「【再出題】親父がやりました」のGoodトリック・物語・納得で良かったら1票分。全体評価で特に良かったら3票分Goodができます。
ある日の夜。帰宅途中のユキオは、自宅付近の公園からひどく慌てた様子で飛び出してくる不審な男を目撃した。
翌朝のニュースで、その公園で殺人事件があったことを知ったユキオ。犯行があったとされる時刻は、不審な男を見かけた時刻とほぼ一致する。あの男の尋常でない慌てぶりから言って、彼が犯人である可能性は高いのではないか――。そう考えたユキオは、自分の見た男について話すべく警察署へ。
だが、いざ証言する段になって彼が思い浮かべていたのは、目撃した男ではなく自分の父親の顔だった。何故だろう?
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警察署を訪れたユキオ。例の殺人事件について情報提供をしたいと受付で申し出ると、小さな会議室のような部屋へ通された。やがて部屋へ入ってきた刑事を見て、ユキオは仰天。
どう見ても、昨日の男だった。
「えー、それでは、あなたが見たという男の特徴を教えていただけますか?」
鏡見ろっ!
……と言いたいのを必死で堪え、ユキオは考える。
これはまずい。いくら警察署内と言えど、殺人犯かも知れない男と密室で二人きりである。自分が目撃していたと知れたら……万が一、ということもないではない。それに、証言がねじ曲げられる恐れだってある。
とにかく、この場はなんとか誤魔化して乗りきらなければ。自分が見たのはまったくの別人だったと油断させて、あとで別の刑事に、あらためて証言するのだ。
とりあえずこの刑事にはデタラメの証言をすることにしたユキオ。
「はい、身長は180cmほど、黒っぽい服装で、それで、顔は……顔は……」
だが、咄嗟に顔の特徴をでっち上げるのは、案外難しい。どうしても、目の前の男の顔がちらつく。
(そうだ! まったく別人の顔を説明すればいいんだ)
閃いたユキオは、咄嗟に父親の顔を思い浮かべ、その特徴を説明した。
「額は広くて、目はややつり目、眉が太くて……右目の下にほくろがありました! それからーー」
やがて、ユキオの証言をもとに出来上がった似顔絵は、驚くほど父親そっくりだった。
(親父、ごめんよ……)
そば打ち一筋30年、頑固一徹、曲がったことが嫌いなあの親父が、殺人の容疑者になってしまった。心のうちで父に謝りつつ、事が大きくなる前に本当の証言をせねばと、ユキオは他の刑事へもう一度証言をし直すのだった。
要約
話を聞きに来た刑事こそが目撃した男だったから。犯人かもしれない人物に見たことをそのまま話すのは危険と考えたユキオは、その場しのぎで嘘の証言をするため、咄嗟に父の顔を思い浮かべ、その特徴を説明した。
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