理不尽への抵抗

問題文のようにカメオ先生とウミオがバチバチしていたのはもう何年も昔の話である。現在のウミオは昔の問題児っぷりはどこへやら、愛する妻や子供のために真面目に働く普通の社会人である。
対してカメオ先生は出世し現在はらてらて中学校の校長先生である。しかし校長先生となってもなお厳しい先生として有名なのは昔と変わらず、らてらて中学校では今でもカメオ先生の「馬鹿者！！」という声が毎日のように響き渡っている。

そしてこの日はらてらて中学校の同窓会であり、ウミオと当時の担任であったカメオ先生も参加していたのであった。

ウミオ「カメオ先生、お久しぶりです。」
カメオ先生「おお、君はらてらて中学校一番の問題児のウミオ君じゃないか。久しぶりだなあ」
ウミオ「ちょ、先生、もう卒業したんですからその呼び方は…💦」
カメオ先生「いやいや。私ももう長いことらてらて中学校に勤めているが、君ほど素行の悪かった生徒は他に一人もいなかった。つまり君は今までのらてらて中学校の全生徒の中で断トツ一番の問題児という訳だよ。いやはや、本当におめでとう。」
ウミオ「そんなあ、勘弁して下さいよ💦…でも、それほどの不良だった俺が人としての道は踏み外さずに今まで生きて来られたのは、カメオ先生が厳しく叱ってくださったお陰だと思ってます。先生は俺の恩師です。本当にありがとうございました。」
カメオ先生「なんだ、"問題児"らしくもない…それに、それは私のお陰などではないよ。ウミオ君は、元々から真人間だったのだからね」
ウミオ「先生…ありがとうございます。…そうだ先生、また昔みたいに『馬鹿者！』って大声で叱っていただけませんか」
カメオ先生「何を言っているんだ。今の君は本当に立派な社会人だ、『馬鹿者』などとはもう到底言えないよ」
ウミオ「いえいえ、俺はまだまだ未熟者ですよ。それに実は、最近仕事がちょっと上手くいっていなくてですね…カメオ先生に叱っていただけたら、気が引き締まってまた頑張れるような気がするんです。だから先生、お願いします。」
カメオ先生「…そこまで言うのであれば仕方ない。準備は良いか…？」

「馬鹿者！！」

数年ぶりにカメオ先生からお叱りを受けたウミオは、嬉しそうに笑みを浮かべていた。
ウミオ「…うう、この迫力、昔と全くお変わりありませんね…。懐かしい…。さすが、カメオ先生です。これでまた来週から頑張っていけそうですよ。本当にありがとうございました。」
カメオ先生「…そうか。私も、ウミオ君という生徒のことは、決して忘れることはないだろう。…達者でな。」
ウミオ「ありがとうございます。俺も、先生のことは忘れません。お身体にはお気を付けて下さいね。」

簡易解説
らてらて中学校の(これまでの)全生徒の中で一番の問題児という称号(？)を有するウミオであるが、カメオ先生の厳しい指導の賜物か更正し現在は真面目な社会人。カメオ先生も校長先生になったが厳しさは健在であり、今でも「馬鹿者！」と生徒を叱る。
二人は同窓会で再会し、ウミオは昔を懐かしんでカメオ先生に昔のように自分を叱ってくれるよう依頼する。カメオ先生はそれに応えて「馬鹿者！！」とウミオを怒鳴り付け、満足したウミオは嬉しそうに笑みを浮かべていた。