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首から提げていた純金製の金メダルを手に取った男は、自分がぬか喜びしていたことに気付いてしまった。
どういうことだろうか?
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真相:銃で撃たれたけれど金メダルが銃弾を受け止めてくれて助かった。と思ったら、純金製なのでそんなことなかった。
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1912年夏、ストックホルムオリンピック。
陸上競技 男子1億mで優勝した男、金成 狂死走(かなり くるしそう)。
金成は表彰台の一番上に立つと金メダルを首に掛けられ、観衆に向けて両手を振ると万雷の拍手に迎えられた。
誰もが金成の優勝を祝っているように思えたが、拍手の音に紛れるかのように一発の銃声が鳴り、発射された凶弾が金成を襲った。
強烈に胸を叩かれたような衝撃に戸惑うも何が起こったのかすぐには分からず、周囲の悲鳴でようやく自らが撃たれたことを理解した金成。
金成は表彰台の上でよろめきながら、撃たれた胸元を手で押さえた。
その時、金成は自らの手に当たる硬い感触に気付いて、不敵に笑ってみせたのだ。
「ヘ……ヘヘッ、俺は運が良い。この胸元に輝く金メダルが銃弾を受け止めて……」
◎
金成が金メダルを手に取り見やると、残念ながらそこにあったのは血まみれドーナツであった。
純金は銃弾を受け止めるには軟らか過ぎた。
「…………なんだ、この裏切りは。胸に穴が開いた気分だよ……」
そう呟くと、金成は膝から崩れ落ちた。
一週間ものあいだ生死の境を彷徨うも奇跡的に生き延びた金成は後に国際オリンピック委員会の委員長となり、軟らかい純金製の金メダルを永久に禁止することにした。
これによりメダリスト全員の安全性が保証されるようになっただけでなく、金メダル作成コストが大幅に軽減されて発展途上国であってもオリンピック開催国を務めることができるようになり、オリンピックが「平和の祭典」と呼び称されるようになったのもこの出来事が切っ掛けである。
しかし、元来「英雄には必ず艱難辛苦が臨むもの」という故事を由来とする古代中国発祥の競技大会『雄臨必苦』の名を冠していながらメダルで身を守らんとする現代アスリートの貧弱さは到底受け入れがたいものであり、今日において金成がオリンピック中興の祖として崇められていると同時に、たかが銃弾1発で死にかけるなど金メダリストにあるまじき醜態であるという論調が紛糾していることについてここで多くを語るは博学たる読者諸氏に対して釈迦に説法と言ったところだろう。
民明書房刊 『オリンピックの歴史』より
物語:2票
物語部門
ぺてー>>
金メダルに関する鉄板の物語をうまくアレンジしています
鉄板ではなく純金です