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ウミコはボールに触れたので、途端に悲しい気持ちになった。
一体なぜ?
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ウミコが「らて」と名付けた生き物は、小さなボールみたいだった。
丸くなって眠っていると、どこが頭なのかわからないくらい真ん丸だ。
まっ白で滑らかな手触りの...。
でも、手触りは想像するだけだ。
「らて」は、とても臆病で、絶対に触らせてくれなかった。
眠っていても、指先で少しでも触れようとすると飛び上がって逃げてしまう。
怖がらせても気の毒なので、ウミコも「らて」とは距離を保って生活していた。
その小さな生き物が元気に動き回る様子を見るだけで、ウミコは幸せな気持ちになった。
◆
ある日、ウミコが「らて」の住処を掃除しようとカゴを開けると、気配が違った。
予感に胸を締め付けられる思いでウミコが「らて」の居所を探ると、
カゴの隅の、いつもの寝床に小さなボールがあった。
指先でそっと触れる。
触れてしまった。
滑らかな毛並みに沿ってそっと撫でる。
固く冷たい手触りを感じ、涙が流れた。
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