海子の住んでいるスープ王国には、ある大泥棒の伝説があった。
　鮮やかな手口で富豪の家に侵入し、高価なお宝を奪い去ったという大怪盗・亀太郎である。
　しめて数億円にも及ぶお宝を盗み出し、逮捕され投獄された亀太郎だったが、最近になってとうとう出所したらしい。
　また盗みを繰り返すんじゃないかと噂されていたが、一般庶民である海子には関係のないものと思われた。

　しかし意外なことに、亀太郎は海子の家へと現れた。しかもその手口は、耳にした亀太郎の伝説とは似つかないものだった。
　伝説では、鮮やかに狙いの獲物だけを奪って行ったとされる亀太郎。海子の家においては、家中のものが荒らされ、破壊され、いくつかは修復不可能な状態に追い込まれていた。
　しかも盗まれたのは、海子の持つささやかな、亀太郎のかつての伝説と比べれば考えられないくらい小額の現金のみである。その為、海子は探偵を雇うまでそれが亀太郎の仕業とは気付かなかった。

　はたして亀太郎の狙いは何なのだろうか？