これは、海賊が全盛期を迎えてから少したった頃の話。

海賊船『ウミガメ号』。
その船は、巧みな細工がされた船首や甲板、『ウミガメ号』と格好良く書かれた帆、そして黒で統一された船体を持ち、長い間無敵の海賊船だと謳われている。
そんな『ウミガメ号』の船長を務めるのは、海賊のカメオ。
カメオの右に出る者はいないといわれるほど、剣と武技の達人であり、カメオがいなければ『ウミガメ号』はここまで無敵にならなかっただろう、とすら言われている。
その一方カメオは、海賊の今までのような繁栄を願い、特に同じ船の仲間達を第一に考える心優しい性格の持ち主で、同じ船の仲間達からはとても慕われ、頼りにされている船長でもある。



ところで、海賊界にはベルンソードという、伝説の剣がある。
海賊なら誰もが憧れるようなその美しい刀身、そして鉄をも易々と切り裂く切れ味と、驚くほどの軽さ。
カメオもその剣を手に入れたいと長年考えていた。

今のベルンソードの持ち主は、同じく長い間「剣の使い手」と謳われている、海賊のウミオ。
遂にウミオの居場所を突き止めたカメオは、海賊の、もはや古い掟となってしまった、「一騎打ち」のルールに従い、勝った方がベルンソードを手に入れることに。
数十分にわたる激闘の末、カメオはウミオを倒し、遂にカメオはベルンソードを手に入れることができた。

しかしカメオが『ウミガメ号』に戻ると、折角手に入れたベルンソードを海に投げ捨てた。

いったいなぜ？