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日尾浦山は、珍しい山菜が多く自生していることで名の知れた山であるが、登山するには厳しい地形で、一方で巷では最近、怪談が囁かれるようになった。

曰く、日尾浦山で遭難して亡くなった女の霊が中腹を彷徨っており、山菜取りを終えた登山客を追いかけて襲うようになった。霊に取られる命惜しければ、山菜取りに来てはいけない。


さて、この噂を耳にしてから山菜取りが趣味の霊感の全くない老人が、幽霊の噂を信じ、その険しさをも厭わなかった日尾浦山に二度と行かないことに決めたのはなぜか?
[さなめ。]

【ウミガメ】23年10月08日 22:16
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『日尾浦山で遭難して亡くなった女』というのは、老人の娘だった。
老人の趣味だった山菜取りに影響され、娘も山菜取りが大好きだった。

老人は娘が亡くなったことを深く哀しんだ。幽霊であっても良いから、もう一度娘に会いたいと強く願った。

そんな中、日尾浦山の、偽物にしては不躾な怪談の噂を聞いた老人。
普段であれば霊の存在など信じない、霊感のない頑固な老人だったが、今となっては、娘の霊が日尾浦の山菜を求めて彷徨っているという話にさえ縋りついた。

幽霊は、この世に未練を残して彷徨うという。

きっと娘は、日尾浦の山菜という現世の未練に取り憑かれているに違いない。

老人は、長くない命、一度は訪れようと思っていた日尾浦の山菜取りの予定を取りやめた。

霊感のない自分が日尾浦に行っても、娘には会えない。

会いにいくなら、同じ世にて会うしかないと思ったのだった。

幽霊の風説が本当であることを信念深く願いながら、老人は独り日尾浦への渇望を抱きつつ、しめやかに余生を暮らしている。


要約:
『日尾浦山で遭難して亡くなった女』というのは、老人の娘のこと。
幽霊になるのはこの世に未練があるから、との風説から、日尾浦の山菜取りへの未練を残したために娘は幽霊になったのだろうと考えた老人。彼は、自らもこの世に同じ山菜への未練を残すことで自ら幽霊となって、娘に会おうと考えた。
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