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男とて解ってはいたのだ。
本懐を遂げる為、いつかは立ち上がらねばならぬことを。行かねばならぬことを。
本能は既に、彼に「行け」と告げている。
しかし男は抗った。
あと少し、もう少しだけ、この安寧と怠惰の支配する世界に身を委ねることは叶わぬものかと。
或いは、誰かが自分に成り代わり宿願を成してはくれぬものかと。
…笑止。
俺は何を愚図愚図と有り得ようも無いことを夢想しているのか。
男は苦笑を漏らし、そして悟った。
最早自分には一刻の猶予も与えられてはいないのだ。
行かねばならぬ。
男は「うん」と声を出し立ち上がると、己の行くべき道へと歩を進めるのであった…

さて、男は何処へ向かっているのか?
22年05月31日 22:16 [マカ旦那]
【20の扉】【闇スープ】
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