大の虫嫌いであるカメオ。
彼は毎年秋になると、山や草むらに入って虫の鳴き声を録音する。
何のために?
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息子が交通事故に遭い、寝たきり状態になってもう2年が経つ。元気な頃は虫が大好きな少年だった。よく家の近くの草むらに入っては虫を捕まえ、たくさんの虫の鳴き声に囲まれながら楽しそうに過ごしていた。
今は、都会の病院の病床に臥している。家の近くのように虫を見ることも、鳴き声を聞くこともできない。昔のような活気あふれた姿は見られず、すっかり塞ぎ込んでしまった。
私はかつての元気を取り戻してもらいたく、ある決心をした。息子の大好きな虫を届けようと。しかし、病室に虫を持っていくことはできない。そもそも虫が苦手なため、捕まえるのは以ての外なのだが。
だから、鳴き声を届けることにした。息子の大好きな松虫や鈴虫の綺麗な音色を。虫が多くいる草むらに分け入っていくのも気が引けたが、息子の笑顔のため、決死の思いで鳴き声を録音した。
正直きつかった。嫌いなものと向き合うのは。でも、きっと来年もまた同じことを私はするだろう。だって見てしまったから。すっかり元気をなくした息子が久しぶりに笑う姿を。笑いながら綺麗な涙を流す姿を。
今夜も息子の病室には美しい虫の音色が響いている。
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