「人間は酸素がなくても生きていけるんだよ」
田中夫妻が子どもたちにそんな嘘を教えた目的とは?
田中夫妻が子どもたちにそんな嘘を教えた目的とは?
らてクエ8
らてクエ8-1
No.30[ベルン]02月06日 21:3202月06日 21:33
水中や宇宙空間など、酸素の無い場所でも人間はいきられるよ、ということが言いたかったですか?
Yesですがややミスリード注意です。 [良い質問]
No.43[天童 魔子]02月06日 21:4102月06日 21:43
ノアの箱舟に乗せられる乗員には限りがあるためですか?
ざっくり言えば大体そういうことですが、(29)の良質も踏まえ、もう少しだけお付き合いください。 [良い質問]
No.45[天童 魔子]02月06日 21:4602月06日 21:49
地球を捨てて宇宙船で飛び立つのでペットの人間の分まで酸素を供給する余裕はないので置いていくように嘘をつきますか?
正解です。 [正解]
参加者一覧 9人(クリックすると質問が絞れます)
全員
キャノー(4良:1)
花舞月夜(3)
白石コーソー(6良:4)
ベルン(9良:4)
クラブ(3良:3)
えいみん(2良:1)
たけの子(3良:1)
天童 魔子(13良:8正:1)
ルーシー(2良:2)
敢えて西暦で表記するなら、おおよそ4~5000年といった頃の、地球。現在地球上でもっとも繁栄している生物は、チンパンジーだった。
何故そうなったのか、チンパンジー達自身もよく分かっていない。しかしいずれにせよ、高度な文明と科学を発展させた彼らが、紛れもなくこの星の支配者だった。
ところが、そんな彼らの繁栄に暗い影が差す。太陽の自転周期とか、地殻の大変動とか、後は化学物質の何やらかんやらとかで、地球上の酸素濃度が急激に低下し始めたのだ。チンパンジー達はもちろん、酸素がなければ生きていけない。当然このことは、彼らにとって大問題となり、社会の有り様を激変させた。屋内の酸素濃度はある程度維持することが可能だったが、屋外まではそうは行かない。外出の際は極力、酸素マスクを装着することが推奨され、マスクなしで出歩くチンパンジーは、「貴重な酸素を浪費する愚か者」として袋叩きにあった。
そんな陰鬱な生活に嫌気が差したチンパンジー達はついに、地球を捨て、新天地を探して宇宙へ旅立つ決意をした。移住可能な惑星の目星も、ある程度は付いていた。彼らはその科学力をもって、超光速航法を備えた宇宙船を完成させていたのだが、この技術は、先史時代の遺跡から発掘された古代の記録媒体の内容を参考にして作られた技術である。記録媒体の中には、宇宙から来た侵略者に対して、超技術により作られた巨大な宇宙船に乗って立ち向かう、チンパンジーによく似た生物の映像が記録されていた。それが未来に起きることを描いた預言書なのか、高度な技術を誇った先史文明の世で実際に起きた出来事の記録なのかは研究者により意見が分かれたが、描かれているのは先史時代のチンパンジーであろうという点については概ね一致していた。
そんなわけで、チンパンジー達の地球脱出計画は順調にその準備が進められ、いよいよ第一陣の出発を間近に控えていた。
さて、田中アレクサンドロス及び田中ロクサーヌ夫妻とその子ども達は、第一陣として出立する宇宙船に搭乗予定のチンパンジーである。由緒正しき田中姓を持つ彼らは、運良く第一陣の搭乗者に選出されることができたのだ。
だが、旅支度を整える一家に、今、大きな問題が起こっていた。夫妻の子ども達が、ペットである人間のゲンくんを連れていきたい、と言って聞かないのだ。
人間とは、チンパンジーに外見がよく似ており、チンパンジーには遥かに劣るものの高い知能を有する生物である。研究者の間では、人間はチンパンジーと進化の過程で枝分かれした極めて近縁の生物種、あるいは直接の祖先に当たるのではないかとの説が有力視されていた。もっとも、田中夫妻――特に妻のロクサーヌ――は、神が自らの似姿としてチンパンジーを創りたもうたという世界観を持つ宗教の熱心な信奉者であったので、そういった学説はまるで信じていなかったのだが。人間はその親しみやすい外見と、高い知能により世話やしつけの手間が少ない(特に、犬や猫などと違ってトイレトレーニングが容易というのが大きかった)ため、ペットとして人気ではあったが、一方で体格が大きく、餌代がかかるため、どちらかというと富裕層のペットとして見られていた。田中夫妻もまさしく、ご近所への見栄として人間を飼い始めたクチだったが、そんな夫妻の意向は特に関係なく、子ども達は人間をいたく気に入り、ゲンくんと名付けて可愛がっていた。
ゲンくんはとても賢い人間だったので、夫妻や子ども達の言葉をある程度は理解できたし、なんとお茶碗と箸を使って餌を食べることもできた。ゲンくんは子ども達の良き遊び相手となり、夫妻もなんだかんだでこの特に手間のかからないペットのことを気に入っていた。
が。
宇宙船にはペットは持ち込めない。船内には十分な食糧の蓄えが積載されているとはいえ、無限というわけではない。何があるかわからない宇宙旅行、チンパンジー以外の生物に資源を割く余裕はなかった。夫妻は当然、ゲンくんを置いていくつもりだったのだが、子ども達はそれを嫌がり、ゲンくんも連れて行くと泣き喚いた。
