好敵手

カメオは恋をしていた。夢の障壁としてウミオを意識しているうちに、いつのまにか好きになってしまったのだ。


いつもは緊張して話をすることなどできなかったが、ある合宿の日の夜、カメオは意を決して話しかけた。

「なあウミオ、お前好きな人っている？」
「急になんでそんなことが気になるんだよ」
「いや、なんとなく」
「別に言ってもいいが。俺が言うなら先にお前が言えよ」
「俺はウミコが好きだ」
本当のことは言えるはずもなく、嘘をついて答えた。ウミコとは、クラスで一番人気のテニス部マネージャーだ。
「実は俺もウミコが好きなんだ。俺たちライバルだな」
「ああ」

（俺もウミコみたいに可愛くなれば、好きになってもらえるのかな……って何考えてんだ俺。俺は男でウミコは女。俺がウミコに勝てるわけなんてないのに）

解説
ライバルとは恋のライバル。
2人は密かに狙っている相手としてウミコの名前を挙げた。
しかしカメオが本当に好きな人はウミオであり、カメオにとっての恋のライバルはウミコだった。
自分は男でウミコは女、勝機などあったものじゃないとウミオは諦めた。