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私は母親に会うために病院を訪れた。

案内されると、簡易ベッドに寝かされ、太陽の光を浴びる彼女の姿があった。

「…私の母で、間違いありません。」

その光の先に、『肺に咲く花』を見つけた私は一言呟いた。

「大丈夫。きっと良くなるからね。」

私の言葉の真意とは?
[弥七]

【ウミガメ】19年05月18日 18:07

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解説
簡易解答:「(核)戦争で滅んだこの町も、いつか元通りになる。(良い町になる)」

終戦後、核爆弾を落とされた町は一面焼け野原となり、『今後100年草木も生えぬだろう』と言われていた。しかし疎開先から陸軍病院へ遺体の身元確認に来た私は、『肺に咲く花』を見つけるとこの町の再興に向けた一筋の光を感じたのだった。
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爆心地から2.5km。

ウミガメ町の陸軍病院は一夜にして大破したが、全壊は免れた。

といえば聞こえは良いが、実際は窓ガラスは全て破壊され、銅板で補強されていた一部の壁を除けばその姿は無いに等しかった。

保管されていたX線フィルムが全て感光したことから、これが原子爆弾の仕業であることは明白である。

世間はこの荒れた大地に『今後100年、草木も生えぬだろう』と結論を下した。

終戦とともに、疎開していた私は遺体の身元確認のためにその場所へ訪れた。

あれから1ヶ月経った今でも、病院には身元不明の人間が運ばれてくる。

人間だと分かればまだいい。

姿形もない死体が、おそらく人間だろうという理由で捨て置かれたりする。

院内には独特の異臭が漂っていた。正確には、人間の皮膚が焼けた匂いだ。

私は鼻にハンカチを当てながら病棟の奥へと進んだ。

東館の大広間で、たくさんの遺体の中に、彼女は埋もれていた。

「86815番 ツボクラ リンさん 38歳、女性です。血液型は…」

書類を確認する看護師の横で、私はその姿を眺めていた。

爆発での損傷はあるものの、幸い顔に大きな傷はみられなかった。母は苦しんだだろうか?痛かっただろうか?氷のように動かぬその表情からは、伺い知ることはできなかった。

簡易ベットには破壊された壁の穴から、太陽の光が差し込んでいた。

ふと、私はその光の先にあるものを見つけた。

むき出しになった肺から咲く、小さな一輪の花。

死んでから種子が飛んできたのか、どこからか飛んできたのを吸い込んだのか。それとも貧しい戦時中だ。珈琲の代替として焙煎した飲料を誤嚥したのか。どちらにせよ、その黄色い花は太陽の光を浴びて目を覚ましたのだろう。

「皮肉ですね。人間の体の中で、守られるなんて。」

誰かがポツリとつぶやいた。

『今後100年、草木も生えぬ』

その言葉を、思い出した。

いつかこの町に人々が戻ってきて、復興のために大地を掘り返したら、赤い血が流れ出すだろう。

それは間違いなく人間が生きていた証なのだ。その命の上で、私たちは懸命に生きなければならない。なくしたものを、取り戻すように。

まるで、肺に咲く花のように。

「…大丈夫。心配ありません。これから、きっと良くなります。花だって生き残れたんです。この町も、いつか元通りに、いいえそれ以上にだってなるはずです。」

私は持っていたハンカチを顔にかぶせると、その場を後にした。

(おしまい)

(この物語は全てフィクションです。)
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