「だって、酸素がなくなるんでしょ! 置いてったらゲンくん、死んじゃうじゃん!」
宇宙船に乗せられない理由をいくら丁寧に説明しても、子ども達はそう言って納得しない。困り果てた田中夫妻は、つい子ども達にこんな嘘をついたのだった。
「大丈夫、人間は酸素がなくても生きていけるんだよ。だから、ゲンくんは地球に置いていっても、きっと元気に生きていけるさ」
要約
酸素がなくなりつつある地球から、宇宙船で脱出しようとしているチンパンジーの田中一家。
ペットの人間を置き去りにすることを子ども達に納得させるために、そんな嘘をついた。
何故そうなったのか、チンパンジー達自身もよく分かっていない。しかしいずれにせよ、高度な文明と科学を発展させた彼らが、紛れもなくこの星の支配者だった。
ところが、そんな彼らの繁栄に暗い影が差す。太陽の自転周期とか、地殻の大変動とか、後は化学物質の何やらかんやらとかで、地球上の酸素濃度が急激に低下し始めたのだ。チンパンジー達はもちろん、酸素がなければ生きていけない。当然このことは、彼らにとって大問題となり、社会の有り様を激変させた。屋内の酸素濃度はある程度維持することが可能だったが、屋外まではそうは行かない。外出の際は極力、酸素マスクを装着することが推奨され、マスクなしで出歩くチンパンジーは、「貴重な酸素を浪費する愚か者」として袋叩きにあった。
そんな陰鬱な生活に嫌気が差したチンパンジー達はついに、地球を捨て、新天地を探して宇宙へ旅立つ決意をした。移住可能な惑星の目星も、ある程度は付いていた。彼らはその科学力をもって、超光速航法を備えた宇宙船を完成させていたのだが、この技術は、先史時代の遺跡から発掘された古代の記録媒体の内容を参考にして作られた技術である。記録媒体の中には、宇宙から来た侵略者に対して、超技術により作られた巨大な宇宙船に乗って立ち向かう、チンパンジーによく似た生物の映像が記録されていた。それが未来に起きることを描いた預言書なのか、高度な技術を誇った先史文明の世で実際に起きた出来事の記録なのかは研究者により意見が分かれたが、描かれているのは先史時代のチンパンジーであろうという点については概ね一致していた。
そんなわけで、チンパンジー達の地球脱出計画は順調にその準備が進められ、いよいよ第一陣の出発を間近に控えていた。
さて、田中アレクサンドロス及び田中ロクサーヌ夫妻とその子ども達は、第一陣として出立する宇宙船に搭乗予定のチンパンジーである。由緒正しき田中姓を持つ彼らは、運良く第一陣の搭乗者に選出されることができたのだ。
だが、旅支度を整える一家に、今、大きな問題が起こっていた。夫妻の子ども達が、ペットである人間のゲンくんを連れていきたい、と言って聞かないのだ。
人間とは、チンパンジーに外見がよく似ており、チンパンジーには遥かに劣るものの高い知能を有する生物である。研究者の間では、人間はチンパンジーと進化の過程で枝分かれした極めて近縁の生物種、あるいは直接の祖先に当たるのではないかとの説が有力視されていた。もっとも、田中夫妻――特に妻のロクサーヌ――は、神が自らの似姿としてチンパンジーを創りたもうたという世界観を持つ宗教の熱心な信奉者であったので、そういった学説はまるで信じていなかったのだが。人間はその親しみやすい外見と、高い知能により世話やしつけの手間が少ない(特に、犬や猫などと違ってトイレトレーニングが容易というのが大きかった)ため、ペットとして人気ではあったが、一方で体格が大きく、餌代がかかるため、どちらかというと富裕層のペットとして見られていた。田中夫妻もまさしく、ご近所への見栄として人間を飼い始めたクチだったが、そんな夫妻の意向は特に関係なく、子ども達は人間をいたく気に入り、ゲンくんと名付けて可愛がっていた。
ゲンくんはとても賢い人間だったので、夫妻や子ども達の言葉をある程度は理解できたし、なんとお茶碗と箸を使って餌を食べることもできた。ゲンくんは子ども達の良き遊び相手となり、夫妻もなんだかんだでこの特に手間のかからないペットのことを気に入っていた。
が。
宇宙船にはペットは持ち込めない。船内には十分な食糧の蓄えが積載されているとはいえ、無限というわけではない。何があるかわからない宇宙旅行、チンパンジー以外の生物に資源を割く余裕はなかった。夫妻は当然、ゲンくんを置いていくつもりだったのだが、子ども達はそれを嫌がり、ゲンくんも連れて行くと泣き喚いた。
「だって、酸素がなくなるんでしょ! 置いてったらゲンくん、死んじゃうじゃん!」
宇宙船に乗せられない理由をいくら丁寧に説明しても、子ども達はそう言って納得しない。困り果てた田中夫妻は、つい子ども達にこんな嘘をついたのだった。
「大丈夫、人間は酸素がなくても生きていけるんだよ。だから、ゲンくんは地球に置いていっても、きっと元気に生きていけるさ」
要約
酸素がなくなりつつある地球から、宇宙船で脱出しようとしているチンパンジーの田中一家。
ペットの人間を置き去りにすることを子ども達に納得させるために、そんな嘘をついた。
21年02月06日 21:23
[az]
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