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マリーが着ている服が羨ましくて仕方なかったウェンディ。私も同じ服を着てみたい!とウェンディは心から思っていた。そのウェンディがある日、盗んだり、借りたりするわけではなく、マリーが着ている服と同じ服を着ることが出来るようになった。周りからもとっても似合っていると褒められており、誰も謙遜でウェンディの事を褒めているわけでは無かったのに、ウェンディは悲しかった。
なぜウェンディは悲しんだのか。
3人正解者出たため11月20日の21時頃〆ました。
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A、身代わりとしてマリーの着ていた服を着させられたから。
※ざっくり概要※
マリーは国の女王(もしくは王族)、ウェンディはその付き人。その日、マリーの国に他国の者が攻め入った。戦力差は圧倒的で、マリーの国は陥落する寸前であった。マリーをなんとか生かしたいと考えた大臣達は、たまたまマリーと良く似ていた付き人のウェンディにマリーの格好をしてもらい、マリーを逃がし、ウェンディを身代わりとして置いていくことを決めた。マリーの着ていた服を着させられたウェンディは、マリーともう二度と会うことは出来ないことを悟り悲しくなったのだった。
※以下駄文※
その日、マリーの治める国シンディ国は陥落寸前であった。隣国の大国、ラテシー国がシンディ国に攻め入ったからである。戦力差は軽く見積もっても10倍。城の門前には敵兵が押し詰めており、それを衛兵が抑えている状態である。それもいつまで持つか分からない切迫した状況であった。シンディ国の大臣は「このまま逃げようと思えば逃げることは出来るが、それでは自分の身は保障されない。せめてマリーさえ居れば」と考えた。大臣が思うのもうなずけるほど、マリーの手腕は素晴らしいもので、マリーのおかげで小国ながらも国民が平等に平穏に暮らすことが出来ていたのは間違いが無かった。そこを隣国に目をつけられたのだ。
大臣は頭を巡らし、そして付き人のウェンディを見てあることを思いついた。『ウェンディ。この国にはマリー様が必要だ。私はここでマリー様を失いたくない。マリー様の身代わりとなってくれないか』その言葉を聞いたマリーは抵抗した。『ウェンディにそのような事をさせるくらいなら私はここで命を絶ちます』すると大臣は『あなたが居なくなってしまわれては亡き国民も浮かばれません。ここは生き延びるのです。いつか必ずやこの無念を晴らす時が来るでしょう』すると口を閉ざしていたウェンディはこう言った。『マリー様、貴女と別れることはとても悲しいです。しかしここでむざむざ皆殺しされることはありません。生き延びる選択肢が少しでもあるならばマリー様だけでも生き延びて下さい』その一言にマリーは決断した。
マリーのもう一人の付き人からウェンディにマリーの服が手渡される。大臣の見立てどおり、マリーの服はウェンディにぴったり合った。『とても・・・良く似合っているわ。まるで私の生き写しね・・・』マリーも大臣もウェンディを褒めた。『昔、マリー様の服に憧れていました。王族の服を一度でも良いから着てみたい。それがこんな形で願いが叶うなんて』ウェンディは涙をぽろぽろと流した。マリーとウェンディは別れ際、ひしと互いの体を抱き合った。しかし今は一刻を争う時。その時間も長くはなく、大臣に引き連れられる形でマリーはウェンディと別れた。数人の兵士と共に残されたウェンディは、かつてこの王城でマリーと過ごした日々を思い返していた。
マリーとウェンディが出会ったのはウェンディが16歳だった頃。平民ながら学院を首席で卒業した彼女は、平民の身にしてシンディ国の女王の付き人として城で働くことができた。そこで出会ったマリーは当時13歳にしておてんばそのものであり、せっかくマリーのためにしつらえられた服もボロボロになってしまい、家臣達を困らせていた。それを見たウェンディは『物も大切に出来ないようでは女王などなれません!』と激昂した。周りの家臣は慌てふためき、ウェンディの行き過ぎた行為をたしなめようとしたが、今まで怒られる事が無かったマリーは驚くとともに、平民であったウェンディに強い興味を示した。そこから二人は付き人と王族という垣根を越えて、昼夜問わずあらゆる事を語り合った。王族で在ることの悩み、学院での生活などを語り合い、時に城を飛び出し、平民のふりをして城下町を楽しんだこともあった。ウェンディと共に時に学び、時に悩み。お互いを信頼しあい、かけがえのない間柄となった。
そして時は過ぎ、マリーが24歳となった時、マリーはシンディ国の女王となった。付き人のウェンディは王座でのマリーだけでなく、王城で暮らす際の動きやすい制服など様々な服をしつらえる。そんな様々なマリーの服を見て、ウェンディは同じ服を着てみたいと興味を抱くようになった。おそらく彼女とマリーの間柄であればマリーに頼めば着させてくれるだろう。だが、彼女はもう女王。ウェンディはその思いを心の奥深く底に仕舞った。
そして今に至る。色鮮やかに浮かぶ数々の思い出とともに、ウェンディの瞳から一筋の涙が流れた。マリーが愛用していた服にポタリと涙が落ちる。
しかし、くっと目頭を抑えたウェンディは涙をスッと払い、迷いを捨て、ただ目の前の扉をにらみつけた。扉の奥から聞こえるは阿鼻叫喚と歓喜の声。
物々しい音と共にウェンディの生死を決める運命の扉は唐突に開かれた。
物語:2票