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売れっ子漫画家のカメコの担当編集であるカメオは、カメコの仕事場であるアパートの一室に原稿を取りに向かうところだ。
(カメコ先生のことだ。もう出来上がっているのだろうが、もしかすると既に寝てしまっているかもしれない。合鍵を忘れないように…‥と。)
アパートに着き、合鍵で開錠をしたカメオ。カメコは寝ていなかったのだが、そこにあったのは完成とは程遠い原稿だった。
しかしカメオは怒るどころか驚きもしない様子で、カメコにこう言った。
「ほら、先生。月が綺麗ですよ」
一体なぜ?
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解説
お酒を飲んですっかり出来上がってしまっているカメコをベランダに誘導し、夜風に当て酔いを冷まさせ、漫画を描かせるため。
詳細解説
カメコ先生は天才故か、非常にクセのある人だ。
〆切を守らないのは当たり前、デッドラインだって平気で無視してくる。何よりあの酒癖の悪さはどうしようも無い。
はぁ、今日はこれから原稿を取りに行く約束をしていたのだが、ラインに返事もない。どうせまた仕事場でビールをがぶ飲みして、すっかり出来上がってしまっているのだろう。カメコ先生は嫌がるだろうが監視用にアシスタントでも付けようか……。
仕事場のチャイムを鳴らす。返事は無い。……まさかとは思ったが、もう寝ているのか……?
合鍵を使って部屋に入ると、目に入ったのはほとんど手を付けられていない原稿と顔を真っ赤にさせ回転椅子でぐるぐると回るカメコ先生。
「あれぇー?かみぇお?どーしたー?ふほーしんにゅーかー、けーしゃつよぶぞけーしゃつぅー」
やっぱりか。赤ら顔でからみ酒、ろれつも回っていない。もうこうなってしまっては話が通じない。こんな時は……、
「ほら、先生。月が綺麗ですよ」
窓の外に見える月にわざとらしく驚きながら、カメコ先生をベランダへと誘導する。
「おー、なんだー、こくはくかー?どれどれー」
ベランダに出てしばらく夜空を眺めていると、カメコ先生は夜風に当たり段々と酔いが冷めていくと、無言で室内に入り机に向かって原稿作業を始めた。
計画通り。
「カメコ先生、酔いは冷めたんですか?まだ顔が赤いですけど」
「……うるさい」
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