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ばあちゃんの日にち薬」のGoodトリック・物語・納得で良かったら1票分。全体評価で特に良かったら3票分Goodができます。
日にち薬という言葉を、ばあちゃんがよく使っていた。
飲み薬や貼り薬ではなく、時の流れが傷を癒やしてくれるってことだ。
私が心に傷を負って泣くたびに、ばあちゃんはいつも慰めてくれた。
「大丈夫さね。日にち薬が治してくれるよ。治ったら京ちゃんはきっと今より強くなってるさねー」
ばあちゃんの言う通り、私は随分強くなった。
だけど、ばあちゃんには日にち薬は効かなかったんだなと、母の名を呼ぶ彼女を見て、私は思ったのだ。

どういうことか。
[きまぐれ夫人]

【ウミガメ】22年07月05日 23:11
解説を見る
簡易解説
今際の際に、亡くした娘の名を呼んだ祖母。
どれだけ時が経とうと、娘に先立たれた母親の心の傷は、決して癒やされることはないのだと、私は知った。

解説
私の母、ばあちゃんの娘は、私を産んですぐに事故で亡くなった。しばらくして父も病で、母の後を追うように亡くなった。
私はずっと、ばあちゃんに育てられた。

いつだって明るくて元気なばあちゃんだったけど、夜、母の遺影の前でひとり泣いている姿を、私は何度も目にした。
そのたびに私は、早く日にち薬が効いてくれればいいのにと思ったものだ。
けれど、去年の夏、臨終の床で私の手を弱々しい力で握っていたばあちゃんが最後に口にしたのは、私の名ではなく、母の名前だった。
三度、呼んだ。

ばあちゃん。
お母さんには会えた?
私のことは心配いらないよ。
私は強くなった。
なんたって、私には良く効くんだから、日にち薬。
ありがとうね。ばあちゃん。
物語:1票
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トリック部門
物語部門
藤井>>タイトルに惹かれ、問題文にもまた惹かれ…。骨格はシンプルですが、物語性を大いに感じる作品でした。
納得部門