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昼下がりの教室にて。

ミユが転校したことを、《お弁当の風呂敷を広げたことでリカコが痛感した》のは

いったいなぜだろうか?
[藤井]

【ウミガメ】19年12月14日 14:14

シンプルスープ。

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解答
いつもリカコは自分の席でミユとお弁当を食べており、二人だと風呂敷を広げるスペースがなかったので畳んでいたのだが
ミユが転校して一人になったことで机の上には十分なスペースがあり、風呂敷を広げても邪魔にならないことに気づいたため。



解説

「ねぇ、一緒にお弁当食べようよ」

高校に入学したての頃。
一人でお昼を食べていた私に明るく声をかけてくれたのはミユだった。

内気で人見知りな私にミユはいろんなことを教えてくれた。
駅前のクレープ屋さんが美味しいとか、2組の山田君はスポーツ万能なイケメンだとか、平井先生と山本先生が実はいい感じなんだとか。
私がミユに教えられることなんて何もなかったが、幸い勉強は得意な方だったので、テスト前なんかには二人で要点を確認しあったりした。

「リカコすごいな~。よくこんなに分かりやすくノートまとめられるね」
「えへへ、ありがとう」
「リカコのおかげで数学ちょっと得意になったよ!」

キラキラなミユとは正反対な私。だけどいつのまにか、ほとんどの時間をミユと過ごすようになっていた。
私たちは、親友だった。


お昼になると、決まってミユが私の席に来て一緒にお弁当を食べた。
ミユは私の前の席の子の椅子を借りていた。
決して広くはない一人分の机のスペースだ。私はお弁当の風呂敷を畳んで膝の上に置いていた。ミユは可愛い巾着袋だ。

「うちの卵焼き美味しいんだよ~、食べてみて!」
「……わぁ、ほんとだ。甘くておいしい!」

ミユと食べるご飯はとても美味しかった。
こんな日がずっと続けばいいと思っていた。


……のだけど。


秋が深まる頃、ミユは転校してしまった。
お父さんの転勤の都合だという。
これまでにも転校を繰り返してきたらしいミユは、「慣れてる」と言った。
「でも寂しい」とも言った。


ミユがいなくなってしまった。
いつも一緒にいたその人が、ふっといなくなってしまった。
一人でお昼を食べるのは久しぶりな気がした。

お弁当の風呂敷を解きながら、ふと気づく。
あんなに狭く感じた机の上はやけに広々としていた。
お弁当箱を乗せた状態のまま風呂敷を広げる。
全く邪魔にならなかった。

(……そうか、)


この机の上にはミユのお弁当箱があって、向かい側にはミユがいた。
いつでもそうだった。

ミユが転校してしまった。



改めてそのことを痛感した私は、こみ上げる寂しさを飲み込むように卵焼きを口に放り込んだ。

心なしか、少ししょっぱかった。
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