シークレットメッセンジャー

親の都合でウミガメ高校からラテラル高校への転入が決まった霧ヶ原君。学校側も転入の手続きを進めていた。
３年Ａ組へ入ることが決まったが、当然追加の机を準備しなければならない。
しかし、ラテラル高校は新しい机を買う予算が無いため、とりあえずしまってあった昔の机を使うことにした。

「ウミガメ高校から転校してきた霧ヶ原です。よろしくお願いします」
「よろしく。じゃあ霧ヶ原は後ろの遠山の隣に座ってくれ」

さて、さっそく転校してきた霧ヶ原君への質問攻め……とは言わないが、何人かの男女が霧ヶ原君の周りに集まってきた。
「ねえねえ、ウミガメ高校って超イケメンパラダイスの所じゃん？」
「彼氏いるの？」
「彼女だろバカ」
「脳年齢５０歳超えてる？」
「カバディ同好会に入らない？」
などと時折変な質問が入る中、クラスの風紀委員である西山さんが霧ヶ原君の机に何か書いてあるのに気が付いた。どうやらコンパスの針で書かれているようだ。
「ん？　えっと……山田先生はハゲ？」
その言葉に、周囲がどよめく。
「え、あの山田先生が！？」
「全然見えない！」
「そういえばラテランスに通ってるとかいううわさが……？」
「１億本で１０００万本増やせる奴！？」
辺りが雑然とし始めたころ、担任の山田先生が入ってきた。
「おらみんな、静かに！　授業が始まるぞ！」

その日クラスは、霧ヶ原君ではなく山田先生の頭の話でもちきりとなった。
ちなみにこの落書きは１０年ほど前に、この机を使っていた生徒が別の山田先生の悪口を書いたものである。今の山田先生からすれば迷惑はなはだしい。


要約：霧ヶ原君のために準備した机に山田先生がヅラであるという落書きがされていたから。