『どっどっどっどっどっどっどっどっ……』
外から特徴的な音が聞こえた気がして、私はハッと目を覚ました。
数年前に亡くなった祖父が愛用していた、トラックのエンジン音だ。
(祖母が家に訪ねてきたのだろうか?)
そう思ったが、
ベッドの横で眠っている愛犬のコロを見て、そうではないことを悟った。
コロはかなりの老犬だが、エンジン音を聞き分けているようだった。
祖父母が訪ねてきた時は必ず、ヨタヨタと玄関先まで迎えに行くのだ。
「おばあちゃんを迎えに行かないのかい?コロ?」
そう言いながらカーテンを開けてみたが、誰の姿も見えない…。
私は全てを察した。
(…そうか…『逆』だったんだな…。)
さて、
この時、なぜコロは玄関先に行かなかったのだろう?
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