(今、23人いるよ)
いらっしゃいませ。ゲスト様 ログイン 新規登録
話をしようよ」のGoodトリック・物語・納得で良かったら1票分。全体評価で特に良かったら3票分Goodができます。
ユキヤの口からユキヤ自身のことを知れば知るほど、不安が増していくチカコ。

一体どうして?
[藤井]

【ウミガメ】19年01月09日 23:21
解説を見る
チカコには3歳の息子、タカシが居る。
そしてチカコの友人、マミの子どもも同じく3歳だ。名をユキヤと言う。
チカコとマミは仲が良く、互いの家で一緒に遊んだりしている。タカシとユキヤも仲が良い。

「ユキヤくんは、でんしゃが好きなの?」
「でんしゃ!すき!あとね、しょーぼーしゃ!」
「消防車も好きなんだ。かっこいいよね」
「うん!きゅーきゅーしゃ、ぱとかー、しょべるかー」
「わぁ、いろんな車の名前知ってるんだねぇ」

褒めるチカコに、得意気に話すユキヤ。
その隣では、タカシが真剣に動物の絵本を見ている。
そんなタカシと一緒に絵本を覗き込んで、マミが尋ねる。

「タカシくん、どの動物が好き?」
「ん、んー」
「わんわん?犬が好きなのね」
「んー」

へらりと嬉しそうに笑うタカシ。


チカコはずっと気がかりだった。同い年のユキヤはたくさん言葉を喋るのに、タカシはなかなか言葉が出ない。
個人差があるし焦らなくていいよと人は言う。分かっているつもりだが、やはり実際に言葉巧みに話すユキヤと対面すると、その不安は膨らんでしまうものだ。

"どうして、うちの子は。どうして、よその子は。"
比べたくなくても、比べずにはいられない。


「ターくん、チカちゃん、またねー」

帰り際、にっこり笑って手を振るユキヤ。

「ユキヤくん、またね。タカシ、ばいばいしよっか」
「ばーい」
「あはは、ばいばーい」

ぎこちなく手を振るタカシに笑いかけるマミ。
あのドアが閉まったら、マミはユキヤくんとたくさんお話するのかな。
マミの家を出て歩き出したチカコは、ほとんど口を開かないタカシの手を握り、少し切なくなった。



その日の晩。
真っ白な画用紙に、黙々と絵を描くタカシの姿があった。
風呂からあがった夫のヒロユキがタカシに歩み寄る。

「おー、何描いてんだ?タカシ」
「ん、まーま」
「おっ、これママか?こっちは?」
「んんん、」
「あ、ひょっとしてこれ友達のユキヤくんだろ」
「ん!」
「あはは。これがわんわんでー、これは?」
「ぶー、ぶーぶー」
「おぉ、ぶーぶーか。ユキヤくんはぶーぶーが好きなのか」
「ん!」

ぱあっと嬉しそうに笑うタカシ。
あぁ。この子にはこの子なりの表現方法がある。
嬉しい、楽しい、好き、嫌い。そんな豊かな感情が、この子の中にしっかりと存在するのだ。

「タカシは絵がうまいなぁ。ほら、ママに見せてやれ」
「まーま」
「わぁ、上手に描けたねぇタカシ。今日、マミちゃんにたくさん絵本読んでもらったんだよね」
「ん!」
「楽しかったね。また行きたい?」
「ん!!」

こっくりと大きく頷くタカシに、自然と心がほぐれていく。


何度も不安になりながら、少しずつ自分の歩幅を見つけていくのだろう。
この子も、私も。



要約
チカコは、自分の息子と同い年のユキヤがたくさん言葉を喋るのを見て、なかなか言葉が出てこない我が子と比べてしまい、不安がつのるのでした。
物語:1票納得:1票良質:9票
全体評価で良質部門
lukesitu>>コメントなし
赤升>>コメントなし
ぽんぽこぺん>>コメントなし
トリック部門
物語部門
納得部門