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幸せは歩いてこない」のGoodトリック・物語・納得で良かったら1票分。全体評価で特に良かったら3票分Goodができます。

ショウくんのことが好きなマリちゃんは、
ショウくんと手を繋げるようになったので、
悲しみの涙を流した。

一体どういうこと?
[「マクガフィン」] [☆☆編集長]

【ウミガメ】19年11月11日 21:00

お久しぶりです^ ^ つかの間の復帰?

解説を見る

『簡易解説』
夫婦であり、幼い息子がいる2人。
家族で仲良く歩くときはいつも、間に息子を挟んで手を繋いでいたのだが、息子が亡くなってしまったために手を繋げるようになった。
それを実感した妻は、涙を流した。





リョウタが亡くなった。


それはあまりにも唐突で、葬儀の最中もまだ、どこかフィクションじみたものを感じていた。

「リョウタは私たちの自慢の息子でした。」
夫の言葉に、弔客たちは5年という短すぎる人生を嘆いた。
しかしなぜだか私の頬には、涙の筋は伝わなかった。


喪服の夫、喪服の私。駅からの帰り道、二人の間に言葉はなかった。
信じられなくて、信じたくなくて、私は下を向いたまま、いつもの公園を通り過ぎた。

ふと、右手に暖かいものが触れた。

それは夫の手だった。
暖かくて、大きくて、すべてを包み込んでくれそうな、そんな手のひら。
それが今、私の手を包んでいた。

あぁ、
と、私は思い出す。
初めてデートをした時の、彼の手の暖かさ。
私が落ち込んでいた時の、彼の手の温もり。
ウェディングドレスの私の手を握る、タキシード姿の彼。


そっか、手、こんなに優しかったんだ…
しばらく握ることがなくて、忘れていたよ。


だってここには、


二人の間にはいつも、リョウタがいた。




リョウタはもういない。
実感した途端、悲しみが、虚しさが、溢れ出して止まらなくて、私は立ち止まる。

夫の差し出したハンカチで、自分が泣いているのだとわかった。
夫との距離は縮まっても、私の胸には埋まることのない隙間ができてしまった。
そのどこまでも純粋な喪失感で、私は涙を流した。

もう三人で歩くことはないのだと、声を出さずに泣いた。




しーあわっせはー 
あーるいーてこーないー


唐突に耳に入ってきたのは、夫の声だった。
三人でよく歌ったあの歌を、途切れがちに、しぼりだすように、夫は歌っていた。


だーからあるいていくんだねっ!


リョウタの声だ。
そんなはずはないはずなのに、なぜだか私は確信していた。





そっか。そうだよね。リョウタはいつでもここにいるんだよね。

ふと自分の手を見ると、そこに暖かいものが触れた気がした。


一日一歩、三日で三歩。

自分に言い聞かせるようにつぶやく。

そうだよ、私だって、前を向かなきゃいけないんだ。

「ショウくん、」
思わず声に出していた。
夫がゆっくりとこちらを向く。

「がんばらなきゃね。」

何を、なんて言わずとも、夫ははっきりと頷いた。

今度は私から手を握り、歩き出す。



さーんぽすすんで にっほすっすむー!


またもやリョウタの笑い声が聞こえた気がして、そこは下がるでしょ、と小さくささやく。

どうしたの、と振り向く夫に、なんでもない、と首を振り、また一歩前へ進む。


リョウタ、ありがとう。そして、さようなら。

私も、ショウくんも、少しずつでも、一歩ずつでも、進んでいくから。
リョウタの届かなかった毎日を、一歩ずつ。




公園のブランコが、風もないのに揺れていた。

トリック:1票物語:12票良質:9票
全体評価で良質部門
ぺてー>>例題とかにありそうな、お手本のような問題だと思いました!
自然に引っかかるトリックが仕掛けられており、それを解いた先にある真相には高い納得感と物語性があります
異邦人>>コメントなし
春雨[★スナイパー]>>コメントなし
トリック部門
うからす>>コメントなし
物語部門
冨作>>コメントなし
うつま[☆2023良いお年を]>>非常にシンプルなんですが……グッと心にきます
いんふぃ[1歳]>>コメントなし
雪之丞>>コメントなし
るぐら>>コメントなし
ロット>>コメントなし
異邦人>>コメントなし
休み鶴>>あぁぁ・・・。
春雨[★スナイパー]>>コメントなし
しげぽん[50問正解]>>コメントなし
kopi>>解説見たあとにタイトル見るとまた別の観点が見えてきますね。重厚な物語に裏打ちされた解説は必見。
うからす>>コメントなし
納得部門