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ここ数か月、ウミガメ村ではひったくり事件が繰り返し発生していた。
事件の殆どが村の中あるいは周辺であったことや、犯人の特徴、物を奪い取る手段が一致していたため、全て同一犯だろうと推測されている。
そして先日、ついにひったくり犯が捕まったのだが、ウミガメ村に住むラテオは「犯人が逮捕されないほうが村の為になったかもしれない」と感じた。
一体何故ラテオはそう感じたのだろうか?
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平和が取り柄のウミガメ村は過疎化が進んでおり高齢者が多く住んでいる。
ひったくり犯も高齢者が多いためにカバンなどを奪い取りやすいウミガメ村を狙ったようだ。
しかし高齢者ばかりだからと馬鹿にしてはいけない。
事件が2度、3度と繰り返されたウミガメ村では村全体でひったくり対策をするようになっていた。
鞄は手に持つタイプではなくショルダーバッグやリュックサックを。
小さな鞄は上着の内側に隠す。
財布だけを持って出掛ける時も首に掛ける財布を使い、ポケットの中や手には持たない。
ひったくり以外でも「小さな村で近所の人間を疑うな」と開け放していた家の鍵まで閉めるようになったという。
自警団も発足し、村人みんなで対策を考えて防犯に努めていたのだ。
初めのうちは被害に遭ってしまう人もいれば、鞄は守れたが転倒させられてしまった人もいる。
それでもウミガメ村全体での防犯には効果があり、ひったくり事件は起これど鞄や財布は取られず未遂に終わることが増えていった。
同時に、犯人もウミガメ村でひったくりができないとわかったのか事件の数も段々と減少していた。
ついにはひったくりに失敗した犯人を自警団が取り押さえ、犯人逮捕に至ったのである。
ひったくり犯が捕まり、ウミガメ村には平和が戻ったのだ。
めでたしめでたし。
・・・までは良かったのだが、犯人が逮捕されて平和が戻った途端に、ウミガメ村の人々は防犯意識を忘れて元通りの平和ボケした生活に戻ってしまった。
財布をポケットに入れて出掛けたままどこかに忘れてくるカメオおじいちゃんに、お気に入りのブランドバッグを落としそうになりながら手に持って出掛けるウミコおばあちゃん。
果てには村全体で防犯対策を考え実行するのがボケ防止にもなっていたのか、みんなの物忘れが増えたような……
(ひったくり犯が捕まったのは良いことだけど、逮捕されないほうが今後の村の安全を守れたのでは……?)
すっかり平和ボケした村の人々を見ながら、自警団として犯人を捕まえた若者ラテオは思うのでした。
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