常の軌を逸れる

男は無人島で遭難していた。助けが来るまでの間、男は物資を集めようと島を散策し始めたが、その道中洞窟で人が住んでいたような痕跡を発見した。そこには日記らしきものがあり、中身を読んだ男は恐怖した。その日記は過去に発生した船の沈没事故から生き延びてこの島に辿り着いた者が書いた日記だった。内容は最初こそ自分と同じように戸惑い、生き延びようと島を散策していた旨が書かれていたが、途中から雲行きは怪しくなった。どうやらこの男、空腹のあまり一緒に島に漂着した者の死体を食らっていたらしい。食料のなかった島において、空腹を満たす食料となった人肉は男にとって美味に感じたらしく、最後には生存者を襲ってまで人肉を確保しようとしたというのだ。男はその日記の内容にも恐怖したが、ある事実に気付いたことが1番の恐怖の原因だった。それは、日記に書かれていた日付。男は無意識に日記はだいぶ昔に書かれたもので日記の主はとっくに死んでいるだろうと思い込んでいた。しかし、その日付をよく見てみると沈没事故からあまり時間は経過していない。というか最後のページに至っては昨日の日時の日付が記されている。男は食人男がまだ生きていてこの島にいることを知り、自分も襲われるかもしれないと恐怖したのだった