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亀太郎と海子は仲の良い幸せな夫婦。
だが息子の夏休みの宿題を手伝ったある日、海子は離婚を決意する。
何故だろう?
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十年前、海子は深刻なストーカー被害に悩まされていた。
海子の家から出したゴミが頻繁に荒らされ、気味の悪い手紙が毎日のように届く。時には、自宅に何者かが進入したような形跡が見られることさえあった。
海子の私生活を何らかの方法で監視しているのか、海子が知人の男性と少しでも親しくすると、男と海子の双方のみならず、その家族にまで激しい嫌がらせが行われた。
私生活はむちゃくちゃになり、周囲からも孤立し、海子は精神を病んでいった。
そんな海子の苦しみに寄り添い、支えとなった人物こそが亀太郎だった。
亀太郎は海子の両親が見合い相手として連れて来たイケメンの男性で、優秀な大学を卒業し大企業に勤めるエリートであるのみならず、紳士的な人柄さえ併せ持っていた。
そんな亀太郎から正式に交際を申し込まれた時、海子は最初戸惑ったが、周囲の後押しもあり、それを承諾。
件のストーカーが何をして来るか分からず恐ろしかったが、不思議とその時だけは何の嫌がらせも行われなかった。
十年後夫婦となった二人。母親として妻として、幸せな毎日を送る海子にとって、ストーカーに悩まされていた記憶は過去のものとなっていた。
しかし八月のある日、息子の習字の宿題を手伝っている最中、海子はあることに気付く。
習字の最中、たまたま習字紙に押し当てられた亀太郎の指紋に、強い既視感と胸騒ぎを覚えたのだ。
婦人警官である海子は何度も見た指紋なら記憶している。夫の指紋などまじまじと見ることはこれまでなかったが、しかし白い紙にくっきりと押し当てられたその指紋を眺め、海子は確信する。
亀太郎こそが、あの時自分を悩ませたストーカーだったのだ。
強く憎んでいた男と十年間夫婦として生き、子供まで産んでいたという事実に、海子は激しい悔恨に打ちのめされるしかなかった。
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