではなく、〝献身的な手下〟にするものだということ。
魔法にかかった者は魔王のためになることを自ら考えて行動に移すため、魔王が命令をせずと勝手にプラスになることをしてくれるというメリットがある･･････その者が有能であったならば。

魔王が国一番の愚者であるカメオを洗脳し、〝献身的な手下〟にしてしまったのが運の尽き。

愚者カメオ「よーし、魔王様のためになることをするぞ！」

やる気十分になった愚者カメオ。しかし彼は典型的な無能な働き者タイプであった。

備品の整理をすれば壊れた備品の山ができあがり、
軍の訓練を行えば誤って仲間に攻撃をして負傷者を出し、
料理番をやったかと思えば食中毒騒ぎを起こし、
口を開けば魔王軍の極秘情報を漏洩させ･･････

愚者カメオが魔王に貢献しようと率先して働けば働くほど魔王軍の足を引っ張りつづけ、他の有能な手下たちも愚者カメオのフォローや後始末で疲労が重なり･･････勝手に貢献してくれる手下たちに任せっぱなしだった魔王が何かおかしいと気づいたときには、時すでに遅し。

カメオは魔王軍最大の兵器を整備するつもりが、うっかり誤作動させてしまい･･････

最終的に魔王軍は壊滅してしまったのであった。