海水女子の婚活漂流記 「二物衝撃 No.14」」のGoodトリック・物語・納得で良かったら1票分。全体評価で特に良かったら3票分Goodができます。
多様性の時代にして、非婚化の時代。
結婚相談所の倒産が相次ぐ中、これまでにないビジネスチャンスを狙い、新たな婚活事業が誕生した。
それは、超能力者専門の結婚相談所である。

「川沼 海子 様、あなたの婚活サポートを担当させていただく田中です。どうかよろしくお願いします」
「こちらこそよろしくお願いします」
「早速ですが、川沼 様はどのような超能力をお持ちでしょうか?」
「はい、私の超能力は、手から海水が湧き出るというものです」
「? 手に汗をかくということですか?」
「違います。人間の汗とは違う、海水と全く同じ成分の液体が湧き出るということです」
「はあ、なるほど。それは大変そうですね。普通の人よりたくさん塩分を取らないと」
「いえ、私の体から塩分や水分が出ていくわけではありません。海水が、私の手の上に現れて、湧き出るということです」
「は、はあ? まあ分かりました。『超能力は、手から汗を出すこと』と。それで、どのような相手をご希望ですか」
「はい、私はこのような超能力を持つせいで、人から気味悪がられたり、一度は信頼関係を築いた相手が離れて行ったりという経験をしてきました。それで人がなかなか信用できなくなってしまい、男性と付き合ったら強く束縛してしまうのです。1日に何度も連絡を求めてしまうなどの。だから、それを受け入れてくれるような相手を希望します」
「では、この寺橋さんという方はどうでしょう。この方の超能力はテレパシーで、どこにいても連絡が可能です。会ってみる価値はあると思うのですが」
「テレパシー、それなら確かに・・・」
「他にご希望の条件は?」
「礼儀やマナーが守れる方で」
「はい、はい」
「清潔感は大事ですね。汗をよくかく人なんかは苦手です」
「あ、それは全く大丈夫です。では早速お見合いに向けて連絡を取ってみましょう」

お見合い当日。
寺橋とのお見合い開始1分で、川沼 海子は席を立って帰ってしまった。
なぜか。
24年02月27日 01:57 [油獣]
【ウミガメ】
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